蛇影の館



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初公開日(参考)2024年07月
分類

長編小説

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蛇影の館

2024年07月24日 蛇影の館

人間の身体と記憶を乗っ取る人工生命体〈蛇〉は、“衣裳替え”を繰り返し悠久の時を生きてきた。 あるとき、最年少の〈蛇〉で女子高生に寄生する伍ノは、一族の長から満月の集いのための新しい衣装候補の調達を頼まれる。 同級生を騙し廃墟の中の伝説の館に卒業旅行に行く伍ノ。 そこで起こる惨劇。誰が人間で、誰が〈蛇〉なのか? 〈蛇〉独特のルールを利用した驚愕トリックと圧巻ロジックは「特殊設定ミステリ」の新たな極北に!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

蛇影の館の総合評価:9.00/10点レビュー 3件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

蛇影の館の感想

奇想の物語による特殊設定ミステリ。
ミステリの為の物語ともいえるし、物語の為のミステリともいえる一作です。複雑な構成なのですが、新しい物語の体験として心に残る印象的な作品でした。

物語は古来より存在していた人間に寄生する生命体『蛇』の物語。
『蛇』は無敵の存在。人に寄生し、その人の記憶を継承して人間に成りすまして生活している。宇宙生物的な感覚で捉えるとイメージしやすいです。
そしてこの蛇は死なない蛇。死んでも蘇る。ただし死んだり消滅する時にはそれなりのデメリットがある。現代では5匹存在しており、その5匹の「衣装変え」という名の人間の寄生先を変えるイベントで事件が発生するという展開です。

正直なところ「ミステリの謎を解く事を楽しみにする」という視点で読むには向かない作品です。
その理由は、物語があまりにも奇抜で現実的に考えられないからです。ただし、訳が分からないから楽しめないのかというとそうではなく、複雑で難解な内容ながらも、読んでいると不思議と面白いのが不思議な味。人間を殺したり乗っ取ったりと倫理感に欠ける部分もありますが、どこか青春ミステリーのような味わいがある奇妙な味わいでした。

特殊設定ミステリとしても適当な特殊性なのではなく、この物語の設定だから可能とするミステリが見事でした。
発想は物語が先なのかミステリの仕掛けが先なのかわかりませんが、絡み合った構造が非常に巧妙でした。

前半の1章・2章ぐらいまでは内容が把握しやすく楽しめたのですが、3章からはかなり複雑な事件模様となり、理解するのが難しくなりました。
ミステリの内容については「整合性がとれているのか」や「他に可能性がないのか」といった点を気にするのはやめ、あまり考えず物語の雰囲気を楽しむ読書となりました。

普通のミステリは読み慣れてしまっていて、新しい変わった特殊設定もの作品を求める方にオススメです。

egut
T4OQ1KM0
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.2:
(5pt)

特殊設定でのガチガチのロジック。そしてミステリだからこその物語の心地よさ。

☑超常存在”蛇”。人の記憶と体を乗っ取って生きています。
☑乗っ取り先を変えるための館で起きる惨劇。犯人は蛇なのか、人間なのか。
☑ガチガチのパズルの中で美しいロジックと揺らぎ。ミステリだからこその青春もの。
蛇影の館Amazon書評・レビュー:蛇影の館より
4334103839
No.1:
(5pt)

誰が誰の中に入っているのか

特殊設定が現代ミステリを席巻しています。能力モノのような漫画的面白さがあり若い読者に受け入れられたこともありますが、最大の長所はトリックとロジックが無限に拡張される点にあり、魅力的な謎と論理的解決を動かぬニ柱としてそれ以外の無茶を完全に許容したのです。「十角館の殺人(1987)」後30年、「屍人荘の殺人(2017)」の大ヒット。特殊設定の普及によって新本格ミステリは無限の拡張性を得たといってもよく、近年読みきれないほどの傑作群が生まれています。新本格ミステリは大衆文学の主流になったといってもいいでしょう。
ただし特殊設定モノは前提となるルールの把握に成功すれば存分に物語にのめり込める一方で、一度ルールをつかみ損ねるとあっちこっちページをめくり返し論理展開を追いづらくなるリスクがあります。

本作はミステリ好き垂涎の館の図と登場人物表(最初)、タイムテーブル(p206)が用意されています。
とはいえ本作独自のルールは小出しにされており、一度出たルールがどこにあるか確認するために私は少なくない付箋を使いました。
そこで単行本をこれから読む人へ薦めたいのが、ルール把握に詰まったら232ページ"のみ"を開けてしまうことです(電子書籍の場合のページ数は分かりません)。
ここに作中ルールが整理列挙されています。また上手いことに、そのページのみを読む分にはネタバレにもならないのです。ルールを小出しにしてサスペンスを煽っていく作風ではないため、文庫化の際には最初のページに載せてもいいかもしれません。

付け加えておくと、
・蛇が接続を断つことと人間から出ることは別物であること。すなわち憑依している人間を任意に殺して、死体に潜伏することも可能。
・蛇が人間から出るには口あるいは肛門から出るしかなくその際に出血すること。
この辺りもルールに加えても良いでしょう。ここは本作独自の「肉体の密室」トリックを考察する際に極めて重要な部分です(もちろんメイントリックではありませんのでネタバレではないです)。

さてこれらのルールを受け入れてしまえば、本作は特殊設定パズラーの傑作といえます。全くの盲点にあったシンプルなトリックによって全ての説明がついてしまう謎。もちろん多重解決の面白さ、青春小説の側面もあり、存分に物語を楽しめました。本格ミステリベスト10にランクインすることは確実ではないでしょうか。過剰なエログロなどもなく、老若男女に薦められる傑作です。

余談ですが、蛇牢ゲームは深く考えず流し読み、「財団」はなんかすごい舞台装置程度の認識でよいと思います。
蛇影の館Amazon書評・レビュー:蛇影の館より
4334103839



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