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川は静かに流れ



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【この小説が収録されている参考書籍】
川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れの評価: 6.50/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

謎解き重視だと期待外れだろう

2008年度MWAの最優秀長編賞受賞作。5年ぶりに故郷に帰ってきた男が幼馴染みが殺害された事件に遭遇、さらに家族が巻き込まれる事件が続き、その真相を追究することで愛する家族の隠されてきた実像に直面する人間ドラマ、家族物語である。
5年前、殺人の濡れ衣を着せられ、無罪になったものの父親に勘当されて故郷を捨てたアダムが、二度と戻らないと決めた町に戻ったのは、幼馴染のダニーが「人生を立て直すのに力を貸してほしい。一対一で話したい」と電話してきたからだった。最初は断ったのだが気になって仕方なく、帰ってきたのだった。5年ぶりの故郷の景色は変わっていないものの、家族や元恋人との関係は微妙に変化し、それ以上に町の雰囲気は大きく変わっていた。その背景となっているのが、アダムの父が所有する広大な農場を含む土地の原発建設計画で、莫大な開発資金を巡って開発派と反対派の対立が先鋭化していたのだった。家族や元恋人とぎこちない再会を果たしたアダムはダニーを探すのだが、ある事情からダニーは逃亡中で行方が知れないという。そうこうするうちにアダムはダニーが殺されているのを発見したばかりか、重要参考人にされてしまう。再び濡れ衣を着せられたアダムはしゃにむに謎を解こうと突っ走る…。
親友の死、家族が巻き込まれた事件の謎を解くミステリーであるとともに、アメリカ南部の大農場一家の崩壊と再生の物語でもある。正直、ミステリー部分だけでは大した作品ではない。むしろ、男の友情、恋人との愛情、親子・兄弟など家族の絆の物語としての完成度の方が高い。
ミステリー風味の人間ドラマ、家族ドラマが好きな方にオススメする。

iisan
927253Y1
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

川は静かに流れの感想

ミステリ色は少し薄味ですが家族の物語として読めば中々読ませる物語だと思います。個人的には好きな言葉使いであったりして文章も気に入ったので物語の世界にすっかり浸って読み進めました。
曖昧なところは曖昧なままにしてあるのでその辺のところが厳しい評価で見る人も居られるようです。だが、個人的にはすべて白黒つけた解決のあり方で読ませる内容ではなく、メインは主人公アダムの
心のうちに燻る怒りや家族、特に父に対する複雑な感情の流れなどを描きながら彼が新しい人生に踏み出す物語と捉えれば良いと思います。実際彼を取り巻く人たちにはいろいろな人物が揃っています。
元恋人や義理の妹たち、そして農場の使用人でありながら父と深い絆で結ばれている信頼の厚いドルフと云う男とアダムの交流。保安官や刑事と判事。過去の事件と新たに発生した事件や出来事。
それらに振り回されながらアダムは過去は過去として捉え新しい生き方を選び出す、そんな家族の中の個人個人にスポットを当てたエピソードが織りなす物語であって家族の再出発という物語でしょう。
深い謎に包まれたミステリとしてではないものの読みごたえはあり、個人的には三日で読み終えるほど集中して読み耽りました。ありがちな家族の再生物語といえばそうかも知れませんが最後のページの
余韻の良さもあり楽しめた一冊でした。そう残酷な事件が続いて起こるといった展開ではないところがかえってこの本の良さと思います。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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