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(短編集)
恐竜物語
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恐竜物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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そしてそれは(やっぱり)ティラノサウルスで。「恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?」のイメージでしょう。この作品は、この本で初めて読みました。それまで私が知っていた「ブラッドベリ先生の恐竜の話」は「霧笛」だけで…でも「霧笛」を知っていたことが、この本を手に取るきっかけになりました。 そして、私が知っている「霧笛」は、この本のヴァージョンとは翻訳者が違う。なので正直、少し違和感は感じるけど、文句を言う意思はないです。だって、「この人も翻訳してみたかったんだろうなあ」と素直に思うから。そうじゃなきゃ、こんな仕事しないですよね。伊藤典夫先生。全部ひとりで翻訳して解説まで。伊藤先生の「嬉しい」がいっぱい、この本に詰まっていると思います。 (私が覚えている「霧笛」は、たぶん創元SF文庫じゃないかと思うので、改めて確認します。) あとひとつ、この本の中で好きな作品は「ティラノサウルス・レックス」。ひと言で言うと、 「レイ・ブラッドベリ先生が書いた、レイ・ハリーハウゼン先生のお話」です。そしてもうひとつ追加すると「ティラノサウルス」とは「暴君竜」という意味で…それが痛快なオチにつながっている。この作品について序文で解説しているのは、ほかならぬハリーハウゼン先生ご本人で、だからこの作品は純粋に作品として楽しむと同時に、お二人で映画を作っていた時こんな風なことが本当にあったのかな?と想像してしまいます。 最後に、この本の表紙の絵は、ファンタジー的な穏やかな感じだけど、「恐竜のほかに」の本編イラスト、デイヴィッド・ウィスナー先生の絵は、もっと真に迫る感じで怖いのです。なので「表紙は誰の絵なのかな?」と知りたくなってカバー裏を見たら、東逸子先生。日本人の女性の方でした。 恐竜女子としては、恐竜男子たちの秘密基地に自分たちも居場所があったんだ、と嬉しくなりました。 | ||||
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恐竜をテーマとした短編集。題材は様々で、暖かい田舎の風景と少年の夢、ファンタジックな詩、喪失を描いた切ない物語、タイムパラドックス系SF、ストップモーション映画スタジオのごたごたなど。 作者本人とレイ・ハリーハウゼンによる序文と前書きは、両者の自伝的なもので、これはこれで面白い。 また、作品ごとに違うテイストのイラストで、見開きのみならずページの柱まで飾られたにぎやかなつくりになっている。 今でこそ、恐竜が恒温性の活動的な生物だったことは常識になっているが、それ以前は鈍重な冷血動物とされていた。しかしその一方で、活動的な恐竜の姿が描かれてもいた。 中でも名高いのが、作中にも名前が見られるチャールズ・L・ナイト。野生動物画家にして古生物画家。恐竜のイメージの立役者。 アメリカで恐竜発掘競争が行われ、世間に恐竜ブームが巻き起こった時代、彼のイラストは人々の心を躍らせ、多くのクリエイターの脳からモンスターを引き出した。 SF作家のレイ・ブラッドベリ、映画監督のレイ・ハリーハウゼンもその一部で、この本には二人の友情が色濃く反映されている。それに、軽やかに踊る恐竜の姿も。 これらの小説は、一流SF作家ブラッドベリが、恐竜への愛ゆえに書いてしまったものである。 この本が出版された当時の恐竜は、古い、うろこをまとった、ゴジラ的直立の、首を高く上げ尻尾を引きずる姿なのだが、その圧倒的な質量のイメージは今においても色あせない。チャールズ・ナイトの絵こそないが、イラストレーター達の熱量も並みではない。 この本は百年前の少年たち―そして大人たち―が、恐竜とどのように出会い情熱をかきたててきたか伝えてくれる書物である。小さく薄い文庫本だが、そこには確かに愛が詰まっている。 | ||||
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他の本では「霧笛」と名付けられている作品だと思われるが、ブラッドベリの作風と内容の詩情が台無し。昨今のストーカー事件などがつい思い浮かんでしまい、愛し過ぎると壊してしまうという世界観が詩的に展開されていて怖い。 | ||||
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レイ・ブラッドベリが愛してやまなかった恐竜を主役とした短編小説や詩、6作品に7人の一流アーティストがイラストを手掛けた短編集。 作品のタイトルと発表年度、イラストを手掛けたアーティスト名および経歴を簡単に記す。 扉絵:Kenneth Smith アメリカのイラストレーター、Phantasmagoriaのcomic booksで有名。 『恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?』(書下ろし, 1983) David Wiesner アメリカの児童文学作家、イラストレーター、最も優れたアメリカの子ども向け絵本に与えられるコールデコット賞を1992年、2002年、2007年の3回にわたって受賞しており、多くの作品が本邦でも翻訳されている。 『いかずちの音』(1952) William Stout アメリカのイラストレーター、Ralph Bakshiの映画Wizardsのポスターでとくに有名、古生物学を主題とした芸術作品を多く手掛けている。 『見よ、気のいい、気まぐれな恐竜たちを』(1983) Overton Loyd アメリカの画家、ParliamentのアルバムMotor Booty Affairのレコードジャケットのイラストで有名。 『霧笛』(1951) Jim Steranko アメリカの漫画家、映画レイダース/失われたアーク《聖櫃》や『ドラキュラ』(Bram Stoker's Dracula)のコンセプトアートを手掛ける。 『もしもわたしが、恐竜は死んではいない、と言ったとしたら』(1983) Gahan Wilson アメリカの作家、漫画家、 PlayboyやThe New Yorkerのイラストやコミックを50年にわたり手がける。 『ティラノサウルス・レックス』(1962) Moebius フランスの漫画家、大友克洋、宮崎駿、谷口ジローなど日本の漫画界へ多大な影響を与えた。『エイリアン』をはじめ、多数のSF映画にもデザイナーとして関わっている。 個人的にはJim SterankoとWilliam Stoutの絵がいいかな。 楽しい本です。 | ||||
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『トワイライトゾーン』をみるようになって、そこから様々な作家へと読書が広がっていきました。 レイ・ブラッドベリーさんもそのひとりです。 6つの短編小説から成る『恐竜物語』は、恐竜が登場する作品集です。 “ブラットさん”は、今年天国に召されました。 本当に残念です。 “SFの抒情詩人”と呼ばれ、ぼくにとっては、ロッド・サーリングさんと並んでこの分野の愛読書の作家でした。 この短編集のマイベストワンは『霧笛』です。 灯台が鳴らす「あれ」です。 1951年の作品。 海底で身を潜め、天涯孤独な恐竜が、ずっと待ち焦がれていた“声”。 それを五年前に建てられた灯台の霧笛から受信します。 “仲間の声”と信じて。 大海原を時間をかけて、声のもとへとやってきたのです。 理解し、見守る灯台のマグダンとジミー。 恐竜の「咆哮」と「霧笛」が確かめ合うように木霊します。 ぼくは、この場面がとても切なく、でも、とても愛おしくて好きです。 しかし、恐竜は、信じて求めたものがそこには「居ない」ことがわかります。 その欠落感と落胆と苦悩。 マグダンの言葉が印象的です。 「この世界では、ものをあまり愛しすぎるのはよくないということをあいつは学んだ。あともう百万年待つために、深淵のいちばん奥底にもどっていったんだ。かわいそうにな!このくだらない、ちっぽけな惑星に人間が生き続けるかぎり、やつはそこでずっと待っている気なんだ。いつまでも いつまでも」。 ブラットさんが、SFの手法を多用するのは、時空を超えてでも、変えられない「確かなもの」「見失ってはならないもの」が、私たち人間の世界にはあるのだと教えてくれているように改めて感じ入ることがあります。 この本の中の『雷(いかずち)の音』という短編も、そういう意味ではとても「らしい」作品です。 | ||||
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イラストも豊富な恐竜テーマ・アンソロジー。 当然、「霧笛」も収録。 他にはタイムトラベルSFの「いかずちの音」、ダークファンタジーの「恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?」、何とも楽しいイメージに溢れた詩「見よ、気のいい、気まぐれな恐竜たちを」、子供向けのめるへんちっくな「もしもわたしが、恐竜は死んではいない、と言ったとしたら」、コミカルな文芸作品の「ティラノサウルス・レックス」とバラエティ豊か。 | ||||
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レイ・ブラッドベリが亡くなった。6月5日、享年91歳。 ブラッドベリは、十代だった頃の自分に、最も強い影響を与えてくれた作家だった。 追悼レビューを書こうと思って、真っ先に題名が浮かんだ短編集は「十月はたそがれの国」だったのだが、色々と考えて、本書「恐竜物語」にした。 本書は、ブラッドベリの短編の中でも、恐竜をテーマにした作品ばかりを集めたもので、素晴らしいアーティストたちによる、豪華白黒挿絵つきの素敵な短編集なのだ。 そして何よりも、本書は「二人のレイ」の想いがこもった短編集なのだ。 その話をする前に、収録作品などについて。 まず、表紙を飾るイラストは、東逸子さん!「グリム幻想」の魅惑的な銅版画で一世を風靡し、今でもC.A.スミスなどの短編集で美しい表紙画を描かれている。続いては、ケネス・スミスの光と影の陰影が素晴らしい口絵で、メガネをかけた、博士の恐竜らしきキャラが卵を観察していると・・・中からブラッドベリが誕生!?という素敵な導入。 『恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?』は、ブラッドベリの少年時代を重ねて描いた、「たんぽぽのお酒」の姉妹編のような作品。デイヴッド・ウィスナーの挿絵は、アメリカの絵本を思い出すタッチです。 『いかずちの音』は、映画「サウンド・オブ・サンダー」の原作としても知られる短編。タイムトラベルものにバタフライ・エフェクトを掛け合わせたSF。挿絵はウィリアム・スタウト!コミックスから映画のプロダクション・デザインまで多彩な活躍を見せるアーティスト。「バタリアン」の数々の名ゾンビ・デザインを記憶されている方も多いのでは。 『見よ、気のいい、気まぐれ恐竜たちを』は、オーヴァトン・ロイドのエアブラシによるファンタスティックなイラストと共に躍動する、恐竜を謳った詩。 『霧笛』は、ブラッドベリ・ファンにはもう説明不要かと思いますが・・・灯台の霧笛の音を、自分の仲間の声と聞き違えて海からやってきた孤独な海竜の、哀しい物語。「原子怪獣現わる」として映画化されたことでも知られている。挿絵は、アメコミの巨匠ジム・ステランコ!マッチョなヒーローを描かせたら、ニール・アダムズと並ぶ人気のアーティストだが、ここではアメコミタッチを封印し、鉛筆画で実に雰囲気たっぷりのイラストを披露している。 『もしわたしが、恐竜は死んでいない、と言ったとしたら』も恐竜をテーマにした詩。ゲイアン・ウィルソンのペン画も可愛らしい。 そして末尾を飾る『ティラノサウルス・レックス』は、恐竜の映画を創ろうとする青年が、映画界のしがらみの中で悪戦苦闘する物語・・・と書いてお気づきの方もいるかと思うが、そう、この主人公は、人形アニメの大家、レイ・ハリーハウゼンがモデルなのだ。「原子怪獣現わる」の製作のときに、ハリーハウゼンがハリウッドの独善的なプロデューサーから受けた処遇に腹をたてたブラッドベリが、ハリーハウゼンにエールを贈るために書いた小説だという。 「二人のレイ」=ブラッドベリとハリーハウゼン。小説と映画と、目指した分野は違っても、SFとファンタジーに人生を捧げた二人の青年の青春の想いが、この短編に込められているのだ。そして挿絵は、つい先ごろ亡くなった、フランス・バンドデシネの巨匠・メビウス(二重に涙)。 実は、本書の序文はハリーハウゼン、まえがきはブラッドベリが書いている。二人の出会い、それぞれの作品に込められた想いなどは、ブラッドベリ自身の言葉をぜひ読んで下さい。 「原子怪獣現わる」のDVDの特典映像だっただろうか、ブラッドベリとハリーハウゼンのトークショーの様子が収録されていて、かくしゃくとしていたハリーハウゼンに対して、ブラッドベリは車椅子で痛々しい様子だった事が忘れられず、遠からずこの日が来るのは覚悟していたが、やはり訃報に接するのは悲しい・・・。 ブラッドベリは、少年の心を決して忘れない作家だった。その作風は、SFというよりはファンタジーと言った方がいいかもしれない。何でもない日常の風景を、魔法がかかったように描くことにかけては、ブラッドベリの右に出る作家はいないと思う。 自分は、あまりにもブラッドベリが好きすぎて、十代の頃に全部読んでしまうのがもったいなく、老後のためにとっておこう・・・と、名作と呼ばれるようなものでも、いまだに読んでいない作品が多い。「たんぽぽのお酒」も、30歳を過ぎてから読んだ始末。文庫で発売されたものは、ほとんど所有してはいるのだが。 冷戦時代のソ連は、資本主義国の娯楽文化はご法度だったが、ブラッドベリの小説は翻訳され出版されていたという。それほどまでに世界中で愛された作家だったのだ。 人生の中で、この映画や小説、音楽と出逢えて良かったと思うような経験は、誰しもあると思う。 自分にとって、ブラッドベリの小説と出逢え、同じ時代の空気を吸うことができただけでも、この時代に生まれてきて実に幸せだったと思う。 本当にありがとうございました。 | ||||
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とにかく愉しい短編集!!! 読ませる作家ブラッドベリの読ませる技術(まさに世界遺産?とでもいうべきレベル)が大ブレイクした作品のオンパレードです。 まずいきなり大傑作『恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?』でハートをぎゅっと掴まれます。名作『霧笛』は黙って深夜にでもこっそり読んでみてください。テレビやラジオはかけずに。電車の中ではこの作品は読まないほうが効果的です、たぶん。 他の短編集にはおそらく掲載されていないタイプの<エッセイ散文詩日記?>とでも呼ぶべきユニークな2作品『見よ,気のいい,気まぐれ恐竜たちを』と『もしもわたしが、恐竜は死んでいない、と言ったとしたら』は圧巻でしょう。音楽で言うと曲と曲のはさまった<インタリュード>に近い味わい㡊!!あります。間食というかコース料理の前菜やデザートやお口直しに近いともいえますが。でもブラッドベリが料理すると見たこともないメインディッシュに変容するから不思議。読みやすいのにハイレベル&オリジナルという難しいハードルをいつだってなんなくクリアしてしまうんですよ,この方は。まさに作家になるために生まれてきたとしかいいようがありませんね。 | ||||
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『霧笛』という短編があるのですが、灯台を同種と見間違えて遠吠えを繰り返す恐竜。 あの刹那は最高傑作にふさわしい。 | ||||
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