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ナニカアル
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ナニカアルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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処女作以来、女の性(さが)というものを描かせたら、現代の作家では著者が随一なことは確かだと思います。しかし、いつものパターンでしょうか、出だしは少々思わせぶりなミステリー調で読者を惹き付けますが、中盤は妙に登場人物の饒舌とも言える感慨とセリフで、いつもながら間延びした退屈さを感じるのは自分だけでしょうか? 確かに週刊誌の連載と言うことで、ある程度話の展開を引っぱらなければならないのでしょうが、せっかく林芙美子という一時代を風靡した作家を主人公としながら、しかもその周辺の作家たちとのやり取りを描きながら、廻り道をし過ぎです。戦中の作家たちの海外派遣という重いテーマを描く中に、妙な恋愛と心理の相克を延々と記述しています。こういった所が「スタンダールもどき」という面を、この作家に感じてしまうのは自分の偏見でしょうか? そして最後にはどんでんがえしのような終わり方をしてしまいます。「デインジャラス」という作品もそうでしたが、こういった所はミステリー作家としてやむを得ぬの性なのかもしれません。資料も相当に読みこんでいるのは認めますが、それだけにもっと面白い作品になったのでは、となんだかモッタイナイと感じる一作でした。 | ||||
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林芙美子を自伝的に描いた小説。 林芙美子といえば「放浪記」、放浪記といえば森光子の公演とそのくらいの知識しかなかったが、どうやら戦前、戦中と活躍した作家であるらしい。驚いたのは林芙美子しかり、当時の著名な作家たちが太平洋戦争中、戦地に赴き、戦意昂揚のため、美辞麗句を書きたてていたこと。小説などで人の心を動かす作家たちの文章は、力をもっている。それを利用するのは国家として当然かもしれない。そうしていろいろな特殊技能が、戦争に惜しみなく利用されていった、そういった苦い背景もうかがえる小説だった。しかし、話の中心は秘められた恋に重点が置かれていたのでその部分はありきたりな印象をもった。林芙美子という人物そのものにもともと興味がなければ楽しめない。 実在の人物の人生の軌跡を、想像に任せて描き切る力量は、なんだかすごいなーと思った。 | ||||
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実在の女性作家の太平洋戦争中の活動と秘密を描いた作品. 戦時中の戦地や占領地での作家の活動が大変よく調べられていて新鮮である. 高名な作家も登場したりして,実在の作家を描いていると知らずに読むとちょっとびっくりする.. 偽装船での渡航や占領地の意外に豊かな生活など, モデルとなった林芙美子氏自身が記録を残しているのかもしれないが, リアリティがあって面白い. 一方で,このような状況下で船の中で男と関係を持ったり, 派遣先でもひたすら不倫相手のことを考えている女性像には少々呆れてしまう. この辺はいつもの桐野調ではあるが,このテーマでしか書けないのだなぁと思ってしまう. 何より,養子として育てられた子が不倫相手との間にできた実子だというストーリーは, 現実に血縁者が存命の可能性もあるのにいくらなんでも無神経では? | ||||
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従軍記者としての林芙美子というと、私はどうしても井上ひさし作、大竹しのぶ主演の『たいこどんどん』と比較してしまう。 そのせいか、文学者として戦争に協力したことへの懺悔の気持ちというよりは、一人の女として極限状況で恋愛しその子を産んだという部分が際立って印象づけられてしまう。 つまり、戦争は女としての業を描くための背景のように遠ざかってしまう。そのことによって、この小説の主題が拡散しているのが惜しい。 | ||||
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