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残穢



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【この小説が収録されている参考書籍】
残穢
残穢(ざんえ) (新潮文庫)

残穢の評価: 3.38/5点 レビュー 306件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全165件 61~80 4/9ページ
No.105:
(5pt)

鈍感力発揮する!

ちょっと覗いたらものすごい量のレビューにびっくり。

まず、一人で夜中読んでも大丈夫です(私は)。
鬼譚と合わせ読みしてこその今作品なわけですが、実は著者を昔から追っているとさらに面白く読めます。
そこかしこで腑に落ちます。フィクションという設定なわけですが、
著名実名も多く出る今作品。読み進めるのが非常に楽しかった。

だからといって怖くないかというと、怖いです。
好奇心と嫌悪感、普段は目をそらしている穢れが迫ってくるかのような恐怖。
持っていると、障りがありそうとは言いえて妙なこの本です。
うつりそうで怖いんです。
でも、私はこの本は譲りませんよ?大切な本となりました。

なので頭を鈍くして読みもするし、棚のいい場所にしまっておきます。つまり、すごく怖がってるけど大事な本です。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.104:
(5pt)

根が深い

<私>に持ちかけられたなんて事のない、どこにでもあるような怪談。
そこから始まり中身を探り、遡るにつれ見えてくる根源と汚染。
そして徐々に、それそのものが怪談としての性格を帯びてくる。
現象としての怪異、その淡々とした恐怖が明らかにされる。

初めて読んだホラー小説だったのですが、非常に面白かったです。
(今から思えば)なんて事のない、普通の怪談から始まって、その正体が明かされる毎にまた一味違った怖さというのを楽しめました。
最初から最後まで抵抗なく読めました。

その中で1つ、大した事ないのですが、思ったことがあったので読書を中断してツラツラと書いてみたものがありますので、記しておきます。
この本の中でも度々出てくる精神疾患(統合失調症)についてです。

残穢
トシエさん
清子さんが当時31歳、それより一回り上ということは40代半ばでしょうか。
この時期は女性において統合失調症の発症リスクが高まることが知られています。
礼子さんのトラブルがストレスになり発症、あるいはすでに発症しており、そのために礼子さんを呼び寄せたのかもしれません。
症状としては幻聴、それに伴う不眠ですね。
一晩中赤ん坊の声がすれば嫌がらせと思うのは当然と思うかもしれませんが、その後の発言を鑑みるに嫌がらせを受けていると強く思い込んでる様子が窺えます。
(一人の女性のために赤ん坊を隠しながら、行く先々で、つまり監視をしながら赤ん坊を泣かせるというのは、一般的には考えづらいです。)
病んだ様子という記述は言うにや及ぶ、目つきがおかしい(と周囲の人から語られる)というのも1つの典型的な特徴と言えると思います。
そして統合失調症の方が無治療で放置された場合、悲惨な結果を辿ることもあります。

もちろんこれらは単なる憶測でしかなく、しかもかなり一方的なものです。加えて、話の一部だけを切り取ってこのように解釈すると、全体の整合性にいかんせん問題が出てきますし、そもそも小説に対していちいちこのようなつっこみを入れるのはナンセンスだ、とも十分に言えると思います。
(例えば三島由紀夫は金閣寺を書くにあたり、放火した林が統合失調症の患者であると知りながらも、あえてその事実を抹殺したことが取材構想メモから分かりますが、それは文学作品としての金閣寺の評価を、聊かも傷つけることはないのです)

さらにこの本の中には少なくない数の統合失調症と思われる方が出てきます。
統合失調症は脳の病気でありますので、時代地域を問わず一定数(それもおそらくかなりの数)の患者がいます。
よって上の人たち全員が統合失調症であると推定できなくもないですが、さすがにそれはやり過ぎの感が強いです。
そもそもこの本に書いてあることすべてが事実と仮定して話を進めてますが、本というのはテーマを決めて書くという性質上、情報に偏りが出るのは当然とも言えないほど当然です。
故にこれらの、かなりの共通点を有する心霊体験を一言病気とまとめるのには抵抗がありますが、それでも実際に事実であるという可能性は厳然としてあります。しかしそれらを勘案してもやはりそこまで言うのは推定のし過ぎだと思います。

ただ1つ言えることとして、この本にもそれが示唆してありますが、心霊体験とは精神疾患との関わりはかなり深いもので、霊能者と言われる人の中にも少なからず統合失調症の方がいるとされています。
ダラダラと書いてしまって要旨が掴みづらいのですが、要するにトシヱさんはおそらく統合失調症だったか、そのイメージによって作られた(粉飾された?)のだと思います。
これが意味するところはつまり、この社会には例え病名を知らなくても、(残念なことに)社会的に抹殺されるような風潮があっても、統合失調症の方は確実にいて、そしてそのことをなんとなく肌身に感じていると言うことではないでしょうか。

ただこの病気はまだ原因がはっきりとわかっておらず(ストレスが原因でなるというのは誤りです)、しかも日本だけで100万人も患者さんがいる病気です。
つまり誰もがトシヱさんになり得るということです。
ただしトシヱさんの時と唯一違う点は、現在では適切な治療を受けやすいということでしょうか。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.103:
(5pt)

想像以上に怖くて、呆然とさせられました。

山本周五郎賞受賞ということで期待して読みましたが、想像以上に怖くて、呆然とさせられました。

以前から小野不由美に興味はありましたが、この作品が特別なのか、ホラーの魅力に取り憑かれそうな気がします。

フィクションであってもノンフィクションであっても、どっちでも良いですが、時空を超える穢れや想像することの恐怖は圧巻でした。

あまり人にお勧めできる本ではないです。
残穢Amazon書評・レビュー:残穢より
4103970049
No.102:
(5pt)

購入する際には、パニックホラーを想像せずに。

怖くない。というレビューが多いですが、多分その方達は幽霊やらがワーッと湧いて出てきて、パニックになるようなホラーを想像してこの本を購入した気がします。
この小説はまず幽霊という幽霊はほぼほぼ、出てきませんでした。
ですが、幽霊をぼこぼこ出さずにここまで怖く出来たのは、強いなあって思いました。語彙力(作家さんなので当然ですが)もさながら、納得できる描写がすごく多かったです。どこからがフィクションで、どこからが実話なのか…そういった曖昧さにゾクリとする怖さでした。「持っていたくない」と評されているようですが、そこまでとは言えないです。自分も団地に住んでいたので、あそこの部屋は出入り激しかったよなーと恐怖を掻き立てられました。
淡々と読めて、長すぎず短すぎずとちょうどよかったです。
ただ、少し遡りすぎでは?と笑ってしまいました。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.101:
(5pt)

好きな本です。

怖いです。
しんしんと身体が冷えるような
何かがドーンと出て来て、怖がらせるような単純な本ではありません。

今までも、ホラー、ミステリー類のものは好きで、沢山読みましたが、この本は本当に怖く、そして好きな本です。

迷っている方がいるなら、是非、読んでみてください。損はしないと思いますよ。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.100:
(5pt)

怖い

映画を観て面白くて原作を。兎に角、怖い。一番怖いと思ったのは、この本を読んで、どこが怖いかわからないとレビューしてる人々が居ること(笑)
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4101240299
No.99:
(5pt)

ひとりの時に読むべからず

作者が昔怪談を集めていたのを覚えている。
随分前の話ではあるが、まだちらほらと届く怪談。
作者本人は「怖いものを見ないふりして」という感じで淡々と、怯えている風はない。
ないのに、気味の悪いことが続く。
点が増えていき、奇妙な符合も見つけ、線どころか塊となっていく様が、怖い。
もしかしてこの本を読んでいる自分も、その塊の端に入ってしまうのではないかと怯えてしまうのだ。
恐怖というのは、対岸と思えないから怖いのだ。
対岸のことと思える人には、もしかしたらそう怖くないのかもしれない。
けれど、自分が作中のひとりの気分で読み進めてしまったら…これは一体何なのだとのめりこんでしまったら。
こんなに怖い本はない。
この本を読み終わって、どこに置くかから考えてしまう。

「今」だからこそ怖いのだ。
光が少なく闇が暗躍できた時代の話でもなく。
ファンタジーのような遠い場所の出来事でもなく。
今、生きている誰かの生活の中、地に足のついた真っ当な生活の中に忍び込む怪異。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.98:
(5pt)

創作と現実の境界線が絶妙

実話なのかフィクションなのか、結局グレーのまま最後までいった。
派手な怖さはないが、想像すると世の中の原理まで疑ってしまうほど怖くなる。
家とか場所で起こる怪奇現象は、あまた聞くけど、その枝葉の本流が実は一つの場所から来てるなんて思ったら怖い…。
しかも、感染して拡散するなんて。
ホラー作家の平山夢明などが登場してくるあたりはマジックリアリズムがうまく効いていて、
もはやフィクションとは思えず面白怖がりながら読んだ。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.97:
(5pt)

映画を観てからすぐ原作を買いました。

映画を観てからとても面白いと思って、すぐに原作を買いました。映画と原作では久保さんの設定が少し違いますが、それ以外はほぼ同じだったと思います。

普段あまりホラーらしいホラーは読みませんが、だからこそこの本が面白く感じたのかもしれません。「私」や「久保さん」と一緒に、不気味な音から始まる一連の事柄を調べて繋ぎ合わせていく感じが新鮮で、新しい事実が分かる度にドキドキしました。
もちろんその過程で怖い表現はあるのですが、ただ霊や霊障が怖いのではなく、その原因になったであろう事件や、高度経済成長から現代にかけての土地の扱い方や住民の流動性が高まったことなど、様々な問題を考えさせられる本だと思います。

ただし、他の読者の方々もおっしゃるように、決して後味のいい本ではないとは思います。手元に置いておきたくないというのも分からなくはありません。
つい「自分の部屋、家がある土地は以前どういう場所で、どんな暮らしがあったのだろう、もしかしたら不幸もあったかもしれない」と考えてしまいます。

今後もきっと「残穢」というタイトルを目にする度に内容を思い出して、隙間が怖くなったり耳をすませてしまったり、赤ちゃんの泣き声が気になったりしてしまうのでしょう。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.96:
(5pt)

■日本的な時相/地層を描いた怪作。今ここしか体感できない人はぜひ。

■人の大量死(客観)/無残死(主観)が、地につき、モノにつき、人につく、また何らかの方法で払い落せる「(物質的)な穢れ」となるのであれば、戦国の世も、先の大空襲も、世界を殺戮した大戦の嵐の土地すべて、アウシュビッツも、広島も、カンボジアも、シリアも、付いたり、舞ったり、積もったりする灰のように、穢れきっているはずだ。なのに、産業社会の流れに身を任せて、私たちは、うわべの新しさ、美しさを装う。穢れを忘れようとしたり、隠したりする。今の平穏こそが、これらの穢れた時相/地層を覆い隠すブルーシートによるものだと気付いているのに。今回の穢れの発端も、炭鉱経営の合理/強欲から、労働者救助を足切りした資産家に端を発する、産業社会の「穢れ」から、というのもおもしろい。電通過労死も、原発労働者も、同じ「産業社会的穢れ」として、同じ文脈と言えなくもない。とても現代的なホラー作品です。
■この小説は、たまたま、その一枚をはいで、深掘りしたに過ぎない。それでも、おびただしい怪異の小話のオンパレードである死。怖いモノ見たさの連鎖反応に、登場人物の多くは、自戒、自嘲しつつも、その欲望の赴くままに、自らの読みたい物語を自己編集していく。自己編集しているという前傾な気持ちがないと、影響されてしまうという自虐的な恐怖と裏腹な好奇と勇気。集団行動による冒険が生み出すちょっぴりの友情。こんな物語は、どこにでもある。と思う。
■炭鉱事故の死者をゾンビのように扱ってもよいものか。中絶に葛藤する母と娘、嬰児を次々と殺すことに慣れた女の境涯をどう見るか。たいそううすっぺらな現代社会の幸福からは離れただけで、怪異に翻弄され、自壊し死を選ぶ、犯罪に流される人は少なくない。このような、身近な穢れの現実を見ないようにしてきた読者に、一泡吹かせたいと思い書かれたのが、「残穢」ではないかと思う。
■今ここの「見たいものだけ」しか見ない、体感しない/できない人はぜひ。そのまま生まれて死んだら、もったいないよ。ブルーシートをはがす方法を教えてあげるよ。多少の想像力と知識は必要だけれど、間違いなく豊かな日本の時相/地層を、きっと安全にエンタメできるだけのコンテンツ/リソースが、まだまだ日本にあるよ。「世界遺産/産業遺産/記憶遺産」のハードよりもいいけれど、ホラーの名を借りた平成の柳田国男にいざなわれ、当たり前の「穢れ」ツアーを楽しむのもよいのではないかと思います。そのような物語としては、上質です。方法もテーマも素晴らしい。
■「残穢」というおみやげもついてくるし、読んだ後は、マンションの上の階のいつもの騒音も、サッシから漏れる風の音も、妙に「穢れ」じみてきて、切なくなってしまう。近く、おじさんの墓仕舞いを考えていたこともあり、若くして亡くなった叔父さん夫婦のことや、顏も知らない祖先の事を思いながら読み進む時間を良しとする自分が、なんともなく意地らしい。そんな体験のできる一冊って、そんなにないと思います。ぜひ、自分のこれまでしてきた、「穢れ」が漬け込みそうな自分の悪行を振り返ったり、思い出したり、再自覚したりしながら、ぜひ読んでほしいと思います。願わくば、自らの「残穢」の念を、日記の如く拾いながら、自分の物語を補完するのも一興です。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.95:
(5pt)

面白かった、けど人を選ぶ

酷評のレビューも多く、あまり期待せずに読みましたがとても面白かったです。ただ、襲い来るおばけに右往左往するタイプのホラーではなく怪異についての調査結果をまとめた報告書のような感じなので、パニックホラー系を期待して読むとかなり退屈に感じるかと思います。まずおばけはあんまり出てきません。その上怪奇現象のほぼ全てが伝聞形式なのでリアルタイムで追い詰められている緊迫感のようなものもなく、現象自体も音が聞こえたとか何か見えた気がするとかそんなのばっかりで地味です。しかし読み進め、少しずつ謎が明らかになるにつれじわじわと湧き上がる怖さがあります。派手なおばけが出てこないからこその絶妙な「ありそう感」がなんとも不気味です。また全てをおばけの仕業で片付けるのではなく人間自身が持つ闇のようなものも見え隠れするのが良いですね。少々ネタバレになりますが、あえて原因はこれ、と明確に決着をつけず想像の余地を残すことで不気味さリアルさが際立って余韻を残すいい作品だったと思います。奥山家はなんで地獄に繋がってるんだとかそもそもどうしてそんなにえげつない祟りを背負ってるんだとか、読者として知りたい部分は解明されないまま多く残りましたがお笑い芸人がネタを解説するとつまらなくなるように、わからないから不気味で怖いんでしょうね。それが不満な人も多いようですが私はとても楽しめました。謎が全て解明されることより雰囲気を楽しめる人におすすめです。
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4101240299
No.94:
(4pt)

少々長いが仕方ない

「小説」として評価するならこれは失敗作、あるいは実験作といえるかも知れない。ある種、読み手を選ぶ作品だろう。全編通して取材インタビューとモノローグが続き、特に大きな事件も盛り上がりも無く淡々と進んで行くから、「小説」を期待していた人は肩すかしを喰らった気分になるだろう。しかし、ここは少し我慢して丁寧に読んで行くと、作者や登場人物が感じている違和感や怖さ、忌まわしさに読み手も同調して行く。なんとなく読んでいる文字の後ろにはなにかがいて、行間からこちらを伺っている気すらする。
この感覚は一見無駄にも感じる細かな描写の積み重ねが生み出すのかもしれない。ラノベやファンタジー系ではストーリーテラーとしてうまさを見せつけているのだから、意図的にこういう手法を選んでいのだろう。
ただ、やはり読み手を選ぶ。文字を読むこと自体が好きな活字中毒者や、小野不由美 ファンであり実話系怪談が好きな人(私も)にはたまらないものがあるが、普通に小説としての面白さだけを期待している人にはおすすめしにくい。

この本を気に入った方には
「日本怪奇幻想紀行 奇っ怪建築見聞 6巻」に収録されている霜島ケイ氏の実体験談「三角屋敷」をおすすめします。
これは短くて怖くて忌まわしくていいですよ。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.93:
(5pt)

怖いです。

読んだあと真夜中の物音等がとても気になったりトイレに行くのも怖くなりました。一人暮らしの人は読まないほうがいいかもしれませんね。
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4101240299
No.92:
(4pt)

感染力

いわゆるホラー小説の怖さは、無い。最後の最後まで、無い。定型的なホラーとは、恐怖を感じる脳の部分が別なのでしょう。考えると怖くなりそうなので、これ以上考えないことにします。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.91:
(5pt)

途中でノンフィクションなのではないかと錯覚させる物語

8時間ほどで読めた気がします。
鬼談百景の100話目が本作品なのではないでしょうか。
ドキュメンタリー・ホラーでして、主人公の作家がマンションの怪異について調べていくことで、
ある歴史と事件が判明していくのですが、
途中でこの話がフィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなってきます。
本作品の主人公のモデルは作者自身であることが読み進めるとわかってくるので、
100%フィクションではないのではないかと思わせるので、
読んでいて恐怖を募らせます。
呪いの伝播を穢れとして、
広まっていく様を描いています。
この夏ぜひ。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.90:
(4pt)

眩暈

怨霊や霊を語るときに地縛霊といった語り口がありますが
この物語で語られる因縁はさらに深く謎めいて深くあいた穴を覗き込んでいるような
その穴の淵に立っている眩暈のような物語でした。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.89:
(5pt)

民俗学に携わった人はきっと最高に怖面白い!

誰かのレビューに、「読み手を選ぶ」というような表現があったのだが、読んでみて、「なるほどな」と感じた。確かに、映画化されるというニュースや煽情的なデザインのカバー(←本来のカバーの上にかぶせているだけなので、下は普通の表紙)、黒地に赤字で記されたショッキングな文字からは、あたかもこの作品がエンターテイメントホラーのような印象を受けてしまう。しかし、少し読み進めればすぐに、この作品がそういった方向性ではないことが分かる。

そもそもは調査記録である。調査記録であるから、どこか淡々として事実の羅列が続くような場面が多く、スピード感とか分かりやすいホラー性とは無縁である。ただ、その淡々としたところが、逆に怖いのだ。ゆっくりと、しかし着実に、怪異のもとを辿っていく。そして、「虚妄だと言われればそうかもしれいが、しかし、どう考えてもただの偶然が重なった結果とは思えない」というところに着地してしまう。その結論に達するまでのフィールドワークの過程を知っているだけに、言葉に詰まるというか、これだけの事実を重ねてそれでもなお気のせいだと言い張ることは寧ろ愚かな行為だと自覚してしまう。

過去を探っていく構成であるから、当然、初めの頃に記されている色んな場面や状況描写、誰かの言葉などは、全て「点」である。その「点」が単体で存在しているように思っていると、それがどんどん「線」になっていく。未解決事件を探偵が改めて調査し、追いかけていく様に似ている。

古典的、というか学術的、というか素朴、というか、とにかく、手法としては決して斬新とかアヴァンギャルドとかではないのだが、どうにも新しいタイプのホラーだったように思う。いや、ホラーというカテゴリに括った言い方が適しているかも良く分からない。でも、これだけ怖くて、奇妙で、恐ろしくて、しかし実話と言い切るのも憚られる作品は、暫定的にホラーと言っておくしかないだろう。

個人的に気になったのは、先日読んだ怪談小説『花嫁の家』のなかで著者の郷内氏が「我々拝み屋の仕事というのは、基本的に地味である。しかし、一万分の一、あるいは十万分の一の確率で、『例外』にぶち当たることがあり、それは本当に気をつけなければいけないケースである」と「怪異」について語っていた内容と、今回この作品内で何度か出てくる「聞いても伝えても祟るというような、『その存在自体が怪』である事例には本当に気をつけないといけない」といった表記とに、どうにも共通する何かを感じざるを得ない点。妙にリアリティを感じてぞっとした。なんというか、我々が楽しみ半分で取り扱っていても大丈夫なものがたくさんあることに紛れて、所謂「ホンモノ」が隠れている場合があるのではないか、そしてその「ホンモノ」は、新型のウィルスのように、普段は目に見えない形で存在し、ひとたび人間がそのウィルスに感染するや否や、じわじわとその身体を蝕み、形式としては「死」へと導くのではないか、そういったことをあれこれ考えてしまった。

そう、ここで出てくる「穢れ」と「ウィルス」は似ている。風邪だってそうだが、そのウィルスは普段、我々の肉眼で見えているわけではない(特殊な能力…高性能の顕微鏡とか、感染しているかどうかを調べられるキットとかを保持していれば別だろうけど)。そして、そのウィルスと接触のあった者が必ずしも発症するわけではない。キャリアにはなっていても死ぬまで発症しない人だっているし、触れた翌日には発症する人だっている。自然と治ってしまう場合もあれば、何かをきっかけにぶり返すこともある。そういう意味では、インフルエンザで学級閉鎖が実施されるのと同じように、ある程度隔離することが穢れを滅ぼす有効手段なのかもしれない。

読み応えのある、そして、民俗学を研究していた自分としてはたいへん興味深いレポートだった。難点は、事実の羅列であるがために登場人物や場所、時代背景がコロコロ変わり、相関図というか、簡単な家系図というか、何かしら見やすくまとめられた図のようなものがほしかったかな、という点。まぁ自分で作ればいいだけの話なのだけど(そしてたぶんその作業もきっと面白い、この手の話が好きな人にとっては)、読み始める時にはまさかそんな段階を踏む構成だとは思わないので、つい小説を読むような気持ちで読み進めてしまうのだ。で、気づいた時には既に手遅れというか、今から立ち返ってあれこれ読み直しをして関係図を作成するよりは、先に進んでしまいたい気持ちが勝ってしまう。

上記の一点を除けば、とにかくゾワゾワと怖い、下手な怪談よりよっぽど鳥肌の立つ名作。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.88:
(5pt)

自分の中に何かが残る、感染するような小説

目の前で派手な出来事が起きるわけではなく、取り立てて幽霊が出るわけではありません。
ただ淡々と、連綿と、取材を続けた成果をレポートとして発表した、という感じの小説です。

普通のホラー小説が、読み終わった後怖くても、まぁ理性的に考えてありえないよなと思ったり、
怖いけど作り話だから、と思って忘れていくことができるのに対して、
この残穢は、「ああ、そうだったのか」という納得を残していきました。
それはこの本に書いてあることだけでなく、理屈で考えて変、辻褄が合わない、おかしいでしょ、と思っていた他の怪談たちにまで及ぶ、
ああ、そういうことだったのか、それならばそれらは全て現実かもしれない、という納得です。
この小説はフィクションとしても、この感覚は穢れの様に残る気がしています。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.87:
(5pt)

一気読みしました

怖いのに続きが気になってページを繰る手を止められない。そんな本。
実話ルポ形式というか、実際話の大部分は実話のようです。
犠牲者多数、作者本人にも身体的危険(原因不明の体調悪化)が起こっているのに、作者が最初から最後まで客観的に
妄想やこじつけを念頭に置きながら淡々と語っているので、読んでいる最中は明るい日差しの中で怪談話を聞いているような不思議な安心感があります。
であるのに、読後、じわじわと恐怖感が浸透してきます。他人事であるのに他人事ではない、防御不可能な呪い。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.86:
(4pt)

レビューに誘われて

小野不由美さんの本は読んだ事はなく、レビューに誘われて本を購入しました。怖ければ怖いほど読みすすめます。期待しています。
残穢Amazon書評・レビュー:残穢より
4103970049

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