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二流小説家
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二流小説家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全61件 21~40 2/4ページ
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「人は何故、小説を読むのか?」 時に違う自分の冒険譚に酔い、時に平凡で無慈悲な現実からの逃避のために、人は小説を読むのだろうか? ならば、フィクションの供給者である小説家は何故、小説を書き続けるのか? この冗長で残酷な物語の主人公が巡らすセンテンスの螺旋は作者本人の現実であり、その怠慢な現実を打ち破るために用意された物語が猟奇殺人犯との対決である ダメ男が若くて利発なパートナーである彼女に尻を叩かれながらも、一念発起して伝説的猟奇殺人犯と対峙すると決める・・・まさに二流小説家が夢想する冒険譚である そこには、小説好きの読者なら共感し得る作者=主人公の長年に渡り内に秘めた自分の仕事へのニヒリズムが何段にも重ねられ、その一見すると意味のないようなセンテンスのひとつひとつがやがて主人公の鼓動のように物語の内省を語り始めるのである 用意されている仕掛けは至極単純だが、読み込んでいくうちにミステリー小説の主人公と同化している自分に気付いて、思わず苦笑いしてしまう超二流ミステリーの傑作であります | ||||
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エロやSF、ヴァンパイヤなど、いろんなジャンルを匿名で書く売れない小説家が主人公。死刑囚から受け取ったファンレターをきっかけに事件に巻き込まれていく…というお話。 本筋は手放しで面白い!と評価できるほどでもないけど、駄作ってほどでもない。 個人的には、時折織り込まれる個性的な登場人物たちの描写や、主人公が書く小説の一部が織り込まれながら進んでいく構成、主人公がミステリー作品について語るメタ的な部分が面白く思えました。この辺を冗長と感じるか否かで好みがキッパリ別れそうです。 期待しすぎずに読むのがいいかもしれません。 | ||||
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ネタバレしないように書きます。と言っても、一読してもまだ分らない部分が残っています。 これから読む人の楽しみのために、具体性を欠いたよく分らないレビューですが、良かったら読んでください。 内容としては、主人公が探偵役のような感じですが、オーソドックスな探偵モノという感じでもありません。 残虐な描写も後半に出てきます。 ちょっとホロっとくる、男女の友情も描かれています。(自分はこの二人の関係がいいなと思いました) 主人公は小説家という設定なので、途中で何度か本編とは関係無い小説の断片が散りばめられています。 (もしかしたら、何か謎解きのヒントが隠されているのかも?) 概要としては、 ある事件の犯人が刑務所にいる間に、同様の事件がまた起こった。 じゃあ真犯人は誰だ?みたいな感じでストーリーは進みます。 主人公は犯人の告白本を書くということで関わり合いになります。 一応、最後の方で事件は解決、そして後日談という風に進むのですが、 なにやら著者が思わせぶりにそれだけじゃないよと言わんばかりの締めくくりをします。 それが分らない。 自分は、この小説を途中で2週間ぐらい読まず間を空けてしまったため、 伏線やヒントを見逃してしまったのかも知れません。 探偵ものとしては、最後まで読めばちゃんと完結しています。 間を空けて読んでも最後まで読めば、とりあえず表面上の疑問はなくなります。 だけど「あれ?」 なぜ著者はそんなことを小説の登場人物に言わせたんだ?という不可解な疑問が読後に残ります。 この不可解な、著者の挑戦を受けて見たいなら是非読んでみてください。 その際は、なるべく日にちを空けずに毎日ページを括る方がいいです。 読後、こんなに分らない気持ちにさせられたミステリ小説は久々です。 欠点としては若干、冗長な所があるかなと。著者のデビュー作なので仕方ないのですが、 もう少し文章や構成を洗練させる余地があったと思いました。 そこで星一つ減点させて、星4つ。 | ||||
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筆者が小説に仕掛けた最大のたくらみは、 既読者すべてには伝わっていないのか。 さまざまな読書ブログやネタバレブログなどで、 この点について触れている文章を読んだことがない。 きっと、おれに探せないだけなのだろう。 筆者はもちろん、 さては翻訳者や出版社までもがグルになって 既読者を欺こうとしているな。 欺く側と欺かれる側。 たくらみに気づいた既読者は、 気付かない既読者を置き去りにして、 欺く側に身を置くことができる。 そんな稀有な構造を持つ小説だとおれは思う。 ここのレビュワ―各位もヒトが悪い。 知っていながら素知らぬ素振り。 そうなんでしょ。 これ以上は、ここに書きにくい。 ペーパーバックのレビューに 既読者であるあなたへのメッセージを書いてみた。 うまく届けばいいのだが。 | ||||
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昨年度の海外ミステリー部門で非常に評判の高い作品で、映画化もされたと言う事で、期待を込めて読みました。 なかなか事件の起きない中盤までの展開も、挿入作品や文学論の様なことも入っており、飽きることがありませでした。 事件が起きてからの展開は、息をつく暇もありません。 犯人が明らかになってもまだまだページ数が残っており、まだ裏があるのかなと思っていると、意外な事実が明らかになってきます。 結構長い小説なのですが、期待通り楽しい一冊でした。 | ||||
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『ひょっとすると、読者諸君はもうお気づきかもしれない。ぼくが修正を加えたり、特徴を組み合わせたりした実在の人物に。 <略> さらには、“信頼できる語り手”であるぼくの正体まで、わかったつもりになっているかもしれない。』 〜エピローグより 日本人ですよ、きっと。 御厨さと美氏の筆名では無いだろうか? ・ナイーブな中年 ・女子高校生とのプラトニックな関係、およびそのやりとり ・バーで日本酒のんで大騒ぎ ・異例な早さで決まった邦画化 ・著者写真の怪しさ ・David Gordon名での英語資料の僅少さ 等々 ダリアン・クレイやフロスキーといった名前にもヒントがありそうなのだが… | ||||
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残忍な連続殺人鬼ダリアンより面会を希望する手紙を貰った二流小説家のハリー。彼の希望は獄中の自分に熱心で狂信的なファンの女性から手紙が来ているので、会ってその 結果を小説にしろというもの。しかし、彼女たちに会いに行ったハリーには大きな災難が待ち受けることになる。会った女性三人が、ダリアンの手口で惨殺されてしまったのだ。この新たな犯罪でダリアンの過去の犯罪が果たしたて彼がやったものなのか、再審が要求されるようになる。昨年度の大きな賞を総ざらえしただけに、物語の展開が早く、かつ大きなどんでん返しが何度か用意されている。残忍な犯罪に手口や犯罪現場の再現など、結構グロっぽい場面も大木が、全体を覆う、洒落た会話とユーモアがそこらへんをなんとか暗い作品にすることを避けている。 | ||||
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結構な分量がある本書は、ミステリー小説に興味が無かった自分でも、終始興奮して読み終えることができました。他のレビュワー様方のなかには、「冗長」「過剰なグロテスク表現」といった否定的な文言が見受けられます。しかし、もしそういったもので本書を読むのを諦めてしまう方がいれば、ちょっと待って下さい。確かに自分も最初はこんな分量、読むの面倒だなー、などと思っていましたが、作者の愛しい冗長な話し方で終始疲れず読むことができました。また、グロテスク表現についてですが、自分も「結構エグっww」と確かに思いました笑 なので、過度に心臓が弱い方は気をつけた方がよろしいかと思われます。 | ||||
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初めは読みづらく感じてた作品ですが、 主人公が動き始めるとがぜん読みやすくなるから不思議です。 海外ミステリーはやっぱり登場人物が多すぎ! 主人公の語り口が、軽妙なというよりはややラノベ風にも感じた。 別に否定的な見え方ではないんだけど、方向がやや迷走気味かな……。 やっぱり言える事は、小説内小説の部分は苦手です! | ||||
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読後からしばらく経っています。 それでもレビューは一応しておこうかと思い、書く事にしました。 評判の高さが気になったので、読もうかどうか迷っている方の参考になればと思って。 最後のほうまでドキドキハラハラして読みました。 読み終えるのが惜しいような気すらしました。 純粋に、おもしろい。 ミステリーとして読まなければ。 真相が明かされて感じたのは、残念な気持ち。 意外性はあった。 でも、その意外性の理由は、その犯人には一連の事件の実行は不可能だっただろうから。 その人物でも犯行が可能であった理由のようなものが述べられていますが、あの程度では、時間的余裕がたいして無い中であれだけの事をしてのけられる説明にはなっていないと思います。 率直な感想は、あの人には無理でしょ、です。 上記の理由で、ミステリーファンにはおすすめできない一冊です。 新書にしては、確かに分厚いですが、高いし。 でも、最後のほうまではおもしろく読んだので、個人的には損をしたとは思っていません。 だから、満点ではないけれど高評価させていただきます。 しかし、あくまでもエンターテインメント作品です。 文学的作品としては読めません。 そのくせミステリーとしても読めない。 この作者はどこに行きたいのか、と思ったりもします。 | ||||
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ポルノ・SF・ヴァンパイア・ハードボイルドと色々なペンネームでハリー・ブロックが死刑囚から告白本を依頼されたものの、殺人事件に巻き込まれていく。 文中に入れ子の様に差し込まれるハリーによる色々なジャンルの小説がおもしろく、これだけでもう数編小説が書けるのではと思わせるサービスぶり。 ハリーを取り巻く女性がとても魅力的。しっかりものの女子高校生、被害者の双子の姉であるストリッパー、ヴァンパイア小説ファンの弁護士助手。 事件解決語のちょっとくどいかなぁと思わせるエピソードが作者の更なるサービス精神なのだろう。 知的で凝った作風なので、2作目、3作目が更に楽しみな作家です。 | ||||
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一人称語りの饒舌さと軽いノリの展開に戸惑いを覚えつつ、それでも9年も付き合ったジェインとの別れ方(捨てられ方)はそうだよなと同情し、頁を繰る速度が快調なのはひょっとして面白いかも知れないなという期待を持たせた。 ポケミスを読むのは久しぶりだったので、この快調さは良い意味でも悪い意味でも驚いた。これは章の短さと、青木千鶴さんの訳の上手さも大いに貢献していると思う。 饒舌さが揺りかごに乗っているような心地よさを感じた頃、不意に目を覚ませる事件が発生し、改めてミステリを読んでいたのだと納得する。 本書の登場人物は少ないが、女子高生やストリッパーや弁護士助手の女性が魅力的に描かれている反面、どうもいけ好かない奴等は本当に悪人だったりして、そういうところが判り易かった。 とはいえ、ラスト辺りの77章で意想外の展開になるのだが、この人物が「おもな登場人物」に記載されていなのはやや公平さを欠くのではないか。ペンネームを省き、被害者遺族の面々を入れた方が目眩ましの効果があったのではないかと思う。 ただ、最後まで饒舌さは健在で、結局また一人になるものの、一皮剥けたというか、逞しくなった印象が読後感を爽やかにしている。 | ||||
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登場人物も魅力的で、ハッとさせられるような文もあり 最後まで楽しく読めました。 冴えない二流小説家ハリーに共感できるか、 作中に散りばめられた作家論や芸術論に引き込まれるかどうか、が評価の分かれ目ではないでしょうか。 サスペンス部分にもうひと驚きがあったり、作中のSFやヴァンパイア小説が事件や登場人物の関係にリンクされていれば 最高だったんですが。(墓場で美女に裏切られる小説は事件のミスリードを匂わせて素敵でした) ラストの主人公の言葉について疑問を持たれたレビューがありましたが、自分も一読した時はよく解らなかったのですが、 あれは現実の読者である私たちに向けた言葉ではなくハリーの小説を読んでいるであろう作中の読者に向けて これはフィクションではなく、本当に起きた物語だと示唆する言葉だったのではないでしょうか。 つまり、この小説自体がハリーの書いた小説であって、冒頭からハリーは私たちにではなく作中の読者に語りかけていたのではないかと・・・、 思ったのですがどうでしょうか。 | ||||
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海外ミステリーを総なめにした作品だが、噂にたがわぬ傑作だった。 売れない作家である主人公が連続殺人犯として服役中の囚人から告白本の出版を頼まれることからストーリーが始まる。 作中作として、主人公ハリーのSF小説、ポルノ小説などが組み合わされてストーリーが展開していくことになるが、全体としていろいろとてんこ盛りだがバラバラ感がなく、読者を離さない力はさすがなもの。 とはいえ、これほどこった構成にする必要があったかは疑問。 これが処女作とはすごい作家が現れたと思う。 2作目を期待して待ちたい。 | ||||
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映画を見ているように、ニューヨークや主人公ハリーをはじめとする登場人物が臨場感溢れて迫ってくる。大都会に暮らす現代人のストレスや孤独感と巧みに仕掛けられたトリック。死刑執行が迫っているダリアン・クレイの狂気。それぞれの生い立ちが丁寧に書かれていて犯罪小説でありながら現代社会の病巣を描きだし、知らず知らずに主人公に感情移入してしまう。二流小説家を自認?する主人公が執筆しているSF小説やバンパイア小説なども同時進行していて、一冊で多くの楽しみ方ができる。殺害シーンなどはあまりにリアルで、日本人作家のレベルとは明らかに違う。社会の底辺で喘ぐ人々が大都会ニューヨークで生きぬいていく厳しい現実を思うと、社会環境が犯罪の芽を生んでいる側面があると感じないではいられない。. | ||||
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Edgar award finalist. A real page-turner. Unable to put it down. みたい な。英語のエンタメ本は、読者および著者の数も半端じゃないからレベルが高い。 1ページ目から「絶対面白い」って宣言して最後までその通りだった。 腕はいいけど器用貧乏で書いても書いてもちっとも売れない、私生活もさえない 小説家、ハリー。ある日、彼が生活費稼ぎのために書いているポルノ小説のファ ンだという死刑囚から、自伝代筆依頼が舞い込む。依頼人はいまだ解明されてい ない連続猟奇殺人事件の犯人。世紀のベストストセラーネタにハリーは大興奮し たのもつかの間。とんでもない事件に巻き込まれていく。 まるで「24」のような豪速展開、どんでん返しに続くどんでん返し……。ともす ればハリウッド映画の絵コンテみたいな大雑把な作品になりかねないところだが、 構成も文章も隅々まで計算されつくされていて、読ませる。語り手であるハリー の、物書きならではの過剰な自意識やシニカルな視点もスパイスのように効かせ てある。しかも主人公が得意とするポルノ、安いハードボイルド、バンパイア系 ソフトSM、エロSFなどの「書き分け芸」なども随所で披露しつつ、飽きさせ ない。さらに女性キャラはセレブ系ロリータ、ドM変態女、スナイパー/ストリッ パー、図書館系メガネ女子、セクシーロボットと、超豪華バラエティ。 のわりに、男性キャラが地味なのが若干不満だけれども、主人公ハリーと、 宿敵だったFBI特別捜査官タウンズの男の友情にはぐっときた。彼らの出会い はこんなかんじ。 ”Ever think it's none of your business?” ”Catching killers is my business, feeding like a parasite on the corpses of the victims is yours.” すごくわざとらしいハードボイルドだけど、やっぱりかっこいい。 別れ際がコレ。 We had decided to like each other at last, but now that the case was done, we had nothing left to say. 吐き捨てるような軽蔑の応酬と、無言の別れの間に、理解と共感の瞬間が何度か 訪れる。タウンズがハリーを見舞うところが不器用な男の友情マックス。萌えた。 もう一つの読みどころはダリアン・クレイ(=Darian Clay、ふざけた名前!) の、頼んでもいない死ぬ前の自分語りのパート。カラマーゾフの大審問官ばりの 独善ぶりが全開でうんざりなんだけど引き込まれる。 エロくてグロくて実写では見たくないようなシーンも多々あるのだけれども、 どこかトボけていて救いがあるのは、やはり著者の筆力だと思う。 一冊で映画3本分以上楽しめる。 | ||||
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ミステリーとしてみると、殺人事件が小説の半分近くまで起こらなかったり、主人公の二流小説家が書いた小説が途中にちりばめられたりと変な構成になっています。 主人公が書いた小説の部分が必要だったかといわれれば、ミステリーとしては必要なくてもこの小説としては必要だったのだと思います。 主人公は二流小説家というよりもダメな人で、恋人には逃げられるわ、家庭教師をして出会った女子高生には尻に敷かれるわといった調子です。 でも、そのダメさ加減や人間味あふれるところが好きです。 ミステリーとしてもよくできたお話ですけど、むしろミステリー以外の要素でこの小説を好きになった気がします。 | ||||
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毎度図書館のお世話になって読ませていただきました。 語り口は翻訳家さんの工夫もあると思いますが軽くて読みやすく,さらさらと読めます。 ストーリーはよくあるといっては何ですが,巻き込まれ型で死刑囚は無実では?,真犯人は別に?といったタイプですので,ある意味新鮮味はないのですが,ストーリーのテンポはよく,どんでんもいくつかあってそれなりに練られています。ただやむをえないかもしれませんが,登場人物が結構いるためにそれぞれのキャラクターはあまり深みがなく,もし今後シリーズを考えるのであればやや弱いかなというところがあります。 とは言うものの,それなりに楽しめましたので,星4つということで(かわずに読んだという点も考慮して)つけさせていただきました。 追記:複数のペンネームを使った二流小説家が主人公ということで,点景のように毛色の違った作品が挿入されていますが,特に本筋には絡んでこないので時間のない場合は飛ばしてもよいです(読めばそれなりに話は膨らみますが)。 | ||||
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NHKBSプレミアムの「週刊ブックレビュー」を観て、 おもしろそうだったのでその場でアマゾンで購入。 便利な世の中になったものだ。 私が気になったのは一つの節の文章がとても短いこと。 だいたい、原稿用紙五枚から十枚の間かな。 ショートショートの分量。 だから、シャープ。 だらだらしないで、起承転結を付けた後、すぐに次の短いストーリー(アイデア・エピソード・ハプニング・その他)に進む。 読むことの苦手な人も、この分量なら読むことができる。 そして、もうちょっと読んでみようかなという気持ちにさせる。 そして、最後にはまってしまう。 デイヴィット・ゴードンは、だれか読んでもらいたい特定の人がいたのだろうか。 毎日、飽きさせないように工夫して、一節づつ書いてメールで送ったのだろうか。 そんな気のする文章である。 この小説は八十節あったから、四百五十ページの中に、八十の展開を楽しむことができる。 ちなみに本棚から適当に取り出したスティーヴン・キングの「痩せ行く男」は、二十七章だから、二十七の話で展開されている。 無駄のない削り取られた文章の中に、普通の小説の三倍もの話(アイデア・エピソード・ハプニング)を盛り込み、 退屈させないように工夫された小説。 この小説の面白さは、この試みにあるではと思うのです。 なぜなら、自分も一つのエピソードを原稿用紙五枚以内と制限を設けて小説を書いたことがあるから。(私は趣味で小説を書いています) 前半にエピソードが多いと、小説の後半を書くとき、いろんな展開を創作することができる。 この小説に、奇跡のような第四部が展開できたのは、この効果のおかげではないかしらと思うのです。 必見。 | ||||
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ミステリ・マニアの友人に薦められて本作を手に取ったのだが、その言葉通り読み応えのある作品だった。一応、「二流小説家」である主人公が、死刑執行直前のサイコ・キラーの告白を聞いて実録物に纏めるという体裁で物語が進行するのだが、一筋縄では行かない。最初の頁を読んだ時には単なる叙述トリックかと思ったのだが、物語の進行に連れ、それでは説明の付かない点が随所に出て来る。物語が何段もの重層構造になっているのだ。スリルやサスペンスを感じると言うよりは、作者がどうやってこの物語を着地点に持って行くのかと言う"興味"で勝負している印象を受けた。 その意味で、本作は既存のミステリに飽き足らない作者がミステリの可能性を徹底的に追求した作品と言えるだろう。ニューヨーク(現代社会 ?)が魔界であるとの皮肉も効いている。ただし、純粋本格ミステリ愛好家の中には、本作の設定に憤慨する方もいらっしゃるのではないか。それほど、ギリギリの線で勝負しているのだ。 また、作中にはミステリ論から始まって、芸術論、果ては文明論に関する作者の思惟・薀蓄が散りばめられている。好みにも依るが、私には少し煩わしく思えた。もっとスッキリとした形で物語を構成する事も出来た筈だが、敢えてそうしなかった所に作者の狙いがあるのだろう。兎に角、作者の構想に唸らされる逸品であり、一読の価値があると思う。 | ||||
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