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エージェント6
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エージェント6の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21~33 2/2ページ
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期待された第3作目だが、どうも「水増し」の感が否めない。 チャイルド44・グラーグ57と、緊張感とスピード感のある作品を生んだ作家だけに残念な気持ちが 少しある。 旧ソ連のスターリニズムを背景に、主人公が統制された思想と自らの意思・行動の乖離に悩む、 この構図は同じだが、後半部分はどうしても間延びしてしまっている。 さすがにソ連内部の政治・KGBの動きなどは読み応えがあるのだが、逆にアメリカFBI要員の動きや マッカーシー反共政策の箇所がまどろこしく感じる。 主人公の行動と当時の世界政治の動きが連動しており、ソ連のアフガン侵攻については実によく 描写できている。しかし、主人公の行動と世界政治の流れが上手く繋がってこない。 絵空事とは感じなくとも、主人公が行動するその原因と世界政治がマッチしておらず、「このような状況で、 なぜ主人公がこういう行動をとるのか」が不明瞭なまま。 1950年前半から1980年代前半までの約30年間の激動するソ連政治=「スターリンによる粛正の嵐・ フルシチョフの秘密演説・その後のソ連の政治変化・アフガン侵攻」=それらをあまりに詰め込みすぎて、 どうにも筋立てに無理がある。 上下巻の上巻はほとんど間をおかずに読めたが、下巻に入ってから急に緊張感が失われ、失速している。 プロット自体の問題ではなく、おそらくは内容として1巻に収めるべき分量を、無理やりに2巻に分けていると 思える。下巻に入ったところで、アフガン侵攻の場面になるが、アフガンやパキスタンの政治状況はよく 描かれているが、主人公はその政治状況の中に埋没してしまっている。 購入するのには損はないことを保障するが、前2作と比較するとどうしても見劣りがする。 面白いことは面白い。 | ||||
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「チャイルド44」がよくて、就中レオのキャラクターが好きで今作も楽しみにしてましたが残念な結果でした 折角作り上げたレオが活かされないでいなくなってしまった感があります 全体的に盛り上がりがありませんし、出版社との契約で書かされたのかと勘ぐってしまうような内容でした 〈以下ネタバレ〉 最後はレオを殺してほしかった 娘たちとの邂逅で良かったなんて終わりは納得できませんでした あの幸せな邂逅の十分後にレオはどうなったのか? それを書かないのは卑怯です | ||||
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前2作同様に、作者は徹底的にレオを突き落とす。ようやく4人が家族として軌道にのりかけたところをブチ壊し、ひたすらレオを痛めつける。面白いことは間違いないですが、レオがかわいそうすぎてツライ。安易なハッピーエンドにもならず、ラストまで容赦なかったです。 | ||||
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3部作の締めくくりはレオの圧倒的な 愛を感じる作品でした。 国家に翻弄され、絶望に落ち、 それでも何年、何十年を経ても消えない ライーサへの想い。 考えれば出会いから最後まで レオはずっとライーサを愛してたんですね。 ソ連という閉塞的な国家と、 時代の変遷を背景としながらも、 根底にあるのは間違いなく「愛」だと思う。 レオが洞窟でライーサを見るところは泣きました。 | ||||
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「チャイルド44」「グラーグ57」で、ソヴィエトの秩序とその異様な社会の中で苦闘してきたレオ。 本作ではついにその社会からも半ば弾き出され、最後の旅に身を投じることになっています。 二つの国の思惑に翻弄された彼がたどり着くのがアフガニスタンというのは 皮肉ですね。同じくアフガニスタンへのアメリカの援助について描いた映画 「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を思い出しました。こちらは、アメリカ それも政治家の側から「歴史を動かした」男の物語でしたが、こちらも皮肉と いえる結末を迎えています。 これまで超人的な働き(「グラーグ57」ではもはや「ダイハード」並み)を見せてきたレオが これまでになく無力な様、そして彼の旅の結末にはある種「ヒーローの時代の終わり」すら 感じられます。追い続けたはずの「悪」にたどり着いたとき、レオが下す判断はただひたすら 家族への愛にあふれていて見事。 三部作の完結にふさわしい哀愁のある物語でした。 | ||||
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「チャイルド44」「グラーグ57」「エージェント6」 これは恐るべき傑作です。 構成力・ストーリー・人物造形・リアルで細部まできめ細かな 国家と仕事と生活の描写・そして世界観。 これに匹敵するのは、スウエーデンの恐るべき傑作「ミレニアム3部作」だけだろう。 このふたつの3部作を連続して読めた時間は、 久しぶりに味わえた至福の時間だった。 終わってほしくなかった! 永遠に本の世界に留まっていたかった。 読了して、一日呆然としていた。 これから読み始める読者に嫉妬を覚える。 できれば、この3部作を終えたら、「ミレニアム3部作」を 読むことをお勧めする。 冬が近い、これからの季節にふさわしい 驚くべき傑作が読める最高の幸せが待っていることを約束します。 | ||||
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3部作で、これで完結なんでよねぇ。。 素晴らしい小説だけど。 この幕切れは悲し過ぎるぜ、トム! アメリカに残してきたあの二人は? ロシアの娘たちは? そしてレオ自身の運命は? どれも強い示唆はあるけれど。 救いがある後日談、続編でなくとも、将来作品でリンク希望。 | ||||
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元KGB捜査官レオ・デミドフを主人公とする三部作の完結編。『チャイルド44 (新潮文庫)』、『グラーグ57 (新潮文庫)』と紡がれてきた、レオとその妻ライーサ、そして二人の養女ゾーヤとエレナの家族の物語がさらなる大きな展開を見せます。 今回の物語は『チャイルド44』以前の1950年のレオとライーサの出会いから始まります。そしてライーサは『グラーグ57』を経た後の1965年に、NYの国連本部で開催される米ソの少年少女によるコンサートに引率者として娘二人も伴って出かけていくことになるのですが、その彼女を大きな悲劇が襲うのです。 レオはその悲劇の後始末を図るために、1980年のソ連侵攻後のアフガニスタンを経由してアメリカへと決死の亡命を図るのです。30年に渡る物語を900頁近い紙数を費やして描きますが、長尺であるとは全く感じさせません。むしろ頁を繰る手がもどかしい、久しぶりにページターナーといえる怒涛の冒険物語を読むことができた、そういう満足感に今わたしは浸って陶然としているのです。 暴力革命によって獲得した共産主義という金科玉条を、暴力によって堅持し続けるソビエト連邦。その社会における閉塞感はこれまでの『チャイルド44』と『グラーグ57』以上に強く感じられます。 その抑圧のもと、本来ならば軋みいく一方であるはずのレオの心も、妻と娘二人とのささやかな生活がなんとか支えてくれているのです。だからこそ、その心の支柱が折れたときに、壊れた家族の再生を目指して奔走するレオの姿には、心に重く迫るものがあるのです。 1980年時点で、そしてまた三部作で、終結してしまうのが大変惜しいと感じられます。 あとおよそ10年、ソビエト崩壊のときを迎える瞬間までのレオと家族の物語を読むことはかなえられないのでしょうか。 最後にぜひとも書きとめておきたいのは、翻訳者・田口俊樹氏の見事な訳文のことです。 私は氏がかつて翻訳したジェフリー・アーチャーの『獄中記―地獄篇』にいくつも誤記があることを7年前に指摘したことがあります。ですから氏の翻訳にはこれまでちょっとした抵抗があったのも事実です。 しかし、ここ数年のトム・ロブ・スミスの作品は氏の翻訳だからこそ十二分に楽しめたと、心底感じられるのです。 この本があたかも日本語でそもそも書かれたのではないかと思わせるような流れる文章に、心打たれました。 | ||||
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そこに至るまでの物語は今年最高級の冒険活劇物語だった! アフガンでの綿密に練られた二転三転するプロットの妙、艱難辛苦の果てにたどり着いた 国境でのサプライズな追っ手との闘い、そして、<その手で行くのか!?>ッー <最終目的地>へのウルトラ・ワープ!(ある意味、”歴史を裏で作った男”物語) 上述した様に、約870ページ、レオに思いっきり肩入れしながら読み進めた身には、ラストは過酷過ぎる様に 思えてとても気に入らない。だが、結局、過酷さに身を置く事で、この男、レオは望む物全てを手に入れた。 それは、妻に係わる陰謀の真相、<新旧>愛する物すべての安全。 結局、最高の結果だった訳か... とにかくジックリ時間作って読んでください。電車の中で読み飛ばしてしまうには、非常に勿体無い 極上ストーリーで、第一作の「チャイルド44」を遥かに上回る出来と私は思っています。 第一作、第二作 未読の読者が、この「エージェント6」の後に先の二作を読まれたら、それはそれは 至福の時が過ごせると思います。うらやましい... | ||||
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上巻と下巻でページ数に結構な違いがあり、何でだろうか、と思っていたのだが、上巻400ページは ”まるまる”下巻への”前振り”だった... 上巻を読み終わったばかりだが、ここまでの陰謀譚の面白さに圧倒されている。 冷戦下、赤狩り渦巻く米国で、ソ連が仕掛けた、(割りにソフトな)共産主義プロパガンダ作戦、それに対してアメリカが仕掛け返したらしい 熾烈なしっぺ返しの作戦、まるでエルロイの小説の登場人物のようなFBI職員の存在が、さらに仕組まれた別の陰謀を予見させる... 上巻だけでは全体のハッキリした構図はまだ見えて来ない。 上巻で仕掛けられた陰謀、そして下巻は、ここまで蚊帳の外に置かれていたレオの熾烈な復讐譚への予感。 後半は、<本の裏書>によるとアフガンでの、すごい冒険譚から始まる様で、それはそれで楽しみなのだが、 そこは<最終目的地>ではないはず....大丈夫か? 下巻に手を掛けるのがもったいない様な、まさしく<本を読む手を置くをあたわず>な本。 題材は違うがウインズロウ「犬の力」を彷彿とさせるほどの面白さ。 下巻での締めかた次第では、今年のNo.1... | ||||
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この小説の(表現は適切ではないかもしれませんが)面白いところは、混迷を極めた20世紀のソビエトの歴史が、ソビエトの官僚だった主人公やソビエト国民ならびにソビエトについていた他の共産圏国家が翻弄されるところです。朝令暮改のような政治ですので、国民にとっては生死がかかっているので、緊張感が本を通しても伝わってきます。 またその対共産主義から、アメリカも異常に狂っていた時代をもここで知ることが出来ます。 この一連のシリーズを私が好きなのは、単なるサスペンスやアクションだけではなく、歴史をさかのぼり、その翻弄された歴史により、さまざまな悲劇をから政治が国民に与える影響を勉強できるからです。 1920年代のロシア飢饉から戦後のスターリンの死ぬまで・・・「チャイルド44」 1956年・・・第20回党大会の「スターリン批判」から同年10/11月のハンガリー動乱・・・「グラーグ57」 そして今回は1980年代のアフガン戦争までです。 アフガニスタンは今でもアメリカが駐留していますが、この本を読むとアフガニスタンの複雑な歴史を垣間見ることが出来ます。そしてこの本当時のアメリカの介入も皮肉な結果になることは歴史が証明しています。 小説の内容に話を進めますが、以前は養女ゾーヤとレオとの関係がどうしようもなかったのが、話を前に進めるためにいきなり関係良好。 奥様のライーサともいつの間にかこんなに信頼関係ができているというのは、ちと2作品の読者からすると、納得の行かないところもあります。 ただ話の展開や流れは相変わらずスムーズで、先が気になってどんどん読み進められていきます。 今回のこの話で個人的にとても惹かれたのがジェシー・オースティンの話です。巻末のあとがきに載っていますが、実際のモデルはアメリカの歌手のポール・ロブソンです。 歴史にほとんど封印されてしまい、忘れ去られた彼の悲しい個人史もここでまた日の目を見ることが出来、忘れされれた過去の悲劇から学ぶことが出来るのがこの本の魅力ではないかと思います。 | ||||
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エージェント6、下巻です。 上下巻通しての感想でいえば、この作品は非常によく出来た作品でした。 (どうしても多少ネタバレになりますのでご注意) 物語冒頭の仕掛けが過去から始まることで、今までの二作品「チャイルド44」「グラーグ57」をもう一度読み返そうという気になったし、そこでのあれこれがキッチリとこの作品に引き継がれているのは見事です。 また、そうした長い長い作品の中であるにも関わらず、主人公のレオという人間が色々な意味で最後までぶれずに(超人的な精神の強さも逆にアンバランスなほどの依存性の高さや弱さも)あいかわらずのレオのままで、最後まで感情移入できたことも良かったです。今回は、前作以上にエンタメ要素が強く、ソビエトの中心から、アフガニスタンの戦地を経由しての、アメリカニューヨークの国連ビルまでのワールドワイドな物語展開があったので、普通であればそれにあわせてキャラクターも多少はぶれそうなものなのに、それもなく、最後までレオはレオらしく、物語として破綻することなく進みました。普通なら、後半もっとストイックに強いキャラになるかスーパーマン化しそうなものを、生の、どちらかというと色々なものに対して弱い部分がある人間としての、素のレオのままで最後までいったのは作者の中にレオという人間が強く生きているからに他ならず、それが読み手にまで伝わってきました。 強いていえば、最後の最後の事件解決部でのカタルシスが今少し弱い気がしますが、それは瑕疵というほどの事もなく、読み終えたあとに、三部作全部の余韻に浸ることができました。 | ||||
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「チャイルド44」「グラーグ57」に続く、トム・ロブ・スミスのロシア秘密警察捜査官のレオ・デミドフシリーズ三部作の完結編です。 元秘密警察の刑事であり捜査官だったレオ。彼は、体制の体現者のようなエリート捜査官だったが、過去の色々な事件と経験からその地位を離れ、今では、立派な妻ライーザと養女の二人と暮らす平凡で良き父親となっています。かつての激しい戦いや権力との戦いも過去のものとなり、貧しいながらも幸せな家庭生活を送るレオですが、そんな彼の前に再び過酷な運命が降りかかるというのがこの「エージェント6」です。 前半、レオがライーザと出会う二十年以上も前のエピソードから始まったときには、「?」と不思議に思いながらも何気なく読み進めていましたが、作者のえげつない仕掛けはここから始まっていました。一目惚れのようにライーザに惚れるレオ。アメリカの共産主義者の歌手の護衛中に結ばれる、歌手とライーザとレオの関係。ネタバレになるので絶対に書けませんが、本当にひどい所から仕掛けは始まっています。 時代が進んで、教師として出世していく妻のライーザは、ついには敵国アメリカに国の代表者の一人として渡米するまでまでになります。東西冷戦・キューバ危機を脱したばかりの米ソ関係の緊張緩和のため、国連でアメリカとソ連の子供たちによる合唱コンサートの開催をしようという計画が持ち上がり、彼女はその合唱団の引率代表者として参加することになります。と同時に、娘のゾーヤとエレナも合唱メンバーとしてそれに参加することになります。国にに睨まれているレオをロシアに残して、彼女はアメリカへと旅立ちますが、そこには色々な計画が彼女の知らないところで持ち上がっていました。 そして、その計画は、悲劇を生みます。 あまりにショッキングな上巻ですので、ネタバレ回避のために詳しく書けませんが、三部作の最後を飾るにふさわしい衝撃的な展開の上巻でした。分厚くても一気読みしてしまうリーダビリティーの良さも見逃せません。間違いなくおすすめです。 | ||||
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