一分ノ一
- 劇団 (96)
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すべて合わせてのレビューです。 ハードカバーで上下合わせて900ページ弱の分量で、おまけに未完である。 この人、未完の絶筆が何冊あるんだよ。物語の舞台は、1980年代の日本だ。 ただし、この日本は米英中ソに分割されている。これは絵空事ではなく、実際に存在したプランだ。 本作では四大国だけでなく、群小連合国が東京を分割している。南米諸国はビルの一室が占領地だ。 『東京ブルーローズ』は敗戦後の日本語廃止論がテーマだった。 これも実在した計画で、志賀直哉などの文人が賛同していたらしい。 作者ほど「戦後の日本」にこだわった作家はいない。ある意味で真の愛国者だったのだろう。 主人公はソ連統治下の北日本に住む地理学者サブーシャ(日本名は三郎)だ。 サブーシャは日本統一を目指して、各地から集まった同志たちと合流する。 各国は日本各地を占領地から海外領土に「格上げ」するプランを持っていた。 実現すると、日本は分割されたまま固定化してしまう。タイムリミットが迫る。 上巻はアクションが多彩で、目が離せない。本筋に無関係な饒舌が多いのだが、それも楽しみのうちだ。 星4個から5個に値する。下巻に入ると失速する。 面白いことは面白いのだが、ワンパターンのご都合主義が繰り返されるので読み飽きる。 おまけに完結していないので、せいぜい星2個かな。全体の評価は、中を取って3個にしておく。 しかしこの散らかった話をどう決着させるつもりだったのかな。 | ||||
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我らが主人公は、分断された日本の再統一を夢見るソヴィエトによって占領された北ニッポン国の地理学者サブロー・ニザエモーノヴィッチ・エンドーこと遠藤三郎。 彼は、少数の味方を敵の警察やスパイの魔手によって次々に失いながらも、入手した7枚の偽の身分証明書を使いながら、幾たびもの死地と窮地をあやうく逃れに逃れ、ついに中央ニッポン国六本木交差点付近のモスクワ芸術座付属トウキョウ俳優座劇場にたどりつき、名女優コマキーナ・カズートヴナ・クルハレンコの献身と劇場スタッフの協力によってテレビ出演を果たし、全国の隠れ統一熱望者たちの決起をうながす。 救国の英雄となった遠藤三郎の輝かしい存在を知ったニッポン人たちはようやく蜂起し、東京の各地でデモや武装闘争が開始されようとしていたが、肝心要の主人公は対日理事会からの死刑宣告を受け、執拗な敵スパイからの攻撃と追及、卑劣な脅迫の前にひとたびは転向を決意するのであった。 が、しかし、しかし、火山噴火口上の西郷隆盛の如く、203高地直下の乃木希典の如く、怒れる若者たちによって祭り上げられた神輿状態に陥った遠藤三郎は、再び戦場に返り咲き、世界最終戦争の渦中に飛び込むことを決意する。 さあこうなったら乗りかかった船、平成4(1992)年から足掛け7年41回の断続的連載を経たこの冒険ファンタジー超大作は、平成22(2010)年の著者の死去にもめげず、泉下の「小説未来」にて永久連載の栄光の道を辿ることとなったのであるうう……。 玉虫を尋ねて行かむ幾千里 蝶人 | ||||
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井上ひさしの長編にはお馴染みのストーリー展開。 危機があとからあとから迫るが、事態はいつも奇想天外な形で切り抜けられる。 でも、それが1000ページ近くも続くとあきてしまう。 帯に「テクニック総動員の奇想!」とある。それに嘘はない。 だけど、サービス精神のなせる業だろうが、結局作者自身コントロールできない程に「テクニック」「奇想」が暴走してしまった。 暴走したら未完となるのは必然だろう。 | ||||
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アジア太平洋戦争に敗れた日本は、米英ソ中の四カ国に分断占領されてしまいます。 すなわち、北海道・東北はソ連、東日本主体の中央ニッポンは米国、西日本・九州は英国、四国は中国のようにバラバラにされたために、かつての国家と民族のアイデンティが日毎に崩れ去っていくのでしたが、かのとき早くこの時遅く立ち上がったのが主人公、サブロー・ニザエモーノ・ヴィッチ・エンドー、略称サブーシャでした。 サーシャは、なんと赤の広場の一分の一、すなわち原寸大の地図を作成して北ニッポン政府をあっといわせた伊能忠敬を思わせる地理学者ですが、国境のない統一ニッポンの版図つまり日本独立をめざして孤立無援に似たゲリラ戦を開始します。 主人公のまわりにつどうのは、天才少年や高校野球監督やヤクザや熟女歌手や主将犬などなど、さながら八犬伝に出てくるような一騎当千の少数の同志たち。粉雪舞う山形を脱走した彼らは、四つの占領国に必ず散在しているであろう革命的な愛国者たちを糾合するために、さまざまな困難と身内の犠牲、さらにはCIA、FBI、KGB、MI5等々四大国の諜報機関や暴力装置の妨害と弾圧を乗りこえて、占領国が覇権を競いつつひしめく東京は六本木交差点にまで進出してまいります。 さあ、いよいよ血湧き肉踊る前代未聞の一大英雄冒険譚のはじまり、はじまりい…… | ||||
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おそらく井上さんはこれを大幅に改稿して単行本化するつもりだったのだろう。 小説現代に1986年(昭和61年)から1992年(平成4年)の7年間かけて連載。 バブル景気真っ最中から、崩壊までの期間である。未完。 ときは1986年。日本は米ソ中英の4カ国によって分割されていた。 ソ連は北ニッポンを(福島をのぞく東北5県と北海道) アメリカは中央ニッポンを(京都、奈良、和歌山以東、福島まで) 英国は西ニッポンを(大阪、兵庫以西、九州、沖縄) 中国は四国ニッポンを分割統治していたのである。 トウキョウ35区は4カ国によって、六本木交差点を境に、分割された共同統治区域である。 さらに連広告側45カ国が細分化された自国管理地をトウキョウ内に持っていた。 この日本を再び統一しようという面々が主人公だ。 下巻では捕縛された他のメンバーをよそに、ひとり逃亡をつずける 北ニッポンの地理学者、サブ−シャこと遠藤三郎の活躍が中心に活躍する。 彼ははサヴァン的な地理の知識を持っている。 上巻では、説明が多く居冗長だったのが、 井上さんが、サブーシャに国家感を語らせるようになって、俄然面白くなる。 これはもちろん井上さん自身の酷寒であるが、曰く、 ・日本人は自発的服従心を持っている。服従するのが恥ずかしいから、 自ら、果敢に服従するのである。こんな国は日本しかない。 ・新しくつくろうとしている日本はどんな国なのか。アメリカやイギリスが統治する 中央ニッポン(トウキョウ中心)や、西ニッポン(オオサカ中心)行過ぎた 市場主義、資本主義ではない国だ(これは現代日本のカリカチュアライズである) もちろん共産党独裁の社会主義国でもない ・ノーベル賞などとらなくてもよい、オリンピックのメダルもいらない。 世界の国々が、困ったときに、頼りにするような公正無私な国である。 ところで一つ追記。 犯罪心理学者というものを馬鹿にしているところが面白い。 昨今のテレビに出る犯罪心理学者は、お前は犯人と一緒に居たのかという推理や 「犯人はおそらく男か女ですね」というような誰でもいえる推理をするが、 個々に登場する体制側期待の犯罪心理学者は「人相見」出身の女子短大教授なのである。 | ||||
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