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ランドマーク
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ランドマークの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 1~20 1/2ページ
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兎も角、文章で読む者を引っ張っていきます。それがわからない人には愚作に思えるかもしれません。確かに内容は何が何だかわからない顛末ですから、ある意味で現代のカミユ作「異邦人」と言えるかもしれません。どの登場人物も不可解で、展開も不条理と言えば誠に不条理です。各人物が一体何をよりどころに生きているのか、その行為の一つ一つが理解できませんし、最後の自殺者の死ぬ理由もわからない。読者はホッタラカシにされてしまいます。しかし、引き付けられ読まされる、最後まで読まずにはいられないでしょう。これが、本格的小説、言い方を変えれば、純文学の恐ろしさと言えるのではないでしょうか?投げ出された様な、優れた作品の持つ、考えずにはいられない余韻が残ります。もっとも、建築学の知識を晒した蘊蓄は余計ですが・・・。 | ||||
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大宮にそびえ立つ、ねじれた独特のフォルムの35階建て超高層ビル。建築に関わった鉄筋工と建築士、二人の男性の暗澹とした日常が描かれている。 鉄筋工は貞操帯を装着するという奇矯な行動を続け、建築士は愛人との倦怠感に活路を見出そうともがいている。まるで接点のない二人が、巨大建造物を挟んでやじろべいの如く、ふらふらと不安定な状態を演じる。 現状にさしたる不満がないものの、それでも得体の知れない何かを渇望してしまう。本作品のテーマをそのように受け止めた。 ええ、もちろん、共感してしまったよ。 | ||||
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タイトルからもう少しまともな物を想像していたが、まったく、漫画の原作のような内容のない話だ。 ところで、最近の小説は本文のいたるところにセックスの描写が描かれる。 書かないと出版社が原稿を受け取らないと言うのかな。 それとも、アメリカ映画のように読者へのサービスなのかな。 tamatabi20151028 | ||||
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二人の男性の違った視点から交互に描いて行くという作品で、じつに吉田修一らしい、若干、「ゲイ」テイストもある小説だった。 敢えて、文句をつけるとしたら、数日に渡って貞操帯を装着していた主役がいきなり、それをはずし、女性と性交を持つと言うシーンだ。 肉体労働に従事し、そうでなくても汗臭い若者が、それまで押さえつけていた貞操帯をはずした瞬間の性器を想像して欲しい。 どんな状態になっている事か。 恥垢にまみれ異臭を放つ性器を見て、すぐさま、性交を持つ女性がいるだろうか? 『なんなのこの匂い?』とか『汚い』と言った場面を挿入する事がよりリアルな情景を醸し出して行くのではないか。 これは、作品そのものの質とは関係ない重箱の隅をつつくような寸評だか、やけにそこが気になったので、良い作品ゆえに、あえて文句をつけて、星は四つにした。 | ||||
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鉄骨作業員と設計士のダブルキャストで進むお話だが、どう読んでも失敗作。最後の首吊りは殺人に思えなくもないが…… 建築デザインや設計そのもの、それに建設作業の様子の描写はしっかりしているので残念だ。男の貞操帯はディッシュ「歌の翼に」に出てきたものより進化している模様。 | ||||
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牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡をかけた無表情な人にじっと観察されているような気味悪さ、を吉田修一の本を読むたびに感じる。どーも生理的に合わないのだが、それ故のリアルさは否定しがたい魅力で、新しい本が出るとなんだかんだとつい読んでしまいます。ひたすら読みやすい文章だし。 『悪人』もそうだったけど、本作も現場労働者の雰囲気がひじょーにリアル。この描写だけで読む価値あり。 自分、物語の舞台である大宮に住んでいたことあるのですが、大宮の雰囲気もこれまたリアル。実際の大宮の描写も多いからあああそこねって思えるのは当然として、それ以上に、大宮の空気感がリアルなんすよ。パチンコ屋とかレーザーライトとかピロリロリンの中華料理屋とか建築途中のビルとか、場所や人物を象徴するものを捉える感覚が鋭いんだろうなー。 ストーリーは中途半端(この作者、わりとそういう傾向ありますな)。だけど帯で村上龍は絶賛「倒壊の陰にある希望、裏切りと同意語の救済、閉塞と共存する解放、虚構に身を隠す現実」。???なんのこっちゃ。さっぱり分からん。きっと作者にも分からないのでは。 ま、龍さんは置いといて。でも、それでもなんか癖になる一冊。 | ||||
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この人の作品は他にも結構読んだが傲慢にならないようにならないようにという感じの作風に自ら悲鳴を上げて結局まとまりのない「…そういうことだから…」と逃げる感じを思わせる。読み手に対して傲慢になることに酷くコンプレックスをお持ちのようだけど作家なんてそれでいいと思う。傲慢になりたくないという意識こそが傲慢な気がするのだが | ||||
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遅まきながら『悪人』からの流れで読ませていただきました。 『悪人』が非常にエンターテイメントとして仕上がっていましたので、同じような期待をして読み始めました。途中までは満足度高く読めたのですが、最後がすっきりしません。深読みすればなんとか満足するようなできないような感じです。本気で下巻を検索してしまいました。現在『パークライフ』の途中ですが、吉田さんはどっちかというとこちらの純文的なタッチがメインなのでしょうか。ある意味新鮮ではあります。 | ||||
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大宮で建築中の高層スパイラルビル。積木を螺旋状に積上げた構造ゆえ、建物の全加重を受ける中央の梁に少しでも施工ミスがあればビルは崩壊してしまう。物語は、ビルを設計し現場で指揮する建築家と鉄骨工として働く若者2人を主人公として展開する。 都会ではあるが東京に人を惹きつけられてしまう『顔のない街』大宮。九州から上京して鉄筋工として働く隼人は、東北人ばかりの下請け会社でなんとなく仲間に溶け込めない。建築家の隼人は、建築には情熱を感じているが、夫婦の絆は希薄で愛人との関係も形式ばっている。 都会の孤独の中で『芯のない人生』は、不安定なスパイラルビルのように簡単に崩壊する危険性を持っている。鉄筋工の「俺が急にいなくなっても誰も気がつかない。俺が建てたビルだけがそこにポツンと残る」という言葉が心に滲みる。 鉄筋工は人生の決断をするが、建築家はポツンと取り残される。建築家の描かれ方にもの足りなさを感じる。吉田修一の小説は風景描写が魅力的なのだが、さすが大宮には魅力が何もない。パークライフ、パレード、東京湾景などに比べつまらなかったので2つ星としました。建築が好きな人には面白いかもしれない。 | ||||
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家族持ちの都会出身の建築家と、独身で地方出身の鉄筋工 二人の関わる、大宮のランドマークビルの建設 小さな捻れの積み重ねが、不安感を呼び、 悲劇がカウントダウンされていく・・・ うーん。 あんまり気持ちのいい本ではないです。 後味良くない。 ちなみに、ランドマークとは、 ある特定地域の景観を特徴づける目印。 山や高層建築物など、視覚的に目立つもの。 という、意味だそうです。 | ||||
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登場人物の多さに辟易しながら読み進めていくうちに設計士の犬飼と作業員の隼人が並行して語られるようになります。 そしてこの2人どこで交差するのだろう、どの部分で収斂していくのだろうと楽しみにしながら読み進めます。 しかーし、この2人の接点は私の理解した範囲では佐田良治という作業員とO-miyaスパイラルという建築物だけです。 そしてその建築物の説明が素人には理解し難いところが残念で、だからこの小説はあまりピンときませんでした。 | ||||
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なんというか・・・話は薄っぺらい感じがしないでもないのに そう感じさせないのが、この人の筆力だなって思う。 最後に自殺しちゃうひとがいるんだけど 「あ、あの人でしょ」って思ってる人とは、まったく違うひとで え?なんで?? 自殺しちゃう人って、実はこうなのかしら。 この人の持つ、文章の情緒とかは、相変わらずで美しいなって思うし スラスラ読めるけど 村上龍氏が、この本に寄せた 「倒壊の陰にある希望、裏切りと同意語の救済。閉塞と共存する解放、虚構に身を隠す現実。」 はああ。まったく意味わかりません。外国語のようです。 そんな大袈裟なものなのか。 薄っぺらいと感じたわたしが、まだまだなのか。 | ||||
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全編を通して、ずっと不安を感じながら読んだ。とくになにが起こるわけでもない、ただ先の見えない日常が、やがて…。 | ||||
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大宮に建設中の螺旋状のビル『omiyaスパイラル』の設計士・犬飼と鉄筋工・隼人の二人のゆがんだ日常が描かれています。 続きが気になりどんどん読み進めて行く事が出来たんですが、最後の終わり方がイマイチだったように思います。 建設中の『omiyaスパイラル』で起きた首吊り自殺事件のあと 『omiyaスパイラル』や犬飼がどうなったのか、隼人はその後どういう人生を送るのか(こずえとの関わり)など気になってしまいました。 ちょっと尻すぼみな感が否めないなと思いました。 ぜひ、続編を希望します。 | ||||
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吉田修一はパークライフが一冊目。サラリとした肌ざわりが心地よくて読み進めて後半、“彼女”が秋田の角館出身と知り俄然興味倍増。そして数冊を経て今日このランドマークを読んでたらまたまた秋田が出てきた。この方言は北だなって思ったら、比内町…やっぱり県北だった。彼の本、秋田は重要なキーワードか?でも最後、良さんだったのは切なかった。てっきり政和だと思った。 | ||||
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大宮と東京の距離感ってどのくらいなのでしょうか。 舞台は大宮に建設されるランドマーク。 斬新とも取れるデザインは空に向かってねじれている建物。 そのランドマークに携わる人間たちの関係。直接的、間接的を問わずに影響しあう。 その舞台を読者に上手に提示しながら、物語は進んでいく。 最後まで止まりません。 | ||||
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吉田修一は最近では珍しい、“現代社会”と向き合う作家である。最近の小説は、「過去」と「現在」あるいは「現実」と「幻想」を行き来する“ヴァーチャル”で“おたく”なアプローチが流行りである。そんな中で吉田修一はあえて、“リアル”みたいなものにこだわっている気がする。浜崎あゆみの歌詞を引用する作家なんて他にはまずいないだろう。陳腐で同じ内容を呪詛のように繰り返す浜崎あゆみの歌は文学的には評価されないだろうし、出来れば目をつぶりたい存在だ。だがメガヒットも、求めている大衆がいるということも“リアル”である。良し悪しや好き嫌いではなく、現代社会の風俗をスーパーリアリズムに写し取る、というのがこの作者の姿勢だと思う。先行する作家に村上龍がいると思うが、村上龍初期のダイナミズムや、近年のギミックといったわかりやすさは吉田修一にはあまり感じられない。 本作は、まさに現代日本を象徴するような都市“大宮”のランドマーク・タワーの建築に携わる2人の人物が主役である。2人は同じプロジェクトに関わりながらお互いを知るわけではない。建築家と鉄筋工、妻帯者と独り者、都会人と地方出身者と対照的な2人の“リアル”は、しかしながらパラレルの関係にある。このランドマークが象徴するように2人のそれぞれの“リアル”はちょっとした設計ミスで弾け飛び、一気に崩壊してしまう危うさを抱えているのだ。 本作が残念なのは、現代社会の活写だけで読者に伝えるべきニュアンスに、時々作者の説明が蛇足的に加わってしまう点、そして小説の最後がまるで舞台演劇のようにシンボリックな終わり方をする点だ。 それでも、あえてヴァーチャルという手口を使わずに現代の“リアル”を捕捉しようとする作者の姿勢と力量は十二分に感じ取ることが出来る。紛れも泣く現代の“リアル”を描いた作品だ。 | ||||
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「大宮スパイラル」は各フロアがねじれながら、 巨大な螺旋を描いて天を衝くような構造のビル。 このビルに投影されて描かれるのは、都市生活の秩序と整合性、そしてその中にある個という、 相反する要素が内包する矛盾と歪み、そして今にも崩壊してしまいそうな危うさである。 ただ、対象が巨大ビルというものであったために、 ある程度 建築工学的な説明を展開せざるを得なかった面が見られ、それがやや鬱陶しい。 勿論人物の叙述を使うなどしてそれを読者に意識させないようにはしているものの、 作者としても「これが伝わるのか?」という迷いがあったように感じてならない。 最終局面におけるくどいまでの反復は、そのあたりが表面化しているのではないだろうか。 そういった作為的な面を読者に感じさせてしまう面、完成度の高い作品とは思えなかった。 ここ最近の吉田作品を見ていてどうしても気になるのが、 映画、曲、ブランド、などといった固有名詞から人物の横顔や空気を 描こうとする点である。 共感を呼ぶにはリアルだとは思うものの、これが「同時代性」を失った時には、 あっという間に陳腐化してしまう危惧がある。 リアルな現代を描き出すということに対する拘りであるならば、 それも良いのだが、普遍的な表現でもそれは達成できるはずである。 吉田修一の筆力をもってすれば。 | ||||
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人間が永遠に理解できないものは人の気持ちだ。 相手の気持ちを確かめようとし、自分の気持ちを確かめようとする。 もしくは、思い込むことで分かったふりをする。 人は何かを証明をするために、目に見える形で表さなければならなくなる。 心に歪みを持った人間達が、ねじれた塔を作り上げる。 ランドマークはそんな歪んだ心の象徴的な存在。 | ||||
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ねじれ構造を持つ「スパイラル」。 そんな象徴的な建物を建設するために働く二人を中心に、 物語はカウントダウンと共に展開する。 10、唇にキスして。9、私の髪を撫でて。 8、私に触れて。ゆっくりと。ゆっくりと。 7、そのまま!そして、まっすぐにナンバー1に向かいましょう。ナンバー1に。 6、唇。5、指。4、プレイ。 3、……ナンバー1に。ナンバー1に。 キスして。髪を撫でて。私に触れて。 まっすぐに。ナンバー1に。 ゆっくりと。ナンバー1に……。 序盤に提示されるこの歌によって、物語の結末は“予感”させられる。 ナンバー1で果たして何が起こるのか。 この物語はねじれから導かれる解放と崩壊を描いている。 なかなか楽しく読めた。 | ||||
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