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(短編集)
ポンド氏の逆説
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【この小説が収録されている参考書籍】
ポンド氏の逆説の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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チェスタトンの作品としては文句無しの星5つ。 星3つとしたのは新訳について。 同じ創元推理文庫から、旧訳として1977年初版で中村保男氏訳(注:私の持っている初期の版では中村氏が師事していた福田恆存氏の訳と表記されているが、後の版で中村氏との表記に変更された)が出ており、今でも中古なら容易に安価で手に入る(もちろんamazonでも)。 2017年に南條竹則氏のこの新訳が出たので、大好きな短編集がより親しみやすい文体になっているかと期待して、旧訳と読み比べてみた。 読後の率直な感想として、正直なぜ同じ創元推理文庫から今この新訳を出したのか分からない。 現代の感覚としても、旧訳の方が読みやすい。言葉がアップデートされているわけでもない。 このチェスタトンの短編で読みにくいところがあるとすれば、それはたぶん翻訳や時代のせいではなく、チェスタトン自身がそういう言い回しを楽しんでいるためで、むしろそこにこそこの「逆説」と題した短編集の味わいがある。 旧訳はそれを比較的うまく読みやすく訳していたように思うが、新訳は読みやすさの点でむしろ後退している。 読み比べると、ところどころ文の意味が新旧で異なっているところがある。 英原文を見なくても、あ、これはこっちの方が適切な翻訳なんだろうな、と大体分かる。 確かに新訳の方が正しそうな箇所、より直訳に近そうな箇所も中にはあるが、全体的には、この翻訳の適切さという面でも、明らかに旧訳の方に軍配が上がる。 というわけで、初めてこの短編集を手に取るのであれば、私は旧訳の方をお薦めします。 (若い読者の方であったとしても。) かと言ってこの新訳を入手する楽しみが無いというわけではなく、 ・旧訳と読み比べたい ・とにかくチェスタトンの作品が好き ・新しい巻末解説を読んでみたい(実際、新訳版の西崎憲氏の巻末解説は、なかなか興味深かった) という方は、ぜひ手に取ってみては。 作品自体についてほとんど触れなかったが、ブラウン神父シリーズと並んでミステリー(という枠には収まらない?)の金字塔とも言うべき短編集であり、これを読まないなんて考えられない! 上記でちょっと新訳を悪く言い過ぎてしまったかも知れないが、旧訳に見劣りする、と言いたかっただけで、こっちだけを読んだならそこまで悪い翻訳ではない。 旧訳ででも新訳ででも、読んだことがない方には一度はぜひ読んでみてほしい一冊。 | ||||
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