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黒のクイーン
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黒のクイーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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名画の焼失事件が徐々に連続殺人事件とリンクしていく展開はよくできている。 様々なキャラが絡み事件の謎が広がっていくプロット、プラハという東欧の陰影のある街の描写も魅力がありラストまで一気に読める。 ただ、名画焼失の方が物足りないし、キャラやそこに付随するドラマも少し大仰な作り物っぽいところは残念。 | ||||
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今後が非常に楽しみなオーストリア・ミステリーの旗手グルーバーの邦訳2作目で猟奇殺人サイコ・サスペンスの力作と自信を持ってお奨めできる「探偵ホガート」シリーズ第1弾です。本書の前年に紹介された「夏を殺す少女」のレビューでは少し厳しい書き方をしてしまいましたが、今回の二冊目を読み終えて全面的に考えを改めました。私は著者が偶然の要素を大胆に活用してストーリーを決してありきたりではなく常により面白くしようと努めている旺盛なサービス精神の持ち主なのだと思いましたね。それから2作に共通するのは、作中の経緯のパターンは多少違いますがどちらも男女ペアによって事件の捜査が進められるという点で、これは著者の好んで使う得意技なのだろうと思いましたね。 しぶといと評判の保険調査専門探偵ホガートは今回プラハの美術館での絵画焼失事件とその調査に赴いた女性調査探偵の失踪の謎を探る仕事を依頼される。やがて手掛りを追って女探偵の立ち寄り先である暗黒外のボス、グレコ宅を訪れたホガートはそこで偶然に地元の女私立探偵イヴォナと出会い大掛かりな猟奇連続殺人事件の存在を知る事となる。 本作で著者が考えた「首と両手を切断され白黒2色のビロードでそれぞれくるまれた男女の死体」というど派手な演出は、サイコ・ミステリーとしての魅力に満ち溢れた出来で中々にインパクトのある設定だなと思いましたね。まあ身元の偽装という点ではやや肩すかしでしたが、でもその種のトリックは有名になりすぎていますので却って踏み込まずにシンプルで正解だったでしょう。本書でも犯人は中盤でほぼ明らかとなるのですが著者は別の角度からの仰天すべきトリックを仕掛けていて読者を大満足させてくれます。私が特に感心したのは、序盤での二人の探偵を犯人が襲撃する家屋爆破、中盤でのチェス名人の老人の誘拐、そして最後の二人の探偵と犯人との対決シーンに突然割り込んで来る邪魔者、等々という予想外の展開の連続で常に緊張状態を持続させて読者を絶対に飽きさせない著者の真に芸達者なストーリーテリングの冴えですね。まあ大部分が無意味な殺しという事実には如何にもサイコ・ミステリーならではのえげつなさがありましたが、探偵ホガートの依頼された事件との関わらせ方は非常に巧妙でしたね。そして犯行方法の理由づけにも(やや強引ながらも)このジャンルならばさもありなんと納得させる説得力がありましたね。「夏を殺す少女」でも感じた点ですが、殺人を犯す人間は程度の差があれ狂っている事に間違いないのですがそれでも今回も犯人に一抹の同情の余地を残す悲しい人間ドラマを描いている所がきっと著者ならではの流儀なのでしょうね。さて、本作では著者の人物造形の確かさをより強く実感できましたね。過去に何かと曰くがありそうな魅力的な女私立探偵イヴォナと凄腕の空手家の弟オンドレイとその相棒イジー、ヤバそうな暗黒外のボス・グレコとそのボディガードのデミトリ、殺人課の警部ノヴァチェクはどうしてこんなにも無能なのか?でも何時も肝心な時に現場に不在だからこそ皆が自由気ままに動き回れて更に事件が盛り上がるのですね。チョイ役の恐妻家でチェス名人のヴェセリーも良い味を出していましたね。そして我らがヒーローの探偵ホガートは何て勘の鋭い素晴らしいイマジネーションの持ち主なのでしょう!完全に息詰まり土壇場に追い詰められた時に思わぬ力を発揮するのですから誠に天才的だと思いますよね。過去の不運なエピソードの傷を心に抱えながらも決して逃げずに立ち向かう根性はたいしたものだと思いますし、今回も安易に帰国の道を選ばずに自腹を切ってまで事件を決着させようと懸命に頑張る姿勢には深い感動を覚えましたね。また最後に咄嗟の機転で取った行動は彼が優しさと勇気を兼ね備えた心の温かい人間である事を如実に証明していますよね。残念ながら女探偵イヴォナとはこれでお別れみたいで将来二人が男女の深い仲に発展する事はなさそうですが、その代わりにラストでは彼が今は人妻となっている別れた女エーファの面影が脳裏を過ぎらずにどうやら呪縛から漸く解放されたらしい事が一番良かったと思いますね。 | ||||
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訳者の良さもあると想うが、 まず、文章が良い。絵を描くように丁寧に物語の背景の景色まで描写する。 この人の作品は本邦では少ないが、かなり複雑な物語を、途中でダレルことなく、綺麗に紡いでいる。 主人公もヨーロッパの雰囲気を持った好漢である。 今後に期待する。 | ||||
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ウィーンの保険調査員ペーター・ホガートはチェコでの調査を依頼される。オーストリアからプラハの国立美術館に貸し出されていた絵画が火災で失われ、その調査のために数日前に赴いた女性調査員が消息不明となっているのだ。女性調査員は火災の真相を見つけ出したために事件に巻き込まれたのだろうか。プラハに赴いたホガートはやがて、絵画消失どころか奇妙な連続殺人事件に巻き込まれていくことになる…。 昨2013年に邦訳が出た『夏を殺す少女』の作者が、それ以前に初めて手掛けたミステリー小説です。『夏を殺す少女』の抜群の面白さにひかれ、オーストリアに現れた手練のストーリー・テラーの作品、そして練達の訳者・酒寄氏の翻訳ということで大いなる期待をもって手にしました。 期待は全く裏切られませんでした。 絵画にかけた保険をめぐる調査から入ったこの物語が、凍てつく冬のプラハという薄暗く入り組んだ小路の連なりの中で、猟奇的な連続殺人へと変貌していく。首や手首の切断された死体。そして遺体の胸に刻まれた暗号めいたアルファベット。禍々しい街の風景にふさわしいともいえる装いをもつ事件にホガートは翻弄されていきます。 私は30年ほど前にバックパッカーとしてプラハを訪れたことがあります。この小説に登場するヴルタヴァ河やカレル橋、時計塔など、旅の記憶を改めてたぐり寄せながら、懐かしく読みました。当時はドイツ語で街を歩くことができたものですが、今は様子が異なるようです。 「プラハでは昔、チェコ語とドイツ語が共存していたが、今、ドイツ語を自在に使える地元の人は少ない」(38頁)。 オーストリア人のホガートにとってプラハは完全なるアウェイの土地。そこで偶然の契機で邂逅したイヴォナというチェコ人女性探偵がホガートと二人三脚で事件を追います。 イヴォナの他にも、プラハ警察殺人課のノヴァチェク警部や、街を牛耳る裏社会の大立者グレコなど、物語を彩る人物はみな役者ぞろい。真犯人と対峙する終幕部分まで一気に読ませます。 訳者あとがきによればホガートの活躍はこの後、ウィーン編、ブダペスト編と続く3部作になるのだとか。それを酒寄氏の訳で読める日が来ることが今からとても楽しみです。 私が手にしたのは初版本ですが、以下の二か所の表記が気になりました。 *物語の冒頭でホガートが運転する自動車が「スコーダ」(11頁)と表記されていますが、このチェコ製自動車は日本では「スコダ」あるいは「シュコダ」と表記するのが一般的です。 *「封筒から手を話さず」(277頁)とありますが、「封筒から手を離さず」の誤りです。 | ||||
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オーストリアのミステリー作家アンドレアス・グルーバーの作品。日本では2010年に書かれた「夏を殺す少女」が早く紹介されたが、「黒のクイーン」は2007年の発表。「夏を殺す少女」は近年読んだミステリーで一番の面白さだった。本作も期待通り、上質のミステリーではあるが、「夏を殺す少女」の意外感やスピード感はなかった。 プラハの展覧会に貸し出した絵画の焼失事件。調査を進めるうちに、保険調査専門探偵ホガートは、猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。 ストーリーはどちらかというベタな展開。むしろ、この作品の魅力は、ベルナルディ地区なるプラハの歓楽街の描写、古い映画と骨董市の好きな、さほど格好良いとは言えない探偵やプラハ顔役の人物造形にあると思う。また、プラハを舞台とした無声映画「巨人ゴーレム」を事件に絡めるあたりに著者のセンスの良さを感じた。 個人的に非常に好きな味のミステリー。ただ、数年後に書かれた「夏を殺す少女」の方が数段上と思う。 アンドレアス・グルーバーはまだ未翻訳の作品が多くあり、今後が楽しみ。 | ||||
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行ってみたいプラハが舞台でなおかつ映画・絵画に興味がありますので、楽しみました! (チェスはわからないのですが・・・) 心地よいスピード展開と現実と創作が入り混じった傑作です! 探偵ボガードシリーズは3部作として計画されているそうで、楽しみです。 | ||||
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