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(短編集)
営繕かるかや怪異譚
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営繕かるかや怪異譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全74件 41~60 3/4ページ
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続きないの? と吠えたくなる一冊。 怪異のある問題のある家を、何かの縁で営繕屋がやってきて修繕。 そのような流れです。 主人公を追い詰めてヒーローがやってくるような。 住居、ってとこが面白いですね。 新居に住むとなると、家のいい面ばかりに期待してしまいがちですが、 必ず問題は発生する。 新居のニオイが気になったり、お隣さんの音が聞こえてきたり、 裏が山だと虫が、とか、海が近いと潮風が、とか、 猫が寄ってくる、とか、風が入って来ない、とか、様々。 解らないものへの怖さ、恐怖。 結果が起きてから調べる。 (こう言うと『ゴーストハント』シリーズを思い出すなぁ) 営繕屋の尾端が、さらっと説明して提案しちゃうのですよ。 まさに快適、ビフォーアフターなわけですね。 あっさり原因を突き止めて、解決に導いちゃうから、 そこは短編集だし仕方ないかなー。 全6編からなる本書ですが、続きがあったら読みたい! でした。 | ||||
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夏の夜に。すごい怖いわけではなく、ひたひたと怖い。 でも、ちゃんと救われる安心感。 救われない魂を救ってくれる営繕かるかや尾端さん。 気づきのいい、隅田工務店の隅田さん。 それぞれの話も、一所懸命生きている人々の息遣いがあるのもいい。 | ||||
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経験則から言うと、霊や怪異の「実在」を前提としてそれに対処し解決する専門家、という設定の怪奇小説はおおむねつまらない。その筆頭はウィリアム・ホープ・ホジスンの「幽霊狩人カーナッキ」シリーズであり、大概の中国の幽霊譚も同様である。前者は評者が怒りを込めて屑かごに投げ捨てた数少ない本の一つだし、後者は死者の世界も現世同様の官僚主義社会で、道士の対処法も完全にマニュアル化されている。 なぜこれらがつまらないかというと、霊界の存在が全面肯定された途端に、怪奇現象によってこの世の秩序が一瞬否定される怖さが雲散霧消してしまい、あとは霊界の法則に則って邪悪な霊を退治するだけの話になるからだ。結果、語られる話は、「水道管のここに穴があいて水が漏れていましたので、かくかくの工事をして漏水を防ぎました」という、配管業者の業務報告書のような無味乾燥なものになってしまう。あの巨匠ブラックウッドの「心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿」さえもこの欠点を感じさせた。 そこでこの『営繕かるかや怪異譚』だが、上記のようなつまらなさを殆ど感じさせない稀な成功作になっている。 大きな要因は、現れる怪異がいかにも日本風でひそやかなものであること。少し開いた襖の奥に見える白い人影、袋小路に佇む喪服の女、車庫でかすかに「ママ、助けて」と声を出す子供…いずれも「仄かな翳り」とも言えるようなものたちで、さびれた海辺の城下町という舞台設定と相まって、良質の随筆か短編小説を読むような滋味がある。 第二に、営繕かるかやの尾端青年が決して「霊界の法則」に通暁しているわけでないこと。「この現象の原因はこれこれです」などと断言したりせず、何となく感じたことに従って対処し、まあとりあえずそれが有効だったというだけなので、霊界解説者のような狂信的押しつけがましさがない。 ありていに言えば、ある一つの城下町に起きるさまざまな怪異を記した連作、というところにこの作品の真価があって、尾端君はそれを一冊にまとめるための狂言回しと見なせなくもない。ただ、尾端君のややおとなしめで線の細そうな人物像は、蟲師のギンコ的(表紙画が漆原友紀なので特にそう思わせる)であり、浅見光彦風でもあり、それも作品全体の静穏な雰囲気にうまく合っている。 しかし、ネタがあってもこれ以上この形式のシリーズは続けない方がいいだろう。尾端君に活躍させるために、幽霊に「直進して行き止まりなら曲がり、最寄りの入口から家に入る」という初歩の手作りロボットみたいな行動プログラムを付与するのは、いささか苦しい。 | ||||
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小野不由美さんの作品なので、とても楽しみに購入しました。 期待通りの、怪異譚揃いで最高の読後感でした。 映像化しやすそうだし、いつかされるといいなぁと思いました。 | ||||
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いつも女性が優しく。粘り強い感じですが、かるかやさんは。 普通にすっごく困った時に近所にほしいです。 こんな兄ちゃんが居てくれたら、水道やのチラシ貼って置く感覚で張り紙しとくのに | ||||
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期待通りの作品でした。小野先生らしい繊細に綴られた文章が大好きです。 一番個人的に怖かったのは、井戸の話でしたね… 後からじわじわ来ました。 | ||||
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充分怖い話なのに、読後がスッキリ♡ 小野不由美さんの怪談の新分野?みたいな。 | ||||
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秘めやかな怪異を美しく、温かく物語にしてあります。不思議だけれど優しい気持ちになれる怪異譚です。続編が待たれます!是非書いてほしいものです。装丁も内容にふさわしかったと思います。 | ||||
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両側を壁で挟まれた廊下とは異なり片側がガラス戸で開ければ外に降りられる袖廊下、表と裏、間口が狭く細長い「鰻の寝床」と呼ばれる古い町屋と聞き慣れない言葉が続出したため、巻末に用語集とかを入れて欲しかった。 因みに、舞台である田舎の古い城下町のイメージ・モデルは作者の郷里・大分県中津市とのことだ。 奥庭より 屋根裏に 雨の鈴 異形のひと 潮満ちの井戸 檻の外 「奥庭より」 → 叔母の家を受け継いだ祥子(しょうこ)だったが、箪笥で塞がれた奥座敷の襖が閉めても閉めてもいつの間にやら開いている。古くて歪んだりした所為だろうと思い込もうとするのも限界になり、やがて異音が聞こえ始める。何代か前のお妾さんの【想い】が閉じ込められており、奥庭の木戸の向こうに昔は水路があったことから生前も死後も水を求めて奥庭を徘徊したらしい。しかし、叔母の既知の「隈田工務店」の棟梁は完全に封じることは叔母の二の舞だから勧められないと告げ、こういうことに詳しいと「営繕かるかや」の尾端(おばな)を紹介するのだった。表紙で道具箱を左肩に担いだ青年だ。奥庭に面した「開かずの間」の壁の低い位置に出窓を切り、中庭にある石組みの軒先手水(ちょうず)を移して筧(かけい)で水を溜めることになる。時代劇とか神社の手水舎(ちょうずや)が参考になると思う。 「雨の鈴」 → 石畳を濡らす雨の日の昼下がり、白い半襟と足袋を除いて着物・帯・帯揚げ・帯締め・草履が黒一色の30代の女性がやはり黒い数寄屋袋を抱えて袋小路の突き当たりに門扉を構える家に死を齎す。亡き祖母の家に移り住み、七宝焼きのアクセサリー作家を目指す有扶子(ゆうこ)が通り過ぎる際に聞いたチリンと澄んだ音色の帯締めに下げた青銅の鈴と聞き間違えて客のキーホルダーの鈴に凍りついたカフェを営む友人・千絵(ちえ)が奔走して尾端が呼ばれるが、彼女もまた両親を黒い着物の女性により失っていたのだ。死ぬから黒の女が来るのか、彼女が訪うことで死ぬのかは不明だが、魔ではあるらしい。但し、雨がきちんと降らないと現れず、昼間だけで雨が降っていても夜に歩を進めるということもないし、真っ直ぐにしか進めない。その点はユニークなのだが、勝手に入り込んだ見知らぬ黒衣の女性が「お悔やみを申し上げます」と水引の無い白い金封を置いて煙のように消え、その直後に家人が死ねば誰も彼女と共存したいとは思わない。しかし、有扶子は黒の女が恐ろしい存在だと認識しつつも銀色の雨粒が鏤められた黒衣と佇む彼女の斜め後ろから見た項(うなじ)の白さの絶妙の美、寂しげな鈴の音を思い浮かべて悲しげに映ると感じたのだった。 「異形のひと」 → 中学生の少女・真菜香(まなか)は父親の仕事の都合で田舎の町に引っ越したことに不満を抱く。見知らぬ老人が仏間にいたと訴えても頭がおかしくなったと両親と弟に陰口を叩かれ、近所の連中が呼び鈴を鳴らさずに勝手に家の中に入り込んでくることに田舎だからと相手にしない母親の言葉に私は神経を疑った。都会だろうが田舎だろうが、勝手に他人の家に入り込んではいけない筈だ。お為ごかしに変な人が入って来たらどうすると言う侵入者である近所の連中に、家族の真菜香に対する仕打ちこそ私は腹が立った。 「潮満ちの井戸」 → 妻の両親に譲られた築50年の古くて使い勝手の悪い家に住む若い夫婦。主婦・麻理子(まりこ)と結婚して5年の夫・和志(かずし)はなんとか快適に暮らそうと努力を重ねる。和志は介護施設の職員をする傍らで入居者の老人と花壇の手入れをして「目覚めてしまった」ため、庭いじりに凝り始めた。彼が古井戸のそばの小さな祠を壊して2週間後、気味の悪い妖怪らしき何かに麻理子は怯えるが、植木屋・堂原(どうばる)が「汽水」と逃げ帰る際に言ったのを聞きながら「何だっけ? 忘れちゃった。」だから阿呆だとしか言いようがない。祠を壊したと知って咎めるような口調の麻理子だが、和志が壊したのは先々週であり、ずっと麻理子は気づかなかったのに「信じられない」とは夫の言う通り今更である。河口に近い川のそばにあることで「塩水くさび」という現象が起きて海水の層が滞留して海水と淡水の混じった水「汽水」の井戸が周辺に多いが、麻理子の家の場合は川の水が井戸に直接流れ込んで潮の干満の影響を受けて水位が変わると堂原に頼まれた尾端に教えられる。角川書店の特設コーナーにあるカバーイラストに描かれた6編の内で5編のお話のポイントがあるが、水掻きのある5本の指を持つ何者かの手があった。 「檻の外」 → 勝手に結婚して勝手に離婚して4歳の娘・杏奈(あんな)を連れて出戻った前田麻美(まえだ あさみ)に両親も兄夫婦も冷たかった。農夫だった偏屈な大伯父の死後、空き家だったその家を事故物件と知りながら隔離先として押しつけた親戚は反省など欠片もせずに問題のガレージを壊すことは許そうとせず、もし壊すなら弁償しろと言い出す始末。麻美は麻美でそれでも勝手にガレージを壊そうとし、福祉の助けなんて迷惑だと拒絶する見栄っ張りである。ガレージのシャッターが下りて閉じ込められた際、娘の泣き叫ぶ姿に近所の老夫婦が通報し、助けてくれたクラスメイトの消防士・平松(ひらまつ)のアドバイスを蹴ったのだ。予算がないのに安全性能が高く、助手席にもエアバッグを、バックモニターを付けろと山ほど注文をふっかけて自動車修理工場を継ぐことになる後輩「健吾ちゃん」をそれなりに可愛がったのだからと呆れるばかりだ。しかし、麻美に何かあれば幼い杏奈が可哀想だから、尾端により解決して良かったと思う。 虐待された子供は自身が悪いのだと思い、酷い仕打ちを受けても親を慕うという不可解な心情ゆえに行政が助けに入っても元凶の親を庇い虐待の事実を隠蔽して尚も地獄に我が身置いて最悪の場合は死に追いやるケースが多い。我が家でも亡くなった父が私と母に暴力を振るう最低男だったのだが、経済的理由から我慢していただけだ。殆どのケースにおける【自分で自分の首を絞める】子供の心情はドラマでも描かれており、恨んでいるに決まっていると単細胞の麻美に呆れる。 | ||||
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一話目を読了した時に思わず「その手があったのか!」と言いたくなった 戦わない、逃げない 「共存」なんて生ぬるい言葉も似合わない 狭い小路で何者かとすれ違う時に傘を傾けてやり過ごすように 相手は誰なのか、何処に行くのか深く詮索しない 実にスマートで日本的な怪異の対処法である | ||||
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リフォームして幽霊と共存ってその発想はなかった 私は霊に対して否定的でそもそも信じてないし、仮にいるとしたなら とっとと成仏しろ迷惑としか思ってなかったが この本を読んで霊だって元人間なんだから住み慣れた場所にずっといたいよね と霊に対して初めて優しい気持ちになれた気がする いやそんな事が言いたいんじゃないのかもしれないけどさ | ||||
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路殺、やばいですね。 実際、空き家多いもんね。 ミょーにリアリティあるんですよね、この人の作品。 くせになります。 | ||||
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新書で読みたかった。 迷っている方は文庫化まで待って正解かもしれません。 自信をもってお勧めできません。 | ||||
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久しぶりの小野不由美さん作品を読ませていただきました。 じわりじわりと紡いでいく怪異の世界はさすが小野不由美さん!文章力のある作家さんだなって改めて感心してしまった感じですが、いつもと違ってどれもどこか優しい感じ。人の世界にひっそりと想いを残してしまった人たちのことを退治や消去するのではなく、営繕によって「かわして、そしてひっそり共存する」というテイストで、古い家にまつわる歴史をそのまま引き継いでいく物語でした。これまでもずっと人はそうして「障り」をうまく封じたりかわしたりして共存してきたんだろうな、それが昔話や祠をまつる、という行為だったのだろうと長い歴史にも想いをはせました。 今までと少し違うな、という感じですが、これはこれで良い感じです。じわじわ怖いのかと思えば、どこか哀しく寂しい人たちの想いに同情してしまう。今を生きている人たちを追い詰めたり恨んだりしているわけではないけれども、亡くなったときにとらわれた想いが怪異となって表れる。それを絶妙のタイミングで現れ、そっとかわす営繕屋さんが生ける人のお財布にもやさしく、かつ亡くなった人にも想いを寄せる英断をさずけてくれリフォームしてくれるなんて、ちょっと素敵なお話でした。双方が救われる、そういうお話です。 | ||||
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正直、名作『蟲師』のイメージを脳裏に抱いて読み進んだ読者が多いと思う。 この表紙が漆原友紀の手によるものなので、否が応でも画面から独特の雰囲気が漂う。 小野不由美を読みたいという人もあれば、彼女の紡ぐ異世界に浸りたいひともあるし、 小野不由美テイストで味わう家屋版『蟲師』を期待した人も多いのでは。 実際、私は表紙の絵が持つ雰囲気の世界に浸り、それからやっと読み進んだ。 そう、どうしても、家に関する「蟲師」が営繕やという印象。 怪異譚はこの季節、時期においてぴったり。 すぐに読めるかと思ったのに、一話ごとに考えることが多く、なかなか読み進められなかった。 「かるかや」の言葉や語感は日本民話を思い出す。 また、重く暗い忌まわしい影や雰囲気を「軽く」する、そんな言葉遊びめいたものも感じる。 いずれにせよ、ただ、ちょっとした心遣いが、住まいや庭を甦らせる。 眼に見えない何かとバランスを取り、共存が計れるとすれば、それに越したことはない。 現代まで持ち越される、全てを古き時代に押しやれない、解決の付かない出来事。 そういうものと折り合いを付けるのに手を貸してくれる人の、 今の時代が失っってしまった、先人の知恵が光る。 そんな一冊でもある。 | ||||
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短編ということで、非常に読み易く空いている時間で1話を読み終えられるくらいだった。小野不由美にしてはあまり暗過ぎず物語の内容的にも良い感じ。 ただ表紙が『蟲師』の漆原友紀の所為か、なんだか全体的に現代版の蟲師を読んでいるイメージになった。 いや、むしろ漆原友紀でコミック化希望。 | ||||
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私が怖がりやな性分なのか、全篇通してすごく怖かったです。 子供の頃、わけもなく感じていた暗闇への恐怖を物語に昇華させると このような形になるんだろうな、というリアリティがありました。 怖いと同時にちょっと懐かしい気持ちにもなれます。 ≪以下若干ネタバレになります≫ この作品の最大の特徴は「霊障を解決する人が霊能者ではない」という 点でしょう。20世紀末に面白がられていた「霊能者」という職業は いまやほとんど詐欺師と同義になっています。そんな現在では 全ての災いを根こそぎ断つスーパースターとしての異能者は物語の 中といえど存在し得ないのでしょう。 災いを除くのではなく、災いを避けたり 災いと共存する方法を「彼」は教えてくれるだけ。 霊験あらたかなアイテムがあるわけでなし、突然に天啓が降りてくるわけでもない。 普通の人が認識できる範囲で、人が具体的に対処するという、地に足のついた怪談です。 このような解決方法は怪談として新鮮な感じがします。 また、読後感が爽やかなのもいいですね。救いようの無い話が殆どありません。 「異形の人」だけ登場人物が気付いていない「仕掛け」にゾクっとしますが(笑) | ||||
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昔話のようにたんたんと読めました。おどろおどろしてないとこがかえって作家に触れたような気がしました。 | ||||
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怪異集のように短い物語を綴りながら、一定の共通の舞台とキャラを登場させることで、小野不由美の物語として纏められています。 ゴーストハントシリーズのように派手さはないけど、ちゃんとエンターテイメント性のあるお話としてしあがってますね。 | ||||
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その人は、ほんの少し影が薄い。 どの物語でもそっと登場する。 尾端と名乗る。 繕いを営む人だ。 その屋号が営繕かるかやである。 古い町屋の多い小京都、城下町。 海が近く、海抜が低い。川が流れている。 そんな土地柄に越してきた人たちが、障りを感じる。 世代交代によって由緒や由来の失われた障りばかりだ。 新しく住人になった者は障りに気づいて戸惑い、不安や恐怖を持つ。 建物自体を取り壊そうとしたり、庭を作り変えようとしたり。 建築業者や造園業者を通じて、その人が呼び出される。 霊感はないという人は、手当ての方法を編み出す。 閉め切られた部屋に窓を、閉じこもりたい人に隠れ場所を。 すべてを暴き立てるわけでもなく、打ち壊してやり直すわけでもない。 そっと、必要最小限に見えるぐらいの懐に優しい修理を提案するのだ。 営みを繕うために。 読み終えてから、家鳴りが少し怖い。 こないだ死んだばかりの猫が里帰りしているなら、大歓迎だけど。 | ||||
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