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桜ほうさら
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桜ほうさらの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 41~45 3/3ページ
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おもしろかったかと言われればおもしろかったし、買ってよかったかと言われれば買ってよかったけど、どうにも結末が気に入らない。 人生長く生きていると、悪い奴がおめおめ生き延びるということがよくあることだとは十分過ぎるほど知っているけれど、せめて本の中では徹底的に成敗して欲しいというもんだ。 確かに家族でもウマが合わない人もいることはあるよね。みんなが皆いつも仲良しというわけじゃない。 でも、この結末では笙之介は真実を知ったけど、父の汚名は晴らせなかったじゃない。それが肝心なことじゃないの。 笙之助が真実を知っているのだから、穏やかな父上はそれ以上のことは「まあよい」とでもおっしゃるのかも知れないが、私は収まらない。悪党を徹底的にやっつけろ! 私の父も笙之助の父のように穏やかな人だった。 そして、そういう父を私は軽く見ていた。何様でもなかったくせに。 父の死の直前に爪がなく傷跡だらけの手に触って初めて「私はこの手で育てられた」と実感した。もう遅すぎたけどね。 だからだろうか、笙之介の父の汚名はすっきりと晴らして欲しいし、みんなにも知って欲しい。そうでないと無惨すぎる。笙之介がいなかったら気の毒すぎる人生だった。 それと、他人の手跡を完璧に偽装するなんて不可能だと思うけど、まぁその点は小説だからよしとしても、字はその人の人生、性格を表すものであり、他人の手跡をまねるのはその人になりきることとあったように思う。でも見つかった偽装犯は性格がすっかりねじ曲がっているだけで、「その人になりきる」なんて殊勝なところはみじんも見られない。 宮部さん、これ、どう落とし前をつけるんだろう。 まあ、『あんじゅう』ほどは心を揺さぶられないものの、自分というものを心から反省させられ、父を思い出させてくれた良い本だと思う。 | ||||
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宮部みゆきの時代小説の新作は、とある小藩の武士・笙之介のとある事件から始まる江戸での生活・成長を、 実に心温かき人々の交流を通じ、描いて行く。 現代の私達もスッとはいっていけるような何気ない場面・会話を重ねるうち、次第に見えてくる全体の構図、 そして、終盤では完全にそっちの世界の誰かになって、喜怒哀楽全開で作品に浸っている。 正に宮部ワールドの真骨頂、迷わず買いの一言に尽きる。 | ||||
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どないするねん? 次の春は、一緒に桜を見るだけで・・ええのんか? なんも、云う事ないんか? | ||||
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主人公の心の成長を丁寧に 時代背景と周囲の人々の心模様 みごとにかききった作品です。 一読後、もういちど、違う視点でで読みなおせる ひとつぶでにどおいしい・・みたいな読後感です。 | ||||
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宮部さんの時代小説は、ほんと間違いない。面白さてっぱんである。 とある小藩の若い侍、古橋笙之介は、父の切腹をめぐる事件を機に江戸へ出、江戸留守居役・坂崎から密命を受ける。 それは、藩の裏に横たわる陰謀を探ると同時に、切腹させられた父の事件の真相を暴き、父の汚名をそそぐことでもあった。 深川の片隅、桜の見える堀割長屋に身を置いた笙之介は、父への想いを胸に抱きながら、様々な出来事を体験してゆく。 そして、最終章で見えてくる父の事件の真の姿。その驚きの真相とは・・・。 いくつかのサイドストーリーを通じて、長屋の人々や町人たちと触れあいながら、成長してゆく笙之介。 そんな主人公の姿を織り込みながら、メインのストーリーが少しずつ展開し、最後に姿を現す劇的な真実。 いつもながらの平易で読みやすくテンポの良い文章。どんな脇役も生き生きと立ち上がってくる人物描写。 小粋なサイドストーリーを絡めながらメインの物語を展開してゆく巧みなプロット。 全編に溢れる温かな人情味と江戸情緒。そして、主人公の恋物語の切なさ。もはや、名人芸である。 相変わらず登場する人は良い人ばかり。特に笙之介と治兵衛さんは、ちょっと人を信じすぎではないかなあ、とも思ったりする。 また、主人公の恋物語の相手・和香の抱える問題についても、「現実はこんな風にはいかないだろう」と思う所も正直ある。 しかしこの小説の中は、「こうあった方がより良いな」という世界を、素直に楽しむことが大切じゃないだろうかと思うのだ。 この美しく温かい人情をたっぷり受け取って、明日からまた厳しい現実の中で生きてゆく自分たちの、心の滋養にすれば良いのだ。 それが、宮部さんの小説の力だし、魅力なのだと思う。 さらに加えれば、良い人ばかりだからこそ、たまさか出てくる悪い者の心に抱える闇が、強く浮き彫りにされるとも言えると思う。 物語自体はいつもの宮部さん、心地良いけど新味はないかなあ、と思って読んでいたら、ラスト約20ページはちょっと驚いた。 宮部さんの時代物にはそんなにない展開だと思う。そこからラストまでが、泣けた。特に笙之介と和香のくだり――。 この、とても美味しいものをたっぷり食べた後のような読後感。宮部さんの時代小説は、ほんと間違いないのである。 | ||||
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