冬の生贄
- 北欧ミステリ (199)
【この小説が収録されている参考書籍】 |
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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筋としては面白い題材だと思うのだけど、色々詰め込みすぎて肝心の事件が曖昧に?なってしまい、 | ||||
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平原に立つ一本の木に吊されていたのは、凄惨な暴力の跡が残る全裸の男性の死体だった。これはリンチなのか、生贄なのか? 物語のスタートは衝撃的で期待感が高まるのだが、クライマックスはそこで終わってしまったような感じでちょっと残念だった。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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スウェーデンの作家モンス・カッレントフトの6作目で、この作家の作品では日本初訳のようです。最近の北欧ミステリは女流作家が多いので、名前からこの作家も女性かと勘違いしたのですが男性でした。ただ、ヒロインの女性刑事モーリンの心理描写が的確なため、女性ファンから「夫より女性の気持ちをわかってくれる」というファンレターが多いのだと後書に書いてありました(笑)。この作品の前には冬、夏、秋、春の四季シリーズと5作目の「第5の季節」があるそうです。実際に読んでみてこの作品からスタートしてもさしつかえなかったですが、大変おもしろかったため、できれば過去の作品も翻訳してほしいと思いました。 北欧ミステリの共通項、不毛で暗く厳しい冬、精神のバランスを崩す人々、離婚、母子家庭、ばらばらの家族、心理的にねじれた人間関係、アルコール中毒、移民と差別、手厚いと見える社会福祉の裏側など、社会の負の上に物語りは成り立っています。残酷に殺され識別できないくらい顔が傷つけられ、雪の中、木に逆さにつるされた死体。被害者は暴力の耐えない家庭で育ち、精神的に問題があると思われていた生活保護者の青年。カルトの宗教的儀式か、または不良グループの気まぐれな暴力か、それとも何かうらみをかうような出来事があったのか・・・刑事モーリンとその相棒ゼケが舞台となる地方都市リンショーピンを駆け回ります。捜査の過程もスリル満点で、結末も納得がいくものでした。 上下巻の長い物語ですが、その長さを感じさせません。章の区切りには、殺された青年の魂が、風に吹かれて天上から見下ろしているかのような独白が挿入され、不思議な雰囲気をかもしだしています。心霊小説でもホラーでもなんでもなく、死者に意識も言葉もあるはずがないのですが、この独白のせいで、なにか文学のような香気も感じられ、暴力的、猟奇的な事件の凄惨さが和らいでいます。 また、印象的だったのは冬の描写です。「人間の住むところではない」という言葉が何度も出てきます。車から家まで、ほんの少しの距離を歩くだけでもつらい、味気ない砂を噛むような厳寒の風景は、日本人が思い浮かべるロマンチックで美しい冬景色とはかけ離れたものです。北欧の人々が夏と太陽を焦がれる気持ちは強烈だということですが、寒さの厳しい所で生まれ育つと、余計に暗い冬が疎ましく感じられるのかもしれません。 最近読んだ北欧ミステリの中では出色の出来でした。おすすめです。 | ||||
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北欧の厳しい寒さと事件の不気味さが相乗して薄気味悪さが迫ってきました | ||||
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長さを感じさせない展開。北欧の厳寒が伝わってきます。主人公が魅力的 | ||||
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北欧的な、とても暗い空や冷たい空気感が漂うサスペンスです。結果的には、うーーん、これで終わり?と思ってしまうのですが、アメリカ的なサスペンスに慣れてしまった目には、また新鮮で神秘的な読後感が残りました。 | ||||
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凍てついた雪野原の一本の木からぶら下がる全裸の太った男の死体。男の体にはすさまじい暴力が加えられたあとがあった。これはリンチか生贄なのか…。事件を負うのは地元警察の警部補モーリン。最近注目のスウェーデンを舞台にしたミステリーである。読む前は、その事件を発端としたシリアルキラーによる連続殺人ものかと思ったのだが、読んでみると全く違っていた。 その被害者の男性の生い立ちを丹念に掘り起こし、上下巻をかけてモーリンが真相に迫っていく話である。モーリン自身も捜査に追われ、思春期に差し掛かった一人娘との関係をうまく作ることができずに苦悩する様子がところどころに差し挟まれる。 血の繋がりは絆になるのか、家族であっても分かり合えないのはなぜなのか、読者に対して重いテーマを突きつけてくる本書である。人間の弱さ、悲しさ、残酷さ、そんな負の側面を次々と見せつけられやりきれなくなるが、娘との関係を放棄せず、しかも一途に事件を追いかけるモーリンの姿に救われる。事件解決のカタルシスよりも人間の悲しい性に心揺さぶられる作品だ。 | ||||
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