■スポンサードリンク
終わらざる夏
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
終わらざる夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全172件 161~172 9/9ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
占守島の戦いにスポットを当てたのは斬新でよいのです。私がこの本を手に取った理由もそれでした。 しかし、いかんせん話が中途半端に広がりすぎています。 以下ネタバレ。 最も残念だったことは、主人公の子供が通う学校の先生の描き方です。いつの間にかお話から消えてしまっています。 それからソ連兵の視線は、果たして必要だったでしょうか。必要なかったと私は思います。 前半、話の中心になっている翻訳業の主人公(?)の視線が後半ほとんど描かれておらず、消化不良に陥ります。 期待は大きかっただけに、とても残念な本でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一見、浅田次郎らしからぬ小説、かもしれない。 主人公だったはずの片岡が中盤まったく登場しなくなるし、とにかく出てくる人物が多い。 「北千島に残された帝国陸軍最後の精鋭戦車部隊が、終戦後にソ連と戦う」 という「血わき肉踊る」小説を期待していると、肩透かしにあう。 だが、途中から著者のもくろみがおぼろげながらわかってくると、止まらなくなる。 著者が書こうとしたのは、特定の「誰か」にとっての戦争ではない。 「戦争」そのものであるからである。 日本側の死者300万。だが、それは決して世界の中で「多い」数字ではない。 ソ連側の死者は、一説によると2000万を超えるという。 誰が勝者で誰が敗者なのか。 わかっているのは、「死者は語れない」ということだけだ。 物言わぬ死者のために、浅田次郎は「戦争とは何か」を代弁してみせた。 300万という「数字」を、ひとりひとり、血肉のある「人間」として甦らせた。 あの極限状況の中で、市井のひとりひとりが、どれだけ人間としての尊厳を守り、 どれだけ、最後まで「人間」であろうとしたか。 読み進むほどに、涙が止まらなくなった。 いつもの「浅田節」はむしろ、控えめであるのに。 函館高女の女子高生たち400人を無傷で戻そうと尽力する 日魯漁業の社員と兵士たちのエピソードが、唯一の光明となって 胸に明るい灯をともす。 「また遊ぼうね。――戦争が、終わったらね。」 8月15日が近づいてくる。 「終わらざる夏」の登場人物たちに降りかかった出来事は、 決して他人事ではない。 戦争は、始まってしまうのではなく、私たちが始めてしまうものなのだ。 決して、彼らの犠牲を無駄にしてはならない。 強く、そう思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物語に登場する人生は、今までにない「終戦」映画でした。 戦争という悲劇を伝える構想は、さすがと思います。 ただし、その中で、ソ連兵が時間を超えて姿を変えて、物語の重要な登場人物になってしまったら、 「それはないでしょう・・・」と感じてしまいます。その点、大変残念です。 ということで、今年の夏の物語と思って、買った小説ですが、私の夏も中途半端になりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この著者の小説は、ものによって好きだったり嫌いだったりするのですが、これはいまひとつでした。 前評判や売り文句で煽られているほど、テーマに肉薄しているとは思えません。戦後生まれの作家の小説ってこんなものなのか。どこかで聞いてきた話を並べたみたい。 あるいは、著者の他の小説ではいい効果を生む「話の広がり」が、今回はうまく作用していないのでは。ロシアの青年兵の存在、彼のキャラクターが「戦後の日本人の想像の産物」であるのはしょうがないにしろ、出場の仕方さえファンタジーでは、読んでいてしらけてしまう。 材料の選択はOK、小説としては疑問・・・という感じでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今まで読む機会がありませんでしたが、占守島の戦いへの興味から、良い機会と思い表紙を開きました。 徴兵資格を逃れる数週間前に召集令状を受け取る翻訳家、身長150センチで丙種でも不合格であった医学生、過去3度の兵役で右手の指3本を失い、銃を撃つこともできない老兵。 彼らと、その家族の思いが描かれるシーンに泣かされ続けます。 前半は、通常であれば決して前線に置かれることのない3人の補充兵が、北の果ての島に送られる情景を通して差し迫った国のありさまが良く描かれていると思います。 そして、後半も新たな登場人物を含めて、長い戦いを終えるために、どの軍人も民間人も非常に健気にそれぞれの戦いを続けます。 難点は、クライマックスで視点を変えたことでせっかくの感動が弱まってしまった事と、 そのリアリティ。 それでも十分に楽しめましたので、もう1作品読もうと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者は戦後生まれである。 戦中の空気を吸っていない。 これに尽きる。 このような、主人公たちの厭戦反権力気分(あえて主義とは言わない)は、戦中の空気にはさあ、0.1%もなかったろうと思う。 私も含めて、ほとんどの人はこの中に悪役として描かれるお国のため、大君のためと必死だったのである。 戦後生まれの人が、何か景気のいいお伽噺がほしいと書いたものであろう。 各メディアの書評も好意的である。 著者と同時代が今や現役メディアの主力である。 お話としてなら面白い。 本来星一つだが、構成の巧みさ、日本語に違和感がないので二つにした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
テーマは面白い。 終戦時ほぼ無傷で残された関東軍から引き抜かれた奇跡の精鋭91師団。カムチャッカ半島に対峙する北千島の占守(シェムシュ)島で終戦後理不尽にも攻め込んできたソ連軍と戦うという設定である。 このまま素直にテーマを展開すれば面白いと思われるのだが、はっきり言ってこの本はいろいろ欲張りすぎて終わりようがなくなり非常にしまりがない本となってしまった。 登場人物が多すぎで、その全員を登場させることにほぼ三分の二の紙数を費やし、ついでにソ連軍将校の夢物語や、占守島日本軍降伏後のシベリア抑留について語るなど、明らかに散漫である。 浅田氏は、他にシェラザードや日輪の遺産など第二次大戦関連の著作があるだけに本作の出来栄えには全く落胆した。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
浅田さんの本は全て読みました。 軍もの、任侠もの、怪奇もの、 チンピラもの、時代もの・・・・ そのつど、作者の懐の深さや洞察力、 ストーリー性に感心させらます。 本書は、終戦間際のごく普通の日本人の ごく当たり前の感情がしっかりと しかも美しく盛り込まれ 大変読み応えのある一冊です。 登場人物のキャラクター全てに 作者の愛情が注がれ、誰一人として 疎かにされていません。 その一人ひとりの人生、賢明さ、 直向さに涙させられました。 一見ばらばらの物語が、 ひとつのテーマに向う 満ち潮のようなエンディング。 浅田流最高のエンターテーメントです。 本書は、今までの浅田作品の要素が 全て盛り込まれていると言っても 過言ではないと思います。 日本語の美しさ、読了感・・・脱帽です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ラスト数ページ、いや、下巻の中盤からずっと泣き通しでした。 とくに、最後に生き残った人が見つける品々がもう、たまらない。 戦争ものだからといって、戦地の兵隊や焼け跡の市民……といった これまでよく目にした人々の物語だけではなくて、 エリート参謀や疎開先の先生、東京で最先端の暮らしをしていたモボ・モガなど とてもバラエティ豊かな当時の人々の物語が詰まっている。 この人たちの感覚は、今の私とぜんぜん変わらない。 それだけに、それでも戦争に走ってしまったことがとても恐ろしく感じた。 決して特殊なこと、自分と関係ないことではないのだと。 昔の名作としてではなく、リアルタイムでこういう小説を読むことができてとても幸せだと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
市井の人々の生活というのは、政治や経済の状況によって大きく変化することはなく、基盤にあるものはおだやかに連綿と受け継がれてゆく。 その基盤自体を暴力的に根こそぎひっくり返してしまうものが「戦争」だ。 この作品では、起るはずのなかった(必要のなかった?)戦闘にフォーカスをあてることで、その悲劇を浮き彫りにしようとしている。 鳥瞰的視点から声高にではなく、日常の声によっておだやかに語られる戦いまでの登場人物たちがすごす日々は、まるで自分の傍らで起きた出来事のようにリアルで、読み進むにつれて登場人物たちが自分の親戚や友達みたいに思えてくる。 缶詰工場で働く少女たちの凛としたたたずまい、疎開先を抜け出して歩いて自分の家に帰ろうとする子供たちの「思い」とそれを助けてくれる名もなき人々の優しさ。細部にこそ神が宿るのだと思いました。 読み終わって、自分の好きなエピソードをもう一度読み返すとき、あ、僕はこういうことを大切にしたいのか、ということを考えさせてくれる小説でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ドラマや映画で、赤紙を受け取って本人や家族がつらく悲しくなる描写は何度も見てきたが 赤紙を配る側のつらさ、人殺しとののしられるやりきれなさについて書かれているものは 始めて読んだ。 学童疎開、空襲で荒れ野と化した東京の街、田舎に置き去りにして戦に行く息子などなど、 当時は「当たり前」と皆が受け入れていたことの普通じゃなさ、怖さに、平和な時代しか 知らない自分は改めておののいた。 予告だと、北方領土のその北での戦い(終戦3日後に始まってしまった)について描いた 小説、という前知識しかなかったので、そこに至るまでの、主人公たちが出征するまでの 物語にこんなにたくさんページが割かれていたのには驚いたが、だからこそ、こんなに 愛すべき人たちが戦場に行って死ぬ覚悟をするのだ、という事実が重たくのしかかってくる。 「壬生義士伝」で使いこなした岩手弁の美しさがまた光ってた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
期待はずれ。 翻訳出版社に勤務している徴兵年限ギリギリの中年男(主人公)に赤紙がくる上巻2/3くらいまでは 流石の一気読みでしたが後がダレる。 軍令部で動員計画を策定する高官や末端で赤紙を届ける役人、老いた父(主人公)に赤紙が来たことを知り、 疎開先を抜けだし徒歩で東京に向かう子どもの姿など、終戦時期ほぼピンポイントの日本人の情感には リアリティを感じたものの、主人公が送り込まれる北方の最前線・占守島で繰り広げられる後半の「ドラマ」 は筋・流れが拡散してしまってダラダラとラストまで続く感じ。 「もうひとつの終戦」として極北の最前線にスポットをあてた視点には新しさを感じたものの、参戦した ソ連側の思惑・兵の思いがからまるラストに向けての流れは・・・何と言うのか、スベってる、というか 著者の思いがもう見えなくなってしまった感じ。正直、楽しめなかった本でした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!