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雪の女
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雪の女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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フィンランド南部の小さな町エスポー警察の巡査部長マリア・カッリオは、様々な事情を抱えた女性たちのためのセラピーセンター、ローズベリ館で講演を依頼される。その週間後、年の瀬も押し迫ったころ、雪深い森の中で館主エリナの遺体が発見される。しかも身につけていたのはガウンとパジャマという、薄着だ。容疑者はエリナの恋人、館を頼りに集っていた女性たちなど複数いる。はたして、事件の真相は? 訳者あとがきによれば、1990年代初頭から書き継がれているマリア・カッリオシリーズの第3作にあたる作品です。フィランドではテレビドラマ化もされたほど著名なミステリーだとか。ヘルシンキの空港内書店でこのシリーズのペーパーバックが確かに並んでいて、最新作は昨2013年に出たとありました。 邦訳は昨2013年1月に、そして9月に、第4作が訳出されました。近々第5作の翻訳が出版される予定とのことです。 事件の真相そのものに私自身は大きな驚きを感じなかったので、ミステリーとして手放しでほめるほどのクオリティがあるとは言い難いでしょう。ですがそれでも私は、事件を追うこの主人公には大きな魅力を感じたのです。 気温がぐっと下がり、日照時間も限られた北欧で、傷を抱えた女性たちと切り結んでいくマリア。警察という男社会で女が伍していくことの厳しさも味わいながら奔走する、若い彼女の人物造形はなかなか見事です。署内の、女には厳しい同僚警察官の、ほんの一時見せる弱さや優しさも粋に感じさせるところがあって読ませます。訳者である古市真由美氏のフィンランド語から日本語への移設も違和感が一切なく、こうした翻訳家が日本にいてくれていることにも感謝の念が湧いてくるほどです。 マリアは今回の事件の途上で、新しい生命を宿したことに気づきます。邪悪な行いに手を染める人間が今後も必ず立ち現われてくるだろう。それでも彼女はそうした世界に新しい命を産み落としていく決意を胸に歩き続けるのです。そのラストシーンのマリアの凛とした姿には、清々しい読後感を得られました。 | ||||
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わずか12歳の若さでデビュー作を発表したというフィンランドの早熟の女流ミステリー作家レヘトライネンの人気警察小説シリーズ「女刑事マリア」の第四作の紹介です。読むのはとても遅くなりましたが私にとって本書で北欧5カ国のミステリーの読破をようやく成し遂げました。スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・アイスランドに次いでフィンランドの初の邦訳となった訳ですが、解説を読んで世界の中でも特に難解な言語という事情があった事を初めて知りました。 有名セラピストのエリナが男子禁制で女性限定のセラピーセンターを開設しているローズベリ館にエスボー警察の巡査部長マリア・カッリオが講演を依頼され招かれる。処がそれから2週間後に館の主エリナが行方不明となった末に近くの森でガウンとパジャマの軽装の身で死体と化して見つかる。マリアはこの自他殺のどちらとも取れる不審な死の捜査に乗り出して行くのだった。 本書のヒロイン熱血女刑事マリア・カッリオは小柄ながらも男社会の警察組織の中で負けずに一生懸命がんばる姿には誰もが深く共感し好きにならずにいられないでしょう。また私生活では結婚したばかりの夫アンティとの間に予期せず授かった子宝に戸惑いつつ産む決意をし、好きな飲酒を控えて体を労わりながら(でも時に冷静さを失い無我夢中になってしまう事もありますが)日々捜査にまい進する姿勢も立派です。今回はメインの事件の他にも凶悪な殺人犯の脱獄囚ハルットゥネンに逮捕取調べ時の恨みを抱かれ「殺してやる」と同僚刑事と共に名指しされて狙われる恐怖の一幕がありやがて警察にとっては極めて厳しく悲しい局面を迎えます。この事件によってマリアが日頃から反りの合わない嫌な野郎のペルツァ警部補と少し理解し合えたのは悲しいながらも不幸中の幸いと言えるでしょう。さて肝心の事件の謎に迫るマリアの推理方法はそれぞれに悩みを抱えた訳ありの女たちの様々な人生の問題について深く掘り下げながら適当でなく真摯に向き合って行くという温かな眼差しに貫かれた物で、過ちを犯した不幸な犯人に同情しつつ真実から決して目を背けずにまた別の面の真の悪人を見逃しはしない厳しさも持っています。マリアの人間性を表した最終章の独白「わたしはしばしば、他人の人生にあまりに深く立ち入ってしまい、その結果、自分自身の人生はどうしてもおろそかになってしまう」に私は深い感動を覚えましたので今後に予定されている続く第5作の紹介を楽しみに待ちたいと思います。 | ||||
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北欧の国々の中で、フィンランド人は、歴史的な理由もあって、日本人には好意的である。日本でも人気のある北欧ミステリー。本作はフィンランドの作家レーナ・レヘトライネンによる、現在のフィンランドを舞台にした警察小説である。本のカバー、帯などからクラシカルなミステリーと早合点するかもしれません。おおまかな粗筋は内容(「BOOK」データベースより)でどうぞ。北欧ミステリー共通に見られる特色は登場人物のそれぞれの”顔“がキチンと書き込まれていることである。それを掴みとって読んでいくのが作品を満喫するコツであろう。エスポー警察の巡査部長マリア・カッリオは、女性限定のセラピーセンター、ロースベリ館での講演を依頼された。このセンターでは、それぞれの過去の多くの悩みを内に秘めつつ、しっかりと自分の道を真っすぐに生きていく道を模索している。そこには、この時代の悩み・・・精神的、宗教的、経済的なものが凝縮されている。物語の中心となる殺人事件、その捜査中に起こる別の事件。主人公・女性警官・マリア・カッリオは、非常に嫌味な同僚との”棘のある言葉戦争“をしながらも事件の捜査に・・・2つの事件に深くかかわり、彼女は疲労困憊の状態に、さらに追いかけるように、彼女の個人的な日常にまでも様々な状況が巡るのである。このように複雑に入り混じった物語の流れ、さまざまな登場人物、警察署内部の人間関係、マリアの友人や親戚・・・をしっかりと把握して読み進んだ後に、読者は満足感を得るに違いないでしょう。3つの事件。読みごたえも、味わいもある作品。良いね!お読みください。 | ||||
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フィンランドのミステリーは初めて読みました。ヒロインのマリアがエネルギッシュで魅力的です。 主人公だけでなく、彼女の夫や、警察署の同僚たちのキャラクターもそれぞれ興味深く、好感がもてます。 早く続編が読みたい! | ||||
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