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(短編集)
世界はゴ冗談
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世界はゴ冗談の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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一読して驚嘆。八十歳にしてこのクオリティの短篇群を書けるのはすさまじい。しかも扱っている題材が「震災」「ウクライナ」など。ああ、そうか、この方はもう50年以上も『現代作家』を続けてらっしゃるのだな。 小説についての小説「小説に関する夢十一夜」、メタフィクション「メタパラの七・五人」などなつかしいテーマも健在、さらに「ペニスに命中」や「奔馬菌」などおれが中学生のころから愛してやまない「饒舌な老人」も健在。 | ||||
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わけがわからなすぎて脳ミソがぐちゃぐちゃになります。10篇もあります。読み終わると脳ミソが疲弊します。なんだかよくわかんない短編小説を10篇も読ませて、おもしろいと思わせる。筒井康隆は超人です。よくこんなことを考えて正気でいられるなと思います。80歳の作品と思えない、若い頃の作品のパワーがあります。天才は死ぬまで天才なんですね。 | ||||
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処女作品集『東海道戦争』を読んだ直後、今度は最新作をと思い手にした本書の初出は2015年4月。当時の筒井康隆は御年80歳である。2021年に『ジャックポット』という本も出ているのだが、そちらはどうやら私小説っぽいので本書を選んだのだ。 初っ端からいきなり凄いのが「ペニスに命中」。いや、タイトルより、中身がまたああた。ボケ老人の第一人称で語られる、なんとも奇特な認知症小説なのだ。 徘徊、妄想、我執、失念、無自覚、破壊的攻撃的、そんな指向性による危ないジジイの文脈乱れ打ちを楽しんだ後は、なんとなく哀切さが漂う「不在」、悪趣味感がいい感じな「教授の戦利品」などが続く。 ぐにゃぐにゃな「アニメ的リアリズム」、ほげほげな「小説に関する夢十一夜」に続いては、こんなものをわざわざ書くか? という「三字熟語の奇」、表題作であり、うん、そういえばSFっぽいね、という「世界はゴ冗談」も、ズレたスラップスティック調の快作だ。 登場人物と作者が渾然一体となって話を進める「奔馬菌」、「メタバラの七・五人」は実に興味深いし、笑える。 そして、最後には1972年の秋に宇能鴻一郎と共に渡ったウラジミール公国と、その地を舞台とした自著のことを書いた「附・ウクライナ幻想」と、本書はこれら短編10編で綴られているのだった。 これらの作品群の共通項は、時間や場面、次元すらをも飛び越え、ほぼ無関係なそれらをオムニバス的に繋いでいく、と言ったところだろうか。 かつての様な、一つの事象を突き詰めていくとか、投げ捨てる様な終わり方や、畳み掛ける狂気さは少し鳴りを潜め、言ってみれば「軟着陸」と言った印象も受けるが、なかなかどうして、これはこれで破壊と創造を未だにし続けている作品造りの姿勢に、まだまだどんどん延々と、せめて100歳くらいまで創作活動をして欲しいと、願わずにはいられない。 | ||||
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この本のうち面白い短編は『メタパラの七・五人』や『ペニスに命中』などいくつもあるが、最後に置かれた『ウクライナ幻想』というエッセイのような文章は、2022年の今こそ注目。2014年にロシアがウクライナを侵攻しているさなかに書かれている。ふだんテレビなどで偽悪的にか「戦争好き」を公言している筒井氏だが、ここではかつて出会ったウクライナ人やロシア人への感謝とともに、プーチンの名を出してプーチンに呼びかけるかのように反戦への思いを綴っている。 | ||||
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高齢ジジイのおいら達は頭の中はいつもこんなもの。頭を開いて見られたくないけど。よく書いてくださいました。ジジイたちの夢のまた夢。若いもんやサントリーさんいは悪いけど、ウイスキーもラムも常温ストレート派。そのまま流し込みなら読むのに最適。 | ||||
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どうしても作者の年齢を考えてしまうが、何も知らずに読んでも、大いに楽しめたと思う。実験的な作品は正に筒井康隆の真骨頂であり、同時にエンタメ性も兼ね備え、十分に堪能する事が出来た。「三字熟語の奇」はさすがに飛ばし読みだけど。 天才筒井康隆健在を強く印象付ける、意欲的な作品集、と評価。 | ||||
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表題作の他、「ペニスに命中」、「不在」、「教授の戦利品」、「アニメ的リアリズム」、「小説に関する夢十一夜」、「三字熟語の奇」、「奔馬菌」、「メタバラの七・五人」及び「附・ウクライナ幻想」の10の短編から構成される筒井の奇想・パロディ風味・風刺精神・実験精神・意識した衒学趣味・ナンセンス風味・性を自然体で捉える姿勢・言葉遊び等の持ち味が進化し続けている事を如実に示した傑作短編集。 認知症の老人が銃をぶっ放す「ペニスに命中」、男の精子が一種類となり女だけの世界となる前後のギャップを植物人間で繋いだ「不在」、教授が蛇(と女)を使って若返る「教授の戦利品」、多幸感に満ちた酔っ払いを描いた「アニメ的リアリズム」、作家としてのプライドや開き直りを綴った「小説に関する夢十一夜」、「カラダ記念日」中の俳句の一首を想起させるが、こちらは三文字熟語をある法則で1944個並べた「三字熟語の奇」、太陽の黒点増加に依る地球環境の変動がもたらした浮かれ騒ぎ、王位継承問題、会社員の愚痴を炸裂する異常の連続として描いた表題作、「春は化けもの。やうやう白うなりやく生え際...」で始まる「断筆宣言」の自己分析の「奔馬菌」、自分達を自分達が書いた絵本・書籍中の人物だと読者が思い込んでいるであろうと意識している家族のパラフィクション「メタバラの七・五人」、"小説家・漫画家尽し"のウラジーミル公国への回想譚「附・ウクライナ幻想」。設定だけでも筒井の異能を示しているが、その中で、上述した筒井の持ち味が如何なく発揮されているので堪らない。 抱腹絶倒でもあり、唖然呆然でもあるという筒井作品特有の特長が良く出ていて、デビュー当時からの筒井のファンである私にとっては嬉しい限り。これからも筒井の健筆に期待したい。 | ||||
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泥酔者、教授、ボケ老人、死者、作者などに読者が翻弄され、酩酊感さえ感じる作品集だと思います。自分は「不在」の世界観にびっくりし、喪失感に陥りました。筒井氏らしい実験精神に溢れる、年齢を感じさせない作品集だと思います。 | ||||
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筒井康隆の小説の主人公は、やはり「おれ」なのだ。 かつて文房具や自衛隊や植物系宇宙人であったように、 それは痴呆老人や三字熟語であってもよいのだが、 みな「おれ」、と同じ手触りであるから最高なのだ。 そういう意味で本作は、そのような筒井康隆の凱旋と言える。 | ||||
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老人文学万歳!!! まだ、時間はあります。 100歳まで生きていただき、全集100冊で行きましょう!! | ||||
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いつだったか、何を書いても以前書いたような話と似通ってしまうのでもう短編は書かないだろうと言っていたように記憶しているがとんでもない。 長い作家生活を経て、落ち着くどころか増々ぶっ飛んだ作品を書き続けている事に驚愕を禁じ得ない。 個人的に、「メタパラの七・五人」は衝撃的であった。他の作品と比べて突出した面白さがあるとは言い難いのだが、最後の一行に愕然とした。 普通の読者ならそれほど深く考える必要はないのだろうが、われ作家志望の身なれば、これにどう応じれば良いのだろう。大きな宿題である。 筒井作品はいつも文学的示唆に富んでいるが、まるで脳みそを手掴みで捏ね繰り回された様な感がある。 いくつかレビューがある様だが、自分を棚上げして言えば全くの蛇足であり、自ら読んで確かめる以外に無いものと思われる。 | ||||
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本書中あえて作品名はここで書かないが、個人的に「これはヤバい」という始めての読書体験を持った。 深夜寝床で読んでいて、突然の「(文字通り、肉体的な)笑いの発作」に見舞われたのは、30数年来の筒井読者である私でも始めての体験だった。 (主に筒井作品で鍛えられて)「笑い」には免疫があるつもりでいた自分が、「え?」と思うような実際的で逃れようもない突然の肉体的な痙攣反応を伴う笑いの発作に(文字通り)襲われた。これはある意味「文学テロ」。ピンポイントで作者の意図通りの効果を体験し得た(それは間違いないと思う)ということで、本書は文句なく五つ星。 本書を評価する基準が未知である、という意味でも、「筒井文学ここに極まれり」の感。 「ペニスに命中」のタイトルの意味ですが、「北京の秋」になぞらえる説があるも、私個人の解釈は以下。 タイトル作のラスト一行が、その意味を示唆している。その後主人公は、文字通り弾丸を標的のペニスに命中させるのである。 | ||||
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35年来の愛読者として、久々のコッテリした満足できる短篇集として大興奮しました。長篇はともかくとして、また個別の短篇はともかくとして、一冊の短篇集としては、実験性・エンタメ性・「やりやがったな!」感・作家のノリ、といった面で『エロチック街道』以来じゃないかと思ったのです。「ペニスに命中」「不在」「奔馬菌」「メタパラの七・五人」「教授の戦利品」「三字熟語の奇」…本当に久々にタイトルを書き並べるだけで楽しくなります(巻末のエッセイは不要かも、と思わせるくらい、その前の「メタパラ」のラストは決まっている)。「ペニスに的中」(筒井さんがお好きなトポール「北京の秋」的タイトル)のラストも発表時よりさらに玄笑ものでしょう。 | ||||
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久しぶりの小説集で楽しみに購入しました(『創作の極意と掟』はもちろん買ってますけど小説でない)。 やっているなと思いながら読んでおりましたが、「小説に関する夢十一夜」を読み、どうしてもレビューを書きたくなって書かせていただきます。 漱石の「夢十夜」と全然違うことが書いてあるのに何だか似ている。何が似ているのかと考えるに、イラショナルなオカルト的なサムシングが書かれているということが共通なのかな、これからはオカルトが流行るのだろうか、それは良いことなのだろうかどうだろうか、などと考えながら読んでおりました。 読了して書きたいことがありましたらまた書かせていただきます。読了してないので星4つでお願いします。 | ||||
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筒井康隆の最新短編,9編と「ウクライナ幻想」と題するエッセイが収録されています.小説はどれも荒唐無稽,出鱈目,狂気,ナンセンス,ハチャメチャ---.まことに書名どおり’’世界はゴ冗談’’の内容ですが,それは時として現実の社会の実写でもあります.彼のブラック・ユーモアは本気なのです.私は読みながら何度も頬を緩め,ときには快哉を叫びそうになった.巻頭の「ペニスに命中」(意味不明のタイトルです)の終行は殺人嗜好の痴呆老人の発言です.老人はタクシーを拾って次のように命じました. 「国会議事堂へやってくれ」と,わしは言った.あの喋り方の気にくわぬ総理大臣を四十六回殺してやる. 齢80の筒井康隆は痴呆を装って総理大臣を46回も殺した.何で? 一つの理由は総理はこの地震大国日本に原発再稼働させようとしているからでしょう.日本はフクシマの後遺症にこれから何百年,何千年,いや何万年も苦しまなければならないのに,総理はフクシマを無視しました.総理,ゴ冗談でしょ,です(p172~3参照). 最後のお話は「メタパラの七・五人」---,これも題名からして意味不明.まともに読めません.登場人物に死者がいる.彼の四十九日の法要に彼自身が生身で現れ会話に入ってくる.それどころか読者もストーリーに参加させるし,作者すらあらわれる.こんな風に. 「おかしいとは思わないかね」兆治(評者註,死者のこと)が突然,いつまでも無言のままで読んでいる読者に苛立ち,読者のあなたに喋り始める.「登場人物が急にあらわれたり消えたりする.何よりも死んでいる筈のわしがこうやって食卓の椅子に掛けて喋っている.これはおかしいだろう.読者として何か言いたいことがある筈だ.そう.むろんあんたに疑問を抱かせようとしてのことなんだがね.たとえあんたがこれはそういう小説なんだと思っているとしても,それではそれで何か理由がある筈だと思うだろう.しかし,何の理由もないとしたらどうだろう.当然あんたは変だと思うだろう.そうだよ.あんただよ.あんたというのは,今この小説を読んでいるあんたのことだ.いやいや,他の誰でもないあんたのことだ.あんたはきっと,この小説にはたくらみがあって,そしてわしの呼びかけは,読者全部に対するたくらみであり呼びかけなのだろうと思うかもしれないが,違うんだ.特定の読者であるあんたのことだ.そりゃあこの小説の読者は他にもたくさんいるだろうが,今現在,この小説のこの部分を読んでいるのはあんたしかいないんだからね.そうだよ.わしは今まさにあんたに向かって話しかけているんだ.(中略)あんたをこの小説の中に引きずり込もうというたくらみなんだよ」(中略)兆治はまた,あなたに言う.「さあ,何かいいなさいよ」「いや,それもまずいだろう」ここで突然,作者があらわれる. 筒井康隆に突然あんたと呼びかけられ,私はもうびっくりして返答に困りました.小説に死者やら読者やら更には作者まで登場させるなんて前代未聞,奇想天外もいいところ.小説の概念を壊して喜んでいます.小説革命を企んでいるのではありませんか.小説に革命なんかいらね〜よ,と誰かが叫んでいますが,それに怯える筒井老人ではありません.80歳にして意気軒昂.これからもこの調子でやって下さい.書き忘れています.メタパラの意,最後まで読めば何となく判ります.でも七・五は今もって不明.7.5ならまだしも七・五となると---.どなたか判った読者はご教示下さい.以上,畸人筒井康隆老人に乾杯しつつ星5を謹呈します. | ||||
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筆者が80才とはとても思えぬ実験的でチャレンジングな短編集。「ペニスに命中」の認知症の老人の世界は、町田康の「夫婦茶碗」の心身症の酔人の世界を凌駕するパンク。これ一編でも買う価値あり。 | ||||
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4月28日(火)に職場近くの小さな書店にも三冊入っていて、そのうちの一冊を購入。 (関係ないけど、ポール・マッカートニーの武道館ライブの日だった) ここ数年の短編を『繁栄の昭和』(文藝春秋、1984)と分け合ったにもかかわらず、密度の高さには驚く。 個人的な好みでは「三字熟語の奇」「ペニスに命中」「奔馬菌」「小説に関する夢十一夜」など。 前衛的、実験的、幻想的、過激、アナーキーで、風刺が効いていて、破壊力があり、読みやすく、単純にも面白い。 「三字熟語の奇」は、いろいろな読み方ができると思う。 形式では、かつての『バブリング創世記』の頃を彷彿とさせ、内容では、短編「昔はよかったなあ」「おもての行列なんじゃいな」の世界だ。 円地文子の「女坂」を読んでから読むと、また違った面白さを感じることができるかもしれない。 「ペニスに命中」「奔馬菌」には、ただただ感心してしまう。 「小説に関する夢十一夜」は、漱石「夢十夜」、百けん「東京日記」のファンとしては、こういうのが読みたかった、というところ。 和田誠さんのカバーの、力の抜け具合もいい(星新一さんの作品集を思い出すから、というのもあるし)。 あと、オビに、ヨイショ的な推薦文がないのもいい。 | ||||
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