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(短編集)

ついてくるもの



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【この小説が収録されている参考書籍】
ついてくるもの (講談社ノベルス)

ついてくるものの評価: 4.00/5点 レビュー 21件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 21~21 2/2ページ
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No.1:
(4pt)

作者の"根っ子"の部分が窺える好短編集

私は民俗学を背景にした濃厚な伝奇ホラー味と本格味とを融合した作者の作風を愛好しているが、本作はその前者に焦点を絞った短編集。表題作を含む全7編を収めている。記述主体(=作者or祖父江)が蒐集した怪異譚の紹介という形式になっている点が1つのミソで、読者から見ると各編の主人公が味わう恐怖に関する肉薄感にはやや欠けるものの、作者特有の多重解釈可能な重層構造を堪能出来る。

例えば、表題作(着いて来る、憑いて来る等を掛けている)は一種の憑依譚とも取れるが、良く考えると......かも知れないとゾッ〜とする秀作。また、各編の冒頭でホラーの古典とも呼べる作品及びその作者が紹介され、それに即した内容の怪異譚を披露している点も作者の工夫だろう。「八幡藪知らず」では冒頭で乱歩の少年探偵団シリーズ(私もこれでミステリーの世界に入った)が紹介され、内容もこれに準じた物となっており、怖さと共にある種の郷愁を覚えた。「祝儀絵」では別の作家が引用されているが、これも乱歩の「押絵と旅する男」に触発されているのではないか。更に、掉尾に「椅人の如き座るもの」という刀城物を持って来るサービス振りだが、これも乱歩「人間椅子」の影響が色濃く出ており(江川蘭子という作家名が冒頭で参照される辺り可笑しい)、乱歩ファンには一段と楽しめる内容。祖父江と刀城の会話もいつも通りユーモアに溢れている。

多重解釈性は残しながらも、本格味との融合という"重し"を取り払ったせいか、全体としてスッキリとした仕上がりになっていると思う。特に、乱歩へのオマージュの意識が随所に感じられ、作者の"根っ子"の部分が窺える好短編集だと思った。
ついてくるもの (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ついてくるもの (講談社ノベルス)より
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