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李歐
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李歐の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全58件 21~40 2/3ページ
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登場する多くの人物にちゃんとしたストーリーが用意されているので、 世界観の構築という点では圧巻的といえる だがその反面、話の中心であるべき李歐に対するページの分量が他の田丸や守山といった人物に 比べてそこまで多いというわけでもないので、終盤までやや影が薄かったのが残念 主人公の銃好き設定も生かされていない訳ではないが、やはりある程度ドンパチして欲しかった サスペンス要素も序盤と終盤しかなく、全編通してそういったものを期待して読むとややだれるだろう 急速なサスペンスではなくじっくりと腰の下ろした一人の人生を綴った物語と読むなら 傑作といえるのではないだろうか ただもうちょっと主人公と李歐が一緒に居る期間を長くして欲しかった | ||||
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「黄金を抱いて飛べ」の映画を見たら、久しぶりに高村薫を読みたくなった。 初期の作品は、男性のように硬質な文体で読みずらい印象だったけど、これは意外にすらすら読めた。 大阪の町工場、在日朝鮮人や不法滞在の外国人、キリスト教教会、イケメン殺し屋や何やら同性愛的世界 と高村ワールド全開。「マークスの山」や「レディジョーカー」よりは軽く読めてラストは残酷だが、少 しは希望が持てる。ここ最近のライフワーク的「晴子情歌」や「新リア王」も敷居が高かかったが読んで みたくなった。 | ||||
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再読したが、読んだ時の精神状態が、前回とちがったのか、2度目は、話しの中にのめり込んでしまった、改めて、著者の力量に、感心させられた、 | ||||
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高村薫の世界観は好きだが、学のない自分には正直読みにくい作品が多い。 その中でもこの作品は心をつかむ。 大陸への憧れ 言葉にできない思い なぜか心をつかむ描写が多い魅力的な作品。 | ||||
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とにかく、作者は女性なの?と思うほど、ディテールが細かい。 機械工の主人公一彰の性格を裏付けるためかもしれないが。 機械仕事、拳銃、そんな物理的なことが緻密に書かれていて、 読んでいて、正直疲れた。けど嫌じゃなかった。 そして飛び交う北京語と韓国語。 李歐と一彰の物語なのだが、 李歐はほとんど人から、彼の歴史が語られる。 なかなか再開しない二人にじれったく感じてしまう。 作者に心掴まれてしまってるな・・・。 | ||||
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高村作品の中では最も気に入っている「李歐」。珍しく未来が広がるラストだという事もあるが、波乱万丈な人生の中で起こる一つ一つの出来事を、腹に落として前に進もうとする強さや潔さが好きなのかもしれない。 それにしても、高村作品の登場人物はきれい好きだ。毎日スニーカーを洗う男、爪を磨く男、食後に食器だけでなく食卓と流し台まで拭き上げる男。同性間の愛情を表現するには清潔感が必須という事なのか? | ||||
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以前から、高村薫の小説に興味があり、遅ればせながら今年読みました。 「マークスの山」などは、映画で観ましたが、イマイチでそれほどな作家でもないのかなと、 読まず嫌いだったのが、「李歐」を読み進むうちにそれを大反省させられることになりました。 今まで、ハードボイルド小説といえば「野獣死すべし」ぐらいしか、知らなかったので、 今回のこの本で、あらためて”本格スパイ小説?”に脳髄をやられたというか・・・。 「李歐」には、さまざまな社会問題が、詰み込まれているのですが、それを骨太なストーリーに 無理なく織り交ぜています。 例えば”貧困”、”離婚”、”同性愛”、”麻薬”などですが、これらを作家の視点、庶民の視点で、 切れ味するどく切り込んでいて、それがまた難しいというのではなく、 むしろ「ああ、こんな生き方もあるのか・・・」と思えてきます。 舞台は大阪の下町で、時代背景は’70〜’80年代でしょうか。 一彰の平凡な大学生活から始まり、バーテンダーのバイトでの銃撃事件から、急速に物語りは進み・・・ ここからは、ジェットコースターさながらに休むことなく、印象的なシーンの連続で圧巻です。 李歐を待ち続ける一彰は、咲子と結婚し、息子もいるのに李歐を忘れられません。 ただ、それほど男が男を愛せるか?と疑問も沸いたりしました。 そのあと、「ああ、これは小説だったんだ・・・」と、本気になっている自分にハッとさせられます。 ・・・なにがいいたいのかといえば、それだけ巧いのです。文章も筋も細部のエピソードの積み重ねも。 1冊読んだばかりなので、偉そうにはいえませんが、高村薫の巧さは現代の小説家では、 やはりトップクラスなのでしょう。 他の小説も評価が高いのですから、ぜひ読みたいです。 | ||||
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高村薫さんの本を久しぶりに読みたくなって、 この本を買いました。 雑事を片付けて、読み始めればやっぱり 引き込まれます。 この人の文章は工場が舞台になる事が多く、 男の人の文章か?と思うほど機械に詳しい 記述が延々と続いたりします。 別の本『照柿』では旋盤を使った微細な 過程を長々と読まされて嫌気がさした こともありますが、文章の切れの良さは こういう辛さを差し引いても余りある 面白さです。 この物語の一方の主人公である李欧は魅力の ある人物に描かれています。 もう一方の主人公吉田一彰はこの李欧に 男の魅力を感じます。 同性愛のような輝きをもって描かれて います。男がオトコに恋をする。 李欧は一彰に言います。 『惚れたっていえよ!』 この二人は お互いに22歳の頃に同じ工場の宿舎で すれ違いながら、ほんのひととき暮らします。 拳銃、麻薬、人殺し、テロ、マネーロンダリング など、危ない稼業を余儀なくするはめに 陥り、警察にいつも見張られるという生活を するのですが、この作家には珍しく 明るい、明るい未来の生活が描かれて、 ほお〜っと心が浮き立ちました。 私もこんな風に人性が終わったらいいな と思ってしまいました。 この話の真ん中に一本の桜が基軸に あって、全てのお話や登場人物に この桜が濃厚に影響しています。 桜は日本人にとっては欠かせない木であり、 生活の節目ふしめに色を添える木ですが、 李欧にとっても、大切な木になっています。 『黒竜江省に土地を用意した。・・・ ハルピンとチチハルの間の何もない 草原と砂漠だ。 河岸の湿地に桜の苗木を千本植えた。 来年も、再来年も植えよう。』 私もこの李欧に会いたい。 この作家が描く人物には魅了されます。 | ||||
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高村薫さんの作品を初めて読んだ。 友人に勧められて、桜の季節に読み始めたのだが、これが大正解だった。 現実での桜の美しさとリンクしていく小説世界の美しさ。 一彰と李歐の、ストイックとも言える、官能的な関係。 夜の闇に舞う、李歐の美しさ・・・・。 これから毎年、桜が散る様を見ると、その下で舞う李歐の姿が脳裏に甦ることだろう。 そして、私を虜にしたのは、表現の美しさ。 硬質で重く、冷たい。まさに黒鋼のような描写のはずなのに、 信じられないくらい官能的なのは何故なのだろう。 そこかしこに脳みそを痺れさせるほど美しい描写が鏤められていて、 非常に贅沢な官能を味わえる。 だが、官能、といっても直接的な描写は一切存在しないのでここで断わっておく。 そういう期待をもって読む小説ではないので。 とにかく、描写の美しさが素晴らしい。これに尽きる。 | ||||
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生きることが嫌になり なんで私ばかりと 身に降りかかった不幸 必要とされていない自分の存在に ため息ばかりついていた頃 生かされている自分の命さえ疎ましく どうせいつかは死んじゃうんだから 以前いつか読もうと考えていた本でも読んでみるかと 投げやりな気持ちでたまたまこの本を手に取った 本でお腹は満たされない 本でのどの渇きは止まらない 本で傷ついた体は治らない 本で死んだ人は生き返らない だけど 生きてやる生きていきたいという力を もしかしたらくれる本がある くやしい 生きてやる | ||||
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百本の薔薇ならぬ五千本の桜でプロポーズ…。 ライトノベルかBLかハーレクインか悩ましい。 ハードボイルドだった『わが手に拳銃を』の 方が好きですが、別物と思えば面白いです。 | ||||
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「わが手に拳銃を」も高村薫作品も全く読んだことがなく、この本を読みました。 後半部分からは、色々なことで胸がいっぱいになり、涙がとまりませんでした。 こんなに涙をこぼしながら本を読んだことが無いぐらいに。 李歐の魅力もさながら、一彰の冷めた気持ちを持ちつつも、どこか素直な優しさを感じる部分の描写に、感銘を受けました。 李歐もかっこいいと思いますが、一彰もきっとモテオーラがでてるんだろうなぁ、と個人的に感じました(笑) | ||||
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「わが手に拳銃を」の発展形なわけですね。 わたしは、『李欧』の形にまでなって、救われました。 これには、一種、青春ものの爽やかさがあります。 作中の桜の木の情景と、「レディ・ジョーカー」の最終場面が重なるのは、 わたしだけでしょうか。 色んな作品が、他作品の発展形や、変形になっているのを見るのは、 ファンの醍醐味です。 | ||||
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大阪・零細工場・中国大陸・銃・かけおちした母親 満開の馥郁たる桜 散りばめられた「情念」「因縁」「諦念」 そして、まさしく「惚れた」としか表現の仕様のない、男二人の遠恋(笑 高村さんは、男同士の愛を朧にしか表現しないのですが、 かえってそれで妄想が掻きたてられます。 そして高村さんには、珍しく大団円。 大団円に至るまでは、リンチやら、爆死やら、銃撃やら、 残虐な場面がたくさんあるのですが、 読み終えたあとには、それもこれも、なにやら宝石が散りばめられたように、 きらきらしたものしか残りませんでした。 登場人物全てを徹底的に描写する高村さんの技は、 市井の全ての人間が自分の人生の主人公であるということを思い出させてくれます。 そして、一彰と李歐。。。末永くお幸せにっ(笑 久々の、お取り置き決定の本でした。 とにかく圧倒されます。そして、久々に本で泣きました。 注意 高村さんは、独特の文体(とにかく、くどいっ)なので読みにくいと思う人、多いかも? それから、ストーリー自体理解不能であほらしいと思う人も多いかも? 私は、好きですが・・・ | ||||
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タイトルの李欧が本編にほとんど登場しないのに圧倒的な存在感。これはなんなんだろう。 大阪という土地柄、リアリティがあり良かった。最後の桜並木はまるで映画のラストシーンを観ているような感動だった。墓場まで持って行きたい作品。 | ||||
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高村作品の中で最も浮かれた、春爛漫の青春を謳歌する作品だと思います。 その覚めない夢を主人公と一緒にどこまでも追い続けたくなります。 酔います。 ページを開くと、闇を染める一面の桜が浮かびます。 人が人と出会い、強烈に引き付けられる瞬間が描かれています。 | ||||
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男女関係無く、この小説の魅力は主人公達の生き様だと感じます。 高村薫の小説は好きでほとんど読みましたが、細部や社会環境は極めて現実的でありながら、内容は現実的には考えられない、けれどカッコイイ。というのが男の俺から見た感想です。 確かに同姓愛的な要素は、この作品でも他の高村作品でも多少なりとも入っている事が多いのですが、けれどそれを感じさせない。正確には不思議と嫌悪させられる事が無い。俺には何故か段々と、それが普通の事の様に思えてくるのがちょっと怖い(笑) たぶん、人間関係の描き方がすごく奥が深いからなんだろうけど。…因縁も含めて人と人が繋がっていく中に人間味を出しながら、枝葉のようにさらに広がりを見せて、そして再び繋がっていく。 実は、この「李歐」の元になっている「わが手に拳銃を」をかなり前に読んでいます。 「李歐」が改めて加筆修正をおこない手直しされている作品だとは知らずに購入し、読み始めてみて気がついて事実を知ったという状態だったのですが、結構大胆に改稿されてる所があったり若干の登場人物の設定変更もあるので、読み比べも面白いと思います。 ただし物語を通して結末まで、「李歐」の方が面白いとは思いますが。 結末に関して言えば「李歐」で良かったと思ったし、俺個人的にはこの作品の方が納得もできるしスッキリしました。 高村作品の中では珍しい結末だけど、たまには、こんな結末もありだな。 | ||||
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桜の季節になると必ず読みたくなる小説、それが李歐です。高村薫作品の中で最も好きな作品でもあります。桜は男の花だと言われていますが、朧な月夜に浮かび上がる夜桜の妖しさがこの本には溢れている気がします。 血で濡れているかのような美貌の殺し屋・李歐と、自分自身のことさえ掴みかね曖昧さの中で日々を生きている一彰が出会い、魂で惹かれ合う物語。高村薫の美しく艶やかな情景描写にハッとさせられます。 同性愛的な要素が多分に含まれていますが、もちろん現実世界のリアルさではありません。高村薫が極上の色彩で描き出した二人の人物が男女の枠をも超えた情熱で互いの心を捉え、どれほどの時間と距離が離れようとも想いの一点で繋がっている場面には、ひとたび運命で巡り会ってしまったならばその鉤爪からは決して逃れられないのだと思わされます。 最高の口説き文句がこの小説の中にはあちらこちらに散りばめられていますが、冷酷にも見える李歐の奥に隠されている炎と彼の纏う大陸の風が、どの言葉よりも一彰の心臓を撃ち抜いたのではないかという気がします。読んで絶対に損はない一冊です。 | ||||
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高村薫の作品の中でも一番好きな作品です。 幼い頃の両親の離婚、母の失踪(男と駆け落ち)、信じているはずの人からの裏切りがあっても幼い子供には抗う術がない。 自分の満足度の基準を下げることにによって傷つかないように自然と防御法を身につけていく。 そういえば、子供って大人が考える以上にしっかりちゃっかりしてるところがありますよね。 無気力・無関心の一彰がバイトを掛け持ちしてまでナイトゲートで働くからには、きっと母親探しの要素が十分含まれていて、はたしてどういう形で母と再会するのだろう? なんて考えていましたが、あっさり母を死なせるあたりは作者の潔さが感じられます。 (ほかに見所がたくさんありますから、これはこれで良しです) 男の友情と言ってしまえばそれまでですが、一彰と李歐のような二人をソウルメイトと呼ぶのでしょう。 本を読み終えて、なんともいえない満足感を感じ、しばらくはこの余韻に浸っていたいと思っています。 | ||||
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嫉妬しました。何で男ってこんなに熱っぽく縛られずに生きられるんだろう。なりふり構わず燃え尽きるように、っていうのはやはり女の我が身には難しい。どうしても守ろうとしてしまう。地に根を張ろうとしてしまう。これじゃ大陸に行けません。くすん・・・。謀略、抗いがたい巨大な力、陰謀。そんな生臭くどろりとしたものの中心で、李歐と一彰の友情・・・いや、友情なんて陳腐だ。魂の共鳴?がいつまでも、本当にいつまでもけっして汚れず水晶みたいに光っている。「ああ李歐は生きている」魂を震わせながら一彰が零した言葉が印象的でした。自分はここまで誰かの生存を歓喜したことがあったろうか?ありません。ないからこそ、二人の絆が本当に美しく見える。泣けてくるくらいに美しい。それと、二人を囲む黒い影の中に点在している人々の人生のきらめきも 美しい。様々な命を懸けた人生が交差して、ぶつかり合い、きらめきを放つ。どんなに些細な役どころの人間の人生を取っても、その「生き抜き方」に感嘆の息を漏らしてしまう。愛しくて胸が苦しくなってしまう。覚悟を持った人生は、とことん生き抜いた人生は、こうまで美しく光るものかと思う。 それに桜の描き方も秀逸だ。日本人にとっては特別な花の桜の魔力を、希望を、ここまで相応しく使った物語を私は知らない。最後に一彰と李歐が再会する、桜に囲まれた村が目を閉じると浮かんでくる。それは夢の世界だ。読者にはけして辿り着けない、美しい夢だ。 本の最後のページを閉じた後、想わずにはいられない。一彰のそれから。李歐のそれから。きっと笑い合うんだろう二人のそれからを思うだけで、切ない幸福を感じる。この幸福。これがこの本を読んで得た一番の宝物だ。 | ||||
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