(短編集)
恐竜物語
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そしてそれは(やっぱり)ティラノサウルスで。「恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?」のイメージでしょう。この作品は、この本で初めて読みました。それまで私が知っていた「ブラッドベリ先生の恐竜の話」は「霧笛」だけで…でも「霧笛」を知っていたことが、この本を手に取るきっかけになりました。 そして、私が知っている「霧笛」は、この本のヴァージョンとは翻訳者が違う。なので正直、少し違和感は感じるけど、文句を言う意思はないです。だって、「この人も翻訳してみたかったんだろうなあ」と素直に思うから。そうじゃなきゃ、こんな仕事しないですよね。伊藤典夫先生。全部ひとりで翻訳して解説まで。伊藤先生の「嬉しい」がいっぱい、この本に詰まっていると思います。 (私が覚えている「霧笛」は、たぶん創元SF文庫じゃないかと思うので、改めて確認します。) あとひとつ、この本の中で好きな作品は「ティラノサウルス・レックス」。ひと言で言うと、 「レイ・ブラッドベリ先生が書いた、レイ・ハリーハウゼン先生のお話」です。そしてもうひとつ追加すると「ティラノサウルス」とは「暴君竜」という意味で…それが痛快なオチにつながっている。この作品について序文で解説しているのは、ほかならぬハリーハウゼン先生ご本人で、だからこの作品は純粋に作品として楽しむと同時に、お二人で映画を作っていた時こんな風なことが本当にあったのかな?と想像してしまいます。 最後に、この本の表紙の絵は、ファンタジー的な穏やかな感じだけど、「恐竜のほかに」の本編イラスト、デイヴィッド・ウィスナー先生の絵は、もっと真に迫る感じで怖いのです。なので「表紙は誰の絵なのかな?」と知りたくなってカバー裏を見たら、東逸子先生。日本人の女性の方でした。 恐竜女子としては、恐竜男子たちの秘密基地に自分たちも居場所があったんだ、と嬉しくなりました。 | ||||
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恐竜をテーマとした短編集。題材は様々で、暖かい田舎の風景と少年の夢、ファンタジックな詩、喪失を描いた切ない物語、タイムパラドックス系SF、ストップモーション映画スタジオのごたごたなど。 作者本人とレイ・ハリーハウゼンによる序文と前書きは、両者の自伝的なもので、これはこれで面白い。 また、作品ごとに違うテイストのイラストで、見開きのみならずページの柱まで飾られたにぎやかなつくりになっている。 今でこそ、恐竜が恒温性の活動的な生物だったことは常識になっているが、それ以前は鈍重な冷血動物とされていた。しかしその一方で、活動的な恐竜の姿が描かれてもいた。 中でも名高いのが、作中にも名前が見られるチャールズ・L・ナイト。野生動物画家にして古生物画家。恐竜のイメージの立役者。 アメリカで恐竜発掘競争が行われ、世間に恐竜ブームが巻き起こった時代、彼のイラストは人々の心を躍らせ、多くのクリエイターの脳からモンスターを引き出した。 SF作家のレイ・ブラッドベリ、映画監督のレイ・ハリーハウゼンもその一部で、この本には二人の友情が色濃く反映されている。それに、軽やかに踊る恐竜の姿も。 これらの小説は、一流SF作家ブラッドベリが、恐竜への愛ゆえに書いてしまったものである。 この本が出版された当時の恐竜は、古い、うろこをまとった、ゴジラ的直立の、首を高く上げ尻尾を引きずる姿なのだが、その圧倒的な質量のイメージは今においても色あせない。チャールズ・ナイトの絵こそないが、イラストレーター達の熱量も並みではない。 この本は百年前の少年たち―そして大人たち―が、恐竜とどのように出会い情熱をかきたててきたか伝えてくれる書物である。小さく薄い文庫本だが、そこには確かに愛が詰まっている。 | ||||
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他の本では「霧笛」と名付けられている作品だと思われるが、ブラッドベリの作風と内容の詩情が台無し。昨今のストーカー事件などがつい思い浮かんでしまい、愛し過ぎると壊してしまうという世界観が詩的に展開されていて怖い。 | ||||
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レイ・ブラッドベリが愛してやまなかった恐竜を主役とした短編小説や詩、6作品に7人の一流アーティストがイラストを手掛けた短編集。 作品のタイトルと発表年度、イラストを手掛けたアーティスト名および経歴を簡単に記す。 扉絵:Kenneth Smith アメリカのイラストレーター、Phantasmagoriaのcomic booksで有名。 『恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?』(書下ろし, 1983) David Wiesner アメリカの児童文学作家、イラストレーター、最も優れたアメリカの子ども向け絵本に与えられるコールデコット賞を1992年、2002年、2007年の3回にわたって受賞しており、多くの作品が本邦でも翻訳されている。 『いかずちの音』(1952) William Stout アメリカのイラストレーター、Ralph Bakshiの映画Wizardsのポスターでとくに有名、古生物学を主題とした芸術作品を多く手掛けている。 『見よ、気のいい、気まぐれな恐竜たちを』(1983) Overton Loyd アメリカの画家、ParliamentのアルバムMotor Booty Affairのレコードジャケットのイラストで有名。 『霧笛』(1951) Jim Steranko アメリカの漫画家、映画レイダース/失われたアーク《聖櫃》や『ドラキュラ』(Bram Stoker's Dracula)のコンセプトアートを手掛ける。 『もしもわたしが、恐竜は死んではいない、と言ったとしたら』(1983) Gahan Wilson アメリカの作家、漫画家、 PlayboyやThe New Yorkerのイラストやコミックを50年にわたり手がける。 『ティラノサウルス・レックス』(1962) Moebius フランスの漫画家、大友克洋、宮崎駿、谷口ジローなど日本の漫画界へ多大な影響を与えた。『エイリアン』をはじめ、多数のSF映画にもデザイナーとして関わっている。 個人的にはJim SterankoとWilliam Stoutの絵がいいかな。 楽しい本です。 | ||||
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『トワイライトゾーン』をみるようになって、そこから様々な作家へと読書が広がっていきました。 レイ・ブラッドベリーさんもそのひとりです。 6つの短編小説から成る『恐竜物語』は、恐竜が登場する作品集です。 “ブラットさん”は、今年天国に召されました。 本当に残念です。 “SFの抒情詩人”と呼ばれ、ぼくにとっては、ロッド・サーリングさんと並んでこの分野の愛読書の作家でした。 この短編集のマイベストワンは『霧笛』です。 灯台が鳴らす「あれ」です。 1951年の作品。 海底で身を潜め、天涯孤独な恐竜が、ずっと待ち焦がれていた“声”。 それを五年前に建てられた灯台の霧笛から受信します。 “仲間の声”と信じて。 大海原を時間をかけて、声のもとへとやってきたのです。 理解し、見守る灯台のマグダンとジミー。 恐竜の「咆哮」と「霧笛」が確かめ合うように木霊します。 ぼくは、この場面がとても切なく、でも、とても愛おしくて好きです。 しかし、恐竜は、信じて求めたものがそこには「居ない」ことがわかります。 その欠落感と落胆と苦悩。 マグダンの言葉が印象的です。 「この世界では、ものをあまり愛しすぎるのはよくないということをあいつは学んだ。あともう百万年待つために、深淵のいちばん奥底にもどっていったんだ。かわいそうにな!このくだらない、ちっぽけな惑星に人間が生き続けるかぎり、やつはそこでずっと待っている気なんだ。いつまでも いつまでも」。 ブラットさんが、SFの手法を多用するのは、時空を超えてでも、変えられない「確かなもの」「見失ってはならないもの」が、私たち人間の世界にはあるのだと教えてくれているように改めて感じ入ることがあります。 この本の中の『雷(いかずち)の音』という短編も、そういう意味ではとても「らしい」作品です。 | ||||
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