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ねじまき少女



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ねじまき少女の評価: 3.12/5点 レビュー 49件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.12pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(3pt)

先に「第六ポンプ」を読むことをお勧めします

ネタバレしたくないので内容には触れませんが、
登場人物たちに十分感情移入させるストーリー展開になっていないため
後半にはもう誰がどうなってもいいようにしか思えませんでした。
SFとしてのアイデアがストーリーに絡んでいれば楽しめたのですが、
むしろSF世界を背景にしたアクション小説、といった程度のものでした。
短編は非常に面白かったので残念。
ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118108
No.8:
(3pt)

展開、用語の違和感があって世界に没入し難かった

下巻読了後の感想です。

誤訳が多いという評判もあってか本当に原文でもこういう風に書かれているのかな?と言う感覚が最後まで抜けませんでした。
あらすじ、設定などの説明は読む前に知りたい方は検索していただくとして。

世界はリアリティを感じる点、感じない点がそれぞれありますが退廃した近未来SFとしてはうまく描けていると思います。
シェールガス革命から石油資源にかかる心配がかなり減っている現在、設定に苦しい点が増えたと思いますが
2009年、あるいは翻訳された2011年当時ならよりリアリティがあったのではないでしょうか。
アグリジェン社の設定なんかはモンサントが目指す先を見ているようですし巨大企業に支配され自然な生き物はかなり淘汰され石油資源は切れ、それにより世界が絶望している
にもかかわらず人々は生きていくという感じはなかなかの物でした。

ただ、シナリオの展開の仕方と言うかギミックがどうかな、と。
複数視点の物語で個々の話は結構面白いですがそれぞれの物語は完全には絡まらず、状況の裏話的な物が多く冗長な感じがしたのと
物語が最後の風景を描くために逆算してご都合で作られていっている感を感じてしまいました。

それに合わせて世界設定にリアリティを感じない点もそれなりに目立ちますし用語の選択にも違和感がありましたし(誤訳かもしれません。初版を読みました)
面白い世界観ですし面白いエピソードも多いですがいまいちこの世界に没入できない感じでした。
ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118094
No.7:
(3pt)

ネビュラ賞…ヒューゴー賞…

ヒューゴー賞というタイトルには結構な期待を抱いてしまっている気がする。
エンタメとして、確実に面白い、というような。

それに関しては、この作品に過度な期待を抱いているのかもしれない、と思う。
まだ上巻しか読んでいないので、なんとも言えないところは大きいが、今イチ波に乗り切れない。
世界観はそこそこ退廃的でいい感じだし、難しい単語も出てこないのに、なんでだ。

なんだか、世界観が先行していてキャラクターに魅力を感じない気もする。一方で、SFに関しては世界観が面白ければキャラクターが立ってなくても十分に面白い時もある。だから、これは出来に関する判断材料にならないけれど。
というか、世界観はすごく素敵。
冒頭からの世界観導入には不覚にも興奮した。
いっそ、環境ビデオレベルにこの風景を描写していてくれ、と。

じゃあなんでというと、ストーリーの主軸が見えづらいというのはある……気がする。
それ以上に訳文が読みづらいというのもある。思わず「ねじまき少女 誤訳」で検索をかけた。「ねじまき少女」と入れた瞬間に検索候補に「誤訳」と出てきた瞬間は失笑した。

正直、これが初めてのSFだったら、「SFって読みづらいな」とか思いそう。
とりあえず、内容に関しては下巻を読んでから。まだ、期待値はある。
これから読む人がいるならば、寛大な気持ちで読み始めた方がいいと思われる。
ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118094
No.6:
(3pt)

SFのロマンが詰まった出来のいい一作

読み終わったので感想を。大変エンターテイメント性にとんだSF小説だ。しかしそれ以上ではない気もする。SF好きにはたまらない様々な要素が散りばめられている―しかしそこを上手く回せているかといったら疑問もある。そこがまず残念だ。さらに複数の主人公がおり場面展開がテンポよくあり、それによって説明書にならず世界観を描写する技法は素晴らしい、しかし誰が主人公なのかの軸が曖昧になってしまっており残念だ。大好きなおもちゃやロマンが沢山散りばめられていて、総じて大変良くできた作品だとは思うがイマイチだった。
ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118094
No.5:
(3pt)

少なくとも上巻だけで73名の人名が出てくる

本作は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した2010年のトリプルクラウンの作品です。
地球温暖化で海辺の都市は沈み、バイオテクノロジーの暴走で生まれた疫病が作物を全滅させ、化石燃料も枯渇してしまった地球で孤高を保つタイ王国の首都バンコクが舞台。虐待されるヒロインは「ねじまき」とよばれ遺伝子操作され日本で生まれた新人類の少女。
本訳を急いでいたのでそうしたのか、訳者の力量不足でそうしたのか、本書は二人の訳者が関わっているが、いずれにしても、訳が良くないなと思われるところが幾つか見受けられる。おまけに人名が、上巻で数えてみると少なくとも73名、非常に多く掲出され、誰が物語に絡んでくるのかわからず一回読んだのでは、内容の理解が難しい。例えば180頁にでてきた「ビロンバクディ」が311頁に再びでてくるがこれにちょっと気づかなかった。結局この物語の骨子は、アンダースン、ホク・セン、エミコ 、ジェイディーの四名の主人公の話なのだが、分かりづらい構成である。また「カロリー企業」や「ファガン・フランジ」なんて、意味のよくわからない言葉も、幾つか出てくるし、読みにくい。さて上巻の内容だが。
10「ンガウ。〜。バンコクじゅうの屋台をさがしてもこんな果物を売っているところは一軒もなかったのに、-。」 13「ンガウを入れた袋を持って、アンダースンは混雑する市場の外の街路へ抜けていく。」 22「スプリングライフ社の工場は、街路の喧騒を見下ろす高い城の要塞ともいうべき建物で、-。-。(車夫の)ラオ・グーは中庭にリキシャを止め、工場の中央ドアのまえでアンダースンをおろす。」 23「遺伝子操作によって生まれた、(象由来の)メゴドントは工場の駆動システムの生ける心臓部であり、ベルトコンベア、換気ファン、そして製造機械にエネルギーを供給しているのだ。」 29「一時間に四十個生産される改良型ゼンマイ-。」 42「階下でまたしてもメゴドントの叫び声があがる。」 44「狂ったメゴドント-。-。-従わせるはずの象使いは、骨が砕け、血みどろになった姿で床の上につぶれていた。」 46「アンダースンはライフルを構える。-。ライフルから-針が飛び出す。-命中したことがわかる。」 47「メゴドントが長い鼻でアンダースンの足下をかっさらう。」 49「前足をゆっくりと投げ出して、メゴドントはうめきながら糞まみれの藁にへたりこむ。」 52「メゴドントの死骸に大勢の人が群がっている。-。メゴドントが一頭殺されたことを耳にするやいなや、組合は自前の解体屋を送り込んできた。」 56「元どおりメゴドントがのろのろとした足取りでスピンドルのクランクを回すようになるまで、アヘンと賄賂と契約の再交渉が必要だろう。」 64「アンダースンは渋い顔ながらも、-、ようやく傷口の縫合がすんだ。ホク・センは医師をかたわらに呼び寄せて治療代を入れた封筒を手渡す。」 73「ホク・センは、背をむけてオフィスへむかう。-。後ろ手にドアを閉めて、メゴドントの解体と(作業ラインの)復旧の作業音を閉めだす。」78「観音像のまえにひれ伏し、-。-。ホク・センは祈りを捧げる。工場が閉鎖になりませんように、賄賂が効いて新しいライン設備が竹のカーテン(税関)を問題なく通りますように、-、クソッたれな金庫が開いて、中身が見られますように。」
82「ローリーは。-。-、ぴしゃりとエミコの尻を叩き、ステージにあがって、今夜のきみがどんなに特別かを見せつけてやれといった。」 84「エミコはしかたなくストリップを演じる。-。赤くなるほど強く尻を叩いて、カニンカはもっと深くお辞儀をしろと命じる。」 85「(タイの)カンニカが-彼女(エミコ)の生涯を(お客達に)語って聞かせている。かつては金持ちの日本人の慰み者だったけれど、いまやわたしたちのものです、-。」 87「カンニカに強引に脚を開かせられ、エミコは悲鳴をあげる。」 88「カンニカが、エミコの-、クリトリスをもてあそぶ。-。エミコのひだ(小陰唇)を指でいじる。思わず体が反応し、エミコはうめく。声をあげる。背をそらす。-試験管ベイビーを生み出した科学者たちの思惑通りに。-。男たちのあいだからどっと賞賛の声があがり、オーガズムをむかえたエミコの体が異様なほど痙攣するのをあざ笑った。」 90「ローリーだ。オフィスのほうへ(エミコに)手招きしている」 91「-クッションに横になるよう、エミコを促す。-。−男が寝ころんでいた。青い瞳と金髪の長身の男で、首にはひどい傷がある。」 93「『エミコ、こちらの旦那に、あの晩の客のことを話してさしあげろ』」 95「『-白シャツは、遺伝子操作のことをなにか話しただろう』(青い瞳と金髪の長身の)ガイジンがいった。-(エミコ)『-。新しく作った果物を一袋持っていて、女の子全員にあげてました』」 96「(エミコ)『そう。そうでした。名前はンガウだそうです。伯母さんが作ったんだといって。-』」 97「エミコは-。-伯母の自慢をしていた白シャツの少年を思い出す。」 98「『少年がいうには、ギ・ブ・センという男が遺伝子の青写真を渡した-。だが伯母さんがからくりを見破ってからは、ンガウの収穫に成功するようになった-。-』」 106「(青い瞳と金髪の長身の)男はかすかに微笑する。『ローリーから-聞いてないのか?高山地帯にねじまきたちの領土があるんだよ。-』」
110「ジェイディーはカニヤ-の肩越しに首を伸ばして、彼女(副官のカニヤ)が賄賂を数えるのを見守る。税関の検査官が二名、かたわらにかしこまって控え、-。-。-アンカーパッドで、飛行船の下部から荷物を引きずり出し、通関のために積み直す作業をさせられているメゴドントの叫び声が聞こえる。」 112「『(ジェイディーたちの行いに対して)これは越権行為では』税関職員のひとりがぼそっとつぶやく。」 122「『男がひとりわれわれを監視しています』-、(部下の)ソムチェイがぼそりという。」 123「かなり遠くのほうで、(ジェイディーたち)白シャツ隊と税関職員の両方を監視している。」 125「『-、これらはどれも輸入されてはならないものばかりだ』ジェイディーは-周囲に散らばる積荷を示し、-。」 127「(ジェイディーが)自宅にもどるころには、もう夜明けが近かった。」 「『ずいぶん遅かったのね、心配したわ』-『心配する必要なんかない。おれは虎だぞ』(妻の)チャヤに寄り添って、やさしくキスをする。」 「税関職員たちがどれだけ多額の金銭をかき集めているか、-。ただ突っ立って、どんな荷物が来ても見て見ぬふりをするだけでね。」
137「六階にあるアンダースン・レイク宅のバルコニー-。」 138「-各種の本がチーク材の床にいくつも散らばっている。」 139「あのねじまき娘(エミコ)はギ・ブ・センの名前を出していた。」 145「農夫から食べ物を買っているファラン(=西洋人)を撮影した大昔のタイの写真に、-大量のンガウの山が-山となって写っていた。」 147「ギ・ブ・セン。あのねじまき娘は自信たっぷりにその名前をいった。きっとギボンズのはずだ。-彼のそばには種子バンクがある。」
167「ホク・センがうなずく。『あんたらのスポンサーに会いたい』」 168「ホク・センは無言で、金を入れた麻袋をドッグ・ファッカーに手渡す。-」 169「『-、タン・ホク・センがビジネスの申し込みをしていると糞の王に伝えてほしい。-』」 170「彼(ホク・セン)は最後のふたつの品を取り出す。ひとつは手紙だ。-。そしてもうひとつの品物を差し出す。-小箱だ。」 170「『手紙を読めば、あんたのスポンサーにわかるさ』立ちあがって、ドッグ・ファッカーの返事を待たずに背を向ける。ー。路地を進み、スラムの奥深くへ切りこんでいくと、そこで(笑い屋)チャンが笑顔で彼(ホク・セン)を待っている。」 171「札束をチャンに渡す。-。『-。アンカーパッドが閉鎖されるから、臨時収入はありがたい』-『閉鎖されるんだよ。ゆうべ白シャツ(隊)が踏みこんできてね。-』『なにがあったんだ』チャンは肩をすくめる。『積荷を全部焼き払ったと聞いている。-』」
180「『本部でビロンバクディ氏があなた(ジェイディー)のことをこぼしていましたよ』と彼女(副官のカニヤ)はいう。-。『アンカーパッドは彼(ビロンバクディ)の領分です。密輸する連中を守って大枚の賄賂をもらうためのね』」 183「(ジェイディー)『-。昨夜だけでもどれほどの徳を積んだか考えてみろよ。あの積荷を焼き払ったとき、税関の連中はさぞ肝を冷やしただろうよ』(副官の)カニヤは苦い顔をする。『賄賂の効かない白シャツに会ったのは初めてでしょうからね』-。(カニヤ)『十二月十二日のクーデター後、プラチャ将軍とアカラット大臣は、一線交えるための新しい口実をさがしておたがいにらみあってばかり-。そしていま、あなた(ジェイディー)の行動がアカラットの怒りをかき立てる。-』」 184「(カニヤ)『でも、注意してください』 (ジェイディー)『アンカーパッドの男のことを考えているのか?ソムチャイが見たというやつを?-』」 185「(ジェイディー)『-。おそらくあいつは通産省の関係者だ』」
195「『-、(アンダースン・)レイク。何も損失はなかったの?』アンダーソンは身じろぎする。『製造用の原料。ラインの交換部品。-。いまはまだ部下たちが被害額を計算中だよ』」 198「アンダースンは両脚のあいだからンガウを入れた袋を引っ張り出し、一個取って皮をむく。-果実を口に放りこむ。」
 203「『なんだかわかるかい?』オットーが(アンダーソンに)質問する。」 20「4ハッグは考えこむ。『-、わたしの記憶がたしかなら、(ンガウは)ランブータンの関連種のなにかだ』」 220「カーライルはバーの中を見回してアンダースンのほうに身を寄せる。『みんなきみのことを噂しているよ』『どんなふうに』『種子にえらく興味を示してるって』ンガウの皮を意味ありげに見やる。」
227「-あの肌の白い、傷のあるファラン(=西洋人)が信じられるなら、どこかにねじまきたちの住む村がある(とエミコは思った)。」 230「-、(エミコは)自分は違法に遺伝子を改造されたのではなく、ちょっと人とちがうだけだと(自分に)言い聞かせようとする。」 233「エミコはまっすぐに人混みにはいっていく。-。『すみません。北行きフェリーの切符はどこに行けば買えるでしょう?』」 234「『北へ行きたいなら、まだしばらくは道が乾いてるよ』エミコは失望を-する。川は無理か。-。エミコは帰路につく。-。-入れ墨をした男が、通り過ぎたエミコをじろじろ見て、-つぶやく。」 235「『どこへ行くんだよ、ねじまき』男が呼びかける。-。役所のスタンプとパスポートがあれば、-、ちゃんとした価値のある品物なのだ(とエミコは自身を思う)。」 236「『どこへ行こうっていうんだ、ねじまき?』-。男は-ナイフを持っていた。」 238「(エミコの)喉もとに刃物が押しつけられる。この男はわたしを殺すつもりなんだわ。-。エミコは勢いよく男に体当たりしてナイフをふりまわす手をかいくぐる。-通りへと走る。」 240「行き交う車のなかに、一瞬また見えた。あのガイジンだ。ローリーの店で会った傷のある白人。」 241「ガイジンを乗せたリキシャと並走し、-。-。−ガイジンがエミコの手をつかみ、リキシャに引っ張りあげる。-。ナイフを持った男がリキシャに跳びのってきて、エミコの肩口に切りつける。」 243「アンダースン(ガイジン)はシャツの下からゼンマイ銃を引っ張りだし、それを男の顔面につきつけた。男が目を丸くする。リキシャから(男が)飛び降り、-。」 244「アンダースンは-、男がほんとうに逃げたことを確認すると、銃をシャツの下にしまう。ぐったりした娘(エミコ)にむきなおって、『もうだいじょうぶだ』といった。」
260「『チャオ・クン・プラチャ将軍がお呼びです』」 270「プラチャは顔をしかめてジェイディーをオフィスのなかへ差し招く。『はいれ!』」 276「チャヤ。目隠しをされ、両手を背中で縛られ、足首も縛られて背中を丸めて壁にへばりついている。-。ジェイディーは呆然としてその(誘拐された妻の)写真を見つめる。」 279「(プラチャ)『連中はまちがいなくチャヤを斬殺するぞ。敵はけだものなんだ。アンカーパッドでの行為について公式に謝罪しろ。降格にする。左遷して、たぶん南部地域でイエローカード難民の整理と強制収容所の管理をするんだな』-。プラチャは身を乗り出し、ほとんどすがるように(ジェイディー)にいう。『頼むから、いうとおりにしてくれ、ここは折れるんだ』」
287「ホク・センはむっつりとタンクを調べる。『ラインが動かなければ、みんな飢え死にだ』-。『お客さんですよ』」 290「『あんた(ホク・セン)に会いたがってる人がいる』ドッグ・ファッカーはそういって、外のゲートを示す。」 292「背中をかがめて車に乗り込む。」 294「車はスピードをあげ、ホク・センは革のシートに押しつけられる。-。糞の王の車が到着し、-。」 297「警備係がホク・センの-身体検査をする。それがおわると、ドッグ・ファッカーが手まねでホク・センをエレベーターのなかへ招いた。」 298「エレベーターがビルの屋上に到着する。」 299「広い屋上の奥に純白の東屋が建っていた。-。東屋の屋根の下で籐椅子に寝ころんでいるのは、糞の王だ。」 306「『おまえのゼンマイをテストしよう、ホク・セン。-うまく使えるようなら、船を提供する。仕様書と設計図を出してくれ。おまえたちとはビジネスができる』」 307「安堵感がホク・センを満たす。」
312「ジェイディーは息をのんだ。アンカーパッドで見た男が、(通産大臣の)アカラットの隣にひざまずいていたのだ。」  314「アカラット大臣とプラチャ将軍が立ちあがって、集まった群衆の前に出る。」 315「『独立委員会は、収賄、腐敗、権力乱用の容疑で(ジェイディーを)有罪であると結論しました』ジェイディーをちらっと見下ろす。」 316「『-ジェイディーは出家し、九年間の苦行を課することとします。』」 317「アカラットがジェイディーのまえに進み出る。『さて、ジェイディー、きみもようやく限界を知ったようだ。-。こんなことにならずにすんだのに』」
328「促されるまま車に乗り込みながら、-。-。バタンとドアが閉まり、アンダースンは向かい側にすわる通産大臣のアカラットと対面する。-。『カーライルから、きみが提案を持っていると聞いた』アカラットがいう。」 331「(アンダースン)『-。われわれは、貴国の種子バンクのどこかに鍵が見つかるんじゃないかと期待しているんです』-。アカラットは難しい顔になる。『サンプリングだけでいいんだな?そっちは武器と装備と報酬を用意し、サンプリング以外の見返りは求めないと?』アンダースンはうなずく。『もうひとつあります。人間ひとり。ギボンズという人物なんですが』」 332「『-。その男をひきわたしてもらいたい。-』」
343「(エミコ)『-。北部へ生きたいんです。新人類(ねじまき)が住むという村へ』『だれにそんなことを吹き込まれたんだ?』『ほんとうにあるんですね?』ローリーの表情から、ほんとうだったのだと(エミコは)わかった。」 344「(エミコ)『-。ローリーさん、あなたには力があります。コネを使って、旅行許可証を取ってください。-』」 348「ローリーは-、『北部へ行くだけの金を稼いだら(必要な額を)教えてやる』といった。『だが、それには仕事だ。たっぷりと働いてもらうぞ。-』」
354「(工員の)キットとシームアンが壁にもたれてすわっている。ふたりの男が、どんよりした目でホク・センを見上げる。」 359「ホク・センは手を振ってリキシャを停めようとする。-。自転車を停める。『お呼びですか?』」 360「-キットをリキシャの座席に乗せる。」 361「-ふたりめの工員を-、ホク・センも手伝って、工員を座席に乗せる。」-。『(行き先は)病院だぞ』-。ホク・センは小さくなっていくリキシャを見送る。」
364「-相変わらず(妻の)チャヤの消息は知れない。生きているのか、死んでいるのか?通産省の仕業だったのか?それとも犯人はほかにいるのだろうか?」 375「ジェイディーは-。-。-、彼はこうして暗闇で通産省の明かりを見つめている。-。あの建物のどこかに、ひとりの男が陣取って計画を練っている。-、アンカーパッドでジェイディーを見つめていた男だ。」 376「(同行の)ソムチャイは真剣なおももちで(通産省の)ビルを観察する。」 379「通りのむこうで、通産省【なお本書では通算省と誤植されている】のドアが開いてひとりの職員が外に出てきた。-。ジェイディーは上から棍棒をふりおろす。」 380「ふたり(ジェイディーとソムチャイ)は男を引きずって通りを横切り、-。手早く男を縛りあげ、目隠しと猿ぐつわをした。-。ふたりは中にはいる。」 384「戸口に目をやると、ジェイディーがさがしていた標的(の男)が立っていた。-。ジェイディーは銃を抜いたが、敵に先手を打たれた。」 385「男たちはジェイディーとソムチャイを部屋から手荒に連れ出して廊下の奥へ連れていく。エレベーターについた。」 386「ドアがあいて、外に出ると十五階の屋上だった。男たちがジェイディーとソムチャイを押しやって屋上の端へ行かせる。」 388「ジェイディーはふりむく。目の前に通産大臣が立っていた。アカラット本人だ。」 388「彼(ジェイディー)の目はアカラットの背後にいる名も知れぬ男に据えられている。-。『ほんとうに王家の後ろ盾がついているのか?』」 「ジェイディーが身を翻し、アカラットの胸板を膝蹴りする。」 「敵がこぞって発砲してきた。-。ジェイディーは、屋上から突き落とされる衝撃すら感じない。落下は予想したより短時間だった。」
ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118094
No.4:
(3pt)

期待し過ぎました

上・下巻を通してのレビューです。

昔はそこそこSFは読んでいたのですが、最近はすこし離れていました。
この本はタイトルと設定に惹かれ、いくつかの賞も受賞した作品ということで、これは絶対に読まなければと思い手に取りました。
が、結果は期待外れに終わりました。

足踏み式のコンピュータやゼンマイが主要な動力だったりと小道具のアイデアは面白いところもあり、タイトルにもなっているアンドロイドの少女などいくらか魅力を感じるところもあるのですが、読んでいて面白くないんですよね。ドキドキ・ワクワクしませんし、早く先を読みたいという気も起こりませんでした。

タイという国やこの世界をもっと見せて欲しかった気もしますが、面白さを感じなかった理由のひとつはSFとしては当たり前過ぎるというか、誰でも予想できそうな世界だからかもしれません。この世界でこういうストーリィにするのなら、もう少し読者を驚かせるような仕掛けとかSFらしい要素があっても良かったのかなという気はします。

帯に「ニューロマンサー以来の衝撃!」とありますが、ニューロマンサーと較べられるような作品ではないと思いますし、そのような衝撃は全く感じませんでした(個人的な感想です)。
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4150118094
No.3:
(3pt)

なんとか普通に読了

魅力的な点を整理してみます。
1 舞台が近未来のタイ王国ということで、エキゾチックである。
2 石油資源枯渇後の世界ということで、スプリングというかワインドアップというローテクが動力装置の主役になっている。
3 遺伝子資源の重要性を示唆し、東南アジアの遺伝子資源保有潜在力に注目している。

 残念な点を挙げてみます。
1 「ねじまき」という新人類の能力、社会的立場、存在理由、生み出された背景がよくわからない。
2 酒場の性的描写がきつすぎる。
3 タイ王国の政変に終始し、世界情勢がわからない。

 そういうわけで、面白く感じる点もあるし、声高に騒ぐほどの作品ではない気もしました。
同じ世界をシリーズで描いているらしいので、そちらが翻訳されたら読んでみようと思います。
ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118108
No.2:
(3pt)

上巻読了時の感想

ダブルクラウンの作品にしては…面白くない。

 石油資源が枯渇した後の世界を描いた。舞台はタイ王国。海面上昇と遺伝子操作による新しい病気、害虫がはびこる世界らしい。遺伝子資源をめぐってインターナショナルな大企業とタイ王国とが暗闘しているようだが、どうも読書の波に乗れない。気を抜くと寝ちゃう。
 カタカナの固有名詞が、役職なのか人名なのか抽象概念をさすのかよくわからない箇所がいくつかある。
 新型ぜんまいがエネルギー変換器の主役となっているのは面白い。
 だが新人類「ねじまき」がどういう存在なのか上巻の終わり近くまで不明でイライラした。

 後半、巻き返して面白くなってください。
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4150118094
No.1:
(3pt)

これから読もうかという方へ

この本を買おうかと思っておられる方に一言ご忠告申し上げます。
 上下巻一緒に買うより、まずは上巻だけ買って読んでみた方がいいですよ、と。
 と言うのも、ここのカスタマーレビューの件数の少なさに如実に現れているように、この作品、売れてる割に完読した人が異様に少ないだろうと思われるからです。なぜそんなことがわかるのか?
 読みにくいのです! 訳が悪いのか(恐らく訳者も、わからず逐語訳してる部分が相当あると見ました。読める人は原書で読んだほうがいいでしょう)、各文を一度読んでも頭に入ってこず、何度も視線を戻して読み直すハメに再三陥ったのです。外国人名や動植物名、企業名などの固有名詞がややこしくて、背景、関係性や事情が掴みにくいからか、特に政治的あるいは商売的な駆け引きの会話などの微妙なニュアンスが理解できないんですね。何度も途中で放り出しそうになりました。下巻に入るとだいぶ読みやすくなるのでなんとか読みきりましたが。
 まぁ、これは私の読書力が落ちていることを示しているのでしょうが、このレビューの少なさは〈途中で投げ出した〉人や、〈感想を書くのに苦慮している〉人が多いのではないか?と。
 だから、ノートを用意して登場人物リストや相関図(敵か味方か)、目新しい名詞の意味などをメモしながら読むことをおすすめします。
 で、そんな不十分な読み方しか出来なかった私の感想ですが、世界構築が相当念入りであり、なおかつ展開がスリリングだと思います。環境、エネルギー、技術、経済、政治軍事などの要素を総合的に配慮して創り上げた未来世界(つまりセカイ系みたいな中二だましではない)で、現代とは様相が一変しておりかなり極端な設定なわけですが、リアリティはあります。いや、リアリティと言うと少し違う。こんな世界は突飛すぎて無理目。仔細に見れば突込みどころはたくさんありそう。アメリカ人の視点での歪んだオリエンタリズムも鼻につくし(ゲイシャガールがニンジャになるところなんか、もうね^^;)。リアルさではなく疾走感のあるストーリー構築と描写力、といったところでしょうか。
 まぁ今後の影響力もありそうだし、一応読んでおくべき作品ではあるでしょう。
ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)より
4150118094

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