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天地明察



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【この小説が収録されている参考書籍】
天地明察
天地明察(下) (角川文庫)
天地明察(上) (角川文庫)

天地明察の評価: 4.20/5点 レビュー 418件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全338件 301~320 16/17ページ
No.38:
(5pt)

ご明察!

と言って拍手喝采したい気分になりました。読み終わるのがもったいと思った作品は初めてです。
私は数学は苦手ですし、囲碁もしませんし、暦の事なども全く分かりません。
何故、江戸時代にこんな知識があるのかも不思議で仕方ありません。が、昔から算術とかあるんですよね〜。
こんなに知識のない人間が読んでも面白いのですから、やはり、登場人物の描き方が魅力的なんだと思います。
主人公の渋川春海はじめ、和算の天才関孝和、磯村塾の村瀬さんなどなど…私は村瀬さんの粋な感じが目に浮かぶようで
村瀬さんが登場するところはニヤニヤしてしまいました。春海の素晴らしい伴侶となるえんさんの強さも大好きです。
テレビドラマなどでお馴染みの水戸黄門こと水戸光国公が本当はこんなに豪快な方だったとはびっくりです。
本当に面白いです。歴史とは。先人達が造り上げた英知の上に今の日本があるのかと思うと、なんとも言いようのない、
感動が沸いてきて心が震える思いがしました。素晴らしかったです。また、是非このような本に出会いたいです。




天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.37:
(4pt)

さわやかな青春像

時代物へは苦手意識があったが、なんの問題もなく、面白く、読み進めた。さわやかな後味が残る。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.36:
(5pt)

太平の「終わらない日常」という平和な世界で自分を燃やすこと

素晴らしい小説でエンターテイメントでした。この著者の『オイレン・シュピーゲル』などのシリーズをぜひ読めぜひ読め、といろいろな人に言われていたんですが、まずはこっちが先に読了。とても読む意欲が湧きました。これだけの話を描けるとすれば大した小説家です。次には、水戸光圀を描く『光圀伝』を書くようですが、時代劇の、かつエンターテイメントとして読ませる(おじいちゃんくさくない漢字という意味)作品で、これだけ「売れ筋を外れている」チャレンジングな題材に挑戦することがまず素晴らしい。ある意味、池波正太郎でも吉川英治でも司馬遼太郎、隆慶一郎でもいいのですが、ある種、本流の時代劇や歴史小説ってあるじゃないですか?。こういった本流から外れた題材を扱い、しかもライトノベル作家が出自なので現代人に(特に若者にも)「面白く読ませる」という技術があるのがいい。似たような人では、沖縄の開国時期を舞台に描いた池上永一の『テンペスト』なんかも連想します。どちらかというと本流ではありますが、清朝の末期を描いた浅田次郎の『蒼穹の昴』『中原の虹』なんかも。いままでの定説であり「常識的な歴史」のスポットライトを浴びない部分(=売れない)をエンターテイメントにしてくれる、というのは、本当に読書界が豊穣になることなので、素晴らしい。もちろん、いろいろな人がコメントしているが、暦や数学については、相当な専門知識がいるだろうから、大きな枠を超えては完璧さを期するのは難しいかもしれない。けれども、それは、おろそかにしていいこととは思わないが、枝葉末節であるとも思う。だって、面白いんだもの。こんなマイナーなキャラで、マイナーな題材で、これだけ壮大でハラハラドキドキするエンターテインメントが体験できるんだから素晴らしい。

またこの作品の大きく支配するマクロの背景の設定が、とても今の時代に合っていると思う。というのは、3代家光政権の後の、武断政治による戦国時代から平和な民衆を中心とする社会を構築する、その境目の、これから始まる「終わりなき日常」への転換点を描き、そんな「大きなマクロので変化がない平和」な社会が構築されていく中で、その中でさえも、自己を燃やす世界を変えるようなことができる!という渋川春海の生きざまは、僕らにとても希望を投げかけてくれる。彼は、碁打ちの名家安井家の長男であり後継者ではあるが、「部屋住み」に近い身分。自分の「立場」がはっきりしない、「本当にやりたいことが見つからない」フラフラした人生を送っている。けれども、家業である碁も捨てきれない、という中途半端を絵にかいたような人生。そんなかれが、関という天才数学者と出会い、、、って実際になかなか出合わないのだが(笑)、自己の使命を見出していく様は素晴らしいビルドゥングスロマン。漫画の曽田正人さんの『昴』なんかを思い出したが、とにかく夢中(夢の中にいるように周りが見えなくなること)で生きていく人間の、ひたむきで、いちずで、天然さを凄く感じる。

話が前後したが、主人公の渋川がこの時代に日本の暦を変えるきっかけになるのは、日本に平和な民衆を基礎として社会を建設する!という保科正之の天才と理念がその背景にある。基本的に、あまりにいい人ばかりしか出ないので、きっといろいろな補正が物語的にかかっているのだろうとは思うが、それにしても、この保科正之という2代秀忠の御落胤にして、事実上の徳川政権の基礎を作った大政治家の凄味には圧倒される。話半分に差し引いても、この人が、徳川300年の平和社会を、江戸の社会を、織田信長にも、豊臣秀吉にも、徳川家康にもやりきれなかった軍人が社会を支配する時代から、軍人が必要とされない平和な大衆社会に移り変わる「大構造改革」をやりぬいた男・・・・大火の後に天守閣(軍事基地)を再建しないことや、軍事的に都市が丸裸になる玉川上水の建設、言い換えれば上下水道の整備など、、、軍事社会を基礎とする武士社会ではあり得ない政策の断行、そしてそ総決算として、「暦」を変える、、、公家、武士、僧侶、民衆を巻き込んだ一大イベントの挙行・・・・すべては、保科正之の天才と理念がその背景にあった、というのは、素晴らしく面白かった。もちろん、本当かどうか?は、単純ではないとは思うが、いろいろな本を読むにつけ、基本的なイメージは間違っていないのが分かってきた。物凄い傑出した大政治家であったことは間違いない。そういう物の一端を見れたことが、素晴らしく面白かった。


天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.35:
(4pt)

表現の天才

登場人物が、物語の中で生き生きとしている。
表現、文章のリズムが心地よく入ってくる。

主人公が大役の命令を受け、覚悟を決めたときの
心情表現は、今まで読んだ3500冊以上の物語の中で
いちばん美しかった。

ただ、1つ残念なのは、連載のような構成が残っていて
一冊の本としてのながれで読むとやや違和感を感じる。

天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.34:
(5pt)

碁、算術そして暦

渋川春海の半生を描いた傑作時代小説
ただし、斬り合い等の戦闘シーンや下町人情話もありません

第31回吉川英治文学新人賞・第7回本屋大賞受賞作品

西洋科学(西洋天文学)がまだ日本に輸入されるていない四代将軍家綱の時代
そんな時代に精密な暦を作り上げるプロジェクトを描いた骨太でロマン溢れる作品

この時代、暦は現実と2日程ずれが生じていた
そして、暦を管轄しているのは公家達であった
しかし、暦を管理する術は失われつつあった

渋川春海の本職は碁打ち
しかし、彼は算術にも取り付かれていた
また、神道にも精通しており、京にもコネがあった
その経歴・実力をかわれ、精密な暦を作り上げるといった一大プロジェクトの長に抜擢されるのであった

武士が暦を作り、管轄するための策略はさすが冲方氏
冲方氏は布石を打ち、最後に大逆転を狙うといった作品が結構多いと思う








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No.33:
(5pt)

納得の本屋大賞

本屋大賞は軽く読めるタイプの作品が受賞する傾向が強いと思っていたので、分厚い時代小説が受賞するのは予想外でした。
しかし一読して納得、ロマンに満ちたおそろしく骨太なエンタテインメントで、周囲の人に「これ読んでみてよ!」と思わず声を掛けたくなる作品でした。

またキャラクタ造型が実にライトノベル的で、それが本屋大賞を受賞というのも面白いですね。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.32:
(4pt)

面白かったです

歴史小説・時代小説といえば、武将やいわゆる軍事・政治官僚が主人公の作品か、もしくは下町人情ものが以前は圧倒的に多かった。しかし、本作は近年増加しつつある、技術官僚(あくまで江戸時代の)もしくは知識人を主人公とした作品の一つで、なかなか読ませる。少し屈折した主人公も含め人物造型も悪くない。
天文学・暦学の知識への批判があるが、そういった点は今後の課題だろう。ただ、物語を作り、読ませる力があり、なおかつ不快な後味を残さない点が小説家には最も大切だと思うので、作者を応援したい。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.31:
(5pt)

スピンオフも読みたい

理系大河エンタテインメントです.

時代ものでありながら,
語り口調が軽やかで漫画的な感情表現も随所にあって
ページターナーの要素満点です,

日本史で習った関孝和がこんなすごい人だと初めて知り
彼のスピンオフで,この感動をもう一度味わいたいと思います.
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.30:
(4pt)

出会いが歴史を作る

お城勤めの碁打ちだった主人公が、算術や天文学の偉人たちとの出会いを通して、日本独自の暦を作るという一大事業を成し遂げるまでを描いた、大河ロマン。

主人公・渋川晴海はいい意味で周りの影響を受けやすく、人との出会いというものが、晴海という人物にとっていかに大事なものであったか、気がついたら読者も一緒になって引き込まれているような、不思議な小説です。

文章量が多いこともあり、会話主体の小説に慣れている私にとっては、読了するのに時間がかかりましたが、読み終わるとそれなりに達成感がありました。
日本史に詳しくない私にも、会津藩主・保科正行の民生思想や、水戸光圀の意外な人物像など、将軍綱吉の治世に日本が泰平の世をどのように根付かせていったか、興味深く読めました。

ほかの方のレビューにもあるように、算術や暦学の分野については、いまひとつ踏み込め切れていないような印象を受けました。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.29:
(5pt)

文句なしに2010年前半の最高作

伊達に本屋大賞を取っていない。和算の創始者ともいわれる関孝和のライバルと言う、主人公の設定が面白い。名前が三つもある天才児が自らをそれを意識しないで暦の改革に挑む。大老、老中、同時代の著名人が続々と主人公の春海を観察し、支援する。話題になるまで本書に気付かなかったのが迂闊。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.28:
(4pt)

日々精進、の厳しさ そして喜び

江戸時代に改暦を行った渋川春海の半生です。
改暦と簡単に言いますが、今日が何月何日である、ということを改めて決める、
ということが政治、経済、生活にどれだけのインパクトを与えるかは、今も昔も、同じです。

まだ、人々が地球や天体の動き、数学の原理について
試行錯誤しながら手探りで答えをみつけていた時代。

武士の戦闘シーンも、陰陽師のような呪術シーンも、一切ありません。
空を観測したり、ひたすら紙と筆を持って熟考する日々。
それなのにこんなに面白い!と思えるのは、そんな新たな発見が
当時は世の中を一変させてしまうほどの力を持っていたからこそです。

成功するかわからないけど、ただやりたいから、好きだからその道を進む春海。
そういう愚直な真摯さがあったからこそ、自分の将来だけでなく、
たくさんの温かい人にも恵まれました。現代にも通用するよい心がけではないでしょうか。

数学全般に疎い自身は、中盤、読み進めるのにちょっと苦戦しました(笑)
でも最終章の展開は見逃せませんよ!


天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.27:
(5pt)

楽しい時間をありがとう

読みながらウキウキし、読み終わって余韻が残る、よい本でした。
最近の世相と異なり、「被害者」のように感じたり、振舞ったりする人が
出てこないところが好きです。
きっと著者は、繊細な感受性を持ちながらも傷つきやすくはない、
精神の健康を保持した人なのでしょう。
中学生から大人まで、強くお勧めできる佳作です。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.26:
(5pt)

徳川幕府とカレンダーの、意外な?関係!

すっごいざっくり言って、江戸時代の元禄年間に、それまで
800年に渡って使われてきたカレンダーのずれを指摘して
新しいカレンダーのルールを作った男、
囲碁の名家の御曹司にして算術・歴術・測量術のスペシャリスト、
安井算哲(後に名を変えて渋川春海)の70年を描く大河ロマン。

登場する有名人は、水戸光圀(黄門様ね)、保科正之(徳川家光の腹違いの弟ね)、
徳川家綱(徳川4代将軍ね)、酒井忠清(家綱時代の大老ね)とか。

いやー、多分一次資料も相当当たったんでしょうね、
春海から保科正之宛ての手紙にこんなことが書いてあったよ、みたいなことも
まるで見てきたかのように書いてあります。
あと、文中に数学の問題が出てきますから。
図入りで。
なんていうか、小説だけでは飽き足らず、アニメとかマンガとかの シリーズ構成とか
シナリオ原案までやって、ラノベデビューのくせに 日本SF大賞を取ったりしている
鬼才ならではの、自由な書面。

そしてがっつり歴史考証したであろう、一武家から
一国のトップとして生まれ変わろうとするタイミングの
徳川幕府内外の権力闘争、政治工作、そこに関わる老若の才能がぶつかって生まれた
数々の政策や事件が絡み合う、重厚なドラマ。

徳川幕府とカレンダーの意外な関係は、ぜひ読んで確かめてほしい。

それにしても、重い素材を主人公春海の
ぼんやりしたキャラクターで読ませるあたりも、
メディアミックスの中で身につけたテクニックなのだろうか・・・

天体運行から日本の緯度を割り出して、時間というものを
目に見えるカレンダーという形に整えてみせるという、
えー、それってまるっきり理科ですよね!?みたいな、
しかも宇宙に行ったことないのにわかるんだ!?みたいな発見をした
天才研究者が、こんなにぼーっとしてていいのか、みたいな天然キャラ。
でも数学大好きで、数字を見ると人が変わるっていう。

数学って、天文学と不可分のものだったんですね。
そして哲学とか、宗教とか、政治とも不可分なんですね。
数学、もうちょっと勉強しようかしら。

小川洋子「博士の愛した数式」以上に、数学が気になってしまうこと
請け合いの小説です。

え?そんなオチ?
いやいや、とにかく、素材は重いけど
軸ブレなし、スペクタクル満載のマスターピースです。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.25:
(5pt)

「明察」「必至」という単語、気に入ってつかってます

“事を成すことだけに熱をもった”爽快な人々がたくさん登場します。
「勝負したい」「解き明かしたい」「作り上げたい」
という物欲や名誉欲などの私心とはちがう、純粋な熱。

登場する時の為政者までも世の中を「変えたい」「守りたい」という純粋な熱をもっている。

途中で日時や登場人物のあまりの詳細な記録に疑問に思いネットで検索してはじめて
これが実話だということを知りました。
日本も捨てたもんじゃないな。
先人にこのような人たちがいてとてもうれしく誇らしく思いました。
私も自分の仕事に“熱”をもってあたりたいと気持ちがあらたになりました。

天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.24:
(5pt)

情景が目に浮かぶ

シーンごとの情景が目に浮かびます。いつの間にか勝手にキャスティングしている自分がいました。(ちなみに主役は妻夫木君で・・・)アカデミックに無骨な男子・・・いいですよね。目標として尊敬できる人に会えたときの喜び、失敗したときの頭を抱えてかきむしるような焦燥感と魂が抜けたような落胆の日々、目標を一つずつ成し遂げたときの幸福感、など久しく実生活で味わっていない感情を主人公といっしょに噛みしめながら読むことができました。独特の言葉遣いも面白かったです。おススメです。
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No.23:
(4pt)

水戸のご老公から保科正之、関孝和の和算も登場!

江戸時代、将軍綱吉の時代。
 天体の動きを示す暦は各種あり、いまだ統一されてはいなかった。
 「宣明暦」 が基本となってはいたが、長い年月を経て、肝心な
その宣明暦にズレが生じており、春分の日、秋分の日をはじめ日蝕、
月蝕などの 予測に誤りがでてきた。
 本書は正しい暦を作るため、宣明暦の検証から各地の緯度の観測、
計算の後、正しい暦の作成まで、半生を捧げた渋川春海を描く。

 暦といえば朝廷の陰陽師のものという時代に、江戸のしかも碁打ちが
作った暦が、なぜ朝廷を説得できたのか。
 長年にわたる研究と失敗、支えてくれた人たちの思いの強さもあるだろう。
 綿密に組まれた成功までの方法論は、囲碁で培った読みの深さによる。
 また、何より自らの栄達より庶民の便利を優先した姿勢が、不可能を可能に
したと言えるだろう。
 当時は大変な騒ぎとなったのであろう、おさん・茂兵衛の物語の大経師意春の
事件もさりげなく織り込み、なかなかの力作となっている。
 この事件は最近、北原亞以子が『誘惑』で描いているが、暦がどれだけ
庶民の生活に影響を与えるものであったか、よく分かる。
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No.22:
(5pt)

数学萌え!天文学萌え!の江戸男子

時は四代将軍家綱の治世下。主人公は碁の指南役。趣味は数学と天文学。渋川春海?日本史の教科書に名前だけ出てきたような…。
 およよよ。どえらく地味じゃないの。ところがこれが面白いんだな。改暦にかける男たちのドラマが熱い!遺題をめぐって数学勝負する男たちが熱い!
 ところが、思わせぶりに登場して運命の人かと思われた女性は他家へ嫁に行ってしまうし、改暦の試みは3度も失敗してしまう。
 不屈の意志をよく描きあげた。沖方さん自身が、その生き様に惚れていた人物らしい。よくぞこういう人物にスポットライトを当ててくださいました。本屋大賞もいい本を選んだ。サンキュー。
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No.21:
(4pt)

暦と数学

徳川の世が太平へと向かいだした頃、お城碁の碁打ち衆のひとりである春海はとある計画に参加することになった。
それは春海が算術が好きだということも加味されてのことだった。その計画とは長い歴史のなかで少しずつずれた暦を正すという計画だった。
しかし、一口に暦を直すといってもそれはかなり難しいことであった。幕府、天皇、そして庶民。すべてに影響が及ぶからだ。
春海はいかにして暦を直すことができるだろうか。

作者の初めての時代小説ということで、気にもなりました。
面白いですね。一人の人間の一生をかけた改暦。それをいかにして行うか。
興味深くよみました。数学的なことや暦って西洋が優れているという感覚がありましたが、意外とそうではないんだと感心したり。
でも、ちょっとさらりとしているので読みやすくていいです。分厚い本ではありますが、気がつけば終わっているというくらいです。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.20:
(4pt)

読みやすい時代小説です。

時代小説はそれほど読んでいない(巷説百物語シリーズ、竜馬がゆく他)のですが、
いつも時代背景や文化についての知識が浅い分、読む速度が遅くなるのですが、本作は非常にスムーズに読めました。

もっとも数学は苦手、天文学はさっぱりですから、多の方の指摘されている学術的な問題には敢えて触れずにレビューします。

主人公渋川春海の人物像、その周囲の人々との関わりについて、非常に好感が持てました。
特に第3章「北極出地」までに登場する人々とストーリー展開(「改暦」と云うテーマが登場していないにも関わらず)はワクワクします。
逆に、後半話が改暦に移ってしまって以降は、あまりにもあっさりしすぎてる気もしたのですが。

物語そのものが20年余りの物語ですので、3章までとそれ以降と上下2冊ぐらいにして、時代背景や文化などをもっと掘り下げても良かったのでは、という気がするのですが、多分、そうなると読みにくくなりそうですね。

特にこれまでに時代小説なんて読んだことがない、若い読者にお勧めしたい1冊です。
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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No.19:
(5pt)

夢中の人、天を掴む

重厚な題名に似合わず冲方氏の文章は軽快で、難解な題材にも関わらず本書は読みやすい。
 その理由の一つは、現代人にもなじみ易い登場人物のキャラだと思う。
 主人公の渋川晴海は、ちょっと天然で情に厚くて努力家で、才能に恵まれても本人は意識していない。なんか青春ドラマの主人公みたいでしょ?
 それと、ほうきを振り上げて晴海を叱る娘は、まるでラブコメのヒロインみたいでしょ?

 話は寛文元年、西暦では1661年に始まる。この時、晴海は22歳であった。ちなみにニュートンが生まれたのが1642年で、二人はほぼ同世代である。

 戦国の世も過ぎ去りしあと、泰平の世は新しい才能を求めていた。算術はそれを身につけた商人が富をなす一方、高度な術を競い合う知的娯楽の一つでもあった。
 晴海は大名相手に指導碁を打つ碁打ちである。しかし、伝統芸能と化した碁に厭きた晴海の関心は、算術に移っていく。また算術の天才関孝和の存在が、晴海の情熱に油を注いだ。

 そんな晴海に老中が天測の事業を指示し、やがてそれは改暦事業に発展する。当時の暦は陰陽師らによる秘術の産物であり、朝廷の権威の象徴であった。それを刷新するには、算術と独創力と飽くなき情熱を持つ若者が必要だったのだ。

 先人の知恵を土台に、自らの考えを築く。古典に殉じず権威を頼みにせず、ただデータにより自らの考えを実証する。
 武断から文治への変化は、古に依拠する神秘主義から、現世的な実証主義への転換を伴った。
 そんな時代の移ろいを体感することも本書の楽しみの一つである。

 天体観測の師匠二人が晴海に託す夢。泰平の世を盤石とするため、心を鬼にし斬新な政策を次々と建議した保科正之の、改暦事業に込めた思い。胸がこみ上げる場面が次々に現れる。

 大きな挫折がより大きな進歩に姿を変え、晴海は遂に日本独自の暦を開発し、人々の願いに応えた。

 本書の心のど真ん中を狙うてらいの無さは、心地良い読後感を残す
天地明察Amazon書評・レビュー:天地明察より
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