続・用心棒
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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「用心棒」のジョー・ブロディーが帰って来た。ニューヨークの裏社会の保安官に任命されたジョーが再びテロ組織を壊滅させるべく立ち上がる、アクションミステリーであり、マカロニ・ウェスタンであり、現代ノワール小説である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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娯楽作にすごいリアリティを求めるわけではありませんが、今どき400万ドルのダイヤを運ぶのに手動ダイヤルの金庫を使い、聴診器を当てて解錠するってどうなの、と思いました。他の場面ではハッキングによりガードをかいくぐることになっているだけにすごい違和感。間一髪の救出劇も予定調和があまりにも過ぎてしまって感情移入ができませんでした。唯一の成果は、前作で不思議だった分配報酬額の大変動が、実は翻訳ミスだったと解説で明かされたことでした。 | ||||
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前作『用心棒』に続いてあっという間に読破した。途中ではなかなか止まらず興奮もして寝付けなかった。 本作も期待を裏切らない波乱万丈な内容でおもしろい。スピード感があって迫力も満点だ。 ただ、前作の方がインパクトを強く感じた。シリーズ初頭なので当たり前かもしれないが。 本作では前に十分に説明されなかったさまざまなエピソードを補強しているところも。それはいいが、どうでもいい冗長に感じる箇所が今回は散見された。 ジョーとエレーナとドナの微妙な関係…。私はドナには魅力も存在意義もさほど感じない。エレーナの方が前作も本作も大活躍し、断然かっこよくヒロインとして最適だと思っているのだが、どうも作者の意図は違うような…。そこがとても残念だ。エレーナを切らないでほしい。 このシリーズは今後も続く気配を漂わせている。 もちろん素敵なジョーの活躍をまだまだ読みたいので、続刊の出版を大いに期待する。 …邦題はどうするのか?まさか『続々』ではあるまい。 ちなみに前作終盤の分け前の誤差には気づいたが、あまりにも額が少ないのでエレーナが懐から出したのかなと思ったりしていた。まさか翻訳ミスだったとは(あとがきで謝罪されている)。 | ||||
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『用心棒』というだけで怪しげな邦題のジョー・ブロディ・シリーズ第二作。『続・用心棒』とは、何だか昔の時代劇映画みたいだ。マカロニ・ウェスタンの『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』が「続」とか「新」とか、まるで別の作品なのに、タイトルで売れっ子俳優クリント・イーストウッドの二番煎じ三番煎じを狙ったという当時の映画界事情が思い浮かぶ。 いかがわしさ満載のこの作品は、あの毒々しい当時の映画看板を思い出させ、何だか汗臭く、昭和っぽく、やたらと懐かしい。ぼくは仕方なく、C・イーストウッドのイメージでジョーを思い描くことにしています。 著者デイヴィッド・ゴードンが、前作『用心棒』で、従来の純文学にあわよくばと片足かけていた作風からエンタメ路線に一気に完全方向転換し、非常に庶民的、かつアクション重視のピカレスク路線をかっ飛ばし始めたのには、心底驚愕させられたものだ。そこのところを作家は、さらに確信と自信に磨きをかけ、好きなだけ愉しみ、楽しませてくれる、この続編を書いてくれたわけである。邦題はお約束の通り『続・用心棒』である。いいね。 描写には多分にしつこさやねちっこさが残るけれど、そういう個性まで捨てよとは言うまい。ジョークやブラックを文章の裏側から抽出しつつ、圧倒的スピード感すら感じさせるジョン・ウー監督まがいの最初のド派手アクションは、ただのイントロに過ぎず、その後、ゴッドファーザーを凌駕する各種暗黒街の総会みたいなノリで、彼ら親分たちに雇われるに至って、ジョー・ブロディはますます怪しげな存在になってゆく。 ただし、この作品、シリーズ主人公をさておいての個性的キャラクターのオンパレードが特徴でもあり、各人種・各異常性格、各人各様の裏切りや欲望等々、サブストーリーの分厚さと豊富さが、作者の語りに拍車をかける。まるで木戸銭を払って紛れ込む縁日の見世物小屋のような極彩色のオフビート・ギャング・ストーリーなのだ。タランティーノくらいしかこれを映画化することはできないかもしれない。 ジョーの親しいイタリア系マフィアの親分・ジオ。彼の個人的趣味や、その後の葛藤が、不気味で可笑しすぎるのだが、それぞれに絡み合うキャラクターの間の裏切りや企みを各ページに載せたまま、重戦車級のヘロイン&ダイヤモンド強奪兼取引現場へとストーリーが雪崩れ込む。舞台のニューヨークは、作者の育ったそうな怪しき町クイーンズ。人種のるつぼ。貧困と混沌の野外ステージ。 イントロとメインでの二つのビッグ・アクションの後、キャラクターたちは、それぞれの運命の岐路を迎えてゆく。いわば魔界の残務整理。それがまたきつい。過酷で容赦なく、血と欲望にまみれている。 個人的には多くのキャラの中でも、割とまともな二人の若手がぼくは好きである。アクロバティックなドライビングテクニックを駆使するキャッシュと、IT関連とりまとめ役でハッカーでもあるジョシュアだ。 さて皆さんはどのキャラのファンでしょうか? それほど個性のかき分けが凄いのだが、何せ登場人物が多すぎて頭の整理が大変、とも言えるごった煮料理でもありました。それにしてもなんという作品であろうか? | ||||
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2018/10月に読んだ「用心棒」以来、待望の続編「続・用心棒 "The Hard Stuff"」(デイヴィッド ゴードン ハヤカワ・ミステリ)を読み終えました。 主人公・ジョー・ブロディーについては、言うまでもない。ハーバード中退、ドストエフスキー(今回はサミュエル・ベケット(笑))を愛読し、元陸軍特殊部隊出身。ストリップ・クラブの雇われ用心棒。彼は、PTSDからアヘンを愛用するようになりますが、今回は少し"回復"の道筋へと一歩踏み出したように思えます。ニューヨークの裏社会を牛耳る犯罪組織のボスたちのところへ、アルカイダ系テロ組織の代理人と思しき人物から高純度のヘロインを買い取って欲しいとの商談が持ちかけられます。そのヘロインは或る麻薬組織から強奪されたものであり、その代理人は400万ドルをダイヤモンドで支払ってほしいとの要求を繰り出してきます。犯罪組織のボスたちは、或る理由から「用心棒」ジョーに協力を求め、ヘロインを奪い、当該テロ組織の資金源を断つよう依頼します。ストーリーが肝のスリラーですから、詳細は書けません。 前作同様、ニューヨークを舞台に仕掛けられたド派手なアクション・シーンは健在であり、ドナルド・ウエストレイクのドートマンダーもの以上に成熟した(笑)犯罪者たちによる「優しきうつけもの」ぶりもまた継承されています。また、端役に至るまで、登場人物たちそれぞれがそれなりの見せ場を与えられながら、楽しげに描き分けられています。イタリア系マフィアのドン、ジオ、ジョーの祖母、グラディス、敵役・密輸業者のフェリックスに至るまで、申し分ありません。加えて、クイーンズをはじめ<人種の坩堝>としてのニューヨークを描く作者の視点は、エンタメでありながらも差別と格差に塗れた米国の今を活写しているように思えます。 そして、前作に引き続き、見せ場を作る二人の女性、金庫破りのプロ・エレーナ、FBI捜査官、ドナ・ザモーラ。ジョーは果報者でもありますが(笑)、そのジョーと二人の女性との関係性がこのシリーズに魅了されるもう一つの理由なのかもしれません。 今回は、黒澤映画へのリスペクトに加えて、クェンティン・タランティーノがキル・ビルを通して「緋牡丹博徒」、「修羅雪姫」へのリスペクトを明確にしたように、デイヴィッド・ゴードンによる東映ヤクザ映画へのオマージュを感じるシーンがありました。それは、「博奕打ちシリーズ」なのか「昭和残侠伝」なのか?ジョーが高倉健ならば、道行に同行するジオ・カプリッシは池部良のメタモルフォーゼに見えなくもない(笑)。 法の内側にいようと外側にいようと、ピュアな侠気がもたらす「よきもの」に国籍はないとまたしても思うことになりました。「いつかいい目が出ることを夢見て、それこそ命すら賭ける。ギャンブルも愛もそうであるように、長い目で見れば勝算などないことを、心の奥底では知りながら」(Kindle の位置No.5076-5077)。アイルランド系犯罪者、リーアムは思います。同じような"はぐれもの"の一人として、特に付け加えることはありません(笑)。 次回もまた、"オフビート・ハードボイルド・スラプスティック・ユーモア・スリラー"の続編を期待しています。毎回、唇ひとつ分だけしか縮まらないジョーとドナ・ザモーラの間柄。今回はまた、"トンネル・ネズミ〟の経験者、画家のフランクとの関係性もまだ見えないまま残されています。 最後に、背中(せな)に「嬰児を抱いたマリア」の刺青を抱くエレーナの痺れるような引き際に涙したと言っておきたいと思います。まさに、「残侠」。 ジョー・ブロディー。おまえは、"The Hard Stuff"でありながら、"The Hot Stuff"。 | ||||
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