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ロスト・ケア
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ロスト・ケアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全137件 101~120 6/7ページ
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介護・・・それは今、この国の大きな問題点です。 もしも私自身が介護をする立場になったなら、とても1人では背負いきれません。 だからこの主題には共感を覚える箇所が多々ありました。 殺人を肯定するわけにはいきませんが、かといって家族間介護を前面支持するわけにもいきません。 高齢者の親を抱えている方、一読をお勧めします。 深く考えさせられること間違いなしです。 | ||||
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介護の現場で悲鳴をあげるヘルパーや家族の実態を描きながら、豊かといわれる日本社会の歪みを知らしめる社会派ミステリ。 戦後に発生した連続殺人事件としては最多となる43人の人間を殺害した「彼」。「自らがして欲しいことを人にせよ」という聖書の黄金率に従って行動を起こした「彼」の決意と覚悟が生々しく描かれており惹き込まれた。 介護業界の問題や日本の人口問題に焦点をあてながら、いかに今の日本社会が大きな問題を抱えているかが具体的に示されていたのがよかった。 ・金をもらわず、無欲無私で他人の尻を拭ける人間がどれだけいると思っているのか ・介護で金儲けなんて言語道断、無欲無私の精神などというメディアが一方的に流す想像力を書いた良識が介護に関わる人間を追い詰める ・介護と仕事の両立ができず、まともに三食たべられないにも関わらず、生活保護が受けられない現実 ミステリ的な要素は少なく、社会問題をメインとした小説だったが、今の日本社会にぽっかりと空いた穴を的確についている良書だと思った。多くの人が介護について考えさせられる一冊。 | ||||
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《彼》(=犯人)は、要介護度の大きな老人を、本人の人間性と介護に疲弊している家族を救うためとして、次々に毒殺します。その事件の推移と、事件に関して犯人や犯行を発見して起訴する検事の心情を綴った物語です。 この国の出生数が減り、そのために人口構成がいびつになって、財政と社会保障の問題が耐えられない大きさになるということは、前から分かっていたことだというくだりが何度も話の中に出てきます。確かに、事ここに至っては、最早手遅れという感があり、政治家の不作為が悔やまれますが、ポピュリストばかりなのは、国民のデキのせいでもありますから、仕方がありません。その、”前から分かっていた・・・”に潜んでいる情けなさや無力感に強く共感しました。 他方、上記の検事は、倫理や法の根本を、人間が生来持っている善を欲する心に求めますが、これには同意できませんでした。そういう心がなぜあるのかを、信仰ではなく論理で説明しなければ、話が浅くなってしまいます。 一点、若干の引っ掛けがあるのみで、ミステリ的な意外感、驚きというのは少ないのですが、これから日本が否応なく向かい合わなければならない極めて厳しい現実を、リアルに描いています。”とても面白かった”と言うと不謹慎なようで適当な褒め言葉とは思えませんが、読後の満足感がある作品でした。 | ||||
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現代の日本が冒されている病魔の如き課題を背景に描かれた社会派ミステリー。デビュー作とは思えないほどの見事な構成とストーリー展開に驚いた。 四十三人を殺害した戦後最悪の凶悪犯、『彼』に降された死刑判決で幕を開けた物語は『彼』に関わった人びとの視点で目まぐるしく動き出す。そして、介護現場の実情、認知症問題、高齢者を狙った振り込め詐欺、麻薬問題、原発問題などを背景に『彼』が殺人を犯すに至った理由と過程、『彼』の正体を少しずつ明かして行く形でミステリーが展開する。 ある事をきっかけに検事の大友秀樹が『彼』を追い詰める事になるのだが、その辺りが一つの山場で、展開が非常に面白い。 | ||||
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「絶叫」がそこそこ面白かったので、 これも読んでみた。 2007年のコムスン事件を下地に、 高齢化・介護問題・尊厳死をテーマにしている。 この物語では、その訪問介護サービス会社の行政処分が行なわれる時期に前後して、43件の殺人事件が起き、その犯人と、犯行の理由の部分がミステリーとして付加されている。 社会問題をテーマに、「物語」として読ませる為の演出として、ミステリーを使っているような感じ。 ミステリーとしての謎解き自体には、特別ユニークだったり、優れていたりということは無いが、 こう言ったシリアスなテーマを選びつつも、 ストーリーを面白く仕立てるのが上手いと思う。 当時のニュースも、単に企業に不正が有った事として思っていたし、折口会長の派手な生活がワイドショーで取り沙汰されていた事の方が記憶に残っている。 介護などの社会問題も、私には直面して無いこともあり、どこか他人事であった。 しかしこの本では、数人の登場人物それぞれのストーリが順に進行し、それぞれの話の展開自体もドラマチックで有りつつ、最後にどのように関わっていくのかが気になり、さらに読み進めさせられる。 高齢化・介護問題の事も、具体的な社会問題として意識させられた。 もう一つというところは、 犯人の自白で解決がある部分や、このテーマ自体が解決できない社会問題なので、解決出来ないモヤモヤが残る(「なぜ人を殺してはいけないのか?」に明確な回答は無いという事)。 二つ目については、考えるきっかけを与えられたという事かもしれない。 今まで興味が湧かなかったモブ・ノリオや、 この参考資料の「愛なき国 介護の人材が逃げていく」読んでみようか。 | ||||
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本自体がちょっと古いものです。中身は何度も読み直していますが社会は大変な老人社会になろうとしています。人ごとではない 死に方が問われていて深く考えさせれられます。一度お読みください。 | ||||
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犯人が誰かとか、手段は何かなどより、今の福祉の問題を付いている。福祉とは二文字とも幸せという意味だが、誰にでも与えられるようにみえて、実は恩恵を受けられる人は行政によって選別されている。つまり切り捨てられている人がいる。そういう切り捨てられた人達に対してのロストケア。肯定はもちろんできないが、今もどこかで見捨てられている人がいる。そういう福祉の現実を思い起こすことがてきた。 | ||||
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日本ミステリー文学大賞新人賞受賞の話題の作品。 次作の「絶叫」がかなり評判が良いのでデビュー作が気になりチェックしてみました。 テーマは介護福祉。 それを介した「なぜ人を殺してはいけないのか」に鋭く迫る痛切な社会制度批判が表現されていた。 この作品は危険だ。 安易に触れてしまうと自分の中の倫理観や道徳心が揺らぎ、 歪みが生じてしまう人が多いのではないでしょうか。 特に救いのためなら法は許さずとも人を殺してもよい、 という犯人の主張が説得力がありすぎて、 それを覆す論理が表現されないままに完結してしまっているところが危ない。 最後は殺人はしてはならないという結論に達して欲しかったところだが、 今の社会では殺人も享受しなければならないのが現状か。。。 震災のことも描写されていたが、あれは本編とのつながりがよく分からなかったのでいらなかったと思う。 ミステリーの要素は薄いが、作品としてはなかなか考えさせられるものがあった。 | ||||
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拡がる格差、福祉行政の穴を抉った哀しい物語。荒唐無稽の ひとことでは片づけられないものがある。犯罪を憎む気持ちの一方で、犯人の心情に寄り添う自分がいる。素晴らしい作品に出会えた喜びでいっぱいである。 | ||||
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高齢者に関わる者の現代事情、 そして介護側、要介護側の感じ方考え方や、 そういったものを対岸の火事としてしか 捉えられず、官僚や政治かさながらに 机上でしか考えてない者達の滑稽さ等、 介護に関わることがかなりリアルに シビアに書かれていると思います。 そんなポイントを抑えながらのミステリー というか、エンタテインメントに仕上がって いるので、良作だと思えます。 | ||||
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フー・ダニットのミステリとしては、読者にだけ分かる形で明らかに犯人らしい人物が登場するため、 作者がこれをどうひっくり返すのかという点に興味が絞られます。 作者が用意しているどんでん返しは、それなりに驚きを伴うものですが、一言で言うとアンフェアです。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、外見によるミスディレクションが強すぎます。ネタを明かされても、「それはないでしょう」というのが率直な思いです。 統計的な手法で犯人像に迫っていく過程はオリジナリティはあると思いますが、読み進めるにはやや退屈です。 介護、振り込め詐欺などの社会問題の取り上げ方については、レビュアーの皆さんの意見が分かれているようです。当レビュー子は、このタイプのエンターテイメントをどちからかというと評価しています。たとえ断片的・類型的・表面的であったとしても、社会問題を下敷きにした小説は読み進めやすいというのが、中年サラリーマンとしての感想です。この点で、この作品も一定の評価ができる思います。 文章については厳しい意見もありますが、一文一文が短く、割と読み進めやすいように思いました。ただ、節(誰の目で書いているかの変わり目)の冒頭に、「日付変わって、午前〇時〇分。」といった記述が何度か出てきますが、なんだかテレビの安っぽいドキュメンタリーのナレーションのようで、いかがかと思います。 それから、新約聖書の引用が冒頭(序章の前)から終わり(終章)まで随所に出てきますが、これが果たして効果的かどうか疑問があります。作品に厚みや重みを持たせることには繋がっていないと思いますし、作品中の犯罪のモチーフになっているという訳でもなく、取って付けたような感じです。 また、エンディングがぼやけた感じの記述で、主人公の思いがよく伝わってきません。結局、検事としてこれだけの事件を経験しながら、暗い未来の到来に対する諦観にとどまるということなのでしょうか。 全体として、社会派エンターテイメントとしては、オリジナリティのある、新人賞受賞にふさわしいレベルの作品だと思います。 | ||||
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ミステリーとしては二流かもですが、 問題提起というか、安全地帯でのうのうとしている、だからこそ正義でいられる所謂「勝ち組」にたいする嫌味としては一級品ですな。。。 性善説を信じられるのは恵まれているからwww 貧すれば鈍す人間を山ほど見てきた身にはいまさら・・・って思いつつ、 アマゾン中古で送料いれて750円じゃ申し訳ない読み応えでした。 しつこいようですが、ミステリーを期待して読むとがっかりしますらねー | ||||
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殺人者は何故、殺人をしたのか。 繰り返し、介護の現場の現実が語られ、老人福祉制度の「いびつさ」が解説され、 哀しみ苦しさが増してきます。 でもそれだけです。 何も面白くないし、気持ちの悪い作品だと思いました。 そのうえ中学生が書いたかと思うようなつたない文章だから読みにくい。 とにかくひどい作品だと思います。 | ||||
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私事ですが、離れて暮らす実家の父が認知症を発症したと知らせを受けました。 慌てて駆けつけたのですが、母にあれこれと叱責をされつつ日常生活をなんとか送る様を目の当たりにした自分としては、この小説の中で綴られる状況は、あまりに迫真の部分があり過ぎて、正直読むのがツラい部分はありました。 「この社会には、大きな穴が空いている」 冒頭には、稀代の大量殺人者として裁かれる<彼>にまつわる周囲の人達が描かれ、そこから紐解く形での高齢者医療や介護での過酷さ・またそれに携わる労働者らの待遇の悪さなどが、淡々と綴られていきます。取材したのが数年前という事で、当時は大きな話題となった介護の大手『コムスン』の破綻も題材として取り込まれています。 この、『介護』と『ビジネス』は並び立つ概念か、を作中では登場人物の目線を通して自問する場面もあります。 私が思うに、これらの状況は社会のあちこちに、"穴"どころか『地雷』が埋まっているような物だと思います。 比喩で『地雷を踏む』とは、現在は“その人やコミュニティでの逆鱗にうっかり触れる”事を指しますが、対人兵器としての地雷は「死ぬほどでは無いものの満足に働けない人間を増やし、結果的にその国の国力を削ぎ、社会負担を増やす」という製作意図があると聞きました。ゆえに、地雷はしばしば『悪魔の兵器』とも呼ばれます。 かつ、総人口のうち1/3ほどが高齢者・つまり「社会にとっての負担」となる現在の日本の社会で、それの世話に費やされる労力は、果たして景気その他の経済活動という点ではプラスなのか…何よりも、「それに“仕事”として携わる者自身が、幸福になれるのか?」という命題は、本作で重く突きつけられます。 この文脈を踏まえ、作中では「オレオレ詐欺グループ」の情景(また、そういうグループに名簿を横流しする介護職員の実態)が描かれていますが、当事者の「後生大事に眠らせている老人らの富を、俺達は社会に還流しているんだ」という嘯(うそぶ)きを、完全に否定する事ができない自分にふと気付いた時には、ハッとしました。 それ以外でも法の整備が追いつかない部分として、日本では「安楽死」が認められていません。”胃ろう”ほか延命医療に関しては熱心でも、「当人(あるいは代理人)の意思で、これ以上ムダに生き永らえたくない」と表明された場合への、社会的合意としての対処ができない事態です(もし仮に、医師が手を貸して命を絶てば、それは「殺人罪」に問われます)。 この点でも、「生=幸福・死=不幸」という単純な図式では割り切れない部分が残る事にもまた、本著では触れられています。 長々ととりとめも無く書いてしまいましたが、本著には平成の日本の社会が抱える色々な問題がコンパクトにまとまった形で提示されていますので、介護する側・される側を問わず一度はぜひ通読してほしい本だと思います。 | ||||
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ミステリーとしては星3つ 現代日本の抱える問題点、介護のあり方としては星4つ 何も殺人をおかしてまで・・・・?星2つ USBのデータのみで犯人にたどり着く? それでも読んだあと、色々と考えさせられる物語でした。 | ||||
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ミステリーには珍しく介護の現場が舞台になっているので、介護に興味のある人も多く読んでいるよう。そんな介護問題に詳しい方からは、そんなのは知っている話だと手厳しいレビューもあるようだが、世の中は介護業界に勤めている人や、親の介護をしている人ばかりではない。作者だって、介護に詳しい人向けに書いているのではなく、どちらかというと知らない人に向けて、ミステリーを織り交ぜながら書いているのだと思う。 ミステリー部分にはちょっとした仕掛けをしているが、この作者の本領はトリックとか謎解きとか犯人捜しとかといった事にあるのではなく、社会問題をテーマにしたミステリーを書く巧さにあると感じる。何となくだが、高野和明や薬丸岳タイプの匂いがする。今後に期待したい作家さんだ。 | ||||
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葉真中顕さんによる小説。 第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞している。 介護問題という身近ではあるけど見過ごされがちなテーマの作品。 日本で進行する問題点を炙りだした社会派作品だというのが感想。 殆どが現実にあった出来事や事象も取り上げていて大変現実感あふれる作品になっている。 振り込め詐欺、不安と恥が人を行動させる・・ 介護職の離職が多い理由。高齢者虐待がやまない原因・・ 安楽死の是非・・ そのもろもろがこの小説を通じて明らかになっている。 何もドキュメンタリーだけが社会問題を知る手がかりではないのだと痛感。 彼がたとえ死んでも世の中を変えようとした行為を責めることが出来るだろうか。 ぽっかり穴が開いているという指摘はまさにその通りだろう。 介護以外でも何かしら穴が開いているだろうが・・国民に身近な分もっと意識されてしかるべきだろう。 | ||||
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ミステリーという形式はとっているが、 殺人の動機にフォーカスするには最良の方法だと思う。 犯人の動機は我々が作り出している。 「彼」を論破することができるひとはいるのか。 その問いが読者に残り続けることこそ、作品の目的なんだろう。 | ||||
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平易な文体でサクサク読める。が、内容は非常に重い。 作品のテーマは、少子高齢化と介護、今まさに、我々日本人が直面しようとしている深刻な問題だ。 複数の登場人物の視点による重層的な語りで、読み進めるうちに、人間の尊厳とは?家族の絆とは?善とは?悪とは? と、様々なことを考えさせられる。 骨太な社会派作品でありながら、エンタメ性も高く、終盤にはミステリらしい仕掛けも施されており、とても読み応えがあった。 | ||||
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期待通り良かった。ネタバレになるから詳しくは書けないですが、買って損しないと思います。 | ||||
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