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恋文の技術
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恋文の技術の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全116件 61~80 4/6ページ
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森見氏の作品では、「夜は短し...」と、「新釈 走れメロス」と読みましたが、こちらが私が一番だと思った作品です。なんだか、「うじうじした人の文章」というイメージだったんですが、こちらはもっと爽やかでした。中盤では「おっぱい」が連呼されていて、少々しつこいという感じがしますが、それ以外は「若者の青春小説」として読めます。とぼけた文章も冴えていると思いました。 文庫版が出ましたし、以前より廉価で読めるので現代文学に興味のある方におすすめです。 | ||||
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森見節満載!! 森見作品の主人公らしく冴えない、卑屈、ヘタレな学生なのですが何故か憎めない人。 何故憎めないのか、何故好きなのか? 森見作品全てに通じるのですが主人公が不器用であほでヘタレで失敗ばかりだけど一生懸命だからではないでしょうか? この作品でも「恋文の技術」成るものを会得し世の中の女性を恋文だけで籠絡するという阿呆な野望をもった主人公、守田一郎 文通修行と称して手紙を書きまくるが本当に想いを届けたい人には見栄を張り嘘ばかり書いたり、アホ丸出しの奇妙な手紙を書いたりでホントカッコ悪い・・・だけど一生懸命で応援したくなりました。 | ||||
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主人公は、就職を控えた大学院生。京都から遠く離れた研究所に飛ばされています。 社会に出るのを先延ばしにしたいが為になんとなく大学院に進んだ彼は自分の専門分野にさしたる興味も持てず、 どんな仕事をしたいのかもわからず、将来について漠然とした不安を抱えています。 彼には意中の女性がいます。彼女は大学の同回生でしたが、主人公とは違いきっぱりと進路を決めて大学卒業後すぐに就職。 そんな彼女に引け目を感じ、彼はなかなか思いを伝えることができないでいます。 意中の女性、そして社会に対して彼の抱いている不安は「自分は彼女/彼等に必要とされるだけの価値のある人間なんだろうか?」というものです。 この小説は、そんな主人公が「意中の女性」以外の友人や先輩や家族といった面々に宛てて書散らした手紙、という形をとって進行します。 その量と内容のくだらなさ(爆笑もの)たるや凄まじく、書くことで自分の抱える不安をなんとか紛らわそうという強迫観念めいたものを感じてしまいます。 彼は手紙の中でコミカルに世間を罵り恋愛を呪ったかと思えば、自分のふがいなさを嘲笑してみせたりもします。 そして、肝心の彼女にはいつまでたっても手紙を出すことができません。 そんな中、文通相手のひとりである主人公の妹が指摘します。 「みんながお兄ちゃんの手紙にこたえて、手紙を書いてくれるっていうのは、とてもすごいことではありませんか。 それをお兄ちゃんはすごいことだと思わないんですか?ありがたいことだとわかってるんですか?」 唐突ですが、ブライアン・イーノの日記を本にまとめた [[ASIN:4891945532 ブライアン・イーノ A year] にこんなくだりがあります。 イーノ氏が旅行先のエジプトで、バスに乗っているときのこと。 「男の子が自転車に乗って猛スピードで併走し、繰り返し叫ぶ。 ”ぼくはここ” 人類の中心的かつ唯一のメッセージかもしれない。」 主人公がひたすら手紙を書きまくるのも、「ぼくはここ」と叫んでいるようなものなのでしょうか。 友人宛てのある手紙に、彼はこう書きます。 「ここにいる!守田一郎はここにいる!」 そしてそれに応えてくれる人がいる、それ自体がすごい事。 コミュニケーションの内容(そしてその価値)ではなく、コミュニケーション自体の喜びを描いたのがこの小説だ、とも言えるかもしれません。 内容や価値ではなく、まずつながろうとすること。 終盤、手紙に関してとても美しいイメージが登場します。 「・・・風船に結ばれて空に浮かぶ手紙こそ、究極の手紙だと思うようになりました。 伝えなければいけない用件なんか何も書いてない。ただなんとなく、相手とつながりたがっている言葉だけが、ポツンと空に浮かんでいる。 この世で一番美しい手紙というのは、そういうものではなかろうかと考えたのです」 森見氏はあとがきを読むかぎりでは携帯や電子メールにはあまり好意的な印象をもっていないみたいですが、 (そして自分もそういうものに対する苦手意識は強い方だったりするのですが) それでもこの本を読んだあとでは、たとえばツイッターの何気ないつぶやきも 「ただなんとなく、相手とつながりたがっている言葉」 なんだと捉えることができる気も、またするのです。 | ||||
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相変わらずの森見節が回りくどくてウザいと思えば読めないと思うが、言葉の面白さを感じられるなら楽しく読めると思う。全て手紙によって構成されている青春小説。このごろは年賀状くらいしか書いてないが、かつて好きな子と文通をしていたころの淡い気持ちを思い出した。 | ||||
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独特の文体によって冒頭から作者の世界に引きずりこまれる。 ところどころ妙にリアルさを感じたりもするけれどその実とても現実離れしている。 なにか違和感を感じさせる。パラレルワールドをみているような感じです。 つまるところ作者の他の作品と変わらない景色が広がっています。 全て守田くんが書いた手紙でありながら他の登場人物も生き生きと 思い描けるあたりは実に素晴らしい。 「教訓を求めるな」とは文中の言葉ですが、実際特別得るものはない気がする(失礼)。 その意味で読書から常に実益を求める人には向かないかもしれません。 時々ニヤリとしながら読み進め、読み終わるとなんとなく気持ちが軽くなっている。 そしてなんとなく、手紙を書いてみたくなる。 そんな小説です。 | ||||
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文庫化されている森見さんの作品はほぼ読みました。作風にブレがなく新しい驚きはないけれども、安定感は抜群です。 性懲りもなくダメ大学(院)生と、黒髪の乙女が出てきますが、もうお家芸というか、一つの確立したスタイルなんだなーと思います。 むしろ同じようなキャラクターで何度も同じ手法でよく違う小説が書けるものと感心してしまいます。 舞台が能登半島ということで、金沢出身ですが親近感がわいて楽しく読めました。 四畳半神話体系のときの「魚肉ハンバーグ」が「天狗ハム」に取って代わられていましたw 夜は短し〜が女の子小説であるのに対し、恋文の技術は主人公の年齢が高いからか男の子よりです。 おしゃれ感も薄め。 いろいろな登場人物が出てくるので森見作品に詳しい方はより楽しく、そうでない方はそれなりに楽しめる本だと思います。 | ||||
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本編は主人公の手紙の中身でほとんど占められているのですが。 主人公の反応や応答の仕方から相手からどんな手紙が来てるのか大体想像できてしまうのが面白いです。 友人には基本的に厳しく、妹には偉そうに、家庭教師のバイトで知り合った子供には優しく、知り合いの作家には冷たく、先輩の美人性悪女には牽制する感じで手紙を書いていくのですが、主人公がどの相手のことも凄く大切に思っているということがよく分かるのです。 森見作品特有のへんてこりんなドタバタした馬鹿らしい事件も手紙を通して読むと重大なことのように見えて笑えます。 そして終盤はしんみり、さわやかな読後感を味わうことができます。 多くの人に手にとって欲しい作品です。 | ||||
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個人的な森見作品の評価としては、 彼の作品を読んで何かを得るということはない(不思議と、何かを得たような気持にはなるが)。 しかし、面白いしあたたかい気持ちになる。 なので、1秒たりとも人生に無駄な時間のない人は読むべきではないが、 何となく時間を持て余しているという人は是非読んでみるとよいかと思います。 この本では、(自分が読んだ中では)今までになく、手紙で話が進んでいくという不思議な設定ですが、 読み進めるのに苦労を強いられることはなく、ひたすらに守田一郎の破天荒さに乗っかって読んでいけます。 読み終わった後は、何となくすっきりした気持ちになり、これから自分も頑張るか!と、何となくそんな気にさせてくれるものでした。 | ||||
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私は「夜は短し歩けよ乙女」で初めて森見登美彦を読みましたが、文章が独特で読むのに難儀しました。 入り込めればそれ程でもないのですが、最初がなかなか…。 これは手紙形式なのでストーリーを追っていく必要もそれ程なく、森見登美彦の文章表現にのみ没頭できるので、とても読みやすかった! そしてとても面白かった! 森見登美彦という作家が気になっている方、これから始めると入っていきやすいかと思いますよ! 私は通勤途中の電車の中で人目も気にせず、気持ちよく笑いました。 オススメします。 | ||||
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この著者の本を初めて読みました。同世代なので期待して購入してみたのですが、 好みではありませんでした。 申し訳ありませんが、最近のアニメのような「アニメマニアが作るアニメで結局面白くないアニメ」のような、 「小説マニアが作る小説」のような印象がありました。 ここでやっていることは散々先人たちがやっているし、 笑いのポイントもあいませんでした。 私のセンスが古いからだとは思うのですが。 でもファンが多くいるのはよくわかります。 ファンは凄く面白く読むことでしょう。若い人にはいいのかな。 知人がこの主人公と同じ大学で非常に良く似た環境にあるのですが、発想が似ていて、 色々リアルでした。そこの描写は面白かったです。 まず書店で手にとって見て、ご自身の好みに合うか確認してから 購入することをおすすめします。 | ||||
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主人公の守田一郎はうだつの上がらない大学院生。大学教授の命令により、京都の大学から能登の研究所に移ることになり、能登から京都の大事な(口には出さないが)友人達への文通がはじまる。書簡体形式を用いて、主人公守田一郎の視点で奇妙な友人達(友人の中には森見登美彦さんも登場する)の動向や、守田一郎のひねくれた想いが手紙に綴られる。 守田一郎は男そのものだと思う。それはもちろん一本気だとか、言葉に二言はない、とか逞しい容貌ということではない。シャイで手紙の中でしか強くない、小狡い、いやらしい、さびしがりや、意外と真面目、無駄にプライドが高い、とにかく不器用。こういうところが男だと思う。 恋文代筆のベンチャー企業を立ち上げるためだ と煙をまかないと、文通すらできない。なんとも男らしい。 いざ文通しても、相手が男女問わず、結局言葉の悪ふざけに終始し本当の気持ちを伝えられない。この悪ふざけ・パロディが本書の魅力で一定以上の年齢の方は読んでいてクスクス笑いが止まらないだろう。いたるところに盛り込まれている悪ふざけ・パロディは森見登美彦さんが腕によりをかけて読者にサービスしてくれたものだ。阿呆の手紙なので、難しい顔をせずに阿呆になって楽しむべきだ。手紙毎に趣向を凝らした署名、宛て名も堪能すべき。 しかし、いざ本音を手紙で語る必要が出たとき男守田一郎は懊悩を深める 何遍も何遍も恋文を書いては破き、書いては破いているうちに、俺は文章というものが何なのか分からなくなってきました。「文章を書く」という行為には、たくさんの罠がひそんでいる。俺たちは自分の想いを伝えるために文章を書くというように言われます。だがしかし、そこに現れた文字の並びは、本当に俺の想いなのか?そんなことを、誰がどうやって保証するのか。書いた当人だって保証できるかどうか分からない。自分の書いた文章に騙されているだけかもしれない。じいっと考えては書き考えては書きしていると、不思議でならなくなってくるのです。自分の想いを文章に託しているのか、それとも書いた文章によって想いを捏造しているのか。 本音を伝えることの恥ずかしさや、気持ちを受け入れてもらえ無かったらどうしようという男の情けなさ。けれど、このあたりから手紙に透明感が増し読む私達はいじらしい気持ちになる。「いじらしい気持ち」、この複雑な感情を正しく表現することは携帯メールで可能だろうか。長文や、何通もの携帯メールを重ねれば可能かもしれないが、それは野暮だ。 紙と黒いインクしか用いることが出来ない、情報伝達の手段としては極めて貧弱な手紙こそがこそばゆいような、いじらしい気持ちを伝えるには最適なのだろう。何より、想像力を喚起する力に優れている。 すべての手紙を読み終えたとき、手紙に登場した人物達全員が愛おしく、自分の過去の分身達のように思えた。メール一本で事足りることを筆やペンを動かし、数十分と配達時間プラス送料を使って好きな人達に気持ち伝える。当たり前のことだけど、実はかけがえの無い大事な時間の使い方なのかもしれない。 | ||||
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相変わらず阿呆大学生、大学院生を書かせたら、当世随一の作者が、書簡集形式で書いたコメディ小説。駄目大学院生、守田一郎はやる気のなさから能登の海洋研究所の「鬼軍曹」のもとへ修行?にだされる。寂しさから、友人や先輩、妹、元家庭教師の教え子に手紙を書くのだが、一方的な主人公の手紙でありながら、まるで群像劇のようにストーリが浮かび上がり、また守田と小松崎の阿呆コンビの所行や悪魔のような先輩、大塚や研究所の鬼軍曹、谷口などキャラがたっていて引き込まれた。また、教え子、まみやに先生ぶって各手紙が一番、まともで慈愛に満ちており感心した。最後に思い人に当てた手紙があらすじになってしまったことや、顛末が示されていないことなどやや消化不良だが、相変わらず自分のスタイルを突き進む作者に拍手! | ||||
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久しぶりに読んだ本が森見登美彦さんのコレ。 携帯電話やパソコンが普及する中、わざわざ"書く"という手間をかけ、 手紙を出す。 自分はダメな人間だ。 例えば、あなたがそう思っていたとして、 携帯電話やパソコンでMailを送ったらどうだろう。 きっと中には無視する人もいるかもしれない。 だけど、手紙なら時間がかかっても 返事が来るような気がしない? 主人公の守田一郎が、大好きな伊吹夏子さんに宛てた手紙の中で、手紙の楽しさをこのように綴っている。 『相手に話しかけるように手紙を書いていく楽しさ、 相手の返事を待っている間の楽しさ、 いざ返事が届いて封筒を開けるときの楽しさ、 手紙を何度も読み返す楽しさ。』 多少省略してるけど、 これを読んだ時に「ああ、そうか!」って素直に感心した。 わたしも昔は良く手紙を書いてました。 家族、友達、好きな人、学校の先生。 けど、いつからか文字を書くことが面倒になってた。 この本を読んで、手紙の温かみを思い出しました。 わたしも友達や家族、好きな人に手紙を書こう。 内容は何でも良い。 感謝の気持ちを伝えたい。 手紙で。 (これって、レビュー?笑) | ||||
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あまりに珍妙で突拍子もない展開に笑わされ、 あまりに綺麗すぎるオチにスカッとする。 この感覚は落語に近いものがある。 著者の本はよく知っている。 古風な言い回しを多用し、男の情けない部分を描かせてクスリと笑わせる。 著者自身も作中で指摘していたが、 ご都合展開過ぎる、というくらい現実を無視したストーリーやキャラ。 「恋文の技術」でもそれらの特徴は如何なく発揮され、 しかもなんだか今回は冴えわたってるな、と思わず呻りたくなるほど見事な文章。 物語の7割くらいが無駄でできていて、その無駄があまりに面白い。 そしてこの小説の最大の特徴は書簡体小説だということ。 筆者は夏目漱石の書簡体小説に影響を受けたらしいが、 私は文学素人なので、それがどのようなものかは解らない。 しかし、感覚的には太宰治の「人間失格」の明るいバージョンみたいな感じだった。 人間失格は根暗な男の手記を読んで物語を追っていく感じだったが、 この小説の主人公はひねくれてはいるが、優しくて面白いヤツなので好感を持てる。身近に感じる。 しかもこの手紙は読者に向けられたものではなく、あくまで主人公の知人親類に贈られたものである。 書簡体小説とはそもそもそういうものなのだろうが、 本来なら手紙で物語を読ますというと、読者に語りかけるような形で共感させ、物語の世界に引き込ませるのだが、 この小説はあくまで他人事。苦労したり嵌められたりしている主人公を見世物のように観察して笑うのだ。 この点がこの小説の面白さを格段に上昇させている。最初は他人事。書簡体で他人の不幸を見せつけ、四苦八苦する姿に感動させ、共感させる。 そして最後には主人公の恋愛成就を応援している。他人事ではなくなっている。 この読者の小説に対する姿勢を操る筆者の筆力はやはりすごい。 森見先生の作品にはそんな力がある。 恋文の技術はそれを再確認できる作品だった。 | ||||
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最初から最後まで、 ずっとクスクス笑いながら 読ませていただきました。 文通は、私も学生時代に しかも、恋文だったのですが、 ここまで、表現豊かな文章は 書けていませんでした。反省。。。 文体や文調がバラエティに富んでいて、 面白いだけでなく、著者自身をまるで、 第三者が見ているかのように、登場させており、 且つ、変に目立たせていないのもヨカッタです。 著者の本は 今作が初めてだったのですが、 早速、数冊購入してしまいました。 そちらも、楽しく、読ませていただきたいと思います(笑顔) | ||||
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京都の大学から能登へと飛ばされた大学院生。 退屈を紛らわせるために、かつての仲間に手紙を書き綴る。 マシュマロのような友人の恋の相談にのり、傍若無人な女性の先輩にもてあそばれ、家庭教師時代の教え子に格好を付け、先輩の作家・森見登美彦氏に女性を籠絡できる恋文の書き方を教わろうとし…… 主人公が書く手紙を並べた書簡体小説。 手紙を出す相手が変わる度に、主人公の周りの人たちとの関係が次第に浮かび上がって、そこかしこに「くすぐり」を入れて、失敗書簡集で一気に笑わせる。 巧みで、面白い小説だと思いました。 あぁ、楽しかった。 | ||||
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文通という懐かしくもあんまはやりそうもない手紙の往還を通して大学院生と取巻く人たちとの心の交流?を楽しむことができます 最初は主人公が相手に送った手紙だけが載っているので、視点がそこだけになってしまっていますが、順々に読んでいくうちに 相手から主人公、 『相手同士』と視点が切り替わる手紙のやり取りが見られるようになり、此処とあそこがつながっているのだな とニヤリとさせてくれます。 | ||||
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森見作品ではお馴染みのキャラ造詣、冴えない大学院生の書簡集です。 森見作品なので相変わらずきっぱりした起承転結は存在せず、山も谷も低く浅く、うだうだと一冊終わります。 なのにそれが面白い。 書簡集は森見さんに合った形式なんだなあと思いました。これを普通に一人称で書かれても、たいしたエピソードも無く、ページ数水増しの為妙なファンタジー成分や要らないキャラを足さなくてはいけなくなったかも知れません。でもこれは書簡集。手紙の相手先を変える事で何度も同じエピソードを語れるし、深みも出る。 森見さんの文章をとても楽しめました。満足してます。現在文庫になっている森見作品の中では、ベスト1かな… | ||||
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09年03月の単行本の文庫化です.『書簡形式』と呼ばれる手紙のかたちで進む物語で, とある地方へと飛ばされた大学院生が,そのストレス解消に文通をはじめるというもの. 悪友や先輩に小学生,そしてまさかの『あの人』までをも相手に手紙を送る様子が描かれ, 手紙の中だけながら,その地方やファンにはおなじみの京都の美しい景色も多く登場します. まず特徴的なのは,収められている手紙が大学院生のものばかりということでしょうか. 相手から返信があったことはわかるものの,その文面が作中に出てくることはありません. それでも青年が返す内容から,今どうなっているのかを想像できるのがうまくておもしろく, 独白にも似たこの『一方通行』の方法が,著者の独特の言い回しをさらに引き立たせています. また,同じできごとのはずなのに視点や立ち位置の差からか微妙に言うことが違っていたり, ある相手とのやり取りではわからなかった状況が,別の相手とのやり取りでハッキリするなど, あちらもこちらもウソやミエ,いろいろな思惑が入り交る攻防(?)は楽しみどころになります. 物語が収束へと向かう終盤の流れは,高揚感も手伝ってそれまでとはまた違う魅力があり, 思い人への恋文を綴り,自分を見つめ直す青年の姿は不器用ながらも純朴で印象に残ります. これ以外にも小学生との手紙では,相手が子供でも大人のように尊重して接する様子が暖かく, このあたりは,著者の後の作品でもある『ペンギン・ハイウェイ』に通じるものが感じられます. 気になるところが語られずに終わった感もありますが,それらは『手紙の外』で起きること. あれこれと『その後』にイメージを膨らませ,余韻を楽しむというのがよいのかもしれません. なお,加筆や修正についての記述はありませんでしたが,新たにあとがきが加えられています. | ||||
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09年03月の単行本の文庫化です.『書簡形式』と呼ばれる手紙のかたちで進む物語で, とある地方へと飛ばされた大学院生が,そのストレス解消に文通をはじめるというもの. 悪友や先輩に小学生,そしてまさかの『あの人』までをも相手に手紙を送る様子が描かれ, 手紙の中だけながら,その地方やファンにはおなじみの京都の美しい景色も多く登場します. まず特徴的なのは,収められている手紙が大学院生のものばかりということでしょうか. 相手から返信があったことはわかるものの,その文面が作中に出てくることはありません. それでも青年が返す内容から,今どうなっているのかを想像できるのがうまくておもしろく, 独白にも似たこの『一方通行』の方法が,著者の独特の言い回しをさらに引き立たせています. また,同じできごとのはずなのに視点や立ち位置の差からか微妙に言うことが違っていたり, ある相手とのやり取りではわからなかった状況が,別の相手とのやり取りでハッキリするなど, あちらもこちらもウソやミエ,いろいろな思惑が入り交る攻防(?)は楽しみどころになります. 物語が収束へと向かう終盤の流れは,高揚感も手伝ってそれまでとはまた違う魅力があり, 思い人への恋文を綴り,自分を見つめ直す青年の姿は不器用ながらも純朴で印象に残ります. これ以外にも小学生との手紙では,相手が子供でも大人のように尊重して接する様子が暖かく, このあたりは,著者の後の作品でもある『ペンギン・ハイウェイ』に通じるものが感じられます. 気になるところが語られずに終わった感もありますが,それらは『手紙の外』で起きること. あれこれと『その後』にイメージを膨らませ,余韻を楽しむというのがよいのかもしれません. なお,加筆や修正についての記述はありませんでしたが,新たにあとがきが加えられています. | ||||
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