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鴉
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鴉の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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元々本格ミステリ大好きだったものの、麻耶雄嵩にどハマりして以降、麻耶雄嵩以外のミステリを全く楽しめない身体になってしまった自分ですが、実は本作はあまり好きではあまりせん。 この作品が書かれたのは1997年。 麻耶雄嵩の長編作品としては、翼ある闇、夏と冬の奏鳴曲、痾、あいにくの雨で、に続いた5作目。 確かにこの5作品の中では一番「まとも」で、当時の新本格の流行に乗った作品だったのだと思います。本格ミステリベスト10で1位になってもおかしくないとは思うのですが、今になって見れば、麻耶雄嵩ではなくてもこの鴉という作品は書けると思います。 個人的には最初の2作(翼ある闇、夏と冬の奏鳴曲)は破格の出来として、その後は光る物はありつつも作風が定まらず迷走する中、メルカトルと美袋のための殺人、名探偵木更津悠也、木製の王子、神様ゲームなどを経る中で、「本格ミステリの精緻なロジックと作り込み」「本格ミステリの命題との対峙」を両立させた独自の作風を確立、2010-2015年ごろの全盛期に繋がったと感じています。 とは言え、鴉も出来が悪い訳ではありません。特に伏線を全然説明しないのは好きです。他の作家がが鴉を書いたなら、伏線をいちいち説明したでしょうから。 読み返すと結構びっくりするぐらいあからさまな伏線がたくさんあるので、もしお時間があれば再読ください。 | ||||
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叙述トリックに関しては最初訳がわからなかった。真相は相変わらず無茶苦茶 | ||||
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本作はおそらく麻耶雄嵩作品の中で最も舞台の空気醸成に成功している一編である。 閉鎖的な環境での特殊な宗教は、彼が好んで取り上げる題材だ。『夏と冬の奏鳴曲』、『木製の王子』、『隻眼の少女』。しかし正直なところ麻耶雄嵩はミステリ作家としては超一流だが小説そのものはそんなに上手くない。だから閉鎖的な宗教集団の描写もどうしても書き割りっぽくなってしまう。 ところが本作は、かなりの枚数を村の描写に割いていることもあり、また探偵の登場場面が極端に少ないこともあり、閉鎖的な山村の空気がとてもよく表現できている。しかも、「よくできている」だけではない。ミステリとしての仕掛けと閉鎖集落・特殊宗教の真実とが結びつき、美しいビジュアルイメージをも伴って開示される解決シーンは秀逸の一言。 メルカトルは出さない方がより雰囲気を大事にできたと思うのだが、そこは作者のこだわりなのでやむを得ないところだろう。 | ||||
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摩耶氏の描く登場人物、特に女性はどうしてこうも儚げで健気で美しいのだろう。弟の死について探るうちに辿り着いた、世間とは隔絶された村落。そんな中で権力争いに巻き込まれたり事件の下手人にされたりと、閉鎖された空間においての人の醜さや残酷さがまざまざと見せ付けられ、ページを捲る手が止まらなかったものの…500ページ超はやや長く中弛みするもなんとか読み切る。本作を気に入ったら、次は"隻眼の少女"を読むといいよ! | ||||
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10年ぶりくらいに読み返し。 高校時代、今みたいにAmazonで、など出来なかったので、 手に入った時はとても嬉しかったな、云々思い返しながら (1)舞台設定 (2)読み返して気付かされる綺麗な叙述トリック (3)華麗なる探偵 名作ですね _φ(・_・ ☆5評価としました。 | ||||
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旧約聖書「創世記」第4章の兄カイン、弟アベルに関する記述を読めば、 本書のネタが少し見えてくるかもしれません。 この物語は二重構造を成しており、時を隔てたはずなのに同じ連続殺人事件に 歳の異なる同一人物が遭遇したりします。 ひじょうに滑らかな叙述トリックで、この二重構造は、主人公の側では過去に遡行し、 一方の側では未来に飛躍し、一度、ひとえに単純化され、読者を欺きます。 名もなき僻村の二重映しの原因は、記憶喪失気味の主人公のあいまいな 心象にあったといえるのではないでしょうか。 罪悪感・劣等感などが歪曲された形で、過去と現在が入り乱れた「村」という 蜃気楼のような心象風景を彼の脳に内在させたのだと思います。 神出鬼没なメルカトルの幻惑的なふるまいもそれと無関係ではないでしょう。 また、主人公と松虫人形の逢瀬は、横溝正史の短篇「蔵の中」をほうふつとさせます。 | ||||
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癖のある作品の多い、麻耶氏の作品の中でも特に癖のある作品と言われている本作。 本格ミステリーベスト1獲得作品だが、孤立した独特の価値観に縛られた謎の村を舞台にした神話的ストーリーが展開する。この世界観の作り込みは見事だが、反面ミステリー的なドキドキワクワク感はあまりなく最後まで平坦な印象。 終章で驚愕の落ちによる論理的解決があるため一応本格推理の体裁を保っているが、世間で言われているような世界観がひっくり返るほどのサプライズエンディングというのはいくら何でも過大評価過ぎるのではないかと思った。 ページ数が多いのでこの世界観にハマれないと終わりまでかなりキツい読書体験になるかもしれない。個人的には麻耶作品は近年の貴族探偵などのオーソドックスな作品のものの方が好みである。 | ||||
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弟・襾鈴(あべる)の死の謎を追って、珂允(かいん)がたどり着いたのは、 現人神「大鏡」が君臨する、現代文明から隔絶された地図にない村だった。 珂允は、かつて弟が庚という名で大鏡に仕えていたことを知るのだが……。 珂允と襾鈴という名が示すように、本作では旧約聖書 を踏まえた、兄と弟の相克がテーマとなっています。 そして、本作を読み解く上で留意しなければならないは、その「語り」の構造。 基本的には珂允に焦点化した三人称の語りで進行していきますが、 その合間に、自由気儘な弟に憎しみを募らせる櫻花という兄の 視点で語られるパートと、「外」の世界に憧れる橘花という弟の 視点で語られるパートが、交互に挿入されます。 この「語り」に仕掛けられた、作者の超絶技巧を理解した時、読者は文字通り、 足元が崩れるような「世界」の崩壊の瞬間を目の当たりにすることになります。 | ||||
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単行本(1997年)→新書版(1999年)→文庫(2000年)。 新書化、文庫化の速度が異常に早い。まあ、それだけの面白さがあるとは思うのだが、倫理的にはどうなのか。 けっこう大掛かりなトリックが仕掛けられており、さすがに感心させられた。ただ、こういうトリックは他の作家にやって欲しかったというのが、率直な感想。というのも、文章に魅力がなく、ストーリーもつまらないからだ。この人の話で500頁以上も読まされるのは、苦痛でしかない。といって、この物語には膨大な頁数が必要なのも事実だし。 アンチ・ミステリとしてもあまり評価しない。 | ||||
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閉ざされた山村で起こる連続殺人とその村で信仰される"神"の謎。その村に偶然迷い込んだ若者がその謎に挑もうとするのだが...。メイン・トリックと並行して、叙述トリックが施されるといった凝った創りで、作者の本領発揮。一説によると当時「S.water for drink」等が新本格の旗手等ともてはやされている風潮に警告を発するために"模範"として書かれたそうな。タイトルの「鴉」はたやすくポー(の詩)を連想させるが、本格の醍醐味を堪能させてくれる作者の代表作。 | ||||
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主人公よりもメルカトルとかのほうがやはり気になりますね。 麻耶さんの最高にしてミステリの歴史に残る大傑作、夏と冬のソナタとかと比べるとやっぱり、純粋な面白さの点で劣ってしまうのだが、それでも普通のミステリと比べれば断然面白い。 隔絶された村の中で起こるいかにもな事件だが、色々ひねりがあってすばらしい。小野不由美の黒祀の島をイメージしてもらえればいいと思う。ネタが微妙にわかってしまうのが残念なところ。 | ||||
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兄弟とはこうも悲しくも切なくもあるのか、と感じさせる作品。弟は兄を恨み、兄は弟を妬む。しかし、小説としては駄作。重力ピエロのような重厚さは感じられない。悲しい性。それを利用するのも好ましくは感じられない。ただ騙される。騙されたい奴はかかって来い、といってみる。 | ||||
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舞台設定の雰囲気がいい。地図にない異郷の村、どこかヒヤリとする感じ。純日本風の村と住人。そこで起こる事件の数々。そして銘探偵の登場(純日本風の舞台では特に異質。そこがまたいい)しかし本書の凄いところは別にある。それは酩酊を伴うカタストロフィ。 | ||||
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