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喪失の儀礼
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【この小説が収録されている参考書籍】
喪失の儀礼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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刑事たちが主人公なのに、犯人が逮捕に至らないのは犯罪小説らしくていいのだが、まず話をやたらに複雑にしようとするあまりというべきか、犯行の手口が強引である。診療拒否を恨んだ復讐譚なのだが、最初は製薬業界と病院の癒着問題の告発であるかのように話を始め、最後には個人的な復讐に終わってしまうのは、社会派と見せて、実は普通の推理小説に過ぎなかったということになり、かなり落胆させる。 ゆっくりと血を抜きながら死に至らしめるという手口。脱血殺人という異常性格者による犯罪を匂わせるだけ匂わせて、結局その手口に至る犯罪者の心理は納得できるものではない。つまり本格探偵小説にありがちな「なんでよりにもよってこんな変わった方法で人を殺すのか」というアレである。難解な俳句の謎かけも読者を謎の深みに誘い込むだけのトリックで、読者サービスには違いないのだろうが、読んだ印象としては強引に引っ張り回された揚句何もなかったという印象。 作者の乾いたともいえる冷静な筆致は、あくまで第3者的で、犯罪にいたる者の無念とか、刑事の捜査の執念とかいった感情を抑えて、あまりに淡々と事件を「報告」しているのである。この作者はタイトルがいつも意味深であるが、「点と線」、「球形の荒野」、「砂の器」など秀逸なものがある半面、意味不明なものもある。この「喪失の儀礼」という題名も芥川賞作家らしく文芸の薫りは高いが懲りすぎで意味がわからない。しかしこれは単行本化する際に改題されたらしく、連載当時は「処女空間」といったらしい。さらにわからない。まさにミステリーだ。 | ||||
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