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写楽 閉じた国の幻



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写楽 閉じた国の幻の評価: 3.54/5点 レビュー 81件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.54pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 41~50 3/3ページ
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No.10:
(4pt)

さすがの筆力、ですが…

しょっぱなからぐいぐいと引き込まれていきます。写楽にも北斎にも歌麿にもたいして興味はなかったんですが、この分厚い本を数時間で一気に読ませてくれる先生の筆力はさすがです。写楽にこんな謎があったことすら知らなかったので、謎があると知れただけでも一つ賢くなれました。…が、いかんせん、あまりにも悲劇的な主人公の物語と、写楽の謎解きの展開が、もう一つうまく絡んでいるとはいいがたいのが気になります。主人公の物語がどうなったのか気になりながらいつのまにか写楽の謎解きへ引き込まれ、ふいに現実に戻って、え、あ、そういえばそっちどうなったの、と思わされたのもつかの間、また再び江戸の世界へ引きずり戻される、といった感じで、その違和感は最後まで解消されることなく、先生ご自身が続編の存在をおっしゃられている。これは、小説の構成としてはどうなんでしょう…色々と大人の事情もあるのでしょうが、やはり読者としては、最高の形に練り上げられた島田ワールドを見てみたかったのでそこだけが残念でした。とりあえず今は続編が楽しみです。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
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No.9:
(4pt)

さすがの筆力、ですが…

しょっぱなからぐいぐいと引き込まれていきます。
写楽にも北斎にも歌麿にもたいして興味はなかったんですが、
この分厚い本を数時間で一気に読ませてくれる先生の筆力は
さすがです。
写楽にこんな謎があったことすら知らなかったので、謎があると
知れただけでも一つ賢くなれました。

…が、いかんせん、あまりにも悲劇的な主人公の物語と、
写楽の謎解きの展開が、もう一つうまく絡んでいるとはいいがたい
のが気になります。
主人公の物語がどうなったのか気になりながらいつのまにか
写楽の謎解きへ引き込まれ、ふいに現実に戻って、え、あ、そういえば
そっちどうなったの、と思わされたのもつかの間、また再び江戸の
世界へ引きずり戻される、といった感じで、その違和感は最後まで
解消されることなく、先生ご自身が続編の存在をおっしゃられている。
これは、小説の構成としてはどうなんでしょう…
色々と大人の事情もあるのでしょうが、やはり読者としては、
最高の形に練り上げられた島田ワールドを見てみたかったので
そこだけが残念でした。

とりあえず今は続編が楽しみです。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
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No.8:
(5pt)

面白かった

今まで読んだ写楽もので展開されてる説の中では最も説得力があるのではないかと思いました。写楽の正体に興味がある人は読んで損はないと思います。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.7:
(5pt)

通説への異論は思想であり人生観である

迷路「写楽探し」を解く方法論の原点Keyは、作者が描き出す板元:蔦屋重三郎の心意気にあり。主人公佐藤が、あるきっかけから、「Fortuin in,Duivel buitenn」(オランダ語)「フォーチュン・イン、デヴィルズ・アウト」(英語訳)「福は内、鬼は外」(和訳)・・・18世紀後半の大江戸で「福内鬼外(ふくうち・きがい)」と名乗ったある著名人を追うことから始まる「写楽探し」は、とてつもない結論への序章だ。何という壮大な、「通説」への異論の体系! 何という「開かれた」思考回路! もちろん島田説に脱帽し納得もしてしまふ。「専門家の写楽学」への挑戦であり、もちろん小説を超えて通用する説であり、在野の「学」の意地である。                                                                                      けれども、島田説は、あれかこれかの謎解き選択に核があるではない。そこにあるのは、世の「通説」に、異を唱える者の・それに抗う者の、孤立無援の立ち位置だ。それは、謎解きを超えた生き様なのだ。選択ではなく、異次元への跳躍・「閉じた」発想からの跳躍なのだ。「通説」(この場合固有名詞の如何を問わず、「写楽」は絵師の誰かに違いないという通説)が生まれ、支持され、学ばれ、市民権を得てきた、その「閉じた」構造総体を相手に立たねばならないのだ。「通説」を生み出し、保障し、定着させる力・・・、「あれ」だ。己を論ずるに、友・環境・学校・親・・・幾多の他者が必要なように、列島古代史を論ずるに、古代東アジアの地政学的俯瞰が不可欠なように、「写楽探し」には、当時の社会と世界、「閉じた国」からの跳躍が求められたのだ。それにしても、作者の積年の慧眼と執念に思わず拍手した。作者は読者に、不遇と悲哀を甘受する「在野的学び」と「異論」の原点、「閉じた国」の闇を解く思考回路をこそ、この「写楽探し物語」と島田版:蔦屋重三郎像から提示している。「写楽探し」は実は何探しなのか? への考えが、読む前と読後で違うと読者が感じるならば、作者の目論みの九割は成功しているのだ。そして、ぼくはそうした読者であった。もっとも、島田説が学術的評価(多数派になれと言いたいのではない。心ある識者からの評価も生れて欲しいと思っている)に耐え得ると直感してもいる。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.6:
(5pt)

今年いちばん! 爽快。

寛政六年に出現し、わずか十ヶ月だけ存在した謎の絵師、写楽。 昔から、有名な絵師の別名であるとか、違う職業や身分の故に、本名を明かせなかったのではないか、とか、風説は様々あるが、確定的なもの、説得力のあるものはないといって良かろう。 「写楽は誰か?」わたしも持っているそんな割りきれない気持ちを、本書がスッキリさせてくれた。 なァるほどね!  著者は長い間温めていたらしいが、いちばんの決め手はオランダ商館員の江戸訪問が寛政六年であったことだ。しかし、連載当初まで著者は、その確認ができずにいたらしい。 これには驚いた。 全部を引っくり返してしまう事実を、確認せずに連載を始めてしまう、なんて確信犯的行為をよくやれる、と驚いた。 そのせいだろうか、いきおいと緊張感を感じる一冊だ。 このような驚きとともに、気持ち良い読後感が後に残った。 主人公の個人的環境なんて全く興味ないので、著者は心残りだそうだがわたしは「要りません」ともうしあげたい。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.5:
(5pt)

一気読み!

「写楽もの」と言うのでしょうか。東洲斎写楽の謎を取り上げた先行作品は数多く存在し、高橋克彦のデビュー作『写楽殺人事件』、明石散人の『東洲斎写楽はもういない』などが有名ですね。それだけ歴史ミステリーとして魅力的なわけで、島田荘司が取り上げれば面白くならぬわけがない… との期待は裏切られませんでした。提示された大きな謎に小さなヒントが散りばめられていき、時に巧みなミスリードも。「次は一体どうなる?」という興味が途切れることなく、700ページ弱の大作を一気に読ませます。現代篇に、蔦屋重三郎等が登場する江戸篇を絡めたサンドイッチ状の構成も、生き生きとした台詞回しと相まって効果を発揮しており、私はこの「島田説」にすっかり納得してしまいました。学術的なフォローと、続編に期待したいところです。
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4103252316
No.4:
(5pt)

一気読み!

「写楽もの」と言うのでしょうか。東洲斎写楽の謎を取り上げた先行作品は数多く存在し、高橋克彦のデビュー作『写楽殺人事件』、明石散人の『東洲斎写楽はもういない』などが有名ですね。

それだけ歴史ミステリーとして魅力的なわけで、島田荘司が取り上げれば面白くならぬわけがない… との期待は裏切られませんでした。

提示された大きな謎に小さなヒントが散りばめられていき、時に巧みなミスリードも。「次は一体どうなる?」という興味が途切れることなく、700ページ弱の大作を一気に読ませます。

現代篇に、蔦屋重三郎等が登場する江戸篇を絡めたサンドイッチ状の構成も、生き生きとした台詞回しと相まって効果を発揮しており、私はこの「島田説」にすっかり納得してしまいました。

学術的なフォローと、続編に期待したいところです。
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No.3:
(5pt)

最も説得力のあるかつ魅力的な写楽の正体!

日本美術史上永遠の謎である「写楽は誰なのか?」について、最も説得力のあるかつ魅力的な回答が描かれている。「ダ・ヴィンチ・コード」にも似たスケール感あるのミステリーだ。作者の20年にわたる構想と時空を超えた筆の展開力にぐいぐい引き込まれていく。684頁の大作であるが、一気に読めた。人生の苦悩を背負っている主人公とそれを助ける美貌の大学教授らによって、現代の謎解きが進む。それを江戸時代で実証するように、蔦屋重三郎などの浮世絵工房の面々がドラマを展開する。写楽の正体である人物の仮説は、行きつ戻りつしながら証明されていく。寛政6年5月という鍵になる年代が、種々の資料で特定されていく過程が特に面白い。古代の化石の年代が放射性炭素年代測定法でデジタルに測定されるようなスピード感がある。本書によって写楽の謎は解けるが、物語としては未完であり、続篇を期待せざるを得ない。お奨めします。
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No.2:
(5pt)

写楽の、とんでもない正体。

私は日本美術史にうとくて、北斎と歌麿の違いさえもあやふやでしたが、とても楽しく読めました。序盤の主人公に降りかかる悲惨すぎる境遇に、さすが島田荘司は、こういうのを書くとうまいなあ、と感心しました。中盤、従来の説を丁寧にふるいにかけ、オリジナルの発想が徐々に塗り固められていく高揚感…あまりにも面白くて一気読みです。終盤は、江戸時代の人間の、『世を変えよう』という心意気に涙。そして明かされる写楽のあまりにも意外な真相に、身体が震えるのを感じました。写楽問題に詳しい人なら、この説の傷を指摘することもできるでしょう。だからこそ、写楽に詳しい人にも、詳しくない私のような人にも、ぜひ読んで欲しいです。最高の、歴史ミステリですよ。
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4103252316
No.1:
(5pt)

ただの写楽追跡ではなく,続編が楽しみ

作者は著名な推理作家です。本書はミステリー形式で,主人公の不幸な浮世絵研究者が東大工学部の女性教授の助けを借りて写楽の正体を追いかける話です。物語は途中から写楽の浮世絵を出版した蔦屋重三郎が主人公となり,写楽を世に送り出す話と交互に進み出します。 読み進めるうちに,作者は写楽の正体について新説を提示することが目的ではなく,なぜ蔦屋重三郎が写楽を世に送り出そうとしたのかを述べたかったのではと考えるようになりました。表題からも感じられるように,江戸の町には閉塞感が漂っています。蔦屋重三郎が既得権にあぐらをかく者の代表として歌舞伎役者を揶揄し,既成概念を壊そうと写楽を作り上げます。 写楽の絵の本質は,虚飾にまみれた役者にその本当の姿を突きつけるものだと作者は考えているようで,蔦屋重三郎にそのことを語らせます。確かに,男が女を演じることなど歌舞伎になじみがない人には妙なものです。名優すなわち老人が皺一つ無く,美男美女に描かれる浮世絵は,虚構のものかもしれません。 作者の指摘した写楽の正体はあまりにも突飛でしたが,歌舞伎や浮世絵に関する綿密な資料と時代背景の描写は単なる思いつきとは思えませんでした。写楽に関する諸説も綿密に解説されております。後書きを読むと,かなり長い間アイデアをねっていたようです。 物語は写楽の正体を主人公が指摘したところで終わりますが,不幸な主人公の今後はどうなるか,女性教授の正体はなど未解決の謎が残されたままでした。ぜひ,続編を読みたいと思います。
写楽 閉じた国の幻Amazon書評・レビュー:写楽 閉じた国の幻より
4103252316

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