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(短編集)
十二人の手紙
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十二人の手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 41~45 3/3ページ
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この本を読んだ当時は、解説者が言うような、井上さんの祈りをこの作品から読み取ることが出来なかった。社会人になったいまの私には、井上さんの祈りが察せられるようになった。 私にとって最も興味深かったのは、公平に報酬を得る、とはどういうことなのか、井上さんがこの作品の中で問おうとしていたことだ。私は発達障害、という目には見えない障害を抱えている(と私は、推測している)。その私にとって、井上さんのこの試みは、福音のように思われた。事実、井上さんのこの試みは、『聖書』よりの引用ではないだろうか。朝から晩まで働いた人も、昼から晩まで働いた人も、みんな、同じ額の報酬を受け取れる。『聖書』の中には、だいたい、そんなたとえ話が登場していたはずだ。なぜ、みんな、同じ報酬を得られるのか? 朝から晩まで働いた人は、もともと、それだけの能力があった。昼から晩まで働いた人は、精一杯の力を出し切っても、それだけの能力しかなかった。いずれの人も、精一杯力を出し切った、それで十分なのだ。私は、確かに仕事が出来ない。「小学生だって、もっと、ましに出来るのに」と陰口たたかれるのを聞いたこともある。実際、私には、それが精一杯なのだ。 そのほか、私の印象に残ったのは、〈慈善〉の行為のつもりが〈偽善〉の行為になってしまうことが、この世にはままあることを、井上さんが示唆していたことだ。〈慈善〉を施そうとする相手の状況をよくわきまえない限り、相手を正しく知ろうとする努力をしない限り、そのような事象はまま起こってしまう。だからこそ、太宰の言うように、教養が必要なのだと私は思う、ハニカミを知ること、神を畏れること、それが大事なのだ。私は不幸にして、厄介な障害を持って生まれた。また、私は学生の頃、不勉強だった。それが、いけなかった。若い皆さん、ぜひ、熱心に勉強ください。井上さんや太宰のように、私も、万民の幸福を祈っている。 | ||||
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手紙形式の短編集であるが、それぞれが、手紙独特の味わいを、十二分に醸し出す。 多くは人生の悲哀を描き、また数作は、どんでん返しのある意外性のある作品となっている。 ただ、どれも、人生の重みを強く感じる内容だ。 この作品が発刊されたのは1980年。 当時は、長文の手紙は日常的で、意思疎通の重要な手段だった。 ところが、今は手紙が書かれる事が少なくなり、メールが幅をきかせている。 もしこれが、絵文字満載のメールだと、軽薄だろうな、と想像したりする。 この事を考えると、手紙形式の本書は、一種の形式美を感じる。 「赤い手」に至っては、出生届、死亡届などの、公的文書ばかりから成っている。 内容は、手紙形式故に、読者の心を深くえぐる。 なぜなら、綺麗事では済まない、人生の悲哀を、ストレートに描いている。 いつまでも色褪せる事のない名作だ。 | ||||
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手紙で構成された短編集。 どの短編にも色々な種類の手紙が出てきます。 中には出生届・婚姻届・死亡届・・etc.など、 ほぼ役所の書類だけで構成されている短編もあります。 この短編を読んだときには、書類を並べるだけでも 人間の人生を描けるんだなと妙に感心しました。そしてただの短編集と違い、井上さんはある仕掛けを設けています。これは読んでからのお楽しみですね。 もう少し有名になっても良い作品だと個人的に思います。 | ||||
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手紙、届出書、習作からの引用などで構成されたトリッキーな連作短編集。驚くべきアイデアを次々と繰り出してくるところは作風は違うが乙一の「ZOO」を連想させもする。全体に作者独特の温かみが漂っており、それを臭いと感じる方もいるかもしれない。また、単行本の刊行が昭和53年とは思えないほど言葉遣いなどの感覚が古い(昭和20~30年代風)点が玉に瑕。しかし、純然たるミステリーとは言えないので忘れられがちだが必ずチェックしておくべき傑作である。 | ||||
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その人が書いた手紙や、その人について書かれた手紙で構成された、 短編集です。井上ひさしさんらしく、文章も達者ですし、 報告書だけで、一人の人生を描いたお話など、印象的なお話もあり、 なかなか、面白いです。ただ、キャラの被っている人物がいたり、 すべてのお話が繋がっている訳ではなかったりもするので、十二人なんて欲張らずに、半分くらいにして、もう少し、 それぞれのお話を膨らませてくれたら、もっと、良かったのに、 という気分で、星4つにしてますが、星3.5というのが、 正直なところかもしれません。 | ||||
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