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真夜中の北京
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真夜中の北京の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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事件の核心と思われるものに迫りながら、正義が実現されなかった父親の無念を思うと言葉がない。 著者は父親が行った調査については、事件の核心に触れると思われる点について結果的な部分をあっさりと書いているが、実際様々な人に会って情報を収集してそれを精査し、1つの結果にまとめるには膨大な労力と時間を要し、この父親が成したことはまさに執念の一言。 不幸にして不穏な国際情勢、外国人居住者が被害者という特殊な環境、人好きしない父親の人間関係等々、様々の要因が悪いように発展して、凄惨な事件を闇に葬ってしまったことに憤りを感じる。読み方によってはこの作品はイギリスの司法の恥部を告発しているように思えなくもない。 当時の北京の外国人居住者の生活状況もうかがわれ非常に興味深く読んだが、日本人を非難するような著者の表現には不快感をおぼえた。中国人にとってイギリス人も日本人も侵略者であることは変わらないのに、日本人が北京の平穏を乱す一方で、自分たちは傍観者であるような表現はいかがなものか。 | ||||
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友人に勧められて手に取りました。 殺人事件が始まりなので、気が進まないままに読み進めましたが、あっという間に引き込まれ、気づいたら読み終えていました。 ただのミステリーではありません。 | ||||
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まだ読み始めですが、新聞での評価が高かったので期待大です。 楽しみ。 | ||||
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歴史の彼方に埋もれた事件を掘り起こした作品。『横浜・山手の出来事 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)』を思い出してしまった。 第二次世界大戦前の中国の都市は、上海が典型だが混沌としていて様々なドラマを生んでいる。本書で扱われる事件は北京で起きているが同様だ。 被害者パメラの死体の状況は、いわゆる猟奇的殺人とも思える凄惨なものだが、全体の3分の2までに描かれる中国警察およびイギリス警察の捜査を見る限り、動機は強盗以外であるとしか判断できない。亡命ロシア人、日本の大陸浪人、さらに様々な国の人々が入り混じり、エドガー・スノー、ヘレン・フォスター・スノー(筆名ニム・ウェールズ)夫妻も登場する。特に、ヘレンは自身の身の安全にも不安を抱いている。警察は努力を重ねるものの、イギリスなど自国のメンツから、捜査に様々に横やりが入り、迷宮入りとなる。 ただ、パメラの養父で元英国領事のE・T・C・ワーナーは、私財を費やし、中国語に長け、中国の事情にも詳しいこともあって、あきらめることなく捜査を続けていく。ワーナーは、果たして真実に辿りつくのか。 本事件は北京で1937年に起きたものだが、1941年には北京原人の化石紛失事件も起き、やはり解決されていない。国際情勢が複雑化するとき、その舞台となった都市で起きる刑事事件には、国家間のメンツや利害関係が影響していくことの典型とも言える。そして、多くの人々の命が失われる戦禍にあっては、殺人事件すら簡単に忘却される典型でもある。 エドガー・スノーの伝記の脚注に書かれた事件に注目し、丹念に資料を渉猟した著者の粘りが生んだ労作である。 | ||||
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「真夜中の北京」、大変興味深く読みました。 現地の地図がついており、当時の写真もあって、とても参考になりました。 各ページの注釈もほとんど知らないことばかりで有り難かったです。 正直なところ、北京のみならず中国を舞台にした本は、パールバックの「大地」や大昔の話のほかには、あまり読んだことがありません。 まして、1937年という特殊な時代の中国のことは、伝え聞くばかりで、 リアルに感じたことは殆どありませんでした。 その意味で、この本を翻訳し出版してくださったことに感謝したいと思います。 | ||||
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盧溝橋事件直前の魔都北京、狐狸塔とよばれる望楼のそばで元英国領事の令嬢が惨殺されるという猟奇的殺人事件が発生。実際に起きた事件のようで、巻末には当時の北京及び事件関係者の写真が収められている。現地と英国の警察が協力して調べるも事件の真相には近づけない。そもそも、国家として機能していない中国、なぜか捜査に非協力的な英国領事館、このあたり、ジャック・レモンの「ミッシング」を見ているような錯覚を覚える。国家的な陰謀なのか?しかし、被害者の養父ワーナーは私財を投じ、執念を燃やしついに真相にたどり着く。 当時の中国が世界の列強の権益の餌食であり同時に世界のあぶれものの掃きだめの様相を示す混沌ぶりがよく描き出されており、興味が尽きないが、日本軍の南京30万人大虐殺がさらっと史実の如く扱われているのは残念。この本を片手に北京の町を自由に散策してみたい気もするが、はたして当時の面影がどれほど残されているのだろうか? | ||||
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本書を読み始めてすぐ、元英国領事ワーナー氏の令嬢パメラの惨殺事件は事実であるがゆえに大きな衝撃を受け、一体、誰がどんな理由でこんなことをしたのか一刻も早く知りたいという思いに駆られました。 前半は警察による捜査の描写で淡々としていますが、後半はテンポよく話が展開します。後半では、ワーナー氏が独自の捜査によって、警察がそれまで把握できていなかった情報、あるいは警察が故意に隠ぺいしようとしてきた情報を、つぎつぎと見つけていくからです。パズルのピースが次々とはめ込まれていくように、事件の全容が明らかになっていくので目が離せません。また、5年にわたる同氏の忍耐強い捜査の様子は、娘に対する思いの強さが伝わってきます。 ワーナー氏の捜査では、北京の当時の混沌とした地下社会や、戦争によって大きく歪められたさまざまな人の人生、そして欲望にまみれた人間の心が徐々に明らかになっていき、事実に基づいたストーリーであるだけに、胸に突き付けられるものがあります。 この事件が迷宮入りして未解決のまま放置されていることに憤りを感じます。 | ||||
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1930年代の北京で実際に起こった殺人事件の真相に迫ろうとする本です。元英国領事の美しい娘が惨殺されるというショッキングな事件が、政治的な理由や、直後に起こった戦争など、時代の波に飲みこまれ、いつしか忘れられてしまっていたのですが、この本の著者が当時の文献などを調べて真実を明かしていきます。当時の北京の様子がよくわかるのも魅力だと思います。 | ||||
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1930年代の北京で実際に起きた、イギリス人少女の惨殺事件。本書はその謎を、70年以上経った今になって解き明かそうという。 一体、なぜ今になって謎解きをするのだろう? そもそも可能なのだろうか? というのが最初の印象だが、読み進めるうちに分かってくる。本書の主人公は殺されたパメラではなく、父親のワーナーでも、謎を追う刑事でもなく、北京という都市自体だ。 1937年1月に事件は起きる。その年の7月には盧溝橋事件が起き、中国は本格的な戦乱になだれ込んでいく。その直前の不穏な空気、領事館関係者から亡命ロシア人、売春婦に両性具有者――雑多な人々が混じり合う外国人社会の刹那的な享楽と頽廃。事件の真相を追求するうちに浮かび上がるのは、現代の北京からは想像もできない都市の姿だ。 一方で著者は、パメラのごく普通の少女としての側面を丁寧に救い上げている。父親との葛藤や同級生との恋愛、大人の世界への憧れ。この暖かい眼差しが、読者を一層物語の中に引き込み、生活の息遣いを感じさせ、当時の北京を追体験させてくれる。 脇役として登場するエドガー・スノー夫妻の姿も興味深い。 | ||||
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