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ドクター・スリープ



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ドクター・スリープの評価: 4.03/5点 レビュー 58件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.03pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全41件 21~40 2/3ページ
No.21:
(5pt)

下巻が楽しみ

スティーブン・キング、大好き。
酷評のある本も、大好き。
シャイニングの続編、と言いますか
ダニーのその後のお話、待ってましたという感じで。
文庫本価格になるのも、待ってましたという感じで。
下巻に取り掛かります。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.20:
(5pt)

懐かしい

スティーブンキングは、B級なりに、文庫本とか古本で欠かさず読んできました(ごめんなさい)。でも、他の方も評されている通り、ここ数編の作品はやたら冗長で退屈、正直惰性で読んでいました。このドクタースリープも出版社が意図的に行間を広げたのか、上下巻に分かれていますが、久しぶりに残りページが減っていくのを残念に思いながら読了できました。
 過去にシャイニングを読んだ方なら、読み返さずに上巻を読んでみることをお勧めします。シャイニングへの思い入れが強過ぎると、「別人が書いた」この作品はあんまり怖くない。いや、パワフルなんだけど「読み心地」のベルベット並みの滑らかさがそれを感じさせません。ですが、読んでみたら、もう一度シャイニングを読みたくなります。そしてシャイニングに新しい読み方が加わります。読んでない方や、映像でしか知らない方は、訳者の解説では小説の「シャイニング」を読んでからがお勧めらしいけど、うーん、逆から読んでみたいかも(もう無理だけど)。まあ、一粒で二度おいしいのは確かです。
 相変わらずよく知っている実在のチェーン店とかブランド、団体の名前(少しずつアップデートされてる)を使った情景描写をする一方、過去に使われた架空の地名を繰り返し使って変なノスタルジーを感じさせる手法は変わりません。やたら物価が安くないか?とか突っ込みながらも、予感している通りのストーリー展開が自然に行われているのは、グダグダの幻滅小説時代から脱却して原点回帰したなーと感じます。願わくばこの先も元気に執筆を続けて欲しい。

 キングの作品を白石朗氏の翻訳で刷り込まれている部分もかなりあるので今更文句はありませんが、「真結族」とか「命気」は造語しなくてもカタカナのトゥルー・ノット(フリガナで英字)、スチーム(イマドキ復古された英単語)のままで良かったかな。

 文庫本が一冊千円かー、と思いますけど、最近は雑誌なんかも一冊千円越えは当たり前。月刊誌二本削っても、お得な本かと思います。まあ、数年経てば古本が蔓延するかも知れませんが。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.19:
(5pt)

落ちぶれたダニーの再生

ざっくり言えばアブラ&ダニーが怪物と対決する話。
しかし裏にあるのは酒に溺れてどん底を見たダニーが、支えてくれる周囲との友情を通して再生していく物語だ。
そしてもう一つ、強烈なかがやきを持つ少女アブラと家族の、家族愛の物語だ。
それらが意外な形で繋がって結末へと進んでいく。

思えばシャイニングにあったのは悲劇の親子愛だった。
酒に負けて破滅へと突き進んだジャック。ギリギリで我にかえった瞬間の絶望。
一方ドクター・スリープには希望がある。
酒を断ち切って再生しつつあるダニー。確かな友情、家族愛。
そう、ジャックとは違う。ダニーの未来は明るいはずだ。

シャイニングの登場人物がちらっと顔を出す(そしてそれが重要な意味を持ったりする)のもファンとしては嬉しかった。
特にジャック。
変わらぬダニーへの愛には、じんときた。

最後に、シャイニングを未読の方へ。
ドクター・スリープだけを読んでもストーリーは理解できるし楽しめる。
ただ物語の深みが全く違ってくるので、やはりシャイニングを先に読んでおくべきだと思う。
またキューブリックの映画は原作とはかなり異なっており、本作へは繋がらないこともお知り置きを。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.18:
(5pt)

「シャイニング」のダニー、衝撃の再登場

ホテルの惨劇から30年、主人公だったダニー少年が中年になり・・・というお話。

初期最高傑作と言われる名作「シャイニング」から30年か40年振りに続編が登場という事でこの人の長年のファンには嬉しい作品ですが、前作ではあどけない少年だったダニーが中年になり、父親みたいなアルコールの問題を抱えているという設定は、結構衝撃的ではあります。デヴィッド・ボウイの曲である曲では宇宙に行ったヒーローのキャラが別の曲ではヤク中の妄想で衝撃を受けましたが、それに匹敵する様な再登場で、私みたいに驚いた方も少なからずいるかも。前作の最初でホテルの面接を受けるシーンと本作でダニーが仕事の面接を受けるシーンがダブる、或いはダブる様に書いているのが巧いし、ファンサービスみたいで嬉しいですが、こういう遊び心を忘れない所も流石だと思います。

ただ、「シャイニング」がダニー少年が主人公であると同時にあのホテルが人格を持った主人公っぽい小説だったので、あのホテルが再建されて、ダニーが戻るという展開ではないので、厳密な意味での続編かどうかは微妙に思ったのも真実でした。でかいお屋敷が舞台のフィクションの場合、そのお屋敷が圧倒的なプレゼンスを持つ物が多いので(日本の「黒死館殺人事件」とか)、その続編でまた同じお屋敷を舞台にするのは事実上不可能だとは思いますし、「シャイニング」の終わり方を考えれば、あのホテルをまた登場させるのは無理だとは納得できますが、その辺に少し微妙な物を感じた事を告白しておきます。

とは言え、こうして過去の作品の続編と言える物を書いてくれたのは単純に嬉しいです。アートの場合、過去のネタを使うと、創作に煮詰まって、表現者として後退したと思われ易いという事で、敢えてそういうリスクを抱えながらも、あの名作の後日譚をものしてくれたのはただ感謝です。「呪われた町」も続編の噂が過去にあったけど、私の知る限り実現していないので残念ですが(キャラハン神父だけ意外な所で再登場しますが)、その他にも「スタンド」とか再建後のアメリカがどうなったか知りたいので、機会があったら書いてもらいたいですね。

色々な所で個人的な事を書いて恐縮ですが、最近のこの人の作品にあまり楽しめない事が多かったので、久々に楽しめて嬉しかったです。キング先生の筆力が鈍った訳ではなく、私の方の問題や加齢で時事ネタを扱った謀略小説等がリアリティを増したので(特に人間として向上した訳でもないので所謂「成熟と喪失」とかではないですが)。

何でも、ミステリの小説でも賞をとったとかで、ミステリ、ホラー、ファンタジーの三ジャンル制覇はアブラム・デヴィットスン以来の快挙かも。日本の年末のベストテンでも一位になったそうで、年をとっても活躍しているのがファンとしては嬉しいです。このままこの好調が続く事を期待したいです。

色々書きましたが、初期からのファンには嬉しい作品でした。是非ご一度を。

蛇足ですが、この人がよく27という数字に拘ることが多いと指摘されますが、ロックが好きでロックのミュージシャンで27歳で亡くなる方が多いので、その影響かも。本書もウォーレン・ジボンの思い出に捧げられてますし。欧米の人は日本から想像しにくいくらいロックとかポップスが生活に密着しているらしいので。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.17:
(5pt)

シャイニングを思い出す。

最後、とーちゃんが出てくるシーン、たまらないね。また読み返したくなる。
ドクター・スリープ 下Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 下より
4163902791
No.16:
(5pt)

是非!ダンの続編を!

厳しい意見もありますね。
もっとも、キングに求める価値観は多種多様ですから。

元刑事ホッジズの続編より、ダンのその後。
“かがやき”自体が超自然的ではあるので、以下矛盾してしまいますが、化け物や超自然的要素を排除(極力少なくした)した、ダンのその後を是非読みたいと、思いました。
アブラでなく、ダンのその後を。

人の死についても、興味深く書かれていると思います。
ドクター・スリープ 下Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 下より
4163902791
No.15:
(5pt)

2000年台の最高作(上・下)

私はスティーヴン・キングのマニアですが、正直、近年の作は、納得いくものがほとんどなかったといっても過言ではありません。
強いて、11/22/63が良かったくらいです。
Under the Dome、Joyland、Mr. Mercedes、物足りなかったですね。

しかしながら、このDoctor Sleepは、久々にスティーヴン・キングらしいと感じましたし、非常に満足させもらいました。
そうですね…どこかThe Dead Zoneに通ずる物悲しさが一貫して感じられるところが、これこそがスティーヴン・キングの真骨頂なんだと思います(Pet Semataryしかり)。

ホラー要素よりも、『悲しみを書かせたら、キングの右に出る人はいない』とお思いのOldファンの方々には、好意を持って受け入れられる物語ではないでしょうか。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.14:
(5pt)

キングらしい

なんか昔のキングが戻ってきた感じ。まだ上巻までだが続きが気になるような読了したくないようなワクワク感がたまらない
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.13:
(4pt)

超能力ホラーの続編は、超能力ダークファンタジー

幽霊屋敷+超能力の傑作ホラー「シャイニング」の続編。
名作の続編はたいがい面白くなく、今作はダニー坊やのその後がひどいとも聞こえてきたので、おっかなびっくりスルー。

ですが杞憂でした。ダニーのその後に衝撃は受けますし、狂気と圧迫はなく、ジャンルは変わってますが、息もつけず一気読み。
バトル・ファンタジー要素の強かった「IT」が面白く読めたなら、今作でも抵抗感なく読めると思います。
えげつない描写はありますが、「IT」のようなひどい毒はないです。ヤングアダルト・マンガチックに万人向けに読めます。

十二歳の怒れる少女と中年のダニー。「かがやき」(シャイニング)と呼ばれる超能力を持つ二人が、二人が力を合わせる事でさらに強くなる
シャイニングを奇想に次ぐ奇想で駆使。
世界を、アメリカをさすらい、かがやきを持つ子供たちを餌にして息長らえる魔の血族たちを決死の覚悟で迎え討ちます。
ラストバトルの、少女対邪悪の女王、なんて、まるで二人の女ガンスリンガーの約束の地での決闘ですよ!

下巻の逆転伏線頭脳戦の連続のサイキックバトルは圧巻。
いやー、超能力バトルでこれほど長く熾烈で興奮させる戦いは初めてです。
世界の回転とか、赤い末期の息吹とか、金庫の中をけしかける、とか、この作者しか描けない!!

「シャイニング」ではダニーのかがやきが不幸を呼び、今作でもダニーのかがやきはダニーを不幸にし、かがやきを持つ子どもたちは
魔物に食われる、と、才能のはずのかがやきが不幸しか呼ばない長い溜めで、
そうではなく、かがやきが、悪を倒し人々を救う強大な力を振るう下巻がなおさら爽快でした。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.12:
(5pt)

スティーヴン キングの作品はすべていい

シャイニングの続編待ってました。 でもちょっと年がいきすぎか?
ドクター・スリープ 下Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 下より
4163902791
No.11:
(4pt)

ちょっと残念

何が残念って?
話は面白いと思います。
娯楽小説として楽しく読ませていただきました。
でもねシャイニングの続編ならホラーを期待するじゃないですか。
だからこそドキドキしながら読み始めたのですが。

あれれ、なんか話が変な方に行ってない?
なんか変な敵が出てきたけどそういうの期待してたわけじゃないんですけど。

ファンとしては肩透かしを食らった感じです。
シャイニングの続編というよりは主人公だった少年のその後を描いたものであることにご注意ください。

面白いけど怖くないです。
ドクター・スリープ 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上 (文春文庫)より
4167910071
No.10:
(4pt)

「シャイニング」を読んでいませんが、とても面白く読みました。

この小説は、著者がサイン会で「シャイニングの少年はその後どうなりましたか?」と
聞かれたのをきっかけに書いた本。
そうです。これは映画化もされた「シャイニング」の続編でした。
私は「シャイニング」を読んでいないにもかかわらず、読み始めたのです。
ホラーはちょっと苦手なので、小説のオープニングでシャイニングの悪霊が出てくるところで
ちょっと挫折しかけたのですが・・・読了しました。
シャイニングを読んでなくても、映画を見ていなくても十分楽しめました。

小説「シャイニング」で生き残った少年は、父親のようにアルコールにのまれない!と
思っていても、結局アルコール中毒となり・・・とある街にバスでたどり着きます。
そこで、彼に残った能力(シャイニングーかがやき)を使って、その街のホスピスで
死に行く人々を安らかに逝かせる仕事をしていた。
別の街では、特殊な能力(かがやき)を持った「アブラ」という女の子が生まれていました。
そして、「かがやき(シャイニング)」を持つ子どもたちを
誘拐し、忌わしい犯罪を繰り返す「真血族」という人々がいた。
アブラがある新聞の「行方不明」の広告を手に取ったところから
物語は一気呵成に進んでいきます。
「グリーンマイル」も彷彿とさせる、「かがやき」の能力!
ラストも単なる「終わり」でなかったところも、良かった!!
さすがは「スティーブン・キング」

で、読み終わっても、小説「シャイニング」映画「シャイニング」は
怖そうで・・・・私はまだ、読む気、観る気にはなれません。。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.9:
(5pt)

シャイニングの正当な続編ですね。

まずはキングの「シャイニング」を
読んでいれば、
よりこの「ドクター・スリープ」の上巻を
楽しむことが出来ます。
特に「シャイニング」の後日談を含めて
物語の因果関係が
上巻にて集約されてくるので。
登場人物への思い入れも変わってくる
はずです。
怒涛の後半へは「ドクター・スリープ」
そのものの物語を追っていれば
楽しめるのではと
思いますね!
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.8:
(5pt)

止まらない

大好きなシャイニングの続編。ゆっくり楽しみたいのに読む手が止まらない。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.7:
(5pt)

こりゃあ、息子ジョー・ヒルの[NOS4A2]への何らかのアンサー小説じゃないの?

ミッシング・チャイルドを発端として、特殊能力を持った少女が、広義での、いわゆる吸血鬼と対峙してゆく。
キング親子で”お題”を決めてダークファンタジー小説対決を試みた.....なんて深読みしてしまった。もし判定を求められれば、
上巻読了した限りでは、躊躇いなく”本作”の勝ち。(もちろん、これは私見ですので...)
実は、115ページぐらいまで、アル中の青年の話が続く件で何度も本作読み止めようとしました。つまらんのだよ...そのあたりまで。
所が、この青年が改心して、ドクター・スリープとして名を馳せてゆくあたりから、俄然ボコボコにハマり始め、ついに最後まで一気読み!
いやっ、いやっ 眠り・信頼・財務などなど各々専門技術を有する化け物軍団 vs 桁外れの(超能力)早打ちガンマンとその師匠という
キング版西部劇の香りを振りまき、物語は映画[ハイ・ヌーン]を彷彿とさせ刻々と、約束の地<オーバー・ルック>ホテルへと流れてゆく。
私の中で下巻への期待がいやが上にも盛り上がっている。[シャイニング]続編ではあるが、36年も前の本で、私などは、ほとんど内容覚えていないが、問題ない。この前読んだケネディに纏わる歴史改変作も重厚でよかったが、今回の様な、(キングにしては)軽めのウエスタン
楽しんでいます。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.6:
(5pt)

人生とはひとつながりの皮肉な待ち伏せ攻撃のようなものだ

少年ダニー(ダン)の父ジャックが一杯の酒以上に愛していたのは、十杯の酒だけ。ダンは、そんな悪習には決して染まるまいと自分に誓っていた。そんなダンも、やがて、人生とはひとつながりの皮肉な待ち伏せ攻撃のようなものだと達観するようになる。
 そう、あの「シャイニング(かがやき)」をもった少年も大人になり、その持って生まれた能力がために、見たくもない死者たちに悩まされ続け、そこから抜け出すために酒の力に頼るようになっていたのです。

 キングの最高傑作で、かつとてつもなく怖い小説でもある「シャイニング」の続編ということで、いやがおうにも期待が高まります。
 しかし、キング自身あとがきで「なにをもってしても、すばらしい恐怖を感じた記憶と互角に張り合えるものではない」と述べているように、最初に体験した強烈な印象が強ければ強いほど、どんな続編でもあの恐怖の瞬間を上回ることは不可能なのです。
 それでも、キングはこう言っています。
「パワフルな物語を書く。わたしは、ダニー・トランスを見つけ出し、ダニーの冒険を追いかけることで楽しい思いをした。読者の皆さんにも同じ思いを味わってほしい」
 
 本作は、前作「シャイニング」の直後から始まります。
 この導入部分については「シャイニング」の雰囲気そのもので、コックのディック・ハローランも登場し、懐かしい心霊ホラーの怖さを感じることができます。
 ところが、それから一気に数十年の月日が過ぎ、すっかりアルコール依存症になってしまったダン。
 あの輝き(シャイニング)を持った利発な少年が、いまや飲んだくれのおっさんになってしまうとは。
 それでも酒をやめねばとの思いもあり、酒瓶に手が出そうになると「あと一日だけ待ってみよう。お前自身にあと一回だけチャンスをくれてやるんだ」と言い聞かせ苦悩するダン。
 このアルコール依存のどん底状態のパートが少し悲しい(読書ペースがいったんダウンしてしまいます)。

 それでも、そのダン以上のとてつもなく強い輝きを持つ少女アブラが登場するようになってからは、一気に面白さが加速し、読書スピードもぐんぐん上がっていきます。
 下巻に突入してからは、上巻の半分の時間で読了してしまいました。
 ここ最近のキングは、初期の頃の傑作(「シャイニング」「呪われた町」「デッドゾーン」「スタンド」「ペットセマタリー」などなど)を連発していた頃の雰囲気を少し感じさせつつも、エンターテイナーとして読者をぐいぐいと惹きつける、初期とはまた少し違った魅力を持つ作品(「11/22/63」「アンダーザドーム」など)を連発する新たな黄金期に突入した感があります。
 本作はわりとストレートに悪との戦いを描きつつ
 「人がどれほど多くを乗り越えることができるか」
 「人はその家族を愛し、家族のために最善を願う」
 「一日一日を着実に」といった人生感をも感じさせる、読後感が良い作品です。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.5:
(5pt)

続編らしい続編

久しぶりのスティーブン・キング読書を楽しんだ。私はキングがまだ日本でブレイクする直前にパシフィカ刊行の
『シャイニング』を1980年の映画公開前に読んだというのが自慢で(高校生だった)、これが最初のキング体験
だったので、当時のまだ数少なかった翻訳はほとんどすべて追いかけた。

その頃はまだ邦訳も少なかったので、村上春樹のキング評論「疲弊の中の恐怖――スティフン・キング」(「海」
1981年7月号)まで読んだ。

しかし、そういうマイナー時代のファンの悪癖で、メジャー作家になってからは離れてしまい、80年代半ば以降
の作品はほとんど読まずに来てしまった。『ファイヤースターター』は熱狂した。『クージョ』は私にとってイマ
イチでこのあたりで離れた。『スタンド・バイ・ミー』は映画としてずっとあとになって、午前10時の映画祭で見た。

そんな私であるが、本作には大変感動した。

ダニーやハローランという名前を見ただけで、大きな感動がある。物語に引き込まれる体験を楽しんだ。とくにダニーが
父親のジャックと同じく酒に対して弱さを見せるところにおっさんとなった読者の私は大きく反応した。

前作を未読でも、年若い読者でも楽しめると思いますが、でも本作は前作を読んだ上で(映画は不可)、そして、できれば
30年のインターバルをおいた上で最大限ダニーに感情移入して読むべき作品に思えます。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.4:
(5pt)

シャイニングを読んでから、あるいは再読してから買うことを勧めます

シャイニングは文春文庫初版が1986年、コピーライト1977年、上下合わせて850頁余と読んだにしても昔の長編ですし、キングは勢いで読めてしまって、意外と細部は覚えていないもので、「幽霊屋敷で、ウサギの植木が動くの」程度の記憶で「ハローラン、そんな登場人物いたっけ」という人は、まずシャイニングを再読して、その勢いでこの続編を読み始めることを勧めます。
正編から読めとか面倒なことを言うなと思ったら、「ダーク・タワー」が新潮文庫で再販されたときの混乱を思い出してみてください。「IT」や「ザ・スタンド」の続編のことを想像すれば、まだよいではないですか。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.3:
(5pt)

ワクワク♪ キンドル版に感謝

もう何十年もキング作品を読んできて、最愛の作品といえば多分「ファイア・スターター」だろうなと思っていますが、それに続くのは「シャイニング」であり「セイラムズ・ロット」であり「IT」であったりします。
ただ、個人的にですが「IT」あたりからだんだん作品にワクワク感が薄れてきて、もういいかなと思い、その後も続々と出てくるキング新刊にもそれほど興味を抱くことはなくなっていました。

そんなときこの作品!発売日に書店で見るまでは続編が書かれていたなんて知らなかった!
すごい!「シャイニング」まさかの続編。うれしいことにKindle版も同時発売だったので即座に購入、数日で読みました。

続編であることや、アブラという新しいヒロインの登場等のワクワクさせる内容で最後まで楽しんで読めました。
他の方のレビューを読むと、賛否両論で物語的な部分で否定的な感想が多いですが、決してそんなことはなく、かつて「シャイニング」を読んで楽しんだ方は必読ではないかと思います。
あの幼かったダニーが人生を取り戻す物語であり、失われた家族であるトランス家を取り戻そうとする物語でもあります。

作品に関してはいろいろあると思いますが、今回いちばんうれしかったのは、Kindle版の同時発売です。
特にキング作品はほとんどが長い物語のため、これまで文庫以外の新刊では本が大きく重く、気軽に読むことができませんでした。
持ち歩いて電車の中で読むなんて無理だし、ソファに寝ころんで読むなんてことは無理でした。
キンドル版であれば、どこにいてもどんな端末でも読むことができるので、いつもよりも短時間で最後までたどり着きました。

この作品でまたキング熱が再発したようなので、この数年サボっているキング作品を読んでいこうと思っています。もちろんKindle版で。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783
No.2:
(4pt)

幸せのおすそ分け

多分、原作より映画のほうを見られた人のが多いと思いますが、まず、読者はこれが映画「シャイニング」の続編だということを知っておいてください。
キューブリックの映画は閉鎖された古ホテルで父親のジャックひとりが勝手に狂気にさいなまれていき、最後には家族殺しへと爆発するホラー映画となっていて、ホテルの亡霊も病んだジャックの心の闇か実際に存在する超自然的なものか曖昧になっていますが・・・
原作にはキューブリック映画ではほとんど語られない家族としてのトランスの葛藤(アルコール依存、DV、それでもぬぐいきれない夫婦、親子としての愛)が詳細に描かれており、ホテルの亡霊たちは実際に存在し、彼らの心の隙につけ入りながら、ジャックを狂気へと導き、息子であるダニーのシャイニングを手に入れようとします。小説「シャイニング」はホラー小説であるとともに、いや、もしかしたらそれ以上に家族の絆の物語なのです。
この前提なくして本作は成立しないので、読まれる前に映画は忘れて必ず原作「シャイニング」を読んだほうがよいかと・・・。
本作そのものは雪のホテルでの惨劇から生き残った少年ダニーが、事件のトラウマと己の超能力との葛藤と戦いながら成人し、ホームレス同様に放浪したあげくとある町の住人たちの善意によって立ち直ってゆく過程とシャイニングでリンクしあった少女アブラを餌食として狙うトルゥー・ノット(映画「ニア・ダーク 月夜の出来事」のように放浪する吸血鬼ですが、こちらは血そのものではなくダニーやアブラが持っているようなシャイニングを糧に生きている)との戦いが描かれます。
吸い込まれるような語り口、ついついページを繰ってしまう展開は健在ですが、キング全体の作品としてはイマイチ・・・そもそも「シャイニング」を超える・・・気はもともとないみたいなので、それを期待すると裏切られます。キング自身が言及しているように「意味あの人は今?」で始まった物語ということもあり・・・ホラーを楽しみながらダニー(成人してダン)のあれからと今を見守る物語として読むべきなのでしょう。ここには「シャイニング」に代表される初期作品群に流れる底辺生活の焦りと怒りはありません・・・苦悩、苦難を乗り越え円熟し、幸せをつかんだ作家が、過去からの同志であったキャラクターに、自分の幸せをおすそ分けしている姿を見るような気がしました。
キング・ファンとしてはトルゥー・ノットの連中がある意味シャイニングを持っているともいえるキャリー・ホワイトとチャーリー・マッギーを何故ターゲットにしなかったのか突っ込みを入れたくなりますね。(あいつらも食べようと思ったけど、キャリーは目覚めてすぐ死んじゃったし、チャーリーは捕まえる前にマスコミデビューして手が届かなくなっちまったし、ジョン・スミスのは後天性だし、それに歳取りすぎてる・・・とかね)
なお、本書よりちょっと先に息子のジョー・ヒルが「NOS4R2」発表しており、こちらも超能力少女と魂を食い物にする吸血鬼との戦いを描いたものです・・・それ以外は本書とは似ても似つかぬ物語ですが、「NOS4R2」の悪役チャーリー・マンクスは自分の同族としてトルゥー・ノットを名指ししたり、その他にも本書を意識したお遊びが随所見られます。本書のほうを先に読んだのでわかりませんが、こちらにも同様のお遊びがあったのかもしれません。合わせて読むことお薦めです・・・というか、「NOS4R2」のほうが面白いです・・・。
ドクター・スリープ 上Amazon書評・レビュー:ドクター・スリープ 上より
4163902783

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