さよなら僕の夏
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前作の「たんぽぽのお酒」もそうですが、この味わいは独特です。あらすじを説明できない作品です。一つ一つのエピソードを通じての世界を味わえるかどうかです。 | ||||
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「たんぽぽのお酒」(以下「たんぽぽ」)にもレビューを入れさせて頂きましたが、続編である本作も、「たんぽぽ」同様に、「子供のために書き下ろされた」ものでないことを、まずはご指摘申し上げたいと思います。 また、本作(原典)は、2006年10月に出版されたものですが、元々は「たんぽぽ」と同時期に準備されていたものであり、元を辿れば、1940年代〜50年代まで遡れるものです(勿論、半世紀を経て漸く出版に至った2006年版では、かなりの再構成・改稿を経ますが)。 その時期は、「ブラッドベリの豊穣の期間(Vintage Years)」と称されることがあり、筆致は実に瑞々しく、詩的であって、特に、「イリノイ三部作」と称される、「何かが道をやってくる」、「たんぽぽ」、そして本書は、ブラッドベリ先生が最も本領を発揮した文体で書かれていると思われます。 尚、「たんぽぽ」へのレビューには記しませんでしたが、ブラッドベリ先生は元々、(本作のアイデアをも含めた)「たんぽぽ」の全体像を、アイデアとして持ってはいたものの、結果的には、1946年から1957年にかけて、(各章が)各種の雑誌に短編として掲載され続けました。 当該の雑誌群は、”The Reporter”、”Collier’s”、”The Saturday Evening Post”、”Charm” など、九割方が大人向けの雑誌であって、この事からも、(元々は「たんぽぽ」と一心同体であった本書も含め)「特に若い世代のために書き下ろされた」という理解が、大きな誤りであることが、ご理解頂けると思われます。 (注1)これらの雑誌の中で、「子供向け」(でもあり得る)のは、”Weird Tales” だけですが、同誌に掲載されたのは、1編のみです。 (注2)また、「たんぽぽ」に収録された短編(章)のうち、「駆け回る夏の足音」、「タイムマシン」などは、他の短編集にも再録されていますが、そちらは、(当然の如く)「大人語」で訳出されるという、奇妙な現象が起こっています。 最後に、この「さよなら僕の夏」という訳本には、本作(原典)の前提条件(基本テーマ)に関して、読者に誤解を与える懸念のある箇所がありますので、それを指摘させて頂きます。 訳本の14ページ、お爺ちゃんの科白に、「夏の別れだ、秋が戻ってくる」(大意)とありますが、これは明白な誤訳であり、原文では、『「秋」が戻ってくる』(日本語では未来形を暗示)わけではなく、『「八月」が戻ってきた』(英語では現在完了)、と書かれています (「時制」の印象はともかく、「秋」と「八月」という、根本的な相違に注目下さい)。 ※『「秋」が戻ってくる』に対応する原文は、”August come back.” であり、”has” が省略されていることから、「推理訳」されたのかも知れません。 つまり原典では、「秋だというのに、夏が唐突に戻ってきたような時候」が、この物語の舞台であって、だからこそ、「秋だというのに、夏(例えば老人にとっては、人生の盛り)が戻って来たような、また、それと別れるのが切ないような」、という、本作に通底する感傷を示唆できるのだと思います。 ※だとすれば、訳者の方が ”Farewell Summer” という植物の名前(転じて、「夏が唐突に戻ってくる時候に咲く」ことに因んで名付けられた本作のタイトル)を、「夏の別れ」と理解し、本作の「基本テーマ」として据えた上で訳出されること(と、ご本人が明言)も、少なくとも「文学を鑑賞する」という領域に於いては、誤解と言わざるを得ません。 何れにしても、(翻訳者の方の意図ではないかも知れませんが)「たんぽぽ」同様、「子供向け」の(・・と申し上げて語弊があるなら、「たんぽぽ」の『特に年少の読者を対象とする』路線を踏襲した)訳本と、「一般小説」である原典とのギャップは埋め難く、これまた、「ブラッドベリの真価」を堪能して頂く為にも、原典をお読みになることをお勧めする次第です。 | ||||
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ファンタジーと言うよりは、ノスタルジーを感じた。それはブラッドベリ作品そのものでもあり、作品の描く古き良き時代にでもある。 少年と老人たちの「戦争」と呼ぶ些細な諍いと和解を中心に、少年が異性に目覚める過程と老人が男の機能と別れることを示唆するエピソードの対比、少年が時間こそが自分たちを支配する悪の根元だとして時計塔を襲撃する話などが描かれている。 少年の日の夏の日向の色あせた思い出が、あまりウェットではない感じで描かれているが、ブラッドベリ作品でなかったら、特に読まなかったと思える作品だ。 | ||||
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「たんぽぽのお酒」に続編が出るなんて考えてもいなかった。購入してあっという間に読み終えた。前作のような重量感はないけれども、少しずつ大人になった登場人物の考え方が良く表現されている。 吉行淳之介氏は「童話はそれを書く大人の感性が試される」というような事を言われていた。80歳を超えた著者には、未だに子どもの感性が満ちあふれていた。 | ||||
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36年をへての出版で、主人公のダグラスより、意地悪じいさんウォーターメインの方に自分の年齢が近くなっている! 弟のトムもおじいちゃんも、おばあちゃんも、わんぱく坊主たちもみな懐かしく、しみじみと読みました。 「たんぽぽのお酒」より、深く心に残るものが多かったのは、私も齢を重ねたからでしょうか。 やはり終わり行く夏に感じる切なさが、人生のあり方と重なっていますね。 でも、きらめく思い出の数がふえたことも真実であり、 ダグラスの次の夏はきっと、かがやかしいものとなるでしょう。 自分の子供だった頃の夏と、今の年齢になっての夏 時間の流れ方も、過ごし方もかわってしまいましたが 一年のうち一番「少年の心」がさわぐ季節でありたいと、思う一冊でした。 | ||||
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