■スポンサードリンク
(短編集)
十二人の手紙
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
十二人の手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
井上ひさしさんにしては気の滅入るような物語ばかになので少し期待外れだった。 ミステリにしても中途半端であり、物語が暗いものが多く憂鬱になる。 プロローグの「悪魔」では主人公が獄につながれた過程は、絵に書いたように女癖の悪い社長の会社に就職したことが発端である。 第二話「葬送歌」では、女子大生が有名戯曲作家を騙す書簡往復で、その作家の直筆の手紙を展示会に使うという後味の悪い話。 第三話「赤い手」では、薄幸に生まれた少女が修道女になったが、大人になり焼き芋屋の女房になったあげく旦那は失踪してキャバレーで働くが、人生に救いを求めて修道院へ戻る寸前に自動車事故で死んでしまうという救いようのない物語。(5話「第十三番善楽寺に関係する。) 第四話「ペンフレンド」は、平凡なOLが、手紙の縁で良い人と結ばれるという本作のなかで唯一ユーモアのある明るい物語である。 第五話「第十三番善楽寺」は、東京の越年越冬のための収容施設の職員が身体障碍者の行き倒れを助けたが、突然四国お遍路に向かうが、またまた行き倒れて助けられた施設で問題が起きたときに初めて声を出した、この男はどこでも口を閉ざして話すことがなかったが、突然話し出して問題を解決する話。 第六話「隣からの声」は、新妻が結婚後すぐ夫がオーストラリアへ長期主張中、孤独に耐えられず精神に異常をきたす話。 第七話「鍵」は、耳の聞こえない有名な日本画家が京都近郊の鞍馬山へ絵を描きに行くが、奥様が早く帰ってほしいからと、現実にはあり得ない常識外れな手紙を送る話。 第七話「桃」は、エスタブリッシュメントの自己満足にも正しい思慮が必要という話。 第八話「シンデレラの死」は、父が亡くなったあと母が最低な男と付き合い我慢できなくなり家を飛び出すが、自立する苦労から精神的におかしくなり、あげく自死するという救いようのない暗い話。 第九話「玉の輿」は、父親が大酒飲みが縁で秋田の大きな作り酒屋の二代目に見込まれて若奥様に収まったが、旦那が二号を作り、離婚する。文通をしている高校時代の先生と意外なことがエピローグで明かされる。 第十話「里親」は、アルバイトをしながら東京で学生生活をしている女性の話だが、アルバイト先が有名作家などが来るバーで、ミステリ作家の弟子と仲良くなる。 結末は「砂糖屋」と「里親」の聞き間違いから悲劇が起きる話。 第十一話「泥と雪」は、建設会社の社長が情婦(会社のボスのような存在)と結婚したいが、妻が承諾しない。そこで情婦が手紙を利用した姦計を用いて離婚させるという話。 第十二話「エピローグ人質」は、前11話に登場したひとたちのほとんどが、米沢市郊外の天元台スキー場のホテルに滞在している。 11話で登場した人たちのなかで新婚が一組、その後夫婦になったカップルが一組、「隣からの声」で精神異常になった奥様も回復したようで夫婦で来ていた。 妻を追い払った情婦のカップル、第五話「第十三番善楽寺」の身体障碍者と更生施設の若い女性職員とが新婚カップルだったのは意外な展開であった。 ネタバレになるが、獄にいる姉の仇を弟がこのホテルで果たす話である。 日本画家が、帰る列車の中で事件の謎解きをしていたが、ミステリ好きな評者には蛇足だと思えた。 こんなに上手い文章で高校出たての女の子が手紙を書けることに違和感を覚えてしまったのは評者だけだろうか。 ページを繰るたびに先が読めてくる物語が多いし、そのうえ内容も暗いし、楽しく読める本ではなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ワンパターンで残念 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最近新聞広告で散見するので「どれどれ」との思いで購入。 果たして内容は、う~んこれほどの評判とはどうしても思えません。 手紙のフォーマットが全て同じ(本文の後に日付、差出人、あて先の順が律儀に守られている)。書く人が変われば変わるものだと思うのだが、そこでもう気が散る。「大どんでんがえし」なんて帯にあるものだから実はこれ全て同じ人が書いた手紙なのでは?なんて気になったりして(違います(笑))。 基本的に一話完結なんだけれど連作なんじゃないか、とか。何しろ気になる。 まあそれを差し引いても僕には楽しめませんでした。 最終章の「しかけ」も名探偵コナン級。 ぼくはダメでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
評判ほど面白くなかった | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
手紙の往復で物語の推移を楽しむ内容で、どんでん返しが効いて面白いです。 殆どの手紙の内容が長文で綴られています。 大正時代だったら有りそうな長文の手紙のやりとりですが、 現代では感情移入し難くて少々無理が有ります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1人の人間が、12人の人間になり代わって手紙を書くという作業は、思うほど簡単ではない。 高校を出たばかりの女が両親に、恩師に、弟に、親友へと次々に(時には長い長い)手紙を書き、しかも恩師には就職を世話してくれたお礼にとネクタイとピンセットを贈り、両親と弟に送金する。いまどき、こんな殊勝な女がいるとは思えない。 最初の「プロローグ悪魔」から始まって、最後まで、若い書き手の手紙はどれもスイスイと快調に筆が進んでいて、同じ調子。こんなに見事な手紙を書ける人がいるのか、という違和感が抜けない。 筆者の試みはわかるが、成功しているとは言えない。手紙の書き手の奥に、せっせとペンを動かしている井上氏の顔が浮かんできて、消えないのである。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!