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未来警察殺人課



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未来警察殺人課の評価: 4.40/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.40pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(4pt)

原点

人気のアニメの原点でした。とても面白く読めました。発想がすごいですね。
未来警察殺人課 (徳間文庫)Amazon書評・レビュー:未来警察殺人課 (徳間文庫)より
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No.4:
(5pt)

早すぎた天才・都筑道夫のサイコ刑事SFクライムノヴェル

遥かな未来、科学技術の発展とテレパシー能力者により、殺人願望を抱く人間が事前に察知されるようになった「第二の地球」。刑事たちの使命は、殺人を起こす可能性のある者を強制排除すること。その刑事たちは全員、かつて殺人願望に取り憑かれ、一度は社会から排除された人間たちだった・・・。

この小説の世界観で、何かを連想しないだろうか。そう、アニメ『PSYCHO-PASS』そっくりなのだ。実際、自分は始めてそのアニメを観た時、「これって、『未来警察殺人課』じゃん!」と思ったものだった。
とはいえ、違うところもある。『PSYCHO-PASS』は、システムによって潜在犯とみなされた人間が矯正、または排除される社会。そして、矯正不可能と判断された人間を排除する刑事は、潜在犯と認識された人間。しかし、この「潜在犯」というのは、あくまでシステムによって犯罪を犯す可能性のある人間と決め付けられてしまった人で、必ずしも犯罪願望のある人間ではない。つまり、管理社会のディストピア性を描いた物語で、潜在犯を狩る「執行官」と呼ばれる刑事たちは、むしろトマス・ハリスの小説に出てくる刑事グラハムに近い印象を受ける。

で・・・実は本書の方が遥かに過激なのだ(笑)。だって、刑事たちは人が殺したくて殺したくてしょうがない、リアルクレイジーたちなのだから。
本書は、短編形式で書かれ、かつて2冊に分かれて出版されていたものを、めでたく一冊にまとめたものだ。まさかこんな本が再販されているとは夢にも思っていなかったので、喜び勇んで即買いした。
殺人刑事たちが、獲物を狩る時の喜びみたいな心の声が描写されていて、それが一々ウケるのだ。
第一話「人間狩り」の中から、いくつか引用してみよう。

【おれは拳骨を、そいつの肩にたたきこんだ。同時に腕をねじりあげて、棍棒を振り落とした。(中略)おれはすっかりうれしくなった。素手でこいつらを、殺せるのだ。(中略)エリノアが目をかがやかして、身がまえている。むきだしの腕に、きたえた筋肉が、盛り上がっていた。(中略)「ずるいわよ、星野。あなたばかり、いい思いをして」エリノアの目は、まだ興奮にうるんでいた。】
【すぐ鼻さきの森のなかから、殺傷銃の銃声が聞こえる。おれはわくわくしてくる心を押えて、サトウに近づくと・・・】
【女部長は、近づくやつを射ちとばし、横からくるやつを蹴りたおし、倒れたやつの顔に至近弾を射ちこんで、返り血だらけになりながら、恍惚の表情をしている。ここは刑事の天国だ。】
【引き金を引くと、サトウはあっけなく倒れた。しまったことをした。足を狙って倒しておいて、ゆっくり殴り殺してやればよかった。】

何といういかれた刑事たちでしょうか。こんな過激な内容、今だったら新作小説としては執筆不可能でしょう(笑)。
自分がこの小説を読んだのは、'80年代だったと記憶しているが、この最初のエピソードが書かれたのが、何と1976年である。あまりにも時代の先を行っているとしかいいようがない。
学生だった20ウン年も前、都筑道夫に夢中になって、古本街をあさって、当時でもすでに絶版になっていた小説を集めまくったものだった。中でもお気に入りだったのが『暗殺心(アサッシン)』という無国籍SFファンタジーで、今のゲームなどのような、SFとファンタジーと時代劇と西部劇とアジアの武侠小説がごった混ぜになったような世界で、殺し屋同士の騙し騙されつの駆け引きを描いた娯楽小説で、とにかく、それまでに見たことがないような奇抜な設定に、次から次へと繰り出されれるブラフ、つまり「ヤラレ」が途方もなく面白く、しばらくフツーの小説が読めなくなる「暗殺心シンドローム」に悩まされたものだった(笑)。
そう考えると、都筑氏は時代の軽く20~30年は先を行っているセンスの持ち主だったのだが、あまりにも先見の明がありすぎて世間の方がついていけなかったのだろう、業界人や同業者、クリエイターたちからリスペクトされる事はあっても、いわゆるベストセラー的な話題になることはなかった。まさに早すぎる天才だったのだ。

その『暗殺心』も、割と最近『銀河盗賊ビリィ・アレグロ』と合本で再販されていることを知って嬉しくなった。機会があったら読んでみて頂きたい。この超オモシロイ小説がいまだに映画にもアニメにもなっていないとは、わが国の映像業界人の目は節穴だな(笑)。

本書の収録作品などについては、すでに詳しく書かれているレビューがあるので、そちらをご覧頂きたい。
で、驚いたのが、本書を編集・解説された日下三蔵氏が、巻末で何と『PSYCHO-PASS』との類似点を指摘されていて、自分と同じように感じている方がいたのだ、しかもこの本を企画された人が!と感動してしまった。
件のアニメが、実際に本書に直接的に影響を受けたかどうかは断言はできない。しかし、21世紀の今になって、似たような世界観を持ったアニメが制作されるようになったということを考えても、都筑道夫氏は、40年とは言わないまでも、30年以上も軽く時代の先を行くセンスの持ち主だった事が判る。しかも、内容はずっと過激だし(笑)。
そんな訳で、このマニアックな小説の再販に拍手を贈りたい。
未来警察殺人課 (徳間文庫)Amazon書評・レビュー:未来警察殺人課 (徳間文庫)より
4195673593
No.3:
(5pt)

SFミステリの名作が復活。

遠未来、地球から国単位で移住し地名も地球当時の名を移し替えた惑星を舞台にした連作警察アクション。科学と文化レベルが20世紀当時のものとあまり変わらない所や、知性を持った先住種族が幾種も居たり一寸気になるところ。
殺人課と云うのは殺人事件の捜査をする所ではなく、殺人を犯す可能性のある者を殺す所。
嘗て70年代に発表された第一期、80年代に発表された第二期がそれぞれ作品集に纏められているが、今回それらを後書きも含めて一冊に纏めた他、資料等も巻末に収録。
未来警察殺人課 (徳間文庫)Amazon書評・レビュー:未来警察殺人課 (徳間文庫)より
4195673593
No.2:
(3pt)

後半はちょっと息切れ気味…

70-80年代にSF誌などで発表,書籍化もされた二冊,全十五篇を発表順に再構成した作品で,
徳間書店版1巻のあとがき,徳間文庫版1-2巻の解説,SF誌に掲載のインタビューや写真紀行,
そして編者解説を加えた600ページを超えるボリュームは,正に『完全版』と呼べる一冊です.

『SFミステリ』とのことですが,いわゆる謎解きや犯人捜しとは少しばかり毛色が異なり,
ハードボイルドやアクションに近い雰囲気で,お約束(?)の美女との『一夜』もたびたび.
官能小説のような『隠語』も飛び出したり,最後が『そっち系』で締められることも多めです.

また,ストーリ性が強く,ミステリも読む側が積極的に考えるというよりは眺める立場で,
良くも悪くもアッサリとした解決は,「なるほど」と感心させられる話運びとなっています.

ただ,前後半,旧版で言うところの一巻と二巻では,雰囲気が変わってしまった印象で,
前半に比べ,目先を変えてきてはいるものの,似た設定の篇がいくつか見受けられるなど,
間隔が空いていたことや,長丁場にこちらが疲れた部分もありますが,やや息切れの感が….
最近では耳にしない言い回しも,新しい作品に慣れているとちょっと気になるかもしれません.
未来警察殺人課 (徳間文庫)Amazon書評・レビュー:未来警察殺人課 (徳間文庫)より
4195673593
No.1:
(5pt)

稀代のスタイリスト、その真骨頂

収録作品
「人間狩り」
「死霊剥製師」
「空中庭園」
「料理長(シェフ)ギロチン」
「ジャック・ザ・ストリッパー」
「氷島伝説」
「カジノ鷲の爪」
「マンハッタン・マンハント」
「空白に賭ける」
「殺人ガイドKYOTO」
「ロスト・エンジェル・シティ」
「私設殺人課」
「ワイキキ・ワンダーランド」
「有毒夢」
「赤い闘牛士」

「僕のSF個人史を話そう。都筑道夫インタビュー」
「都筑道夫すみだめぐり隅田巡 写真紀行」

1979年から85年まで書き継がれた『未来警察殺人課』シリーズを全て収録し、〈SFアドベンチャー〉1984年12月号に掲載されたインタビューと写真紀行、そして徳間書店より文庫化された際の辻真先、鏡明両氏による解説、編者日下三蔵氏の新解説を付す。
科学技術の発展とテレパシー能力者の登場により殺人が撲滅された“新しい地球”(別の惑星に入植し地名は地球のものを名づけた)で殺人願望を抱く者を事前に察知し、潜在的な殺人者を強制排除する刑事という「技法から小説ジャンルに入っていくタイプ」を自認した著者らしい枠組み、スタイリッシュな設定の中で描かれる連作SFミステリ。

主人公の名が都筑氏が脚本を手がけた東宝映画『100発100中』(岡本喜八監督 1965年)と同じく星野であることが示唆するようにスパイ・アクション的なケレン味の愉しさと不可能犯罪まで飛び出すミステリとしての堅牢なプロット、徹底した一人称視点のハードボイルド描写が融合した傑作であり、超能力をテーマとしたSFとしてもユニークなもので、福島正実とともに日本SF創世期の功労者たる作者の実作者としての存在の再評価を促すものだ。
稀代のスタイリスト都筑道夫の真骨頂が堪能できる作品集。真摯な編集姿勢も都筑ファンの一員として感謝に堪えない。
未来警察殺人課 (徳間文庫)Amazon書評・レビュー:未来警察殺人課 (徳間文庫)より
4195673593

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