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出口のない農場
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出口のない農場の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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ミザリー的なものを予想していたが、これは全然違う。 各キャラクターが本当に立っており、のめりこみました。 よくある、現在と過去を行ったり来たりするのに少し歯がゆさを感じましたが、これぞページターナーという感じです。 | ||||
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翻訳本にありがちな、進行中のストーリーと過去が交差するという構成なので、慣れるまでがちょっとね。でも、主人公のショーンの性格もあるのでしょうが、次々とページを追いかけてしまうスジだては読ませます。少ない登場人物がそこそこ個性的で、フランスの静かな小さい村の暮らしぶりが、見えて来るようです。ラストは想像範囲でしたが、なかなか良い本でした。 | ||||
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フランスのどこかの田舎町。 血で汚れた車で誰かまたは何かから逃走していると思われるイギリス人、ショーン。彼は森の中で獣用の罠に足を挟まれ大けがをし、身動きできなくなる。 目が覚めた時には、森のそばの農場の納屋の屋根裏。マチルダという乳飲み子を抱えた女性が介抱してくれるが、なぜか部屋の入り口には鍵がかけられていた。 「法人類学者デヴィッド・ハンター」シリーズの作者によるサスペンス。 「法人類学者デヴィッド・ハンター」の大ファンなので、その手の本を期待していたら、全く種類の違う心理サスペンスでした。 現代の話なのに、50年前の話、と言われればそんな気さえする、世間と隔絶した場所にある農場。そこで暮らす、妙な緊張感につつまれた横暴な父と美しいがどこかオフバランスな危うさを持った娘2人、そして彼らを遠巻きに監視するような村人たち。 最初は、キングの「ミザリー」のような、歩けなくなった主人公が隔離されて・・といった話かと思ったのだが、話は全く違う方向へ向かう。 読み進めるうちに、どっぷり作中のフランスの農場の濃密な雰囲気に取り込まれてしまった。 農場の秘密、そしてショーンが抱える秘密。ヒリヒリした緊張感が最後まで続き、クライマックスはまた驚きに満ちていた。 1950年代のハリウッドの心理サスペンス映画のようで、とても衝撃的でした。 | ||||
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この本を読み始めた時、安部公房の「砂の女」を思い出した。閉ざされた世界に迷い込んだ1人の旅人…それぞれが抱えている秘密が暴かれる時、恐怖が絶望にすり替わっていく… イーグルスの「ホテルカリフォルニア」になぞらえた解説にもとても共感した。 おすすめします。ほんとに面白い! | ||||
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この小説のあらすじを読んだ人は、どんな恐ろしい農場なんだろう!と思うことでしょうが、実際読んでみると、ちょっと趣向が違いまして、主人公が迷い込む農場は、まったく出口がないわけではないんですね。正直、いつでも出られます。 ですが、この小説の面白さは、恐怖感というよりも、不穏さと切なさにあると思います。 冒頭から、主人公が逃亡していることが分かるのですが、なぜ逃亡に至ったのかという経緯を描くパートと、逃亡先で農場に滞在するパートが、交互に出てきます。 主人公の過去を描いてるパートでは、恋愛要素が強く、しかもあまりにも切ないです。この切なさ・・・かなり胸に響きました。 本の原題「ストーンブルース」? 最後のページでブルースが流れてくるような味わい深い読後感でした。読んで良かったです。 | ||||
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主人公ショーンの一人称での「語り」で展開していきます。 この「語り」ですが、ショーンが物語の舞台となる農場に迷い込んでからの、「現在」と「過去」の2面での展開となります。 車内が血で汚れた車にのって、その農場に迷い込んだショーン。 ショーンは、その農場内で、持ち主のアルノーが仕掛けた害獣用の罠に足を挟まれて重症を負ってしまい、身動きが取れなくなり、その農場内での滞在を強いられる状況となります。 主人公のショーン、農場の主のアルノーともに、いかにもいわくありげで、前述の「現在」と「過去」の2面の展開について「今までに何があったのか?」と「これからどうなっていくのか?」と、非常に不穏、緊迫感に満ちていて、一気に引き込まれます。 「過去」の展開は男女関係の「あや」ですね。 親しい間柄での若者同士のさわやかな男女関係、のはずだったんですが、ここに、ある人物が割り込むことで、経済力の差や、ドラッグが横入りし、ドロドロの取り返しがつかない状況に。 ショーンと、恋人のクロエとの関係は、読んでいてせつなくなるばかりでした。 ただ、物語の冒頭で、ショーンは「血で汚れた車」を運転していたわけですから、誰かを殺めたのでは?と、想起させるには充分で、誰が、どんな理由で犠牲になったのか、非常に重苦しい感覚にとらわれます。 そして「現在」の展開、これはもう、怪しい雰囲気に満ち満ちてます。 気に入らないことがあれば、衝動的に銃を振りかざす、農場主のアルノー。 アルノーの2人の娘、マティルドとグレートヒェン、農場に迷い込んだショーンを気遣いながら、ショーンに対して微妙な色目を使ったりと、その行動と、さらには「生い立ち」に全く予想がつかない2人の女性。 さらに、農場の使用人のジョルジュ、まともにコミュニケーションが取れるのは主人のアルノーに対してのみ、と、ここにも特異なキャラクターが。。。 もう、まともなハッピーエンドはありえないと、決めてかかって読み進めましたが、終幕は、さらに、その予想を超えていました。 読後の感覚は、読み手の好みでかなりわかれるのでは、と思いますが、私としては、想定不可能な重い展開は堪能するに充分だったと思います。 さらなる恐怖心をかきたてるのは、農場で飼われている「猪豚」の存在です。 なんというか、このストーリーの中で秘める「残虐さ」の反映、象徴というか、この猪豚が登場するたびに、なんともいえない恐怖を覚えました。 (過去と現在との展開とが、さらにもっと、密接に絡んでいれば、もっと怖オソロシイ展開になっていたのでは、という気もしますが。。。) さらに良かったのが、翻訳文章の読みやすさです!おこがましきながら、この読みやすさは秀逸だったと思います。 訳者あとがきで知ったのですが、翻訳の坂本あおいさんは、著者サイモン・ベケット氏の作品をこれまでも翻訳してこられたとのこと。 あとがきを拝読しても、坂本さんとベケット氏のあうんの呼吸ぶりが良く伝わってきて、出版社の枠組みをこえて、翻訳者を一貫して、日本版をリリースした、というのは、読み手にとって、本当に幸せなことだと思います。 | ||||
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英国人作家サイモン・ベケットといえば「法人類学者デイヴィッド・ハンター」シリーズ(ヴィレッジブックス)で有名なベストセラー作家である。 シリーズでなく単発で刊行された本書は、主人公「僕」の身にふりかかる不穏で濃密な空気が充満したサスペンスミステリの傑作である。 主人公で語り手であるイギリス人ショーンはロンドンでトラブルをおこしフランスまで逃げてきた。しかし車がガス欠となり、森の中を歩くうちに大型の動物用罠に足を挟まれ、重傷を負い失神してしまう。 気が付くとそこは農場の納屋だった。 多くの罠が仕掛けられた森は広大な農場の一部だったのだ。 傷の手当てをしてくれたのは赤ん坊を抱いた女、マティルド。 <年齢はたぶん三十歳前後で抑えた静かな雰囲気には、妙に人を安心させるものがあった。>しかしその顔は<暗くどんよりした灰色の目をし、その下には、くたびれたような黒いくまができている。> さらに美しいがまるで媚を売るような態度をとる妹グレートヒエン。 短気な父ジャック・アルノー。この農場は彼の所有地だった。 広大な農場では巨大な猪豚を飼い、森の中には白い石像が立ち並ぶ。 <彼らはどうやって生きているのだろう。> 「僕」がふと思い出すロンドンでおきたこと。 並行して語られる恋人クロエとの生活。 しかし僕はバッグの中に白い粉を隠している。 この農場は「僕」にとって謎めいてはいるが<車もない。人もいない。平和そのもの。身を隠すには最適な場所。>のはずだった。 善行と愚行が行きかい、思いもしない展開をもたらす。 読者は「僕」ことショーンの境遇に身を置き、もがき苦しみながら家族と町の人々の謎を追い、恐怖をも共に味あわなければならない。 謎が明らかになるにつれ重くやりきれない感情があらわになる。 <この農場は、まるで不気味なマトリョーシカだ。最後の秘密にたどりついたと思うたびに、またつぎの、さらにおぞましい秘密がなかからあらわれる。> 「僕」の一人語りによる物語は極上のサスペンスミステリを読む者に与えてくれる。 | ||||
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