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赤朽葉家の伝説



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【この小説が収録されている参考書籍】
赤朽葉家の伝説
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説の評価: 7.86/10点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.86pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

赤朽葉家の伝説の感想

読み進めていくうちに、その作品のスケールのデカさというか奥行きの深さに圧倒されていく作品。
筆致自体は終始淡々としているのになぁ。
その時代を代表する女達の力強さって事なのかな。男にはない強さってやつ。

万葉、毛鞠、瞳子・・・製鉄一家に嫁いだ、或いは産まれた女三代の物語です。
読み出してしばらくは「何これ?日記?単なる伝記?」だったのですが、次第にはまっていきました。
自分が真ん中、2代目毛鞠世代な事も大きかったのかも知れませんね。

「男の時代」「可能性と進出の時代」そして作中の言葉を借りれば「語るべき物語を持たない時代」
それぞれの時代の女の生き方を描きつつ、製鉄産業の栄枯盛衰の物語もその脇を添えています。
男性陣も各世代個性的な人物が登場するのですが、時代の流れに乗れなかった男たちは自然と淘汰され、時代の流れに乗り仕事に全てをかけた男たちも、その存在感をなくしいつの間にか死んでいる。
どこか哀れだ。
今の日本を作ってきたのは男たちだが、時代を作ってきたのは女なんだな。 なんて思いながら読みました。

第3部になっていきなりミステリ的な展開があり、「おっ!」と思って期待したが、ミステリとしては正直大したことないです。
そんな事より、第3部が始まると否応なしに押し寄せてくるリアリズム。
自分の時代がはるか昔であるかのような錯覚に襲われてしまいました。
何なんだこのギャップは。 さすがこれが「語るべき物語を持たない時代」ということなのか。
これまでの「時代を作ってきた」という印象が一転「時代に支配され翻弄されている」という感じかなー。
一見「自由で奔放」に見えますが、どこか抑圧されてるような。
明らかに浮いてるぞ現代。
第3部のちょっとしたミステリチックな趣向は、これまでの物語の流れから浮いている現代と過去を上手くつなげるのに大きな役割を果たしていたように思います。
大したミステリである必要なかったというか、もっと大切な役割を担っていたのではないかと。
万葉の千里眼の「謎」も最後上手くおさまりましたしね。そのための千里眼だったんでしょうね。


今から数年後、今の若者達は何か時代を築け残せているんでしょうか?
作者のそんな皮肉もどこか伺える気がしましたけど・・・違うかな。

梁山泊
MTNH2G0O
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

桜庭一樹を読むなら、絶対に外せない傑作

読了後、「なんて圧倒的な作品だったのだろう」と思い返さずにはいられない、素晴らしい傑作長編でした。
三部構成ですが、それぞれになかなか個性的な女性が出てきて、その彼女らの物語に夢中になってるうちに読み終わる、という「ハマり度」がすごい作品だったと思います。

アルバトロス
CRRRDTJB
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

赤朽葉家の伝説の感想

すごく楽しめたお話でした。著者渾身の傑作と言えるでしょう。普通の謎解き小説とは少し違いますが、三世代の女性の人生とそれぞれの時代の空気をシミジミ味わう事ができ、素晴らしい作品だと思います。個人的な好みでは、第二部の展開が結構突飛で付いて行けない所があるのと、全体を通した恋愛の描写や考え方が女性目線なので、その部分に違和感を感じた所がマイナスでした。しかし、第一部の幻想的な雰囲気は最高でしたし、物語の序盤から張られた伏線がきれいに回収され、さわやかなエンディングを迎える第三部は非常に良い読後感で、ぜひ多くの方にオススメしたい作品です。

なおひろ
R1UV05YV

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