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(短編集)
お文の影(ばんば憑き)
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お文の影(ばんば憑き)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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とっても面白かった。 でも、全体に、話が、暗く恐ろしかった。 ところどころに、なまりの強い狛犬とか、犬士さんたちとか、 あでやかな化け猫とか、 可愛らしいモチーフ、 なんとも言えない素晴らしい人々、、はでてくるのだけど、、。 博打眼の出所、作り方、、、 ばんば憑きの、行い方、、話の結末、、 どれもこれも、救いようのない暗さが感じられ、 宮部みゆきの、ほっこりとした温かさが、 あまり感じられなかった。 こういう辛い話は、書いている人も辛いのではないでしょうか、、、。 | ||||
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本書は江戸時代の怪異を描いた作品集であり、最初の2編の「坊主の壺」と「お文の影」を読んだ時点では、ホラーというよりは、妖怪をモチーフとして人情の機微を描いた幻想小説といった趣の作品だと感じた。 しかし3編目の「博打眼」では、うれしいことに妖怪が大活躍してくれるのである。 登場する妖怪は水木しげる作「悪魔くん」の百目に近いヴィジュアルイメージを持っているが、これが程良い不気味さを醸し出してくれる。 この妖怪をいかに退治するか、というのが本編のメインストリームであるが、そこで活躍するのがなんとも可愛いものたちであり、宮部作品には珍しい軽アクション物となっている。 これが後半の3編にいたると、途中でなんともいえない幸福感がじわじわと漂ってくる。 ああ、読んで良かったと思う至福のときが訪れる。 実質的には妖怪の登場しないものもあり、幻想小説というよりも、妖怪をモチーフにした人情話とでもいえるような作品群である。 特に表題作である「ばんば憑き」は、舞台も江戸ではなく、大変静かな作品である。 また、「討債鬼」と「野槌の墓」は、ぜひシリーズで読みたいものだ。 「妖怪」という共通のモチーフを持ってはいるが、6編が実にバラエティに富んだ作品集である。 全編を俯瞰すると、ヴィジュアルなイメージが読後もしばらく続くこと、および、子供の活躍が実に生き生きと描かれているということが、宮部作品としては相変わらずの良い点だ。 特に「討債鬼」では、悪童達の活躍に暖かい気持ちになるし、悪人と思われていた人物が実は・・・という意外性もある。 もちろん登場人物全てが良い人ばかりではないので、人の心の奥にひそむ悪意にさまざまな形で妖怪が絡むのであるが、総じて善意の人々にはそれなりのハッピーエンドとなっている。 また、宮部作品ではいつも、切ないくらいの男女の愛情がさまざまに絡む。 それは正しい場合も誤った場合もあるのだが、互いを思う気持ちが江戸時代を背景として実に切なく描かれている。 さて、最後に最も怖い作品であるが、「妖怪」の活躍する「博打眼」よりも、表題作である「ばんば憑き」こそ、実は最も恐ろしい。 本編の恐ろしさは、どのくらい若い読者に理解してもらえるのだろうか。 でも、若者たちにこそ読んでもらいたい作品である。 「最も恐ろしいのは人の心である」というのは、誰の言葉だったか。 けだし名言であり、本編を良く表している。 | ||||
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ぞくりと怖く、ほっこりとあたたかい、そんな味わいのある宮部さんの江戸もの作品。六つの短篇を収めた本書も、読んでいる間は江戸の風に吹かれ、闇に遊ぶかのような心持ち。半端ない面白さを満喫させられました。久しぶりに宮部さんの江戸ワールドに出かけたのですが、行ってみて良かったあ! お腹いっぱい、大満足の一冊です。 「坊主の壺(つぼ)」「お文(ふみ)の影」「博打眼(ばくちがん)」「討債鬼(とうさいき)」「ばんば憑き(つき)」「野槌(のづち)の墓」の、全部で六つの短篇を収録。なかでも、表題作「ばんば憑き」を筆頭に、「博打眼」「討債鬼」が存分の読みごたえで堪能させられましたね。 語り手の佐一郎ならずとも、<ぞわりと、背中を悪寒が駆け抜け>る「ばんば憑き」。佐一郎とお志津の夫婦の関係を描いた序盤から、ふたりが泊まる宿の部屋に老女が入り、話が少しずつきしみ始め、やがて急速調で怖さが増していく・・・。宮部さんの語りの旨味が遺憾なく発揮された、これはただならない怖さを秘めた怪談の逸品。読んでる途中から肌が粟立つ感じで、ぞくぞくさせられましたよ。 台詞とか仕草とか内面の感情とか、子供の描写が実に上手いのもこの作家ならでは。「博打眼」では、七つになる近江屋の娘、お美代のおしゃまさんぶりに、「討債鬼」では、主人公の利一郎を助ける腕白小僧、金太、捨松(すてまつ)、良介(よしすけ)のいたずら三人組の活躍に、にこにこしちゃいました。 「博打眼」ではまた、お美代が言葉を交わす狛犬の阿吽(あうん)さんも可愛かったな。お美代と阿吽さんに話のスポットライトが当たる本文149頁〜151頁にかけてのシーン、大好きです。 おしまいの「野槌の墓」も良かったな。主人公の源五郎右衛門(げんごろうえもん)を怪異へと導く猫又のお玉さん。彼女の粋な姐(あね)さんぶり、艶(あで)やかな化けっぷりが魅力的。話の途中から、宮部さんの僚友・京極夏彦さんが舞台袖から顔を覗かせている雰囲気も感じて、大いに楽しませていただきました。 収録作品の初出は、以下のとおりです。 「坊主の壺」 「怪」vol.0015(2003年8月) 「お文の影」 「怪」vol.0017(2004年10月) 「博打眼」 『Anniversary 50』(カッパ・ノベルス 2009年12月) 「討債鬼」 「怪」vol.0026(2009年4月) 「ばんば憑き」 「怪」vol.0029(2010年3月) 「野槌の墓」 「オール讀物」(2010年5月号) | ||||
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表題作「ばんば憑き」を含む6編の短編作。作者お得意の怪談時代物である。どの話にも深い味わいがあり、物語にのめり込んでしまう。とても読みやすい。さすがの文章力。「江戸物の金字塔!」帯に偽りなしだ。 どの話にも共通しているのは「恐ろしくて、温かくて切ない」ということだろうか。恐ろしい…ここで言う恐ろしさは霊や化け物を指してはいない。一番は人間の身勝手さである。個人的に好きな作品に「討債鬼」という話がある。詳しい内容は省略するが、この中で「金で人の命は買えましょうか」と悩み問う主人公に師匠が「買える」と答える場面がある。「買えるのじゃ。しかしおぬしは買わん。肝心なのはそこじゃ」と続ける。そこに綺麗事だけではない、人間の本質を見た気がした。 作品によっては過去の作品の登場人物(日暮しとあんじゅう)が出てくるがそれらを読んでいなくても十分に楽しめる作品なので、是非手にとってもらいたいお勧めの一冊である。 | ||||
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