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(短編集)

ウは宇宙船のウ



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ウは宇宙船のウの評価: 4.50/5点 レビュー 18件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

読めた。

きょうから寝るまえの読書は、なににしよう。本棚に残していたウィリアム・テン短篇集がとてもつまらないものだったので、どうしてだろうと思っている。かつておもしろいものだったと思っていたものがつまらないと思うようなものになってしまったのか、たまたま間違って本棚に残していたのか。表紙がレトロで、かわいらしいので本棚に残していた、レイ・ブラッドベリの短篇集『ウは宇宙船のウ』を読もう。読んだのが、むかしすぎて、目次を見ても、さっぱり思い出せず。記憶力の低下がはなはだしい。

1作目は、「「ウ」は宇宙船の略号さ」宇宙船に乗員として乗るのが夢の15歳の少年が主人公。成績が飛びぬけてよいので、アカデミーに入ることが決まった。しかし、アカデミーに入ることができても全員が宇宙船乗りになれるわけではない。厳しい競争が待っている。

2作目は、「初期の終わり」息子が宇宙船で宇宙ステーションに向かうところを、庭の芝刈りをしながら地上から眺めている夫婦。

3作目は、「霧笛」恐竜が灯台のところによってきて、霧笛に似た声で呼応する。

4作目は、「宇宙船」宇宙船に乗るお金を貯めていたスラップ工場の社長がいたが、ひとりしか行けないお金だった。宇宙船の実物大の模型のスクラップを買う。それに子どもたち5人を乗せて、宇宙旅行に出かけるふりをする。子どもたちは喜んでいた。妻は夫に「あなたは世界一の夫だわ」と言った。

5作目は、「宇宙船乗務員」父親が宇宙飛行士で、地球に戻っては宇宙に行きを繰り返していた。それを嫌がっていた母親と、乗組員になりたいと思っていた息子がいた。息子は父親に乗組員になるなと言われる。父親はこれでさいごの宇宙飛行だと言って出かけるが、宇宙船は事故に遭って父親は亡くなる。

6作目は、「太陽の黄金のりんご」太陽エネルギーを利用しようとするのだが、失敗した。

7作目は、「雷のとどろくような声」タイムトラベルもの。バタフライ・エフェクトを扱ったもの。西暦2055年から6000年むかしにさかのぼってタイムトラベルした。一行のひとりが一羽の蝶を踏み殺したおかげで、未来が変わってしまったというもの。

8作目は、「長雨」金星は降りやまぬ雨。雨のなかを3人が人工太陽ドームを探して彷徨う。ひとりは気が狂って仲間に撃たれて死ぬ。仲間を撃った者も途中であきらめる。動かずに留まる。3人目の男だけがあきらめずに人口太陽ドームに辿り着くことができる。

9作目は、「亡命した人々」ポオやアンブローズ・ピアスやディケンズなどの文学者たちが出てくる作品で、宇宙船が火星に到着すると、文学者たちの作品とともに作者たちも姿を消す。シェイクスピアのマクベスに出てくる魔女たちの呪いの言葉とともに。

10作目は、「この地には虎数匹おれり」ある惑星に着陸した宇宙船があった。その惑星のとりことなった乗員がいたが、船長は惑星を出る決意をする。

11作目は、「いちご色の窓」火星にきた一家の物語。夫は火星にいつづけたいと思っている。妻は地球に帰りたいと思っている。夫は地球から思い出の品物を取り寄せて、妻を説得しようとする。

12作目は、「竜」鎧をまとった騎士がふたりいた。竜退治に出たところが、ひとりは竜に引き裂かれた。竜の正体は蒸気機関車だった。

13作目は、「おくりもの」クリスマスの夜に火星に行く夫婦とひとり息子。クリスマス・ツリーのかわりに、光り輝く光を見せてやるという話。

14作目は、「霧と炎」放射能のせいで、一生が8日間しかない人類の話。その惑星では昼と夜の寒暖差がひじょうに大きく、太陽が昇っているときには焼き焦げ、夜になると凍えてしまうのだった。主人公は、苦労して宇宙船のところまで行き、仲間を助けに戻る。宇宙船のなかでは寿命が飛躍的に伸びる。

15作目は、「タイム・マシン」大佐のところに行って、昔話を聞く。老大佐がタイム・マシンってこと。

さいごの16作目は、「駆けまわる夏の足音」テニスシューズをはいた少年に荷物を運んでもらう話。SFではなかった。
ウは宇宙船のウ (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ウは宇宙船のウ (創元SF文庫)より
4488612032
No.2:
(3pt)

40年ぶりに明かされたダグラスが「ドラ」と呼ばれていた理由

旧版の誤訳や、直訳で日本語になっていなかった箇所は、2006年の新版でかなり解消されていたが、「タイム・マシン」の終結部だけはそこでも直っていなかった。
「塀の一番奥にいるのは女の子なんだ」というダグラスの発言の意味不明だった珍訳が、ついに新版の最新版では「塀を一番ビリで飛び越えたやつは、女だぞ」と改訂され、原文の見事なオチが蘇った。
この短編集、どの作品もセンス・オブ・ワンダーに溢れ、多少日本語が変でもぐいぐい読者を引き込むブラッドベリの筆力には驚くばかりだ。
いつまで経っても愛読書であり続けるよう、より良いものにしていこうという創元社の姿勢も評価したい。
ウは宇宙船のウ (集英社漫画文庫)Amazon書評・レビュー:ウは宇宙船のウ (集英社漫画文庫)より
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No.1:
(3pt)

作者の豊かな想像力が表れた作品

俺の大好きな推理漫画家・加藤元浩が完結させている作品『ロケットマン』の最初の事件で題名が出てきた本である。漫画では『RはロケットのR(原題:R IS FOR ROCKET)』というタイトルで紹介されていたが、実際は『ウは宇宙船のウ』という時代を感じさせる邦題だ。

 はじめは、一人の青年が宇宙飛行士を目指す、あるいは、最初のロケット開発に携わるなどで宇宙に行きたいという夢をひたむきに追いかけるSFより現代小説に近い長編小説なのかと思っていたが、読んでみるとSFの短編集だった。

 題名に現れている通り(というか、ブラッドベリ自体がSF詩人らしいのだが)、あまり宇宙船の詳細は描かれず、違う星での生活や、宇宙飛行士の家族の心情などのほうに焦点を当てている。

 各短編の設定はなかなか面白く、「意思を持った星」や「太陽が近すぎて人々の寿命が8日間しかない星」など、作者の想像力がよく現れた話が多い。今では『バック・トゥ・ザ・ヒューチャー』などで有名になったタイムパラドックスの論理とカオス理論を彷彿とさせる話も出てくる。

 しかし悲しいかな、実際古い作品だから仕方ないのだが、言い回しが不自然なところが多かったし、文章的に「明らかになんだかおかしいけど、とりあえず直訳しておくか」という雰囲気を持つ箇所が随所に現れている。この辺が訳本の難しいところだ。
ウは宇宙船のウ (集英社漫画文庫)Amazon書評・レビュー:ウは宇宙船のウ (集英社漫画文庫)より
4086120305

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