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象の白い脚



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象の白い脚の評価: 4.55/5点 レビュー 11件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.55pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(4pt)

時空を超える筆致と未完の真実

書評:松本清張『象の白い脚』――時空を超える筆致と未完の真実

松本清張の小説『象の白い脚』は、55年前のラオスを舞台に繰り広げられる重厚な物語だ。現在私が住む町の過去を切り取った本作には、驚くべき「空気感」が宿っている。55年という歳月を隔てながらも、松本の筆は時間の壁を溶かし、読者を古きラオスの街角に引きずり込む。湿度を孕んだ空気、喧騒と静寂が交錯する街並み、政治と文化の狭間で揺れる人々――それらが緻密に描かれ、まるで自分自身がその時代を歩いているかのような錯覚に陥る。

しかし、物語が核心に迫るにつれ、読者はある種の宙吊り感を覚えるかもしれない。事件の真相は徐々に浮かび上がりながらも、完全には明かされず、すべてのピースが綺麗にはまることはない。ある種の「未完の美学」とも取れるが、明確な結末を期待する読者には物足りなさが残るだろう。それでも、この未完の余韻こそが、松本清張の持ち味なのかもしれない。

さらに、本作にはもう一つ興味深い側面がある。それは**「青年海外協力隊」**に対する辛辣な視線だ。当時の国際協力のあり方やその現地での存在意義が鋭く問われる場面が散見され、現代の読者にとってはやや刺々しく感じられるかもしれない。この点は小説世界にリアリティを与える要素ともなっているが、同時に賛否が分かれる部分でもある。

それでも、55年の時を超えてなお、本作が持つ力強さは色褪せない。ラオスという異国の地を背景にしながら、人間の業、真実への希求、そして歴史の影が静かに、しかし確かに息づいている。未完の真実に悶えることすらも、一つの文学的体験なのかもしれない。
象の白い脚 (P+D BOOKS)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (P+D BOOKS)より
4093522936
No.9:
(4pt)

ドラマか映画化を希望します

奥深い時代背景と人間模様の描写に痺れました。他作と変わらずやるせないエンディングの真骨頂に魅せられる読書感が大好きです。
象の白い脚 (P+D BOOKS)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (P+D BOOKS)より
4093522936
No.8:
(5pt)

最後驚くべき急展開

この御時世なので、「屈折回路」を読みたいと思い、
また「象の白い脚」と「砂の審廷」も同冊になっていて一緒に読めるので
この本を購入しました。

日本で昭和35年、1960年に実際に大流行したポリオを題材にしたもので、
「私」が抱いた疑問を調査して歩くのですが、
北海道から始まった点も実際をモデルにしており、リアリティがあります。
登場するサブキャラが、実は後半のキーパーソンだったりして、
展開に意外性がありました。

最後の「第五章」は、驚くべき急展開でした。
松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷Amazon書評・レビュー:松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷より
4165092207
No.7:
(5pt)

ラオスの当時の実情

松本清張は昔随分と読んだ。(しかし、彼の作品を全部読むということは、熱狂的なフアンなり研究家以外では不可能であろう。あまりに多作だから。)
  この度、ラオス絡みでこの作品を読んだが、短時間の情報収拾でよくもここまで当時のラオスおよびインドシナの状況を取材できたと、改めて清張の天才ぶりを思い知らされた感じだ。話も面白い。シモーヌとの絡みを一行で言ってのけるところ、谷口の末路をサラッと述べるところ、やはり清張の切れ味を感じないわけには行かなかった。
  面白すぎてあっという間に読めてしまった。
象の白い脚: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま)Amazon書評・レビュー:象の白い脚: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま)より
4334775624
No.6:
(5pt)

ラオスが舞台

もう廃刊になっているので手に入れて嬉しいです。私が5年前にヴィエンチャンで宿泊したランサーンホテルが出て来ます。
象の白い脚 (文春文庫 106-1)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (文春文庫 106-1)より
4167106019
No.5:
(5pt)

思っていたよりとてもきれいでした。本は書き込みとかなければ読めればいいと私はおもってます。一冊でいくつかの作品を読めました。
松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷Amazon書評・レビュー:松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷より
4165092207
No.4:
(5pt)

40年以上前のラオスが舞台。興味深いです。

政治体制、経済事情は当時と比べたらすっかり変わっていますが、流れている空気は今もまだ当時の名残があると感じます。
熱帯の大河の川面にゆらゆらと漂う曖昧な結末。思ったよりも文学的でした。読後、憂鬱な感情に引きずられます。
象の白い脚 (P+D BOOKS)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (P+D BOOKS)より
4093522936
No.3:
(4pt)

古書ですが大丈夫でした

古い本なので色やけしてましたが、文字はしっかり読むことができ価格は0円でしたので問題なし、満足してます。
象の白い脚 (文春文庫 106-1)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (文春文庫 106-1)より
4167106019
No.2:
(5pt)

当時の政治状況がよくわかります

ラオスが分裂して、共産闘争をやっていたころのお話ですね。当時の国旗には象が三匹描いてあったようですが今日の国旗には象はいなくなって闘争の象徴を表したものになっています。外国の干渉と工作員。だれがだれだか正体がわからないところに、これまた外国からの諜報員や情報屋があふれる。そのなかで貧困にあえぐおとなしい国民は自らの信仰や生活の場をうしなっていきます。こんなふうになったらほんと悲劇。国としての体を保つことは綱渡りのようなものだと考えさせられました。
象の白い脚 (P+D BOOKS)Amazon書評・レビュー:象の白い脚 (P+D BOOKS)より
4093522936
No.1:
(5pt)

松本清張全集(22)

個人読書履歴。一般文学通算38作品目の読書完。1973/10/15
松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷Amazon書評・レビュー:松本清張全集 (22) 屈折回路,象の白い脚,砂の審廷より
4165092207

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