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ランドマーク
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ランドマークの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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そのビルを設計した者、そのビルを建てている者。彼らには彼らの、それぞれの人生がある。ビルはねじれたままで、存在し続けることができるのか?ビルの姿におのれの人生を重ね合わせている男たち。彼らは、自分たちの人生もどこかねじれていると、感じているに違いない。良治の人生が、全てを物語っているような気がした。内容的には理解できない部分があったのがちょっと残念! | ||||
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吉田修一は最近では珍しい、“現代社会”と向き合う作家である。最近の小説は、「過去」と「現在」あるいは「現実」と「幻想」を行き来する“ヴァーチャル”で“おたく”なアプローチが流行りである。そんな中で吉田修一はあえて、“リアル”みたいなものにこだわっている気がする。浜崎あゆみの歌詞を引用する作家なんて他にはまずいないだろう。陳腐で同じ内容を呪詛のように繰り返す浜崎あゆみの歌は文学的には評価されないだろうし、出来れば目をつぶりたい存在だ。だがメガヒットも、求めている大衆がいるということも“リアル”である。良し悪しや好き嫌いではなく、現代社会の風俗をスーパーリアリズムに写し取る、というのがこの作者の姿勢だと思う。先行する作家に村上龍がいると思うが、村上龍初期のダイナミズムや、近年のギミックといったわかりやすさは吉田修一にはあまり感じられない。 本作は、まさに現代日本を象徴するような都市“大宮”のランドマーク・タワーの建築に携わる2人の人物が主役である。2人は同じプロジェクトに関わりながらお互いを知るわけではない。建築家と鉄筋工、妻帯者と独り者、都会人と地方出身者と対照的な2人の“リアル”は、しかしながらパラレルの関係にある。このランドマークが象徴するように2人のそれぞれの“リアル”はちょっとした設計ミスで弾け飛び、一気に崩壊してしまう危うさを抱えているのだ。 本作が残念なのは、現代社会の活写だけで読者に伝えるべきニュアンスに、時々作者の説明が蛇足的に加わってしまう点、そして小説の最後がまるで舞台演劇のようにシンボリックな終わり方をする点だ。 それでも、あえてヴァーチャルという手口を使わずに現代の“リアル”を捕捉しようとする作者の姿勢と力量は十二分に感じ取ることが出来る。紛れも泣く現代の“リアル”を描いた作品だ。 | ||||
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最近吉田さんの作品を何冊も続けて読んでいますが、わざと言いたいことを隠して書いてあるように感じます。この本も何が言いたいのかあとちょっとでわかりそうなんだけどわからないところが魅力的。 | ||||
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中途半端で終わることが多い吉田さんですが・・・なんか良い・・ やっぱり・・でも勧める・・と言うと、「つまんない」と言われてしまう事があるので、吉田修一ファンならやっぱ読んだほうがいいと思います。読んだことのない人も、吉田さんはこんな小説書くんだ~ と思ってもらえればいいと思います。ちなみに私はというと、何回も繰り返し読みました。5,6回・・かな??好きです。この本。 表紙にも惹かれました。 | ||||
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始めて吉田修一さんの小説を読みました。紹介文に引かれて読んだのですが、なんか勘違い!?、さっぱりテーマがつかめませんでした。 確かに現代をうまく描けているとは思いますが、その裏に隠されている何かを見つけないと、この人の小説は面白くないのかも知れませんね。とにかくすべてのエピソードが抽象的で、つながりそうなのにバラバラだったりと、感性の鋭い人向きの小説ではないかと。 感性普通人の私には、現代人の生活を一部分切り取ったところを見せられたくらいにしか感じませんでした。悲しい・・・・・。 | ||||
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いきなり冒頭から始まるカウントダウンに、まず驚きました。一体何が起こるのか?と、緊張感が走ります。 建築中のスパイラルビル。この捻れたビルが、視覚的にも、こちらに不安感を抱かせるように思います。二人の主人公、隼人と犬飼は、このスパイラルビルの建築に携わる人物ですが、隼人はビルの内側で働く鉄筋工であり、犬飼は設計士としてビルの全体像を把握し俯瞰する立場にある者です。二人は僅かに、冒頭近くで、ちらりと目線を絡ませるくらいで、直接の交わりはないまま物語が進んでいきます。読む方は、じりじりしたような、一体どこでこの二人が接するのか、いつか何かが起こるに違いないという焦燥感めいたものを感じます。 隼人、犬飼それぞれの女性関係や、日々の鬱屈、仕事にまつわることなどが描かれるうちにもビルは、上へ上へ捻れながら立ち上がっていく。その際に、途中の階から、隼人がコンクリに埋め込む、ある物の小さな鍵と、その行為が何か呪術めいていて、いっそう不安感を掻き立てられるようでした。最終章へのカウントダウンは、章がすすむにつれてスピードをあげていくかのようです。ビルの捻れが、隼人、犬飼それぞれの内的世界と重なるようで、こちらの気持ちも捻れがかかったようで、建設中のビルを駆け上がっていくような気分にさせられました。特に、ラストに向けてのシーンでは、犬飼の独白調の言葉が 畳みかけるような圧力でこちらに押しよせてきます。うまい。見えないはずのスパイラルビルが、まるで、3Dの絵がある瞬間、目前に立ち上がってくるようでした。 吉田氏自身が、ようやく本当の意味での小説を書くことができた、ということを表明していたと思うのですが、『ランドマーク』は、彼自身のそれになり得るかもしれないと感じました。 | ||||
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『パーク・ライフ』では微かに感じたが、『長崎乱楽坂』から変貌し この作品に至って癖が吉田修一から出てきた。 それは、作風とも言えるのだが、読者を選びそうだ。 その癖は、人が歪むのを人知れず描いてゆく旨さにある。 その根底に優しさや愛が感じられないので 読後だるい気分になる場合がある。 出かける日に雨が振り出して不快感を感じる時のように・・・・ とても些細なことなのだが、表出しない意地悪を感じてしまう 無柱空間の建物を舞台に、建築士と作業員の人生が交差する 対照的な二人はカウントダウンするように結末に導かれる | ||||
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吉田修一の作品は結構好きで、殆ど読んでいるのですが、ちょっと、いや、かなり期待はずれ。 上手くいえないのですが取材不足な気がする。建築のこととかね。切れ味もないし。 | ||||
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吉田修一作品の一番の魅力は、絶妙な描写によって登場人物の性質を深く知ることができることだと思う。 作品の後半に差し掛かるころには、主人公や気になる登場人物への感情移入は済んでいて、彼らが楽しければ一緒に喜べ、息詰まっていれば同じように閉塞感を感じられる。 切り取られる日常の場面、そこにいるひと、それら一つ一つは取り留めないこと。でも吉田修一がつなぎ合わせると心の動きが現われ、強く僕を引きつける。 「ランドマーク」を読んだ後、途方に暮れた。うまくいかない人間模様に切なくなった。 吉田修一作品の読後はいつもこうだ。 | ||||
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吉田修一ファンの人、これはやばいです。 パークライフを読んでから、吉田修一の手の内の鮮やかさに本当にしてやられてしまい、全ての作品を読みましたが、中でもこの作品はもう一度芥川賞を与えられてもいいんじゃないかと思うぐらいの力作だと思います。 物語はさいたま新都心に建設されるランドマーク的ビル、「スパイラルビル」に関わる人間模様を通して描かれています。 内容は敢えて詳しく書きません。その方がきっといいから。 ただ最後の20ページで、バラバラの方向性であったベクトルは一定方向を指し始めます。ページを繰る手の早まること早まること。まるで無作為に書かれているかのような言葉一つ一つが、作者の確固たる意志を伝える為に、実は計算し尽くされていることに気付き興奮してしまいます。それが吉田作品の醍醐味だと私は思っていますが。 読み終えた後、作者が何故この題名を付けたのか、深く心に余韻として残る事でしょう。 すばらしい。ただただ、ブラボー!! | ||||
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