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檜垣澤家の炎上



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檜垣澤家の炎上

檜垣澤家の炎上の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

檜垣澤家の炎上の感想

7歳で引き取られた妾の娘・かな子の成長を描くサバイバル小説のような歴史ドラマの大作。

2024年度の各紙ミステリランキングで上位に入った話題作。800ページ近い骨太長編のため読むのを躊躇していて積読状態でした。時間が取れたのでやっと手に取った次第。結果、とても充実した読書で大満足でした。内容の密度が非常に濃いため、時間が取れる時に腰を据えて読むのがおすすめです。

物語は、富豪一族の当主の妾の娘・かな子(7歳)が、一族の屋敷に引き取られるところから始まります。母を亡くし、父も倒れ、味方のいない幼い少女。正妻の子ではないゆえに、やっかい者として迎えられるなか、彼女がどう生き抜いていくか――。かな子の成長を描くサバイバル小説の側面を持った歴史ドラマとなります。

ミステリーとしての知名度はありますが、殺人事件やトリックを期待する物語ではなないです。
ではどのような点がミステリーとしての面白さがあるのか。それは、富豪一族のそれぞれの腹の内や思惑、そして会話の裏に潜む駆け引きです。セリフの1つ1つが巧妙です。登場人物たちは皆、頭の回転が速く、上流階級ゆえの遠回しな言葉を操ります。一見普通の会話が読み進めるうちに緊張感ある心理戦へとなっている。その意味は数ページ後に解説と共に気づかされるのですが、それらによって恐ろしさと凄さを味わいます。主人公視点で気づかない所で進行している根回しや政略的活動、立場ある者・悟られない為の発言。そうした細かく設計された構成がミステリーとしての魅力になっていると感じました。

中盤、かな子が成長していき、交友関係も増えてくる400ページ過ぎあたりから、面白さがさらに加速していきました。本作にて物語としては一区切りがついていますが、このボリュームを読み切ったうえでなお、まだまだ序章と感じさせる結末が凄い。それだけ魅力的でこの先の物語も知りたくなる力を持った作品でした。
本書の注意点としては非常に頭を使う内容なので、気楽に物語を楽しみにたい人には少し難しく感じるかもしれません。じっくり時間を取れるときの読書をおすすめします。歴史ドラマや時代もの作品が好きな方にオススメです。

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