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生存者ゼロ



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生存者ゼロの評価: 3.04/5点 レビュー 178件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.04pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全178件 161~178 9/9ページ
No.18:
(3pt)

盛り付けは下手だけど、結構美味しい手料理という感じ

まず物語のテンポそのものはかなり良いです。

冒頭のアフリカで家族をエボラもどきで失うところの緊迫感から始まり、最初の「生存者ゼロ」の地(但し、途中の移動のくだりはややだるい)、北海道大パニック、そしてラストまで一気に読み進みました。しかし、手放しで褒められるかというとそうではなく、文章そのものが拙劣であったり、無意味に難解であったり、登場人物のセリフがおかしかったするので正直ストレスも感じます。

これは恐らく、作者が執筆中に想像以上にアイディアが湧き上がり、その面白さに作者自身が興奮してしまい、それを全て盛り込もうと苦心したからではないかと思います。しかし、既定のページ数ではどうやっても収まらず、泣く泣く削ったり改編したものの、どうしても未練でなんとか多くを盛り込もうとして収拾がつかなくなったのでしょう。苦悩する作者の姿が目に映るようです。発売するにあたって、何でプロの編集者がついて、きちんと物語を再構築して書き直さなかったのか…と思わずにいられません。

他の方のレビューにあるように実際、人物描写は薄っぺらなのですが、それは本来あった掘り下げる部分をページ数の制限で削ったからだと思います。更に言えば、科学的な説明が難解なのは、作者自身は意味を理解している故に、「どこまで噛み砕けば分かりやすいのか、どこまでなら予備知識のない読者でも意味が理解できるのかを考え、全体の構成に落とし込むという基本のさじ加減が出来なくなってしまい、削ったページの分だけセリフそのものを圧縮して説明的にしていまっているからです。登場人物のセリフが一部破綻しているのも同様だと思います。

本来、膨大なテーマ、展開、キャラ描写のどれを残してどれを捨て去るかは一番最初に行う事であり、作者自身も当然それを行なっているはずですが、その作業は作者がその作品やキャラ、ストーリーに愛着や思い入れがあるほど難しく、そのドラスティックさの違いがプロとアマを分ける部分でないかと思います。それ故に、例えば新人漫画家には編集者というパートナーがおり、その不足する部分を補っている訳です。

そういう面でこの作品は作者自身が欲張りすぎたのは事実。盛り込みたいアイディア、伝えたいテーマなどが多いのを自覚しながら、それを捨て去る事が出来ず結果的にごった煮になっているのが残念なところ。しかし、作者がそれだけ興奮するだけあってアイディアそのものは非常に面白いですし、私も最後まで飽きることなく読む事が出来ました。

例えるなら新鮮な上質の素材を使い、バッチリ味付けまで出来たのに盛り付けで台無しにしてしまった料理のようです。逆に言えばろくでも無い素材をいい加減に味付けておきながら、盛り付けだけで誤魔化す小説家が多い中、これだけ荒削りながらも美味しく出来るのは作者の非凡さの顕れだと思います。実際、アイディアの独自性、緻密な取材に裏付けられた専門知識の活かし方など光る点が多く、これで編集力さえ身に付けば物凄い作家になるのではないでしょうか。

敢えてツッコむなら、やはり会話部分をもう少し推敲してほしいところです。ところどころ(普通の会話なのに)さっぱり分からないところがあり、気をそがれました。また、ラスト部分はあまりにも抽象的にしすぎてしまい、結果的に本来衝撃のラストのはずが空振ってしまった様に感じるところ。私自身、原題でもある「下弦の刻印」の意味が現時点でもさっぱり分からないので悶々としています。他にも序章で富樫が持っていた奥さんから採血した血はいったいどこに行ってしまったんだ…?とか、日記の日付の意味は…?とか、ただ灰を撒くためにアフリカに来たんじゃないなら、それは何を意味しているの?…というところが気になりすぎて、正直途中の戦闘シーンの粗なんかはどこかに行ってしまいました。

ちなみにジェノサイドとよく比較されますが、全くジャンルが違うのであまり意味はないでしょう。個人的には前半は今は亡き吉村達也風、後半は有川浩の「海の底」っぽい印象で、このあたりも作者の欲張りすぎによるブレなのかもしれません。

良くも悪くもこの作品は投稿作そのままなので、「バトルロワイヤル」と同じ荒削りな部分はあります。しかし、その辺りを割り引いて読める人なら十二分に楽しめる良作だとも思います。(願わくば腕のいい編集者と組んで、改めて全編書下ろししてほしいです。絶対傑作になると思うので…)
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)より
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No.17:
(5pt)

商品評価

なかなかよい取引ができました。
商品はきれいでした。今後もよい商品があれば注文したいです。
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No.16:
(1pt)

このミステリーがひどい

愚作である。ステレオタイプ的な人物造型でもう辟易する。ひどいあまりにもひどすぎる。このミス大賞の本ではよくあることだが、久しぶりの私は叫んだ。「金返せ!」
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No.15:
(4pt)

十分楽しめました。

30代、男です。

故マイクルクライトンさんの「アンドロメダ病原体」
高野和明さんの「ジェノサイド」

に通じる雰囲気を感じましたし、
実際に近いと思いました。

パニック/パンデミック系としての
「一体何が起こってるんだ〜!」という
ドキドキワクワク感を十分楽しませて
いただきました。
ごちそうさまでした。

登場人物に深みがない、とか
ツッコミどころが多い、とか
リアリティが足りない、とか
この設定が有り得ない、とか

そのような文句は一切ございません。
出された料理は食べるのです。

ただしー!!

「このミス」大賞(っていうんですか)
あれの書評とか選考理由とか、作品の
最後につける意味ってあるんすか?

それって誰のためなんすか?
誰得なんでしょうか?

私はひとつの作品としてこの「生存者ゼロ」
を気持ちよく楽しませていただきました。

安生正さんを始め、出版に関わって下さった
方たちには感謝しています。

「このミス」大賞と作品って別に関係ない
と思うんですよね。
いち読者にとって。

せっかくの良い作品が

「純粋な作品」から
「コンテストのための作品」に
成り下がっちゃうわけですよ。

読者はそんなもん読みたくないです。
作者にも失礼ですよ。

余計なもん付けるなと。
その分インクと紙がもったいないと。
その分安くしろと(笑)

言いたいわけですよ。

よって、今後は「なんとか大賞」の
書評とかはどっかのホームページとか
見たい人だけが勝手に見ればいいように
改善をお願い致します。
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No.14:
(2pt)

出だしはワクワクしましたが

出だしは本当にワクワクしました。
原因不明の病原菌か?この先にどんな恐怖が訪れるのか?と。
本当に良いアイデアだったと思う。

しかしながら、人物の描き方や会話が...
薄っぺらいというか、漫画チックというか、読み手の方が恥ずかしくなってきます。漫画本の原作ならば、これで正解なんでしょうが、大人が読む小説としてはお寒い限りです。
総理大臣を徹底的に無能として表現していますが、鳩山某や菅某よりもずっと無能な対応ぶりにはリアリティの欠片もなく、ちょっとやりすぎかな?と。エンタメ作品といえども、もう少しリアリティを持たせた方が良いのではないでしょうか。

基本的な筋が面白いのに、登場人物の会話で興ざめして、途中からは正直読むのが苦痛でした。本当に残念。
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No.13:
(1pt)

大賞に疑問

なんかミステリー小説をアマゾンでまとめ買いしているときに買ってしまった。
序章でなんかいやな予感がしたが、読み進めていくうちにその予感が当たってることに気がついた。
ので超速読で最後まで何とか読んでみた。
どこかの待合室で暇でどうしようもない時、漫画として置いてあればそこそこ面白く読める気がする

巻末の選評にB級っぷりもここまで徹底すれば立派とか・・・

小学6年生くらいが読むと読み応えがあるのかも知れません。
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No.12:
(4pt)

結構、骨太な作品

この作品は、大学内の購買にて見つけ、そのジャケットの格好良さとタイトルに惹かれ手に取りました。読んでみると、始めから何が起こっているのか、皆目見当のつかない疾走間に呆然。細菌に翻弄される人類のさまがとてもリアルに描かれていました。自衛隊の作戦や、ヘリコプターや輸送機、細菌学など、大変事細かに調べられており、深く考えさせられます。一度読み終え、二度目に読み返すと少し違った視点で物語を追うことが出来ると思います。いうなれば、神の視点とでも言うべきでしょうか。展開も大どんでん返しの数々で、登場人物もよく生きています。私は、初めてのミステリーだったのですが、大変楽しんで読むことが出来ました。しかし、時折みせる描写に、グロテスクな表現も多々あるので、苦手な方は注意がいるでしょう。それほどこの作品は生々しく、ゾッとする親近感のようなものすら感じます。自衛隊、細菌、黙示録、政治などの要素をふんだんに盛り込んだこの作品、とても硬派で骨太な内容です。ただ、謎が謎を呼ぶ展開は、大変病みつきになります。始まりも終わりも、とても印象に残る作品でした。
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No.11:
(3pt)

謎は良かった、ただし主要人物に魅力が無い

・<良かった点>
謎の感染症の正体がわかるまで、早くその正体を知りたいとページを捲りました。
悲惨な状況、その状況下での被害者の不自然な行動、
「一体何が起こっているんだ」
と、興味が尽きることはありませんでした。
正体を示す言葉が提示されたとき、予想した程大きな驚きはなかったものの、
「なるほど、そういうことだったのか」
と感じることができ、ミステリーとしての話の流れとしては正当であったと思います。
(突っ込み所もありましたが。)

・<悪かった点>
主人公・主要人物に魅力を感じず、その人物たちが会話している場面を「面白い」と思えませんでした。
読み進める事が出来たのは、ひとえに上述の「謎」が魅力的であったためです。

物語の流れとしては、
自衛隊所属の主人公(とあと何か学者)が、政府の「無能な人達」の所為で悪化してゆく現状に辟易しながら、
感染症の正体を探る、というものです。

作者が意図しているかはともかく、他のレビュアーの方が書かれているように、
「政府の対応能力を超えた事件と、それに対する政府の対応」という点で、
東日本大震災時の原発事故を巡る一連の騒動を想起させます。
このようなレビューの場で、当時の政府の対応に対する立ち位置を提示するのもどうかと思いますが、
私は、その件の政府の煮え切らない対応に「それはちょっとどうなのだろう……」と感じていました。
その意味において、この物語の主人公が感じる「憤り」に共感できるはずでした。

しかし「無能な人達」はあまりにも絵に描いたように無能、
それに対し、
「愚かだ」
とか
「馬鹿が2人」
とかひたすらにこきおろす主人公の構図。
読者に提示されたあまりにも「無能すぎる敵」、主人公が筋の通った主張でひたすら悪態をつく。
主張には共感しても、どうしても好きになれません。
主人公と読者の間に、「作者の主張」が介在しているようです。

現実の原発事故の会議が、
これほど駄目駄目だったのか、もっとまともだったのか、もっと酷かったのか、私にはわかりません。
が、
少なくとも物語の舞台としたとき、ただ悪いものをこき下ろす形で書くしかできないこの舞台は、誰の魅力も引き出すことはありませんでした。
弱く設定されたものを当然のようにけなし、みずからの主張を唄う、
「悪い方向に理想的なラノベの主人公」、そんなイメージを抱きます。(そんなテンプレ的なラノベも無いでしょうが……)

・<総じて>
終始人物に魅力は感じられずとも、謎の真相に引かれ、中盤まで楽しく読めました。
謎が明らかになった中盤以降は幾分展開を変え、エンターテイメントとして失速することは無かったと思います。
登場人物に対する感じ方は人により大きく変わる部分ですので、謎に引かれたかたは手にとっても損はしないと思います。(期待しすぎては駄目です)
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)より
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No.10:
(3pt)

なにかが欠けている

エンターテイメントとしては、ある程度楽しめる作品だとは思いましたが、期待が大きかった分、少しがっかりな印象です。

かなり綿密な取材、調査がなされて書かれているだけに、すごみはあるのですが、専門用語が並んでいるために、せめてその用語の輪郭だけでもとらえられる説明があったらよかったのですが、よく分からないままに進んでしまう。
この部分の理論が後に絶対的に必要となる伏線だろうなぁと分かるだけに、理解したいので、前後を何度か読むのだけれど、分からない。
SF手法の話は専門用語の説明に終始してしまって、物語を中断してしまうという危険はあるにはありますが、ここまで書かないというのもいかがかな?

あと、選考委員がこんな結末だったとは! と驚いていましたが、物語の半分程度までで生存者ゼロの原因が透けて見えていたのが残念です。
意外性はなかったです。

でも、その奇病の原因(ネタバレにならないように伏せます)との死闘の場面はかなり迫ってくるものがあります。
それでも篠田節子のデビュー作「絹の変容」における描写のような、目の前で見せられていると感じるほどの描写力はないように思います。

他の方も書かれていますが、登場人物の造形が浅いというのも残念ポイント。

なんでも完全なる悪、善はないわけですが、この物語に限っては、悪にもなりきれない小物の(口汚く言えば)糞ったればかりが目についてイライラします。
これだけ人をいらつかせるキャラが描けるのだから、逆のスカっとする正義も描けばバランスがとれて読後感がいいのになぁと思いました。

今後の作品に期待です。
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)より
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No.9:
(1pt)

これは酷い・・駄作です。

「アンドロメダ病原体」「復活の日」の系列に連なるバンデミック物の新作かと思いワクワクしながら読んだのだが・・。
何これ・・。最凶、最悪のウィルスの話かとおもったら「シロアリ」なんですよ。
ガックリしました。途中で読む気が失せました。読み終わるのに苦労しましたよ。
作中で誰かが言ってたけれど「害虫駆除」なんですよね。思わず「殺虫剤でもまけば」とちゃちゃを入れたくなりました、本当に。(笑)
ウィルスと違いシロアリなら現場に痕跡が残らない訳ないでしょう。何を考えているのやら。
物語の主題がこんなにアホ臭いのですからもう救いようがありません。
本の帯に「まさに驚愕のひと言」「前代未聞の新機軸」とか猛々しい文句が並んでいるけど、よく言うよ。
この作品は初めアフリカにいる感染症研究の学者の話からスタートしており彼を中心に話が展開していくのかと思ったら、途中から自衛隊の情報部の隊員が主役になる。
これによりこの作品は話がぶれて緊迫感が薄れてしまう。
ウィルスにせよシロアリにせよ、本来学者が真相を追究するのが本筋の筈なのに途中から脇筋になり、代わりに自衛隊「災害対策本部」(?)がしゃしゃり出てく来るので娯楽小説としての求心力が大きく損なわれてしまった。
それにこの作品の登場人物の描き方の浅はかな事と言ったら驚きます。
その最たるものが唯一の女性である「日本有数の昆虫学者」とのふれこみの人物のうすっぺらさである。
小生意気でヒステリックな若い女性と冷静沈着な学者という相反するキャラクターを合体させようとして見事に失敗。
別々の人物にしたほうが良かったと思われる。
「生存者ゼロ」で人類滅亡の危機と大げさに騒ぐわりに話が日本だけに限定されいるのもおかしい。
「北海道東部」が滅亡した時点で国際的な大問題にならなければいけないのに、そこのところはオミットされているのである。
その代わりに日本政府の対応を非難する描写がしつこく繰り返される。
これによりこの作品は本来あるべきスケールが全く無く矮小化されてしまった。
あれもこれもクレームをつけたい所は沢山ある。
よくもこれで「このミステリーがすごい」大賞を獲ったものである。
私は「このミステリーがすごい」の大賞受賞作は本作が初めてであるが、今後二度と読まない。
選考委員の質が悪すぎる。茶木則雄とか言う選考委員が「この作品を高く評価」したのは「日本の危機管理に警鐘を鳴らさんとする作者の強烈な意志」だそうである。
何を言ってんだか・・、そんなことはエンタティメント小説として読者を納得させてから言う事でしょう。
出来の悪い下らない小説が何を言っても説得力なぞ有りはしません。
まだこの本を読んでいない方に警告します。
この本は「ブックオフ」で安値で出て来た時、又は文庫本になった時に読めば良い。
いやもっと厳しく言えば読まなくても良いと断言します。
最後に作者にひと言「顔を洗って出直して来い!」
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No.8:
(5pt)

国家の危機に狼狽える政治家・・・過日に体験したような・・・。

北海道沖の海底油田の採掘プラットフォームからの連絡が途絶えた。自衛隊の一団が調査に赴いてみると、施設の全員が死亡していた・・・なにしろその死体の状態が尋常ではなく、皮膚は爛れ、筋肉は溶け、骨が剥き出しになっているという凄惨な惨状である。「生存者ゼロ」の異常事態発生である。既知の伝染病等の形跡でもあれば、対策も講じられようが、原因は不明であり、海上の基地なので感染はないだろうと、捜索隊は引き揚げてしまうのだった。ところが、この「謎の死」が北海道に飛び火上陸してしまう・・・そして、集落、町、地域へと拡大し、北海道の東から西へと「謎の死」が伝播し出すが、それを止める何の術もないのだ。
この無残な国民の大量の「謎の死」に対し、内閣はなんの有効な手立ても対策も立てられなく、ただ狼狽え続ける。この状況の記述は執拗ともいえるが、先の3・11の原発事故等の実態を思い出してしまい・・・“言葉に真実がなく、実行はすべて先延ばしにする”我が国の中枢権力者である首脳たちと同じであることに、苦笑してしまった。続く、首相、各大臣、北海道知事等の責任の押し付け合い〜北海道を焼き払おう。などと愚図愚図しているうちに、死者累々に。この状況は海外も知ることになり、いつものように最後に日本国民もそれを知るのである。実際読みだせば、次は?次は?の連続でスリルのある展開を読み進んでしまう。結末はともかく。著者の記述の巧さに乗せられちゃうのも好い。これはお薦め!
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No.7:
(3pt)

イツキ読み出来ます、が

スラスラ読ませる力量は敬服します。
そして冨樫博士のジキル&ハイド的なキャラ造形は好きです。

ですが、他の方も書かれていましたが、
謎の正体がアレだと、どの事件現場でも痕跡ゼロはあり得ない。
そしてソレに対する対処法でどうして誰の口からもあの有名な対処法が上がらなかったのか?

勢いはあります。が、どうしても細部のアラが気になってしまいました。
この手の話はリアルな細部のウソのつき方の積み重ねがキモであり、
そのベースがあってこそ、荒唐無稽でも誰もがすんなり感情移入出来る大きなウソが成立出来るのです。

ホントは星2つですが、終盤の場面に、知人が入院していてお見舞いに行った月寒病院がチラと
出て来たのでプラス1で。
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No.6:
(4pt)

ミステリーというよりサスペンス

ミステリーというよりはパニックサスペンスホラーといった趣の強い作品です。
もちろんミステリーとしても問題無く成立しています。
途中まで作者さんの思惑道理、ありがちな細菌・ウイルスパニック物だと騙されました。
選考者もコメントしていますが、この発想には脱帽。よくぞ思いついたものだと感心しました。

前半部の未知に対するじわじわとした恐怖で読者をひきつけ、謎が解明される中盤から戦争映画さながらの激しい戦闘が繰り広げられる後半部への流れはエンタメとして申し分ない出来栄えだと思います。

文体も丁寧で読みやすく、デビュー作としては素晴らしい出来なのでは?

少なくとも何年も小説家として活動しているにもかかわらず、作者自身のどうでもよい思想を本筋とは無関係にねじ込み、あげく本来の物語に割くべきページを減らしてしまった同ジャンルの駄作に比べたらはるかに完成度の高い作品だと思います。
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No.5:
(3pt)

あまりに荒唐無稽

最初に断っておくとこの小説はつまらなくはない。むしろ面白いとさえいえる。
ただやっぱり冷静に考えると全体的に無茶苦茶すぎる。
そもそも一番の謎というべき「姿なき虐殺者」の正体がなんであんなことになるのかさっぱりわからない。
犠牲となった者たちは突然そろって貝にでもなってしまったのだろうか?

調査に乗り込んでいった主人公たちにしたところで、なんの痕跡も見つけられないなんてことが一体全体ありうるのか?
細かいところにツッコミを入れ出すと、つじつまが合わないところは数百箇所はあるのではないかと思う。

今回のこのミス大賞は相当全体レベルが高かったということが選評からも伺えるが、こういう小説って評者にとっては
割と理由をつけて落としやすいのではないかと思う。確かにこういった科学リアリティ以外の部分ではデビュー作とは思えない
達者さも見せているが、それだけではない、何とも言えないパワーも感じさせるのは確かだ。
ただ、どう考えても首を捻ってしまうような状況設定や謎解きはいかがなものかとは思う。

とりあえず次にどんなものを書いてくれるか。作家としての将来について、判断はそれまで保留したい。
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No.4:
(5pt)

パニックもの好きにはたまらない面白さでした

地震や噴火、隕石などの天変地異もの、未知の病原菌もの、新種の◎◎
(クマとかワニとか)に襲われる系、そしてゾンビものに至るまで、
「想像を絶するパニックに襲われた人間たちの極限状態」を描いた作品が
大好きです。
しかし、大好きなだけに読み漁っている&観まくっているので、最近は
「似たようなのばっかだな」とも感じていました。
で、本書。よくある「未知の病原菌もの」と思いきや・・・ネタバレに
なるのでこれ以上は書けませんが、トンでもない方向に話が進んで行きます。
そしてその「トンでもなさ」が、全くちゃちくないどころか、もの凄く面白い!
オチも納得で、久しぶりに胸躍るパニックものに当たりました。大満足です。
個人的には、高野和明さんの『ジェノサイド』よりも、本書の方が興奮しながら
読めましたね。
しかしこれ、是非とも映画化して欲しい。邦画ではなく、ハリウッドで
金かけて、被害者の描写とか後半の◯◯シーンを完全再現して欲しいです。
ベタ誉めばかりでも何なんで、あえて一つだけケチをつけるならば・・・
「美人で気が超強くてまっすぐな生物学者」の存在意義が薄いことですかね
(花を添えるために無理矢理出したな感が強いです)。
でも、文句無しで五つ星でした!
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No.3:
(5pt)

酒の肴。

ふ〜。
一気に読み、今読み終えました。
今日の酒の肴
としては、美味しかったです。
でも、落ちをもうちょっと過激にして欲しかったです。
例えば中国絡みで・・・・。
でも、かいださんのフアンになりました♪
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No.2:
(4pt)

どこぞのミステリー作家よりも筆力のある建設会社勤務を発見

本書の帯表紙を見て僕は真っ先に高野和明氏の『ジェノサイド』を連想した。謎の病原菌が引き起こすパンデミック、人類滅亡、大量虐殺。その恐怖に沿わせて描かれる真相としての大どんでん返し。どれどれ、大賞とはいっても所詮は一般公募。サラリーマンをしながら書き上げた処女作品である本書が、一体どれほど2011年最も評価の高かったミステリーに迫る事が出来るのかな。と、気分はなんちゃって選考委員。

舞台の中心は北海道、事の始まりは北海道沖に浮かぶ石油掘削基地。同時多発的に発症したウィルス性と見られる劇症により無惨に肉塊と化した二十数名の作業員。“現場に一番近かった”という理由でその場へ派遣され、物語の渦中へと巻き込まれて次々と部下を失い、孤独と自責の念との戦いを続ける陸上自衛官三等陸佐の''田。南アフリカ奥地にて愛すべき家族を新種ウィルスにより亡くし、失意と周囲の策略により権威ある研究者としての地位からマッドサイエンティストまで一直線に没落する富樫博士。国益、人命よりも次の選挙、己のポストを守るため狂った様に責任の擦り付けを行う政府中枢幹部と内閣総理大臣の大河内。三者の思惑の遥か外枠で巻き起こる大量虐殺は瞬く間に北海道へ上陸しその脅威を全世界へ知らしめる事となる。

同時多発的な発症が一夜にして8万人の北海道民を、およそ生命の存在を微塵も感じさせない肉塊へと変えてしまう恐怖はグイグイと物語へ引き込む力を持っており、論理破綻なく読み進めた次なる展開は、納得と大満足の結末をもたらせてくれた。同時発症・・・それも新月の時に限って・・・深まる謎と迫り来る次なる大量死。読者を飽きさせない論理的な展開はとてもサラリーマンが片手間で造り上げられるような代物ではございません。上から目線ホントすんませんでした。

とはいえ、若干ばかりの突っ込みを入れたい点も僅かばかしある。例えば時代設定、これは近未来の話しではなく、過去の歴史小説でもない。まぎれも無く、明日起こるかも知れない恐怖だ。それなのにどうだろう、登場する主人公達の情報発信力の無さといったら半端ではない。今の時代、大勢の人間に警鐘をならす手段はテレビだけではない。政府の情報統制が国内の全メデイアを押さえられるはずも無い。自らが掴んだ危機的情報を総理大臣に握りつぶされるとは言っても、不特定多数に発信する手は腐る程ある。10年前の作品であれば何の不満もないのだが、スマホ、SNS、フェイスブックを使った人々の混乱と情報伝達の描写、これが全く無かったため、現代としてのリアリティが損なわれてしまった様に思われる。一方で政府の無責任ぶり、混乱ぶり、他国からの信用失墜などの描写はまさに東日本大震災、福島原発事故を連想させるほどのリアリティを表現していたからこそ、情報描写に対するリアリティも同様に手を抜いて欲しくは無かった。

そして、物語のピースを繋げる為にやや強引な設定で登場する女性、弓削(ゆげ)博士。本書で感じた唯一の強引さは彼女の設定のみと言っても過言ではないほど、この女“都合がよい”。物語を急展開させるための手段として登場するキャラクターはどうして女性、そしてヒステリックが多いのだろうか。活字からも金切り声が聞こえて来そうな人物の登場はなぜか「あぁ、出たか。」と若干しらけてしまった。この辺りの人物描写のお決まり感と強引な展開が“B級テイスト”に拍車を掛けてしまったように感じて勿体ない。

そう人物描写、本書の主人公は“神の意志”なる何者かの働きかけにより自らが意図しない感情を抱くことになる。同時に読み手側は、主人公と感情をシンクロさせる隙を与えてもらえず、視点は常に“映画のワンシーン”といった感覚だった。それは意図的と言うよりも、人物に対する表現力に乏しい事が理由なのかもしれない。各セクターの脇役なんて語彙は違えど皆“神経質で卑屈な人間”だらけになってしまっている。キャラクタライズに不十分な登場人物たちではあるが、廻''田、富樫、弓削、大河原など重要な人物は特に特殊な苗字がアンカーとなっており、誰が誰だか分からなくなる事を防いでいることがテクニックといった所なのだろうか。賛否分かれるだろうが、まぁ、客観的に事象を捉えてゆくストーリーの性質上、過度な感情移入は無くて正解だった様に思う。淡々とした中に、少しばかり読み手側の想像をサポートしてくれる“ささくれ”さえあれば十分。そんな楽しみ方もあってしかるべきだ。

少し批判が続いたが、それを鑑みたところで全く意に介さないほど面白いミステリー書籍であることに違いは無い。エンターテイメント性で言えば、そりゃジェノサイドには及ばない。しかし、読み手側が想像できうる登場人物の内面性、ストーリーの論理的整合性、大量虐殺へつながるリアリティからすれば十分にこちらが勝っている様に思える。本書が処女作品となる安生正さん・・・大丈夫か?今の仕事(建設会社勤務)続けられるのか?否、続けなくて良いので次回作を書いてくださいませm(_ _)m
携帯小説?的にお手軽でキャラクターの作り方だけが上手いふざけたミステリー作家が人気者になっている現状を嫌ってる人が読んでも十分に面白い。根拠は僕だ。
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)より
480020500X
No.1:
(4pt)

荒削りな部分を補ってなお余りある勢いがある作品

書店でその衝撃的なタイトルに興味を引かれて購入。
ミステリー大賞の書評等の予備知識など一切無く読み終えました。

斜に構えた見方をしなければ、とても良く考えられたSFミステリー作品という印象ですね。
それも、静かに進行する科学ものかと思いきや、後半など怒濤の勢いでスケールアップしていく「人類vs未知の脅威」の構図に圧倒されます。

また、前半の「一体何が北海道で起きているのか?」という想像をかきたてられる、不気味な数々の「生存者ゼロ」事件。
全ての事件に生存者が全くいないことが重要な意味を持つのですが、残された惨劇の痕跡だけが描写される様はホラー要素たっぷりで、どんな終末世界がこれから訪れるのだろうと目が離せませんでした。
この、前半の終末予兆感とでも言うべきおどろおどろしい不気味さだけでも読み応え十分です。

個人的なこの作品の難点を述べるなら、登場人物にあまり共感できないことでしょうか。
主人公の陸自幹部にせよ、良き自衛官であること以外はほとんど見えてこないので、どこか部下想いなシーンなどを見ても、あまり感動や共感を抱けません。
なんというか、科学・SF考証に重きが置かれ過ぎており、登場人物はその状況下でコマのように動いているだけな印象が拭えませんでした。
そういった面と魅力的な人物描写を見事に両立している「亡国のイージス」などと比較するとどうにも作者サイドの力量不足が垣間見えますね。

また、後半の自衛隊の作戦描写もちょっと疑問点が多い。
政府の無能ぶりなどによって作戦準備期間が短かったとはいえ、あまりにも行き当たりばったりな上にナンセンスな戦い方をしています。
パニック終末ものの金字塔「日本沈没」や「滅びの笛」に及んでおらず、どこか既視感のある内容なのが残念です。

とはいえ、全編を通して貫かれる、黙示録的な終末予兆感、そして謎が謎を呼び、エスカレートの一途をたどる「生存者ゼロ」の惨劇。
これほど牽引力を持ったパニックものは近年では随一です。

興味を持たれた方は是非読んでみることをオススメします。
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)Amazon書評・レビュー:生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)より
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