冬の生贄
評判
冬の生贄の評価:
4.33/5点 レビュー 12件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1〜12 1/1ページ
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冬の生贄の評価:
4.33/5点 レビュー 12件。 D ランク
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北欧ミステリの共通項、不毛で暗く厳しい冬、精神のバランスを崩す人々、離婚、母子家庭、ばらばらの家族、心理的にねじれた人間関係、アルコール中毒、移民と差別、手厚いと見える社会福祉の裏側など、社会の負の上に物語りは成り立っています。残酷に殺され識別できないくらい顔が傷つけられ、雪の中、木に逆さにつるされた死体。被害者は暴力の耐えない家庭で育ち、精神的に問題があると思われていた生活保護者の青年。カルトの宗教的儀式か、または不良グループの気まぐれな暴力か、それとも何かうらみをかうような出来事があったのか・・・刑事モーリンとその相棒ゼケが舞台となる地方都市リンショーピンを駆け回ります。捜査の過程もスリル満点で、結末も納得がいくものでした。
上下巻の長い物語ですが、その長さを感じさせません。章の区切りには、殺された青年の魂が、風に吹かれて天上から見下ろしているかのような独白が挿入され、不思議な雰囲気をかもしだしています。心霊小説でもホラーでもなんでもなく、死者に意識も言葉もあるはずがないのですが、この独白のせいで、なにか文学のような香気も感じられ、暴力的、猟奇的な事件の凄惨さが和らいでいます。
また、印象的だったのは冬の描写です。「人間の住むところではない」という言葉が何度も出てきます。車から家まで、ほんの少しの距離を歩くだけでもつらい、味気ない砂を噛むような厳寒の風景は、日本人が思い浮かべるロマンチックで美しい冬景色とはかけ離れたものです。北欧の人々が夏と太陽を焦がれる気持ちは強烈だということですが、寒さの厳しい所で生まれ育つと、余計に暗い冬が疎ましく感じられるのかもしれません。
最近読んだ北欧ミステリの中では出色の出来でした。おすすめです。