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王国
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王国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 21~40 2/3ページ
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この小説は、「掏摸」の兄妹篇ということで、主人公が変わることにはなるが、「木崎」が存在する同じ世界の続編ということになる。 確かに、「掏摸」の主人公ではないかと思われる人物が少しだけ、しかし重要な存在として登場する。 もしかすると、この後の世界で、二人は再会するかもしれない。そんなことがそれとなく匂わせてある。 私は、自分が女だからなのかもしれないが、主人公が女性であるこの「王国」の方が「掏摸」よりも興味深く読むことができた。 主人公のユリカの生き様がなかなか良く、彼女が生き抜こうともがく姿は好感をもって読めた。 ここでも主人公は、「子供」を行動の原理としていた。それは「掏摸」でも同じだった。 「掏摸」では、塔 木崎-主人公-子供 だった構図が「王国」では、月 木崎-主人公-子供 となっている。 「掏摸」では子供を守るために木崎と対峙する主人公だったが、「王国」では子供を守るために稼いだ金のために主人公は木崎に目をつけられる。 どちらも主人公は反社会的な行為を生業とし、世の中に対して反撥をおぼえてはいるが、子供に対しては愛情を注ぐことができる。 そして、「木崎」の下で運命を握られながらも、なんとか生き抜こうと模索する。 塔は定理のように聳え立っていたが、月は狂気の印のごとく夜を照らす。 果たして、ユリカは新たな生をどう生き抜いていくのか・・・。 物語の構成が「掏摸」と同様よく練られており、次の展開を固唾を飲みながらページをめくる面白さがここにはあった。 木崎の話すこの世の不条理とか神の話とかは、「カラマーゾフの兄弟」の中でイワンが語るこの世の不条理と重なった。 私たちのような小さな存在がこの世の不条理を生き抜いていくための模索はちっぽけなことで、仏の掌の上でぐるぐる回る孫悟空のごときものかもしれないが、この物語の主人公たちのように、それでも懸命に生きていくしかない。 中村作品の主人公たちの多くは孤独だが、人間は誰もがどこかで孤独を抱えていると思う。 しかしその孤独が、同じ孤独を抱えている痛みを知る手立てとなる。 痛みを知っているのならば、同じ痛みに苦しまないように、なにかしらの手を差し伸べられるかもしれない。 その手が、温もりを知るような、そんな世界であればと願う。 | ||||
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中村文則さんの小説は、やはりグイグイ物語の中に引き込まれる。 | ||||
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姉妹作とされる「掏摸」に続いて購入。 「掏摸」同様に木崎が登場する点、前作におけるいわゆる「誤差」 が生じたと思わせる点、運命をテーマにしている点は共通。 無意識に読み進めてしまう構成も個人的に好み。 ただ今作はストーリーがやたら都合良く(好転するわけではない)進み そこに特別な理由もないためフィクション感をやや強く感じた。当然フィクション ではあるのだが、1つの世界の中での整合性がもう少し欲しく感じた。 また前作では主人公の特技が「誤差」を生じるきっかけとなったのに対し、 本作の主人公は結局、生への執着がダイレクトに「誤差」に繋がった点も やや消化不良。姉妹編と銘打つ必要は無かったように思う。 | ||||
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うーん裏の世界って怖い…。とんでもない性癖のモンスターがいるんだと感じさせる小説だった。 自分が生きている国はもちろん日本だけど、その中でもある一面しか知らない。 日本の中でもダークな世界があってて、そこに触れると命が塵のように消えてしまう。 そんなこともあるのだろう。 どちらかといえばダークサイドに属する主人公の女が、そのような得体の知れないものとかかわりながら、 生き延びていく様はなかなか緊張感があり、面白かった。 著者の本はいくつか読んだが、この本が一番読み易かった。 | ||||
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あの傑作『掏摸』の兄妹篇ということで、大いに期待して読んだのだが、『掏摸』のレベルには到達していなかった。それでも十分面白い小説ではあるのだが… ある組織の矢田という男に操られ、社会的要人の弱みを作る仕事を生業とするユリカ。ある時、ユリカの前に現れた木崎という化け物が、ユリカの運命を変える… 登場人物は、悪人ばかりなのだが、その中でも『掏摸』にも登場した木崎という男が物語の中核となっている。弱き者と強き者、支配される者と支配する者の構図は『掏摸』と同様、寓話的である。読みながら、他人に人生を支配される恐ろしさと惨めさを感じた。 ふと思ったのだが、『エンゼル・ハート』というタイトルで映画化されたウイリアム・ヒョーツバーグの『堕ちる天使』に設定が似ている。 | ||||
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「掏摸」の兄妹本との事で購入。 他のレビューにもあるが、ストーリーの構成はほぼ前作と同じだが、全体的に内容を薄くした印象である。 何となく読んでスッキリしない、前回と比較してなぜ木崎が主人公を2度に渡り「機嫌が良い」という理由だけで逃がしたのか。 物語に嫌というほど出てくる月の描写も、この物語に何の意味をもたらしているのか分からない。 前回の「掏摸」の結末は結局一瞬だけしか登場しないが、それを知りたいのがこの本を読んだ目的の半分を占めているため、 前作を読んでいる人にとっては読む動機にはなると思う。 | ||||
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携帯小説のような軽いノリの本です。 いただいた本なので頑張って読みましたが、何度も途中で挫折しました。 掏摸もそうでしたが、女性の心理描写がステレオタイプすぎます。 性に対して幻想を抱きすぎている感じがします。それがこの作家の個性なのかもしれないけど。 会話文での「…」の多用もしつこいです。「…」の部分を描写してほしいのですが。 | ||||
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前作「掏摸」の姉妹編の由だが、作者の独善だけが際立った内容が非常に乏しい作品。どうやら、「運命」をテーマにした重厚な作品を目指したらしいが、ストーリー展開や人物造形からは、むしろ少女漫画チックな印象を受けた。 ヒロインの「運命」の象徴として、「月」の描写が再三再四出て来るが、「月の周期」と関連して、地の文中で「太陽の周期」という表記が複数回出て来るのには目を疑った。天動説を信じている作家の作品がlunaticになるのは止むを得ないのだろう。空疎過ぎる作品で、読了するのに相当の忍耐を必要とした。 | ||||
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組織の全体像がつかめぬまま、自分の意志にかかわらず翻弄される主人公。そんな主人公をみて楽しむ男。息を注がせぬ展開であっという間に読み終わりました。 | ||||
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ドロドロの闇社会を女主人公が渡り歩くというこの手の作品が好きな人なら 文章も読みやすく非常に面白いと思います。 ですが、私が読んでいるのがvineプログラム用の未校正のゲラ本だからでしょうか 何か消化不良のまま終わっている感が拭えないです。 「買ってもう一度最初から読め」という事・・・かな? | ||||
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180ページ弱と薄い本で、文字もそこそこ大きめの為に読み始めれば 数時間で一気に読破が出来ます。 文体も特に癖がなく、読みやすいです。 が、結末が・・・。 はっきりとした結末が好きな私には、なんだか引っかかる終わり方でした。 未校正の物を受け取ったので、実際に刊行された分は少し加筆されたり するのでしょうか。 結末だけでなく、本文中の謎というか、解決されていないままの部分が 多く感じました。 ページ数の少なさといい、定価で購入するには高い本です。 気軽に読める、という点においてはいいですけれど。 | ||||
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私にとって初めての中村作品です。 おもしろかったし、ぐいぐい引き込まれて一気に読みました。 でも、最後がすっきりせず、よみおわったあと、ずっと、うーーん、あれはどういうことなんだろうか? という読後感が残ったままです。 もう少しこの作者の本を読んでみたいなという気がします。 | ||||
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産経新聞の石原教授のコラムで、村上春樹と類似性が指摘されていたので読んだのですが、確かにいろいと似てました。 「主人公の職業、性別」、「月がどうのこうの」、「事件への関わり方」、などなど。 「あなたの王国が私たちにもたらされますように」は『1Q84』のお祈りの言葉でしたっけ。 題名からもこんなことが思い出されました。 単純に面白かったので、オマージュであろうがパロディであろうが'関係ないのですが、二重の意味で楽しめました。 明確な謎解きがあるわけではないので万人受けはしないでしょうが、生きることで経験する理不尽さについて考えされました。 | ||||
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文体が合わないのか、どうも読めない。 内容は面白そうなのに、手にとって読もうという気がなかなか起きなかった。 コレは個人の好き嫌いが大いに関係していると思うので レビューとしてどうかと思いましたが、 世界観も含めて、好きではないなと思いました。 | ||||
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本作は中村文則氏によるエンターテイメント&文学。 現代日本を舞台に、黒い組織と組織に翻弄される女ユリカの、生きようとする姿を描く。 本作の読みどころとしては、後半部分のユリカが逃亡を図るところにある。 彼女は生きる意義を失ってはいるものの、生きようとする。 敵対する矢田と木崎という男たちの間を行き来しつつ、彼らからの解放を望む。 彼女は生きようとするとき、常に「月」を見上げる。 逃亡、解放、月。 この3つのキーワードによってのみ、彼女は生きているのだろうか。 また、面白いと思ったのは、ユリカを取り巻く環境と背景である。 例えば、矢田も木崎も本当は何者なのか? その正体を明かされなくとも、大きな意味は無い。 日本の黒い「闇」として、目的や組織の存在意義が抽象的に描かれているところが非常によかったと思う。 本作を面白くしている要素の一つである。 | ||||
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なぜ「王国」なんだろう?王様も女王もいない。 矢田と木崎、彼らは一体何者なんだろう? なぜ「月」が綺麗なんだろう?「いつもそこには月があった」?、新月の時にはどうしてたんだろう?(笑) なんて細かいことを気にする暇もなく、ストーリーは素早く展開して行きます。 どちらかというとあまり緩急がないので、そのスピードに慣れてしまうともう少し早い劇的な展開を望んでしまう自分がいます。 基本的に、「いい女が悪いことしてたら、もっと悪い連中に絡まれちゃいました」...って話です。 そんな娘、身近にいませんか? 綺麗なんだけど愛想が悪くて誰も近寄らない、あの娘の相手するのは大変だぞ、って雰囲気の女性。持って生まれたモノなんだろうけど、誰かがいつもそばにいて一緒に笑って暮らさなくちゃ、不幸になってしまう... 主人公のユリカはそんな雰囲気なんだろうな、って思いました。 いや〜、うちの娘も可愛いけど、絶世の美女ってほどじゃなくて良かったなぁ。親としてはマジでそう思う。 | ||||
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最悪の男“化物”木崎の言葉が、妙に生々しく私の胸をえぐる。 「その刺されて苦しむ男を残忍に見るだけではつまらない。笑いながら見るのでもつまらない。しっかり同情するんだ。 ……その時、命を破壊する残忍で圧倒的な喜びと同時に、その命に同情する温かで善良な感情が染みるように広がる。 ……肝心なのは、全てを余すことなく味わい尽くすことだ。……」 子どもの頃、面白半分に虫けらを殺し、その虫が苦しみ捩れる様を見て急に可哀想になる気持ち。生き物を殺した時に思い知る、罪悪感の芽生え。なんだかそんな哀しさ、切なさが、まざまざと甦って来た。 しかし、ここで弄ばれているのは、虫ではなくて人間なのだ。主人公ユリカが木崎に命を脅かされ、人生の全てを奪われてゆく、その過程が実にハラハラ・ドキドキさせられる。 読んでいる自分自身が崩壊してゆくような恐怖や嫌悪を感じさせる、怖い小説である。 | ||||
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これまでの中村文則は、自作の登場人物を通して、さまざまな形態の自己破壊衝動を追い続けてきた。 執拗かつ徹底的なその姿勢が、中村文則の小説世界を作り上げてきたと言っても過言ではない。 前作「掏摸」も、そのような「枠組み」の中で書き上げられた小説だった。 だが、本作「王国」は、連綿と続いてきた旧来の枠組みを打ち破る、これまでには見られなかった新しい力が小説内部から沸き起こって来ているような印象を受けた。 これまで一部の作品に見られたような、自己完結的な自己破壊はここにはない。 悪事を生業とする犯罪組織と関わり合いながらも、この小説の中での語り手「ユリカ」は、しぶとく生き延びようとする強靭な精神性を備えている。 そして彼女の視線は常に外へと向けられ、社会との連帯を求めている。 その「健全な」姿勢は本作品を締めくくる最終盤のセンテンスを見ても明らかだ。 この作品は、中村文則の小説世界の、ひとつの転換点を示したものであるのかもしれない。 | ||||
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具体的な描写とストーリーで進んでいくが、観念的な小説である。 ここに登場するキャラクターたちは、とことん現実離れしている。 フリーメイソンのような都市伝説の中で暗躍する矢田。 謎めいた組織が実は世界を支配している、というのは子供の好きなストーリーだ。 「掏摸」でも重要なキャラクターだった木崎は、人間以上の何者かである。 人間にこんなことはできない。 そして超絶一人美人局のユリカ。秘密組織の単独契約エージェントだ。 荒唐無稽なキャラクターたちは、作者がある概念を人間の形に造形したものだ。 だから哲学的な物語になる。 ストーリーは具体的だから飽きないが、哲学的な気分になる。 | ||||
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主人公は美しく若い女性。 彼女は、ある人たちの弱みを作る仕事を請け負っていた。 たとえば、ある人を誘惑して、薬で眠らせ、 あたかも売春婦と性行為に及んだような写真や動画を録り 弱みをつくる、ということ。 そんな彼女が、自分でも気付かないうちにある罠にはまり、 とてつもない悪に出会う。 そしてそこでは自分の決して幸せではない過去と向き合わなくてはいけなかった… というような内容の話でした。 読み終わっても、物語の全容は明らかにはならず、 謎が残されたままです。そこが魅力的でもあり、消化不良でもあり… 性描写のあたりは、正直気分が悪くなりました。 主人公のキャラクター(若くて美しく、頭がよくて孤独…)や、 正体不明な悪や、月が要所要所に出てくるところなどから 『1Q84』の青豆を思い浮かべたのは私だけでしょうか。 | ||||
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