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(短編集)
営繕かるかや怪異譚
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営繕かるかや怪異譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全74件 61~74 4/4ページ
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自分を守る存在であるはずなのに、ときにとても怖く感じる「家」という存在。 一見古い家にまつわるホラーかと思えるが、家と人とのズレを正していく優しい短編集。 | ||||
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騒がしくおどろおどろしい怖さとは違う、ひっそりとしかし確実に繰り返される怖さがたたみかけるように迫ってきます。 それらの思いを大仰なお祓いなどではなく、「営繕」という方法でおさめていく様子が理にかなっていてホッとしました。 利便性や時短によって忘れられたものを振り返り、時々自分の周りを見渡し、「棲んでいるかもしれない気配」に耳を澄ましてしまいました。 | ||||
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表紙が「蟲師」を描いてる漫画家さんでふっと目に留まり、題名を見て面白そうだと購入。 どれも面白かった~。 これまで読んできた怪異譚とは一味違い『いない人』の気持ちも受け入て解決に導くところがいい。 営繕屋の尾端さんは『見える』んだろうなぁ~。 | ||||
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大好きな小野不由美さんの新作、早速読みました。 彼女の真骨頂であるホラーです。 短編ですが、どれも楽しめるものです。 古い町屋に起こる怪。 古い家には、そこに住んでいた人々の歴史が刻まれています。 住んでいた人だけの歴史があります。 全部が楽しくて幸せな歴史ばかりではないでしょう。 ある時は悲しいことがあったでしょうし、狂気にとらわれた人がいたかもしれません、また、人知では説明ができないような事が起こったかもしれません。 それらを知らないで住んだ時、家に残っているそれらの残り香が新しい住人に怖れを感じさせることがあると思います。 古ければ古いだけいろいろなことがあったでしょう。 そういう怪を否定するのではなく、家の佇まいはそのままに、少し手を加えて怪をなだめるのが、営繕さんのお仕事です。 家にとってとても優しいですね。 仲には恐ろしい怪もありましたが、それさえも何とか抑えて、普通に住めるように手直しをする、住んでいる人も、その出来事を自分の中で理解して同居していく、古い町屋との関係のあり方としてはいい方法だと思いました。 最後の物語「檻の外」は、バツイチ子持ちの女性の前に現れる子供の霊。 怖いよりもかわいそうで、営繕さんの対処の仕方は優しくてホッとするようなものでした。 怪はこわいけれど、彼らも古い町屋を住まいとして存在している、と考えると、これから古い通りを通るたびに古い家にはどんな怪が眠っているんだろう、と考えるような気がする本書でした。 | ||||
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とある城下町を舞台に、住まいにひき起こる怪異現象を、営繕やが解決していく全6編の物語。 しかし、ズバッとした解決ではなく、フワリと優しく包み込むように事態を収束へ導きます。全編そうではありませんが、その怪異現象には哀しく遣りきれない背景や理由があり、営繕やの修繕によりその依頼者ばかりか、その原因となるモノまで救われた気分になります。 「雨の鈴」だけは異色のような気がし、ホラーっぽい怖さがあります。 | ||||
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短編集なので読みやすく、一気に読んでしまいました。 すべて同じ町を舞台にしていますが、それぞれ独立した物語です。 京都のような町屋が並び、窓からはお城が見える城下町。 どこがなんだろうと、考えてしまいました。 (架空の町なんですよね??) どのお話しも、主人公たちがこの町に引っ越してきて新しい生活を始めたところから始まります。 新居はとても古い家。 主人公や家族が体験する怪異な出来事を、「かるかや」さんの協力で解決していくという内容。 家や庭を修繕することにより、淀んでいたものに流れを与えます。 それがとても鮮やかで、毎回感心してしまいました。 印象に残っているのは、第一話の「奥庭より」と最後の「檻の外」ですね。 どちらも怪異の発端はとても哀しい出来事でした。 ホラーではないですし、短編なので仕方がないことですが、 前作「残穢」と比べると、ずいぶん大人しい淡白な印象を受けました。 人に聞かれたらお勧めはしますが、自分が読み返すことはないと思います。 | ||||
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さりげない怖さが上品で、むきになって問題解決するような、勧善懲悪のお話ではないところが、小野さんらしいと思いました。もし自分が同じような目にあったら、この本を参考にしたいな、とか。面白かったです。満足しました。 | ||||
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建物の営繕修理をいとなむ「かるかや」が、あたかも持病に対処するように、怪異との折り合いをつけるように対処する、という形の怪異談。 個人的に一番のお気に入りは「雨の鈴」です。 雨がふる日だけ姿を現す、喪服を着た女、に関する怪談です。 この話が一番怖かった。 それと、これ、推理小説にもなっているんですね。 江戸川乱歩の提唱した探偵小説の三つの要素「発端の怪奇性」「中段のサスペンス」「解決の意外性」をちゃんと満たしています。 推理小説年鑑などのアンソロジーに入れられても不思議のない佳作かと思います。 また、帯にある「心ふるわす恐怖と感動の物語」のうちの「感動の物語」としてよかったのは、最後に収録されている「檻の外」です。 自動車が動かない、ということから始まる、怖いというより、切ない話です。 | ||||
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最近の「残穢」とか「鬼談百景」とか この作品を含めて3作は以前と作品の傾向が変わってきました。 最近の2作品が消化不良に感じられた人は、 この作品もきっと消化不良に感じられると思います。 つまり、同じ傾向が続いているということです。 今の私たちの目線で、ただし3人称で物語がはじまっているのがわかりました。 率直に言って、期待半分、でも、そういうのはいらないかなという気分も半分、でした。 でも、それぞれの話を読み進めると、結局のところ、最後の話を読み終えたところで 「どうもありがとう、ごちそうさまでした」ということになりました。 たぶん、次にまた次回作を見かけたら、買ってしまうのは確実となりました。 なにがすばらしいのかというのは言い難いです。 この作品の良し悪しとは違う話ですが、 そもそも作者のこういう怪談話に対する態度に違和感がありません。 各話に必ず登場する人物は、 営繕屋という、建物の修繕をする専門業者ですが、 彼はいつも主人公ではありません。 「主人公」はいつも何かによって恐ろしい目にあったりしますが、 それを修繕する「営繕かるかや」は、怪異については本質的には何も知らないのです。 これは全体としてみると、結局は怪異とか不思議なことに対する 今生きている僕達の感じ方とか物の見方そのもので、一番正しい正確な態度です。 そういう理屈からこの小説集が素晴らしいのだとまでは言えないのですが、 作者がこういう作風をとっている理由のひとつは、 今生きている作者と読者の位置がそういうものだからだということはあるかもしれません。 実はここで書かれているような実話としての怪談は、 ときどきあるような気がします。 そして、それが何かの理由で直ってしまう場合、 実はこの小説みたいな感じで直ってしまうのではないかと思います。 作者がとても論理的なので、 たぶん怪談話に対する独特の距離感が出てきているのかなと思います。 | ||||
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地方の、小京都のような城下町の色々なお家が舞台の短編集です。 本筋もいいですが、この街や和建築の空気感のようなものの表現が、 とても感じがいいです。 そんなレトロな街に旅行に行ったような喜びを味わえます。 ストーリーの素晴らしさは、他の方も書いておられるように、 この作者の職人技なので、間違いなしです。 まだ、雑誌連載は続いているようなので、続きが楽しみです。 「障り」に限らず、日常の困りごとが、プロに相談すると 意外と簡単に解決するというのは、聞いていて気持ちがいい話で、 だから、ビフォーアフターが長寿番組になるのだと思いました。 | ||||
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すでに、他氏によって言いつくされているわけだけれど。本書は、近年の京極夏彦氏謹製、「幽談」等に代表される短編の一部をのぞけば。ひさしぶりの和製幻想・怪奇譚の精華ではないだろうか? 「家の障り」−−それは、「家霊」とでも呼ぶべきか。はたまた「凶宅」と呼称すべきか・・・。内因的なものもあれば、外因的なものもあるようだが、さかのぼれば平安時代あたりからあったようだ。放っておけば、住人の命すら脅かす。そこまでは、これまでも材として採ってきたライターは数えきれない。けれど、本書はその、障りを「修正」する方法への着眼点がすばらしい! ここには退魔師も呪禁師も登場しない。「営繕」。広くリフォームとして解釈される方法で、難を避ける方策を試みる・・・。 収録作は、どれも甲乙つけがたいが。当方としては、個人的理由で「雨の鈴」に戦慄した。 以前から、「袋小路に家をつくるものじゃあ、ない」とは聞いていた。そのような家で不幸があった話も、聞かされてはいた。 けれども、それはあくまでも物理的な理由があったろう。袋小路では、必然、人の出入りが少なくなる。昔は「どぶ」ひとつとっても、そこで流れが止まり、澱み、不衛生になる。・・・人も物も経巡らねばならない。にもかかわらず阻害される。それゆえ忌まれたのであろう、と。 が、本作では誰にもわからない「理外の理」にしたがって、「魔のもの」が順番に「特定の条件の家」を訪れーー死をもたらす。自分の家は、記述の「特定の条件の家」に該当しないだろうか? 大丈夫であろうか? そう思った読者はいなかったろうか。 この、肌にせまるリアリティ! ・・・漫画家ささやななえ氏に「空ほ石の・・・」という、高層団地の特定の部屋列だけが、順番に災難に見舞われるという都市伝説系作品があったと記憶している。 がーー本作の淡々とした語りと、乾いた簡潔な描写は、なまじの凄惨なクライマックスを用意した、都市伝説系怪談を凌駕する。 お値段も、まず穏当。 未見の方は、ひとつこの営繕ーーいやいやリフォームのすすめではなくて、怪異譚の精華に接してみてはいかがだろう? | ||||
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誰しもが、一度は経験したことのある日常の不可思議な経験談。怖いからといって、目を閉じたり耳を塞いだりせず、キチンと向き合えば、おのずといい方向に向いていくといった感じの、読後にホッとする余韻がたまらなく良かったです。日常の人間関係のイザコザも、うまく対処すれば、ストレスなく過ごせていけるといった、ニュアンスも含んでいるのかな? | ||||
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高校生時代くらいからずっと小野不由美さんの作品を読んでいる。 もう20年ほど追っていることになるが、作者の描く物が、同じホラーでも徐々に形を変えてゆくのがよく分かる。 今回は「異文化共生」がテーマかもしれない。(そこは世相を反映しているか) どの話も好きだが、派手さこそないけれど目の覚めるようなパラダイムシフトに至った「奥庭より」を一番お勧めしたい。 全体を読了後、この人の作品を読み続けていてよかった、と思った。 | ||||
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家と怪異、ありふれた掛け合わせがどういうことでしょう?!匠、小野不由美の手に掛かるとふと背後を気にしてしまいたくなる日常系ホラーに! 本作はホラーであり、怪異を鎮める物語ではないです。トリックなどもありませんし、派手さもないので物語としては物足りないと感じる方もいるかもしれない。しかし、通りすぎていく怪異の過程、心情、それらを疑似体験させてくれる文字の綴りは、小野不由美ならではホラーを孕んでおります。しかし、ただの怪異譚になっていないのは、家を通して家族を思いやる優しさも読後に滲んでくるからでしょう。これが日本人が持つイエの文化なのかもしれませんね。 怪異に蝕まれた家を、補修してくれるのが、営繕かるかやさんなのですが、あっさりと補修やリフォームの提案をしてくれる。彼いわく、霊能者ではない。とのこと。キャラクター小説のように強烈な個性もかるかやさんの尾端さんからは感じません。それも、え?こんなことで怪現象がなくなるの?とさえ思います。 読みやすい三人称主人公視点の短編集。 子を持つ親であるわたしは、「檻の外」が怖さとともに哀しくも感じました。 漆原友紀さんの表紙が、とても作品に合ってあてすてきです。 本当にあったはなしみたいな錯覚、景色が見える錯覚、自分の家で読んでいるともしかしたら?と錯覚がふと湧いてきますよ。 | ||||
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