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完全なる首長竜の日



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【この小説が収録されている参考書籍】
完全なる首長竜の日
完全なる首長竜の日 (宝島社文庫)

完全なる首長竜の日の評価: 3.30/5点 レビュー 91件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全91件 41~60 3/5ページ
No.51:
(3pt)

汎用小説家のSFミステリー凡作。SFファンは読む必要なし。

SFが得意な小説家が書いた話ではなく、単にそれなりに文章が書ける人が、たまたまSFを題材にしたただけの作品であると感じました。ロックにかけている人がロックを歌うのではなく、それなりに歌のうまい人が「とりあえずロックうたってみました」程度の。

よって普段からSF関連の小説・漫画・映画などを好んで見ている人には大変物足りなく、時間とお金を無駄にする本なのではないかと思います。

作者の筆力に言及するレビューもあります。確かに読みやすくはありますが、グイグイ引っ張っていくような感じではありませんでした。

全くの幻想小説ならば良いのかもしれません。しかし下手にSF的な設定を入れてしまったので、非常に中途半端な仕上がりになったと思います。

また主人公が漫画家なのもどうなのかなという印象でした。昔よりは漫画家という職業が一般的になったとはいえ、普通のサラリーマンの生活とは違います。いくらウンチク的な内容をちりばめても、リアリティが今ひとつ感じづらいと思います。私は読んでいて、この主人公が四十路前の女性という、リアルなイメージを最後まで持てませんでした。生活感が描かれていないからです。

話し自体が日常的でないのですから、どこかで強くリアリティを感じる部分がないと、浮き上がった印象になってしまうと考えます。

また最後になって真実が明かされますが、その真実にともなう伏線も用意されています。しかしそれらの殆どが蛇足に思えてなりません。ストーリー進行には直接関係ないし、主人公のそれらに対する普段からの強い想いなどが描かれているわけではないので、結果の為の伏線というよりも、伏線を張りたいからそういう設定を無理矢理作った感が否めません。

この手の話のオチは、

・現実だと思ったら夢だった

・夢だと思ったら現実だった

・現実だと思ったら、やっぱり現実だった。

・夢だと思ったら、やっぱり夢だった。

が、基本だと思います。読むほうもそれを予想しながら読むわけですから、それを騙し最後に納得させるためには、筆力だけではなくSFに対するかなりの知識と洞察力が必要です。今回の話において作者の知識と洞察力は、普通のSFファンよりも下だと感じました。SFやるんならもう少し勉強してから来い、と文句を言いたいですね。

また真相解明後の最後のオチですが、蛇足というよりも安易という言葉が合うと思います。例えば昔のホラー映画のラストは「事件解決後、落ち着いた主人公や関係者が描かれる。しかし次の瞬間……!」というのが結構通例でした。オチというよりも「とりあえず、やっとけ」みたいな雰囲気満載で興ざめこのうえありません。この小説にも同種の雰囲気を感じました。

それにしても、どうしても納得のできない部分があります。少なくとも最後のオチの前の「これが実際の事実」と思える設定部分で考えると、次のような根本的な疑問が沸いてきます。それは「主人公が弟の入院を賄うのは理解できるが、では、少なくとも初期の○○の場合は?」というものです。

そこに合理的な説明がないと、宙ぶらりんに示された現実さえも論理的にあやふやになってしまいます。

この手の話は論理無視の思いっきり幻想的な作品にするか、逆に厳密に整合性を持たせた作品にしないと非常に中途半端な印象になる可能性大です。もしこの作品が厳密な整合性を持ったものであったなら、最後のオチは非常に効果的だったと思うのですがね。著者はそういったところを理解していなかったと言わざるを得ないと思いました。
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No.50:
(5pt)

基本の積み重ね

正直、それほど印象に残る文章でもなく、ネタはディックのパクリでオチは読める、知識はウィキレベル……なのに、最後は引き込まれる。
思うに、しつこく、クドイまでの説明と伏線の繰り返し。基本をガチガチに固めたが故の完成度だろう。
確かに、読書に慣れた人間は、物足りなさを感じたり、あっさりネタに気付くだろう。
しかし、大多数の読書に馴染んでいない読者ニーズに対応しているのだと思う。
ただ、この手は2度は使えないネタだから、捨て身のネタかな。

それにしても、SFネタが文学寄りやミステリに流れてきている現状はSF市場衰退の結果ではないかと思えて悲しい。
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No.49:
(1pt)

取り柄が全く見当たらない、呆れる他はない作品

長期昏睡状態にある患者と意思疎通(センシング)するための"SCインタフェース"という装置(作者は仮想現実からヒントを得たらしい)が開発された世界において、漫画家であるヒロインが長期昏睡状態にある弟の自殺未遂原因を探求するという体裁の物語。

ヒロインの一人称で全編が綴られている。だが、患者はともかくとして、"SCインタフェース"使用中は健常者側も昏睡状態に陥る必要性があるとは何とも無茶な設定である。更に、"SCインタフェース"の使用体験によって、非使用期間中にも"意図しないセンシング"(作中では"憑依"と称している)が起こるというのだから、ヒロインの記述は全く当てにならないという事になり、物語の求心性を著しく殺いでいる。荘子の「胡蝶の夢」が何度も引用される事から、人生における"現実と夢の狭間"を1つのテーマに置いている様だが、このために"SCインタフェース"という装置をでっち上げた様に映り、何とも据わりが悪い。

そして、このテーマ・設定からオチが容易に類推出来てしまうのだから呆れる他はない。脳科学に関する知見も生半可な上に、物語構成手法も未熟というお粗末な出来で、取り柄が全く見当たらない作品としか思えなかった。
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No.48:
(5pt)

興味を持って

なかなか面白かった**********************
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No.47:
(4pt)

分かりやすく、そつがなく、巧みだけど

ものすごく上手いと思う。だけど印象に残らない。

内容は個人的には良かったと思います。一読の価値はあるのではないでしょうか。
ただし、現実と虚実が交錯するような話が苦手な人や、ミステリーらしいミステリ―を期待する人にはお勧めしません。

■ 良かった点

出来事としてはスローテンポなのに牽引力があります。
ジェットコースターのように振り回すわけでもないのにこれは凄いですね。
もちろん悲しい出来事も多々ありますが、至って穏やかに進みます。
文章も過不足が無いというか、読みやすく洗練された感じを受けました。
それと「民俗学っぽい島の雰囲気」「戦後の成長期」と「マンガ家」「SF的ガジェット」の破綻のない組合せは良かった。
まあ、一つ一つの詰めが甘いのかも知れませんが、詳細描写に味がある小説とは、逆の方向性で楽しめます。

■ ちょっと・・・

ストーリーがよく練られてるなぁ、と感じましたが・・・。
これ感じちゃったら不味いでしょ?
現実と虚実の交錯が巧み過ぎるというか、読者に親切過ぎると言うか。
ソツがなさ過ぎて、現実と虚実が入り混じる話なのに「もやもや感」や「ぞくりとする感覚」がない。
分かりやすいんですよ。

これ、何かにつけ一貫しています。
分かりやすく、そつがなく、巧み。

だから、印象に残らない、共感も浅い。それに、何か足らないと言われる。
作者の主張って一体なに? 冷静すぎないかな。もっと自分を出せば良いと思う。
この手の話が難しいと感じる人は、いっそターゲット層からハズした方がいいんじゃないかとすら。
せっかくの哲学ゾンビが上滑りしちゃってる気がする。

---

全体としては楽しめました。
有名作家のものでも「う〜ん」なんて思うこともありますし、★4に。
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No.46:
(1pt)

二番煎じ

基本的に面白みのない日常がメインで、最後のどんでん返しにだけ賭けたといった一作だが、
それはもう何度も使いまわされたネタで、少し本を読んでいる人間には何の衝撃もないだろう
まあこういった話を始めて読んだ人ぐらいは楽しめるかもしれない程度のでき
薄い本なのが救い
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No.45:
(4pt)

文章はうまいと思う。さすが面白いとは思います

ネットで公開されている選考委員の評価が、あまりの大絶賛だったので、読む側である私の期待値が高すぎたんだと思います。「チームバチスタの栄光」に並ぶ傑作! といった評価だったもので……。
文章は上手で、最後まですらすらと読めました。登場人物や風景の描写が上手で、雰囲気に浸ることもでき、けっしてどぎつくないけれど豊かな色彩を感じました。ショッキングなシーンでも生々しいというよりは美しく感じました。作者が狙った効果なのだと思います。
ただ、そんなにミステリを読みこんでいるわけではないけれどミステリが好きな私程度の読者でも、わりと最初のほうで、なんとなく想像ついてしまったのが、なんといっても残念でした。伏線って難しいですね。
さすがだな〜と感心したのは、読後の気持ち悪さ(いい意味で)です。
気持ち悪さを予感させるキーワードはうるさいくらいちりばめられており、これまた予想はついてしまうのですが、それでもやっぱり気持ち悪い。この怖さが、この作品の真髄なのでしょう。
値段の価値は十分あると思います。
でも、大賞作品としては、やっぱり「チームバチスタ」のほうが「すごい!」と素直に感動できました。ごめんなさい。方向性が全然違うので不公平な比べ方だと自覚しています。選考委員も「チームバチスタ」の名前を出さなきゃよかったのに……なんて……
蛇足ですが、作品紹介を読めば誤解は少ないとは思いますが念のため……これは、いわゆる伝統的なミステリ小説とは全く違います。伝統的なミステリ小説のつもりで読み、かつ評価してしまうと、不当な結果になってしまいますので、読み手はあらかじめ割り切って楽しむほうが幸福です。
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No.44:
(3pt)

そうきたか…

私はリアリティのある話の方が好きで、普段SFを好んで読みません。

この本はSFではあるもののリアリティを感じさせてくれる文章で、後半まで面白く読み進めることができました。

ですがSFの世界設定の中での、それなりのリアルを期待してしまっていたので、最後の最後でのオチにはビックリと同時に、「あ〜結局そうきたか…」と少しガッカリしてしまいました。

そのオチならば、それまでの全てが意味なくなってしまうじゃん、と言いたくなります。
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No.43:
(3pt)

雰囲気に酔わせるが、終盤がちょっと・・・

ミステリというよりSFだよなあと思いつつ、読み進めました。

夢とうつつが入り混じる展開は、なかなかに惹きつけられます。
南の島の描写は、景色がありありと目に浮かぶし、こういう舞台装置を用意したところは、物語に奥行を与えていると思います。
漫画家の生活もとても興味深かったです。

ただ、終盤、からくりが分かり始めるあたりから先が、すべて読めてしまうんですね。
ミステリなんだったら、しかも、「このミス」で大賞とるような作品なんだったら、この展開はどうなんだろうか。

SFとして期待を持たせる感じで始まったのに、どんどん尻すぼみになって、そこらのレディスコミックみたいになってしまったというか。
男性が女性を主人公に書くと、こういうふうになるんでしょうか。母性を見くびられているみたいで何だかな。
首長竜もサリンジャーを意識しすぎて消化しきれていないような・・・。

選考委員全員が絶賛というから、ものすごく期待してしまいました。
それゆえの拍子抜けって感じです。
文章力のある作家なので、今後に期待します。
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No.42:
(3pt)

物足りない・・・

自殺未遂を起こし意識不明の状態がもう何年も続いている弟浩市。姉の淳美は自殺の
理由が知りたくて、開発された医療器具「SCインターフェイス」で浩市とのコンタクトを
試みる。だが、そんな淳美の周辺で不可解なことが起こり始める・・・。第9回「このミス
テリーがすごい!」大賞受賞作品。

自分が触れていると思っているものや見えていると思っているものは、果たしてそこに「存在」
するのか?いや、「存在」という定義すら疑わしいものに思えてくる。いったい自分自身の
何を信じればいいのか?「現実と仮想」、「生と死」、「肉体と精神」、それらのものが入り
混じり、読んでいるうちに何が「本当」なのかがよく分からなくなってしまった。ごちゃごちゃ
し過ぎている。
また、読み始めの段階で、どういう設定なのかが分かってしまった。こういう類の話は以前にも
読んだことがあり、決して目新しいものではない。それでも、どういうふうに話を展開させるのか
期待しながら読んだのだが、新鮮な感動を受けることはできなかった。ラストも消化不良。この
作品で作者が読み手に伝えたかったことは何か?それも見えず、物足りないもやもやとした思い
だけが読後に残った。
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No.41:
(5pt)

迷宮小説です

現実社会なのか脳死患者との交信状態なのか、読み進むにつれどちらに居るのか分からなくなってくる。そして現実社会は本物なのかなのか、そもそも現実社会なんて無かったんじゃないかと、どんどん分からなくなってくる。所々に出てくる、紅い旗の付いた竿・首長竜・子供 がアクセントになっていて更にこの小説の不思議感を増幅させていると思う。さすが「このミス大賞」だと思います。
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No.40:
(5pt)

納得のクオリティーのエンターテインメント小説

他者のレビューを読んでいたところ、『クラインの壺』の劣化版という文章が見られましたが、テーマ性こそ似ていますが、劣化版という酷いクオリティーではないと思います。

 僕はエンターテインメント・SFミステリ小説として、楽しめましたし、文章も読み易くて良かったです。
確かに、作中の途中から、真相が予想できる展開ではあったと思いますが、それでも、現実と虚構を行ったり来たりする酩酊感、「リアルと夢」、どっちがどっちなんだ? というミステリ的要素がかなり面白く読めました! なので、80点は与えられると思います。

 このミスの過去受賞作は、ヒドイのもかなりあって、「色物の賞」の趣きも感じていたのですが、筆致の確かさ&物語性の面白さを、十分に感じて読めた作品でした。
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No.39:
(4pt)

首長竜は恐竜ではありません

この作品は「虚構と現実」「意識と死」がテーマです。

あちこちで伏線が張られており、ネタとしても新しいものではないのでオチは予想がつくでしょう。
むしろ、「まさかこんな真相だとは思わなかった!」と思う人はほとんどいないと思われます。
序盤から、主人公の記憶の不自然さや回想の中にヒントが盛り込まれています。
登場人物のセリフはもちろん、明らかに不自然な人物の描写も多々あります。
それらを拾いながら、最後にどう結びつくか予想しながら読んで行くのは面白かったです。
それらに注意せず、愚直に読み進めるだけの方はおそらく中盤以降で混乱して楽しめないでしょう。

最後の最後に関して、納得いかない、蛇足だと感じる方もいるかもしれません。
解決したようで解決していない・・・不安な終わり方をしています。
しかしながら、私はこの終わり方こそが作者が読者に伝えたいテーマそのものだと思います。
主人公がこの後どうなるのか、救われるのか、そもそも真実だと思ったものが本当に真実なのか・・・。
真相にたどり着いたと安心した読者を再び「!?」に突き落とすことで、読者に解決しない疑問を与えています。
物語を結末させないことで、より読者に上記の作品テーマについて考えさせているのだと思います。

ちなみに、作中において首長竜が恐竜として説明されていますが、これは間違いです。
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No.38:
(3pt)

内容はイマイチでしたが、著者の文章力に惹かれました。

読むにつれて現実と非現実の境目が曖昧になり、シャガールの絵のように足元が不安定になるような感じがする本でした。そうした展開を、著者の文章力を支えているのだと感じます。
また、首長竜というアイコンが、太古の水の中を悠々と泳ぐ巨大生物という点で、そうした不安定感を助長している気がしました。

結末はなんとなく分かってしまう内容で、あまり驚き無かったのが、SFミステリーとしては残念でした。また、読後感もあまりサッパリとしたものでなかったのも残念でした。

でも、摩訶不思議な全体を覆う感じは良かったと思います。主役がちょっと落ち目の中年漫画家という設定もなかなか良かったです。
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No.37:
(1pt)

全然面白くない

残念ながらこの作品に新しいものを何一つ感じませんでした。
既視感ありありのアイディア、何ゆえ満場一致で大賞?
そのうえあちこちト書きみたいだった。
アイディア勝負出来るネタでもないし、
結末も予測出来るし、正直物足りない。
東野圭吾と比べると、雲泥の差ですね。
話になりません。
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No.36:
(4pt)

展開を予想できないと・・・

トリックというか話の展開的としては目新しくはありません。
展開を匂わす部分やオマージュ?している作品等も最初の方から描いています。
見え見えの伏線を張ってたりするので、それは作者の意図ではないかと思います。
混乱した展開からきっちり最後をまとめて、おいおい詰めが甘いぞと思ったら最後の最後でしてやられました。

欲を言えばもうちょっとシンプルに纏められたと思います。
(古典ネタで登場人物に理由をつけていてどうしても必要なキャラだったの?と感じる点など)
あとは突っ込みどころが意図的なのかを判別できないと駄作としか感じられない所でしょうか

やや読者を選ぶ作品なので、精神的にくるのが苦手な人にはお勧めしません。
今後の期待値込で☆4です。

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No.35:
(5pt)

意識とは何か。



「プロセス指向心理学というのは、

アーノルド・ミンデルという心理学者が提唱したもので、

睡眠中に見る夢と、それによって生じる象徴的なパターンを持った身体的な体験や症状、

つまり《プロセス》との関連の研究から始まった」。

「夢からの影響による現実世界での身体の変化、

または身体から夢への影響、そういったもので」ある(p.122)。


また哲学者ニック・ボストロムは

「惑星あるいは宇宙全体をシミュレート可能な高度な文明が存在すると仮定するなら、

我々の感じている現実は、そのシミュレーションの中にあるという証拠と可能性が充分にある

という懐疑主義的な仮説」を唱えた(p.141)。

「ネイピア数や円周率のような超越数の中に隠されていると信じ込んでいる人もいる」(p.242)。




さて、主人公・淳美の日常から

現実と非現実がその境界を失っていくのは

「昏睡患者との意思の疎通を行う技術」センシングの副作用かと思ったのですが・・・。

終盤数十ページに至って漸く荘子の含意に思い致るような鋭敏ならざる私は

或いはこのジャンルには相応しからぬ読み手なのかも知れませんが

(何せ読書量年間300冊弱の内、小説は2桁に達することはまずなかろうという人なので)、

しかしその分淳美の心に寄り添い、感情移入し、

次々に明かされていく真実に彼女と一緒に衝撃を受ける、

というのは「相応しからぬ読み手」に許された特権なのかも知れません。


最も心を打たれた箇所は

真っ赤な野球帽を被った小さな男の子が

「大好きだった首長竜の背に乗って、どこか遠くへ」去って行く幻影の中の光景でした。


意識とは何か、という間歇的に湧き起こる問いに改めて直面させられる作品です。


表紙では昏睡患者のベッドが宙に浮き、

天井のない病室に広がるマグリット風の青空をプレシオサウルスが泳いでいます。









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No.34:
(2pt)

最後でがっくり

読みやすくすらすら読んだのですが……
SCインターフェースにまつわる様々なネタがとんでもSFだったので、最後でどんな収束を見せるのかと楽しみに読みました。
が、その収束の仕方にがっくり。

SFとしたら、今更驚くような構成でもなく。
漫画家の生活がリアルで秀逸という話もありましたが、特におもしろくもなく。

読み方が悪いのかなとも思いましたが、正直、どこをおもしろく読んだらいいのか……。
SCインターフェースネタがSF的にうまく収束してたら、おもしろかったのになぁとおもいました。
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4796679901
No.33:
(2pt)

好き嫌いが分かれそう

このミス大賞ということですが、
好き嫌いが分かれそうな印象を受けました。

あまり書くとネタバレになってしまいそうなので、書きませんが、
「マトリクス」とか「インセプション」のような作品でした。
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No.32:
(2pt)

何かが足りない…

「クラインの壺」の著しい劣化版、というレビューがあったけれど全く同意見です。

文章はうまいし筋の運びもうまいんだけど、何かが決定的に足りない。
塩を入れ忘れたスープのような気がしました。

でも選考委員の方々は絶賛されているので、人の好みはそれぞれということなのでしょう。

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4796679901

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