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緋色の楽譜



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【この小説が収録されている参考書籍】
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緋色の楽譜の評価: 3.00/5点 レビュー 8件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

チョー面白い!

リストの幻の楽譜なんて、クラシック音楽のファン以外には興味が湧かないかも知れませんが、何の何の、ミステリ・ファンなら誰が読んでも面白い。それもチョーオモシロイこと請け合いです。あざとく、どぎつく、これでもか、の屋上屋型の英文ミステリに食傷している向きには、ドイツ語ミステリはお奨め。特に酒寄氏の訳文は読み易い。中でも本作は逸品です。
緋色の楽譜 上Amazon書評・レビュー:緋色の楽譜 上より
4488013376
No.3:
(4pt)

ノンストップ・ミステリの逸作!

最近、ドイツ語で書かれたミステリを愛読しています。そのどれもが本書の訳者酒寄さんの名調子。この作品も面白く一気に読みました。リストの幻の楽譜という設定がなかなかのアイデアです。ヒロインの設定これまた秀逸。何しろ、所詮は上手く行く、とは予想しても、作者の用意周到なストーリー展開に乗せられて、あれよあれよです。本来は新本で買うところ、上下バラ買いの功徳か、特に下巻はびっくりのお買い得でした。いくらアベノミクスでも、経費削減は必須なり。ダンケシェーン!
緋色の楽譜 下Amazon書評・レビュー:緋色の楽譜 下より
4488013384
No.2:
(5pt)

止まりませんよ。

日本デビュー以来、酒寄による精力的な翻訳によりイーザウの作品はたくさん読めるようになっています。大長編ばかりなので、その旺盛な創作力には舌を巻きますが、いつまでもエンデの後継者といったキャッチにつきまとわされるのは苦しいでしょう。とはいえ、テーマに沿った的確な資料配置によって物語を構築していくその手法は、エンデ譲りと言えるでしょう。
今作も、膨大な資料の山を物語に沿って切り取っていく様は圧倒的で、己の無知さを恥じ入りながらの読書となりました。
設定と展開はシンプルです。フランツ・リストの子孫であるピアニストが、リストが関わっていた秘密結社の恐るべき武器、音楽によって思いの儘にサブリミナル効果を上げられる楽譜を巡っての攻防で、世界中を駆け巡ります。もちろん、読書は止まりません。
『ダヴィンチ・コード』よりは教養があって、『薔薇の名前』ほどは深淵ではないといったところです。

緋色の楽譜 上Amazon書評・レビュー:緋色の楽譜 上より
4488013376
No.1:
(5pt)

甦るリストの理想!万華鏡の如きサスペンス小説!!

上・下2巻、合計600ページを超える長編です。

取りあげられているフランツ・リスト(Franz Liszt 1811年〜1886年)は、ハンガリー生まれではあるがハンガリー語はしゃべれず、祖国を愛しながらも、言葉と活躍した地域の関係から言うとほとんどドイツ語〜フランス語圏の人だったらしい。ワーグナーの妻コジマの父であり、ピアノの魔術師、6本指を持つ男・・・様々な逸話を生んだ超絶的な演奏はクラシック音楽に革新をもたらしたという・・・偉大な芸術家にして文字通り歴史上の「巨人」です。

訳者によるあとがきによると、1956年生まれの作者のイーザウは日常的にホームコンサートを楽しむほど音楽を愛好し、ドイツ人にとっては「我らが偉人」であるリストの伝記多数や600点を超える資料を読み込んだ上で書き上げたのがこの作品らしい。

リストの波乱万丈で実に人間的な一生に、フリーメーソンを初めとした「組織」の存在や、自由と平和を求める戦いを絡め、ヨーロッパ中に実在するリストの「痕跡」も取りあげて、まるで万華鏡のような変化に富んだ物語が展開されます。

主人公はリストの末裔かと噂される天才女流ピアニストのサラ。音楽を聴くことで視覚的なイメージを認識する異能を持ち、発掘されたリストの音楽に込められたメッセージを「観て」衝撃を受ける。その直後から、サラは何者かに追われるようになり、リストの足跡を辿りながら、自らの出生の秘密とリストの楽譜に込められたとメッセージの意味を探るため、ヨーロッパ中を巡る逃避行を繰り広げる事となる・・・。

前作「銀の感覚」でも異能者が登場しましたが、今回も「共感覚」という不思議な能力が取りあげられています。リストの残した「音の力」によって人間を操作し、世界を思いのままするという野望をもつ組織がサラを追い、度重なる危機を乗り越えたサラが遂に知った「音の力」の秘密とは?!と言うのが大まかなストーリー。キリスト教がらみの部分も多く、ちょっと暗く重厚な雰囲気もあります。作中ではリストの作品の演奏場面やゆかりの場所、エピソードなども登場しますが、実在するもの、あるいは史実に基づいた記述が多いらしく、労作と言うにふさわしい風格さえ感じさせます。

基本的にはサラ視点の展開であるため、特に前半では、登場する様々な人物について敵か味方かが判然とせずに実際問題かなりストレスが溜まりますね・・・。その点、後半はメリハリの利いた展開で、クライマックスまで一気になだれ込んで行き目が離せません!孤軍奮闘のサラも力強い助けを得ますが、前半でさり気なく登場していた人物が後半で意外な働きをしたり、文字通り「驚愕の真相」が明らかになったりで作者の緻密な構成力には驚かされます!!

結末部分では愛する子供のために心を砕いたリストの姿や、その逆に自分の野望のために家族を利用する男の末路も描かれていて、単なるサスペンスに終わらない、「家族の絆」を描いた物語ともなっています。

問題は・・・クラシックを聴かない人にとってはどうなのか???ということですが、私も大して知りませんし、メロディーを知らないと理解不能という場面もありませんから大丈夫でしょう。出来たら・・・雰囲気だけでも知っていれば尚よろしいかとは思いますが・・・。(笑)

音楽によって人を操る・・・荒唐無稽な話ですが、「操る」の中身が「感動によって人を変える」という事であれば、これは実在する「音の力」ですね。世界中にそのまま伝わるという意味でも実に強力な「力」ですが、生誕200年を迎えたフランツ・リストを初めとする古今の芸術家たちの「理想」を、21世紀に生きるラルフ・イーザウがサスペンス小説の形で示したという、画期的野心作とも思えるお話かな?

とても濃密な内容なのでジックリと読んでいただきたいですね。
緋色の楽譜 上Amazon書評・レビュー:緋色の楽譜 上より
4488013376

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