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(短編集)
錆びる心
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錆びる心の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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短編集なのですが、本一冊としてテイストがまとまっていないような気がします。収録作品の中で好みの分かれるものがあるのではないでしょうか。 私は表題の『錆びる心』と、『虫卵の配列』、『月下の楽園』の3作品が好きです。しかしながら、別のテイストで集められたなら『羊歯の庭』『ジェイソン』『ネオン』の作品も好ましく思えたかもしれません。例えば、道ならぬ性愛の短編集として編纂されていたら、『羊歯の庭』など光ると思う。桐野氏なら短編のネタもありそうですし、まとめ方に少々不満があります。適当に寄せ集めただけのような印象を受けてしまいます。 <錆びる心> タイトルである『錆びる心』は、自分の浮気によって家庭崩壊した主婦・絹子が、10年間夫の監視に耐えて家出する物語です。しかし、私は絹子を好きになれません。「し残した恋愛」だと夢を見て、「さほど好きでもないのに誘われるままに関係した」不倫の代償として、夫に外出禁止を言い渡されるくらい受けるべきだと思います。10年我慢することで夫への償いは十分、復讐できると思うのは、都合のいい思い上がりだと感じます。 この短編が良いなあと思うのは、靖夫の存在に尽きます。最後の方で、ワガママな絹子の言行に重みを与える言葉が秀逸です。こういう存在を隠し持って話を展開されると、「やられたー。」と思ってしまいます。靖夫の存在を描くことで、人が生きるとき、どれだけ他者から認められたいか、存在を記憶して欲しいかを求めるものだということを、切に訴えかけてくる設定に感激します。私も、生きていた痕跡を残したいと思うので・・ <虫卵の配列> 今を充実させて生きるためにとった手段が、他人を傷つけるのは良くないのでしょうが・・私はこの生物教師に共感します。 <月下の楽園> 歪んだ嗜好と執着に惹き込まれます。これは、私自身が廃墟や廃屋がたまらなく好きだからという理由もあるかと思います。 | ||||
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短編集と侮る事なかれ。重い六編の収録された作品集である。重いと言っても鈍重な重さではない。ある意味醜悪な、時に狂気にも近い心の内面をえぐり出すナイフのような鋭さを持っている。 六名の主人公達、そしてその周囲の人たちの心に様々な角度で切り込む作者独自の「ナイフ」を堪能あれ。 | ||||
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短編集と侮る事なかれ。重い六編の収録された作品集である。重いと言っても鈍重な重さではない。ある意味醜悪な、時に狂気にも近い心の内面をえぐり出すナイフのような鋭さを持っている。 六名の主人公達、そしてその周囲の人たちの心に様々な角度で切り込む作者独自の「ナイフ」を堪能あれ。 | ||||
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えぐい作品が多い桐野夏生の短編集。 この本は『グロテスク』や、『OUT』ほどの、強烈なえぐみがありません。 《収録作品》 虫卵の配列……劇団脚本家を愛する元生物教師の、ちょっと変わった愛のかたち。 羊歯の庭………15年ぶりに再会した恋人たちの不倫話。相変わらずだらしない男と、歳月を経てすっかり強くなった女が対照的。 ジェイソン……自分が酒乱だったと初めて知った主人公が、記憶吹っ飛んでる部分を旧友をたよりに探っていく話。 月下の楽園……荒廃した庭が好きなネクロフィリアちっくな主人公の話。 ネオン…………映画『仁義なき戦い』に憧れる若者が、ヤクザに弟子入りする話。 錆びる心………10年間夫との生活を耐えて家出した主婦が住み込み家政婦をする話。『他人』と『家族』の話。 片想いや、不倫など、ごく日常的なネタが根っこですが、 どれもこの作者らしい独自の感性でアプローチしているので面白いです。 いちばんこの作者らしいと感じたのは表題作『錆びる心』。 『他人』に自分の痕跡を刻みつけるような仕打ちがとてもえぐいです。 印象的だったのは『虫卵の配列』。 オチは賛否ありそうですがそれは置いといて、 元生物教師が語る『愛情』が たまらなく純粋で危うく描かれているのが鮮烈です。 私は妄想型読者なので短編からいろいろと考えるのが楽しいです。 けれど、まとまった長編のほうが作者の実力が発揮されてる気がします。 | ||||
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桐野夏生という作家は長編主体で好作品を連発していますが、本書のような短編にも才能のほとばしりを感じることができます。 「虫卵の配列」はタイトルが秀逸。想像しただけで私も気持ちが悪いです。「羊歯の庭」は男の悲哀とずるさが入り混じっております。「ジェイソン」はユーモアあふれる小作品。「月下の楽園」は廃退の美学、描写の上手さが光っております。「ネオン」はちょっと悲哀を感じます。「錆びる心」は秀逸。どれをとっても面白く読む事が出来ました。 | ||||
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作者のユーモアと緻密な構成で綴られた短篇集。 なかでも、とりわけお勧めしたいのは、シンプルで落とし噺のようなユーモアに溢れる2作品「ジェイソン」と「ネオン」である。 前者は、泥酔すると記憶を無くす男の顛末を滑稽に描き、後者は新宿のやくざを彼らの狡猾さと滑稽さとで描き大きなギャップを生みだして話しを盛り上げている。 これらは、心の内奥を深く描くミロシリーズのような桐野夏生の作風とは違い、彼女のユーモラスな一面を見たようだ。ほかに、どこか心の壊れた人の不可思議な言動を描き戦慄を覚える作品もあり、桐野夏生のジャンルを問わない多彩な筆さばきを堪能できる一冊である。 | ||||
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桐野明生の短編集。うまい題名だな、と思う。人の心の中におこる説明できない思い、憎しみや恨みというよりも磨耗してしまった感覚・・・。題名ひとつで様々な思いを抱かせる、うまい題名だ。が、残念ながら各編の内容は題名ほどの印象を残す作品は少ないように思えた。雑誌に単発に発表されてきた短編を集めたようで、各編テイスト・テーマは異なる。突き放したようなラストの印象は似ているか・・ | ||||
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虫卵の配列・・・これはバッテン。 羊歯の庭・・・わりと好き。心のダークサイドだね。 ジェイソン・・・知らない内に事が起きる恐怖。 月下の楽園・・・設定は良いけど締めがよろしくない。 ネオン・・・引き付けるんだけど、短編か。 錆びる心・・・やっぱり表題作だけあって面白い。 | ||||
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短編集と侮る事なかれ。重い六編の収録された作品集である。重いと言っても鈍重な重さではない。最新作「グロテスク」にも共通する、ある意味醜悪な、時に狂気にも近い心の内面をえぐり出すナイフのような鋭さを持っている。 六名の主人公達、そしてその周囲の人たちの心に様々な角度で切り込む作者独自の「ナイフ」を堪能あれ。 | ||||
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短編集と侮る事なかれ。重い六編の収録された作品集である。重いと言っても鈍重な重さではない。最新作「グロテスク」にも共通する、ある意味醜悪な、時に狂気にも近い心の内面をえぐり出すナイフのような鋭さを持っている。 六名の主人公達、そしてその周囲の人たちの心に様々な角度で切り込む作者独自の「ナイフ」を堪能あれ。 | ||||
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なんとも辛い短編集である。人間の隠しておきたい、そして普通は隠し通せるかもしれない、醜い心を的確に描き出している。自分に都合のいい恋物語を妄想する女。相手の本当の心を見抜くことなく、自分の生活を清算することなく、ずるずると何年も不倫する男。無意識のうちに自分がしたことに何年も気が付かない男。自分が高尚だと思う趣味に密かに浸りながら、相手の生活を軽蔑する青年。映画通りの人生を送ろうとする青年。10年耐え忍び、黙って家を出ていくことが夫への復讐だし、自分を実現することだと思っている世間知らずの主婦。確かにここにいる登場人物たちの人生は『笑うべきもの』かもしれない。『自分はここまでしない』かもしれない。けれどもやはり自分にも隠されている「心」だと認めないわけにはいかない。この小さな短編集で6回も錆びたナイフが心に突き刺さりました。 | ||||
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これは、寄せ集め感が強くごった煮みたいなそこらの短編集ではない。 作品ごとのトーンがそれぞれ違うのだが、全体で不思議な統一感があり、桐野夏生独特の「ぴりり」とした味わいが残る。 長編の巧い作家が必ずしも短編も面白く書けるものではないと思うが、桐野夏生は両方のツボを心得てるようだ。 | ||||
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