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一分ノ一
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一分ノ一の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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すべて合わせてのレビューです。 ハードカバーで上下合わせて900ページ弱の分量で、おまけに未完である。 この人、未完の絶筆が何冊あるんだよ。物語の舞台は、1980年代の日本だ。 ただし、この日本は米英中ソに分割されている。これは絵空事ではなく、実際に存在したプランだ。 本作では四大国だけでなく、群小連合国が東京を分割している。南米諸国はビルの一室が占領地だ。 『東京ブルーローズ』は敗戦後の日本語廃止論がテーマだった。 これも実在した計画で、志賀直哉などの文人が賛同していたらしい。 作者ほど「戦後の日本」にこだわった作家はいない。ある意味で真の愛国者だったのだろう。 主人公はソ連統治下の北日本に住む地理学者サブーシャ(日本名は三郎)だ。 サブーシャは日本統一を目指して、各地から集まった同志たちと合流する。 各国は日本各地を占領地から海外領土に「格上げ」するプランを持っていた。 実現すると、日本は分割されたまま固定化してしまう。タイムリミットが迫る。 上巻はアクションが多彩で、目が離せない。本筋に無関係な饒舌が多いのだが、それも楽しみのうちだ。 星4個から5個に値する。下巻に入ると失速する。 面白いことは面白いのだが、ワンパターンのご都合主義が繰り返されるので読み飽きる。 おまけに完結していないので、せいぜい星2個かな。全体の評価は、中を取って3個にしておく。 しかしこの散らかった話をどう決着させるつもりだったのかな。 | ||||
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我らが主人公は、分断された日本の再統一を夢見るソヴィエトによって占領された北ニッポン国の地理学者サブロー・ニザエモーノヴィッチ・エンドーこと遠藤三郎。 彼は、少数の味方を敵の警察やスパイの魔手によって次々に失いながらも、入手した7枚の偽の身分証明書を使いながら、幾たびもの死地と窮地をあやうく逃れに逃れ、ついに中央ニッポン国六本木交差点付近のモスクワ芸術座付属トウキョウ俳優座劇場にたどりつき、名女優コマキーナ・カズートヴナ・クルハレンコの献身と劇場スタッフの協力によってテレビ出演を果たし、全国の隠れ統一熱望者たちの決起をうながす。 救国の英雄となった遠藤三郎の輝かしい存在を知ったニッポン人たちはようやく蜂起し、東京の各地でデモや武装闘争が開始されようとしていたが、肝心要の主人公は対日理事会からの死刑宣告を受け、執拗な敵スパイからの攻撃と追及、卑劣な脅迫の前にひとたびは転向を決意するのであった。 が、しかし、しかし、火山噴火口上の西郷隆盛の如く、203高地直下の乃木希典の如く、怒れる若者たちによって祭り上げられた神輿状態に陥った遠藤三郎は、再び戦場に返り咲き、世界最終戦争の渦中に飛び込むことを決意する。 さあこうなったら乗りかかった船、平成4(1992)年から足掛け7年41回の断続的連載を経たこの冒険ファンタジー超大作は、平成22(2010)年の著者の死去にもめげず、泉下の「小説未来」にて永久連載の栄光の道を辿ることとなったのであるうう……。 玉虫を尋ねて行かむ幾千里 蝶人 | ||||
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井上ひさしの長編にはお馴染みのストーリー展開。 危機があとからあとから迫るが、事態はいつも奇想天外な形で切り抜けられる。 でも、それが1000ページ近くも続くとあきてしまう。 帯に「テクニック総動員の奇想!」とある。それに嘘はない。 だけど、サービス精神のなせる業だろうが、結局作者自身コントロールできない程に「テクニック」「奇想」が暴走してしまった。 暴走したら未完となるのは必然だろう。 | ||||
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アジア太平洋戦争に敗れた日本は、米英ソ中の四カ国に分断占領されてしまいます。 すなわち、北海道・東北はソ連、東日本主体の中央ニッポンは米国、西日本・九州は英国、四国は中国のようにバラバラにされたために、かつての国家と民族のアイデンティが日毎に崩れ去っていくのでしたが、かのとき早くこの時遅く立ち上がったのが主人公、サブロー・ニザエモーノ・ヴィッチ・エンドー、略称サブーシャでした。 サーシャは、なんと赤の広場の一分の一、すなわち原寸大の地図を作成して北ニッポン政府をあっといわせた伊能忠敬を思わせる地理学者ですが、国境のない統一ニッポンの版図つまり日本独立をめざして孤立無援に似たゲリラ戦を開始します。 主人公のまわりにつどうのは、天才少年や高校野球監督やヤクザや熟女歌手や主将犬などなど、さながら八犬伝に出てくるような一騎当千の少数の同志たち。粉雪舞う山形を脱走した彼らは、四つの占領国に必ず散在しているであろう革命的な愛国者たちを糾合するために、さまざまな困難と身内の犠牲、さらにはCIA、FBI、KGB、MI5等々四大国の諜報機関や暴力装置の妨害と弾圧を乗りこえて、占領国が覇権を競いつつひしめく東京は六本木交差点にまで進出してまいります。 さあ、いよいよ血湧き肉踊る前代未聞の一大英雄冒険譚のはじまり、はじまりい…… | ||||
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おそらく井上さんはこれを大幅に改稿して単行本化するつもりだったのだろう。 小説現代に1986年(昭和61年)から1992年(平成4年)の7年間かけて連載。 バブル景気真っ最中から、崩壊までの期間である。未完。 ときは1986年。日本は米ソ中英の4カ国によって分割されていた。 ソ連は北ニッポンを(福島をのぞく東北5県と北海道) アメリカは中央ニッポンを(京都、奈良、和歌山以東、福島まで) 英国は西ニッポンを(大阪、兵庫以西、九州、沖縄) 中国は四国ニッポンを分割統治していたのである。 トウキョウ35区は4カ国によって、六本木交差点を境に、分割された共同統治区域である。 さらに連広告側45カ国が細分化された自国管理地をトウキョウ内に持っていた。 この日本を再び統一しようという面々が主人公だ。 下巻では捕縛された他のメンバーをよそに、ひとり逃亡をつずける 北ニッポンの地理学者、サブ−シャこと遠藤三郎の活躍が中心に活躍する。 彼ははサヴァン的な地理の知識を持っている。 上巻では、説明が多く居冗長だったのが、 井上さんが、サブーシャに国家感を語らせるようになって、俄然面白くなる。 これはもちろん井上さん自身の酷寒であるが、曰く、 ・日本人は自発的服従心を持っている。服従するのが恥ずかしいから、 自ら、果敢に服従するのである。こんな国は日本しかない。 ・新しくつくろうとしている日本はどんな国なのか。アメリカやイギリスが統治する 中央ニッポン(トウキョウ中心)や、西ニッポン(オオサカ中心)行過ぎた 市場主義、資本主義ではない国だ(これは現代日本のカリカチュアライズである) もちろん共産党独裁の社会主義国でもない ・ノーベル賞などとらなくてもよい、オリンピックのメダルもいらない。 世界の国々が、困ったときに、頼りにするような公正無私な国である。 ところで一つ追記。 犯罪心理学者というものを馬鹿にしているところが面白い。 昨今のテレビに出る犯罪心理学者は、お前は犯人と一緒に居たのかという推理や 「犯人はおそらく男か女ですね」というような誰でもいえる推理をするが、 個々に登場する体制側期待の犯罪心理学者は「人相見」出身の女子短大教授なのである。 | ||||
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小説現代に1986年(昭和61年)から1992年(平成4年)の7年間かけて連載。 バブル景気真っ最中から、崩壊までの期間である。未完。 ときは1986年。日本は米ソ中英の4カ国によって分割されていた。 ソ連は北ニッポンを(福島をのぞく東北5県と北海道) アメリカは中央ニッポンを(京都、奈良、和歌山以東、福島まで) 英国は西ニッポンを(大阪、兵庫以西、九州、沖縄) 中国は四国ニッポンを分割統治していたのである。 トウキョウ35区は4カ国によって、六本木交差点を境に、分割された共同統治区域である。 さらに連広告側45カ国が細分化された自国領をトウキョウ内に持っていた。 この日本を再び統一しようという面々が主人公だ。 北ニッポンの地理学者、遠藤三郎はサヴァン的な地理の知識を持っている。 西ニッポンの小形明は極道。河内弁である。 四国ニッポンの藤一平は高知商業の野球部監督。ノックの天才である。付き従うのは捕球の名手、主将犬。 中央ニッポンの秋山マリは妖艶な歌姫、大スターである。そのスターには敏腕マネジャ−の醜女朱美。 さらに飯坂温泉からは、ヘリコプターも操縦できる天才児片桐三太郎。 一行は悲願の日本統一を果たすべくトウキョウへ向かった。 というのが発端である。 おおぐくりの設定はダイナミックであるが、 ・ギャグが荒っぽく、下ネタばかり。 ・伏線が見え見え、偶然頼り。 ・方言で遊ぼうという意図が冒頭みえるが、後半ストーリー展開のじゃまになってしまう。 など、粗も目立つ。 おそらく井上さんはこれを大幅に改稿して単行本化するつもりだったのだろう。 | ||||
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没後次々と未完の長編が刊行されているなか、ついに真打ち登場である。待ってました! 連載時から、「吉里吉里人」を継ぐものとして評判が高かった。しかし、作者本人もそれにワルノリしたようなところがあって、伏線に次ぐ伏線を張りすぎて、まるでおもちゃ箱をひっくりかえしたよう、ついには自分で収拾がつかなくなって完成を断念したところがある。 第二次大戦後、日本は四カ国の統治となる。「北ニッポン」がソ連統治の北海道と福島を除く東北5県、和歌山・京都以東がアメリカ統治の「中央ニッポン」、そこから西、沖縄までイギリス統治の「西ニッポン」、四国だけが中国支配の「四国ニッポン」というわけだ。首都トウキョウはかつてのベルリンのように四カ国によって分割されている。 主人公サブーシャは現山形県米沢地区に住む地理学者。時代はゴルバチョフ書記長の頃。分割された日本を統一すべく、同志とともに秘密裡に行動を開始する。まずは福島県と山形県の「国境」脱出の危機一髪から。 ここで、井上ひさしがフクシマを、他の東北地方と異なり、「中央ニッポン」の領土と設定したことに注目しよう。北関東のもうひとつ北、結局はトウキョーに「収奪」(井上ひさしがよく東京と東北との関係で使った言葉)される場所、と規定していたことだと思う。その熱い告発の言葉を味わって欲しい。 | ||||
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井上ひさしの全てがてんこ盛りで味わえる。 統一独立の活動を開始するなんともヘタレなアンチ・ヒーロー遠藤三郎ことサブロー・ニザエモーノヴィッチ・エンドー、愛称サブーシャは、とてもご都合主義で何度も命拾いする。このへんなかなかに007のパロディとなっている。彼を狙う最大の敵はKGBのスパイで変装の名人の一陽斎東勝(とんかつ)。 アメリカ領で「文書配達人」となったサブーシャは、トウキョウ地下に潜入し、四つの変名を駆使し、中国領では中華料理の伝説の達人、ソ連領ではモスクワ芸術座トウキョウ俳優座の伝説的名優、イギリス領では幻の傑作小説の作者になりすます。 ここまでにいろいろな「実在の人物」をモデルにしたキャラクターが出るは出るは、ラブレー的カーニヴァルの世界が繰り広げられる。しかし、ついに命運つき、サブーシャは捕えられ、裁判にかけられるが、ここで、かつて「ブンとフン」で警察庁長官であったクサキ・ケンスケが「北ニッポン党中央委員会議長」に出世して登場する。 といったぐあいで、さて、この大冒険はどこまでたどりつけるか。最後まで書き切って欲しかった。 | ||||
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