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沈黙の町で
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沈黙の町での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全70件 41~60 3/4ページ
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中学2年生の転落死。死亡した生徒の親、被疑者の中学生とその親達、学校、警察、検察・・・。この出来事に関わる様々な立場の人物が、それぞれにこの出来事との関わりを語る事で徐々に真相が明らかになって行く。手法としては特に目新しさはない。しかし、冒頭からページを捲る手が止まらない。何故だろう。人物描写がリアルだからだろうか。プロットが巧みだからだろうか。よくわからない。ただ、作品中にもあるように、人間の社会は食物連鎖であり、親は子供に無償の愛を捧げるのである。人間の営むコミュニティは表面的には理性が律していても、本質は実に動物的である。そんな人間社会が巧みに描かれており、そこに私は引き寄せられ、失望し、荒く溜息を吐く。悪いのは誰でもない。ただ、これがリアルな社会なんだ。 | ||||
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小さい子供を持つ親として、子供が中学生になるということがどういうことか、学ぶ材料になった。「いじめ」が含んでいる事象は、原因と結果、正と悪、白と黒、加害者と被害者、単純な比較や対立構造だけではない。森羅万象、というと言い過ぎかもしれないが、「いじめ」にはこの世に存在するあらゆる事象が含まれている。それらが丁寧に描かれていて、やりきれなさと、そして、著者の切れ味鋭い洞察力、構成力、勇気や潔さのようなものが読後感として残った。読んでよかったと思う。 | ||||
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校内で中学2年の苛められっ子の男子生徒が転落死した。 はたして真相は…。 こう書くと、あれ、宮部みゆきのソロモンの偽証 第I部 事件と同じシチュエーション? と思われるかもしれないが、本作にスーパー中学生は登場しない。 複数の視点人物がつぎつぎと入れ替わしながら物語は進んでいく。 被害者の親・加害者の親、中学生たち、マスコミの人間、刑事、検事…みな普通の人たちだ。 小さな田舎町に生きる普通の人たちが、それぞれの立場から、 事件に動揺し反応し行動する。 作者は誰に肩入れすることもなく、徹底したリアリズムでそれを描写していく。 死んだ生徒へのいじめに加担した生徒たちは、不良グループだけではない。 心優しい男の子も、優等生も、女の子たちもいる。 彼らにはそれをした理由がある。 それを丁寧に描けば、 人にいじめられていい理由などあるはずがないじゃないか、という倫理的憤りを感じる人もいるだろう。 おそらく作者は一部の読者のそうした反応などわかっていると思う。 不良生徒の親が、水商売。 金持ちのひとりっこは空気が読めない、コニュニケーション能力を著しく欠いた子。 加害者の親は、ひたすらわが子がかわいい。 ステレオタイプかもしれない。 しかし実際世の中を見回すと、 唖然とするほどステレオタイプで満ちているではないか。 いじめを描いた小説は何作か読んだが、本作が一番読んでいて身に染みた。 最後の終わり方も、これでいいと思う。 素直に心を開ける友人が誰もいない孤独な男の子は、 母親が流産してこの世に存在しない兄と弟だけが、親しく対話できる相手だった。 その哀れさを、周囲の大人は気づいてあげるべきだったと思う。 | ||||
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読み応えありの一冊です。 イジメがテーマなだけに読んでいる間中、不快な気分になりますが 内容はノンフィクションかと思えるくらいリアリティに溢れています。 とにかく登場人物の描写が丁寧で素晴らしい。 グループ内の子供達はもちろん、それを囲む親達、先生、検事、弁護士 それぞれの顔が浮かんで来るくらいの人物描写です。 イジメの被害者、加害者とは簡単に言えないくらいの背景で色々な事を考えさせられる小説です。 読後感も後味も悪いけれど、久しぶりに一気に読めた作品でした。 | ||||
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人間模様が細かく描かれて最後の最後まで息をつかせず一気に読み上げました。いじめ問題をテーマにしてあくまでもリアルに問題が進められていく様は現実もこうなんだろうと、読み終わった後感じました。この複雑な問題を社会に提起してある作品であると思います。だから自分はどうするんだろうという結論は出せませんが、読み終わった後リアルすぎて後味の悪い作品でした。これは奥田ワールドへの称賛です。媚びることなく現実にメスをいれ考えさせる、「オリンピックの身代金」以来の名作です。」 | ||||
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「噂の女」に続き図書館借りで読んだ。 グイグイと引き込まれる内容に満足の一冊だと思う。 内容はさておき「邪魔」「最悪」に並ぶ作品と思った。 是非、お読み頂きたい一冊です。 | ||||
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連載中からとても興味深く読んでいた。登場人物、生徒ひとりひとりの人物描写がとても細かかった。最後まで真実が明かされないミステリー小説的手法にひきこまれた。ただ被害者ちゃまお君は客観描写だけなので本人の気持ちが不可解だった。この子は特殊な例だろうか?いじめ問題の多発する昨今に問題を投げかける作品だ。 | ||||
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読み応えありの一冊です。 イジメがテーマなだけに読んでいる間中、不快な気分になりますが 内容はノンフィクションかと思えるくらいリアリティに溢れています。 とにかく登場人物の描写が丁寧で素晴らしいです。 グループ内の子供達はもちろん、それを囲む親達、先生、検事、弁護士 それぞれの顔が浮かんで来るくらいの人物描写です。 イジメの被害者、加害者とは簡単に言えないくらいの背景で色々な事を考えさせられる小説です。 読後感も後味も悪いけれど、久しぶりに一気に読めた作品でした。 | ||||
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いじめられっ子が転落死した事件の前の経緯と事件後のストーリーが、時系列に沿った形ではあるが交互に語られる。 事件前の経緯は、最後にいじめられっ子が死亡する場面の真相を明らかにしたところで終わり、物語全体もそこで終わりになるため、事件後のストーリーは、そこまでで語られた事件の1ヶ月後くらいで終わってしまう。 事件前と事件後の叙述を並行して行うことによって、転落死に至るまでの経緯がよりスリリングに語られ、この著者が得意とする、読者を引き込むようなストーリー展開を楽しむことができる。しかしその一方で、読者の多くは、事件後の顛末をもっと長期にわたって(決着がつかなくても良いのだが)詳しく知りたいと感じると思うのだが、その願いはかなえられない。 その点で、本作は読み手の欲求不満を残した終わり方をしているように感じた。こういういきさつのいじめに関連する死亡事件があった、という事実の叙述だけで、あとは読者に余韻を感じさせるという方向もありだとは思うが、もう少し著者の主張を書き込んでも良いのではないかと感じる。本作の後編として、著者の考える後日譚を追加してくれると、もっと読者の方も考えさせられる作品となったのではないか。 もっとも、これがこの著者のスタイルなのだろうから、読者としてはそれを好きになるか、それとも好まないので作品を読まないか、いずれかを選べばよいのかも知れないが…。 | ||||
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新聞広告で見てからずっと読みたくてKindle化を待っていました。 Kindle化されてからすぐに購入しました。 前評判通り、読み応えがあります。 新聞記者、検事、警察、被害者の親、加害者の親、加害者本人たち、教師、傍観者たち。。。。 と視点がコロコロかわるのですが、不思議と読みづらくありません。 それぞれの立場に感情移入出来るので、 こういった事案がどれほど複雑で、出口がないものなのかよくわかります。 こういった話は永遠に終わりがない、と思わせてくれるラストでした。 誰を悪者にしたって、亡くなった方は帰ってこないということを 何度も思わせてくれます。 自分にも中学生だった頃があるので、 そうだよな、中学生ってこんな感じだよなと思いながら読んでいました。 思春期の焦燥感みたいなものは、ディテールまで書き込まれていたと思います。 | ||||
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ある小さな町で起きたいじめによる中学生の死亡事件。 事故なのか、事件なのか。 被害者家族、被疑者家族、学校関係者、警察など、 翻弄される周囲の人々を緻密に描く。 文章も読みやすく、筆力もあるため、読み始めると一気読みしてしまいます。 ただ、僕個人の考えとしては、 作者が最後に言いたかったであろうメッセージには疑問でした。 | ||||
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中学生の転落事故から、実は彼がイジメに合ってたという事実が発覚し・・・という、大津の事件とパラレルになるストーリィで、新聞連載中だったが、唐突に締めくくられた、という話をどこかで読んだ。その後単行本化するに当たって加筆訂正されたかどうかは知らない。当事者意識から遠い世界にいるので個人的にはイジメ問題への興味は薄い。でも、この本を読むと、イジメたと言われた側が、実は人望も人気もありクラスのリーダー格。しかも、実際には首謀者ではなく、庇ったりもしていた。虐められた子は、小心、パシリ、でもウザがられても後を着いて来るし、裏切って先生にちくるし、女子や弱者には威張るし、庇ってあげても感謝しないし、もし、近くにいたら、ほんとにウザくてイライラするような子として描かれている。イジメはいけない、と綺麗事で言っても、実際にこういう状況だったら、あんたはちゃんと判断できるのか、と挑戦してくるようなストーリィだ。双方側の親の利己的な言動もこれでもか、と描いている。作者は、それでも、おまえは、被害者側に100%立てるのか、同じ状況になったら、おまえも虐める側にならないと言えるのか、と追い詰めてくる。 | ||||
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正直に言えば子供の頃の僕はどちらかといえばいじめる側だった。教師に怒られても「しまった」くらいにしか 思わなかったが,自分のした事で人の心がどれ程傷つくか自分で気づき,改めるようになったが 罪悪感は大人になっても残る。 でも改めようとしてもどうしてもここに出てくる「ちゃま夫君」のような子がいて,幼い私の改心を妨げた。 誠意をもって親しくなろうとすると鼻で笑うような態度をとられ,呆気にとられた後で沸々と怒りがこみ上げる。 元は自分が悪いのだからと何回かは我慢はするが,良いと思う行動をとる程小馬鹿にされたような気になり ならば関わらなければ良いと思うものの幼い我が心は見返りを求め,ジレンマに耐えられなくなり 結局イジメをするクラスメイトに混ざるばかりか率先して加担してしまい,また自己嫌悪にさい悩まされる日々の繰り返し。 自分を含め幼いが故,未熟であるが故に感情表現が上手に出来ないのだと知るには自分自身未熟過ぎた。 でもあの時私にとっての「ちゃま夫君」が死んでいたら。私は今普通にこの社会で生きてゆけたろうか。 奥田英朗はデビュー作から多分全部読んでるがこの人はやっぱりシリアス路線が凄い。 いじめ問題に関しては最近特に多くて,中には分厚い上中下巻でとりあげる問題作もあったが どれもちょっといじめられる側いじめに走る側の人物描写にリアルさがないばかりか 「不良はバカで横暴,勉強出来ないお人よし,勉強スポーツ出来る家庭円満な奴が利発で正しい行い」 みたいな構図なんとかならんのか古いよなぁと読むほどに冷めた。 この作品はその点も含め(自分の体験を思い起こさせる程)リアルであり,生徒それぞれが 「いたな〜こういう奴」という感じ(ちょっと出来過ぎたキャラもいるが) イジメに至る経緯,場面にも臨場感あり。 さらにその親達の描写が一層凄味あり,その世代になった私にとっては二重で胸に突き刺さるものがあった。 重松清氏の「十字架」も似た題材で読み応えあり比べてみるのもよし。 ちょっとラストが薄味で疾走感による前のめりがつんのめる部分があるが, 間違いなく奥田氏の現時点での最高傑作であろう。いや奥田氏の作品には毎回そう思ってるような。 買って読んで損した気分にはまずならない。 | ||||
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中学生の学校内での転落死をめぐるミステリ。 死亡した生徒をいじめていた生徒、学校の教師、生徒の母親、刑事、警察、マスコミなど、多くの視点で物語が描かれており、手に汗握る展開で最後まで一気に読めた。 本書の中で、 「子どもには残虐性があって、年齢を重ねていくと徐々に消えていく。中学生にはその性質が残っており、ひどいいじめは中学生が一番。高校生になると手加減や同情心がはたらく」 という表現があるが、これはもっともだと思った。その中学生の残虐性、先輩との上下関係、自分を強く・格好良くみせたい気持ち、周りの友達に嫌われたくない気持ちなど、現代の等身大の中学生の姿がリアルに描かれていた。 また、いじめを受けていた生徒・いじめをしていた生徒、それぞれの母親の心理描写が素晴らしく、事件に対する不安感、焦燥感、なんとしても自分の子どもが正しいと信じたい気持ちが痛いほど伝わってきた。 | ||||
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男子中学生が学校内で高所から落ちて死亡した。 その生徒は複数の同級生からいじめを受けていたようであった。 果たして自殺か?事故か?という内容。 亡くなった生徒の家族、いじめを行っていた同級生とその家族。 中学教諭、警察、報道関係者といった多くの登場人物が出てくる。 それぞれの視点に立って物語は進行していく。 いじめの現状やきっかけなどは良く書けていると思った。 改めて、本人の気質や性格・周囲の環境にも大きく左右されてしまうものだと思った。 しかし、決していじめを肯定する内容となっているとも、いじめられる生徒を否定しているとも思わない。 登場人物が中学生に対し、「もう大人だ」「まだ子供である」「こんなにもずるい面がある」「とはいえまだ中学生なのだ」などといった感想を持つ。 確かに中学生は大人と子供の狭間に居る。 家庭と学校という2つの世界でしか生きることが出来ずに、ともすれば生存競争にさらされている。 そのような描写は真に迫っていると思った。 生徒たちの親たちの心理についても、非常に分かりやすく描けていた。 学校関係者の描写についても同様。 物語後半、現在と過去の内容の両者が出てくるが、どちらの内容なのかが分かりにくい面があった。 | ||||
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最初の200ページ弱,展開がゆるく,遅々としたテンポに思わず, 「奥田さんらしくないな。いつもの疾走感はどこにいっちゃたんだよ」 と思い,少しいらいらした感じをもってしまいました。ところが, 中学生たちの物語が始まるやいなやそうした感想は吹っ飛び, いつものスリリングな,奥田ワールドへと引き込まれ,後半はほとんど 一気に読みきってしまいました。読むのを途中でやめないでよかった。 「いじめられる側にも何らかの問題がある」という非常に危うい テーマに挑んだ快作だと思います。最近の世間の常識ではいじめや暴力は, いかなる理由があろうともいじめる側が100パーセント悪いのであり, その視座からのみ,この種の問題は論じられるべきだ,というもので あろうと思います。この小説はそうした世間の常識を逆手に取り, 「普通の人々」から見ればいじめられる側には困ったところが見られるのだ という,大勢から猛反発を受けるテーマをあえて取り上げたように思えました。 しかもこの小説では,いじめられる側も一歩間違えればいじめる側へと 簡単に転換するものであり,ひとつひとつのいじめの現場では加害者, 被害者という枠組みをあてはめることができそうなものの,個々の人間 を見ると,いろいろな立場になりうるのだということが示されます。 結局のところいじめという現象は,いじめっ子,いじめられっ子という レッテルを貼ることで解決できることではなくて,そのときどきの状況 によって,どちらの立場にもなりうるということなのだと思います。 そのことを示すためにこの小説では,いじめられっ子が性格的にわけの わからない人間で,周りからいじられやすい存在であるということを 極端な形で描き,なおかつこのいじめられっ子に,自分よりも弱い人間 に対して暴力的なちょっかいを出すような行動をとらせるのです。 「いじめ問題」には個々の暴力事件では切り取ることのできない,無数の 感情的交錯が背景にあるのであり,教師や親にできることはそれを察知し, 大きな出来事へと発展していくのを防ぐ,あるいはできる限り理解していく ことなのだと思います。いじめは今や社会問題ですが,社会という枠組み で解決できることはほとんど何もなくて,あるとすれば,実際に起きた ある特定の暴力事件の中で「犯人」と「被害者」を特定し,その罪を できる限り明らかにし,そしてそれに見合う罰を当てはめることぐらい なのでしょう。 罪を明らかにして,犯した人を罰する。社会としてできることはそれだけ のはずです。しかし実際には,学校なりメディアは,ときにはしぶしぶ, そうした個々のいじめ事件の背景を探ることになります。いじめ問題の 背景を探ると,どうしたっていじめていた側だけでなく,いじめられて いた側の問題点が浮き彫りになるのです。いじめられた側にも困った ところがあった,ということが判明するのです。しかし,それがおおっぴらに 論じられることはありません。さらなる集団いじめが助長されるだけです。 だから結局,罪の範囲を定め,誰かがその罪を償い,その問題は終わった ことにしていくしかないのです。 そうしたいじめ問題が根本的にはらむ問題を,私たちはどう受け止めて いけばいいのか。それを考えさせてくれる小説でした。 | ||||
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ちょうど同じ年頃の息子、物語に登場する中学生達と同じ部活動をしているということもあり他人事ではない 気持ちで一気に一日で読み終わりました。 読者をぐいぐいと引き込む作品のリアリティさには脱帽しました。 ここまで引き込まれる小説にはなかなか出会えないものです。 中学生の子を持つ母親の気持ちと、自分が中学生だった頃の当時の気持ちを思い出し、 何ともいえない気持ちになりました。 | ||||
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男子中学生が、部室棟の屋上から転落死した。その中学生には苛められた痕跡があった。 加害者家族や被害者家族、また学校や警察、検事など様々な視点から物語が語られ、事件が明るみになっていくのかなと思いましたが、ちょっと違いました。 途中から、事件発生前の中学生活が語られ、いじめが醸成されていく過程が語られます。あまり気持ちのいいものではありませんが、ああ、なるほど、と思わせる筆者の描写は見事ですね。 ラストはその時何があったのか判明しますが、テーマがテーマだけに明確な結論が出る訳でもありません。 それにしても、現実にこのような事件が発生した場合の被害者・加害者家族、学校関係者は、まさにこの小説に書かれているようなことになるんだろうか、と考えていくと、何ともやり切れない気持ちになりました。 | ||||
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読み終えたあとの後味は非常に悪いが、実際こんなに引込まれた作品を読んだのははじめてだ | ||||
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この作品は、朝日新聞で連載されていたそうですが、時期的に、世間的に 大問題となった、S県O市の『いじめ自殺問題』を意識されたものなのでしょうか? 『事故か?殺人か?』 まさにS県O市の問題を彷彿とさせるコピーです。 本作品の終わり方についても、『え?これで終わりなの?』『どこか中途半端では?』 という意見がネット上で数多く出ています。 S県O市の事件がマスコミで取り上げられ大騒ぎになっていたので、なんらかの圧力で 物語を強引な形で収束せざるを得なかったのでしょうか? 本作品では様々な登場人物の視点から描かれていますが、唯一、いじめられていた 少年の視点では描かれていません。 彼なりの気持ち、言い分も当然あると思いますが、作者は意図的に?描かなかった ものなのでしょうか。ここが不思議です。 人生の中で、中学時代が一番残酷なのだ、と作品中に出ますが、昨今のいじめ事件や 傷害事件においても、中学生の検挙率が突出して高いことから、作者の言いたいこと も頷けます。 読了後も気分は決して良くありません。 奥田氏の作品は大好きですが、この作品は二度と読み直さないでしょう。 読んでいて辛いです、読み終わると索漠とした荒涼感が出てきます。 物語とは関係ありませんが、私はS県警に電話をし、亡くなった少年が仰向けで 倒れていたことから、これは殺人なのでは?と聞きましたが、応対してくださった 警部補さんは『それも含めて捜査中です』とのことでしたが… あれから捜査が進展しているという話は聞きません。 (補足:自分から飛び降り自殺した場合はうつ伏せになるのが普通。仰向けに 倒れていたのは、第3者から胸を押されて後方に倒れたとしか思えない) | ||||
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